キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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決定する単独ライブの開催場所

アイドルプリキュアのライブの実行が決定した翌日。影人達は放課後にはなみちタウンの出張所に来ていた。

 

そして、出張所にある丸い大きなテーブルを囲む形で影人、うた、なな、こころ、プリルン、メロロン、レイ、田中が集結。まずは田中が話を開始する。

 

「皆さん、改めてですがアイドルプリキュアのライブ開催が決定したため会場を押さえる事に成功しました。

 

「「「おぉー……」」」

 

「プリ〜!」

 

「メロ〜!」

 

「あくまで前のは仮押さえみたいな所がありましたもんね」

 

「そういう事だな」

 

田中はあの後すぐに会場やら関係各所に連絡して了承を貰ったらしい。本当に何故関係各所が速攻でOKを出したのかは影人にとってかなりの疑問だったが、恐らくその理由は昨日はぐらかされたどこかのグループとのバッティングの件と関係があるのだろうと考える。

 

「流石タナカーンプリ!」

 

「私、マネージャー田中……やる時はやります」

 

「それと、チケットの販売に関してももう既に告知済み。……とは言ってもかなり急な話にはなっちゃうけどな」

 

本来であればこういうライブの準備は半年とか一年とか、とにかくそれなりに長い時間をかけて様々な事を決めたり準備をする……はずなのだが今回はとにかく時間が無い。何なら諸事情あって翌週末に開催されるくらいだった。

 

そのため観客が集まるかという懸念があるが……アイドルプリキュアの人気を鑑みるに恐らくは大丈夫だろう。そんなわけでライブに関する色んな事を手早く決めないといけない事になる。

 

「じゃあ、早速ライブの準備を進めないとね」

 

「ちなみにグッズ等の物販方面に関しては前々から根回ししてるから問題無い。何なら告知と同時に先行販売もある程度数量を限定して開始した」

 

「準備早いなぁ……。本当にレイ達がここまで早く準備してなかったらこのライブそのものが成立してないだろ……」

 

影人は今回のライブがレイや田中達裏方組がいなければ絶対に成立していない事を認識しており、彼等への感謝と労いの気持ちでいっぱいだった。

 

「それじゃあ、私達はいっぱい踊って〜!」

 

「いっぱい歌って〜!」

 

「ファンサするプリ!」

 

そして、裏方の心配をする必要が無いからこそ影人達は表の事であるライブその物に関する色々を考える事ができるわけだ。

 

「それとライブタイトルも決めないとです」

 

「「タイトル?」」

 

「あー、今回のライブその物の名前な」

 

「はい!ライブのタイトルは凄く大事です!」

 

こころが気合いを入れて決めようとしている辺り、これはガチで重要な話である。そのためうたはまず今咄嗟に浮かんだタイトルを言ってみることにした。

 

「じゃあ、“キラッキランラン祭り”とか!」

 

「うた先輩らしいですね……」

 

「まぁ、でもあながち間違ってるわけでも無いんじゃないか?だって俺らは最終的にお客さんにキラッキランランな気持ちになって帰ってもらうのが目的だし」

 

今回は珍しくうたの意見に影人が賛成と取れる答えを返す。ただ、まだまだ案はこれから色々出す必要はあるが……。

 

「そういえば、こころはどんなタイトルにしたいのメロ?」

 

「え?えっと……ううーん……そう簡単には思いつかないけど……」

 

こころは腕組みをすると難しい物を決めるかのように悩んだような顔を見せる。

 

「ライブタイトル……それはライブの顔、ライブの全てと言っても過言ではありません」

 

「そうなの?」

 

「確かにな。例えば、ライブタイトルを見てお客さんは来るかどうかを決める場合もある。だからここでダサい物を選んでたり、そのタイトルとは全く違う内容をライブでやってたらお客さんも期待外れってなっちゃうからな」

 

「確かに……私も見出しで書いてある物に惹かれちゃう時あるかも……」

 

「それで中身が違ったら文句を言いたくなるのもそうだよね」

 

レイの解説にうたやななは納得した顔つきになる。今も解説したが、ライブタイトルはライブをやる上でそれ程までに重要な要素の一つとなり得るわけだ。

 

「ライブの顔、ライブの全てかぁ……。これは軽はずみに決めて良い事じゃ無いよね」

 

「例えばなんですけど、今度行われる響カイトのライブタイトル。それは……“響カイト ライブツアー・空を駆けるメロディー”です!」

 

「おぉー!!」

 

「メロ〜!」

 

レジェンドアイドルである響カイトのライブタイトル。それは正にライブツアーで巡る各地を繋ぐ空を駆けるようにあちこちでレジェンドアイドルである響カイトの歌を響かせる……そんな願いが込められたように思えるタイトルであった。

 

「私達もこれに負けないタイトルを考えましょう!」

 

「「「「「(うん)(プリ)(メロ)(ああ)!」」」」」

 

こうして、自分達のライブを絶対に成功させるために頑張る姿を見た田中はまるで我が子を見るかのように感動の気持ちが込み上がってくる。

 

「皆さん、成長しましたね……」

 

「メロ?そう言えば、ライブ会場はどこメロ?」

 

「ああ、それは……」

 

レイが会場について話そうとすると先程までしみじみしていたはずの田中が突如としてそれに反応。レイを遮るようにして話し始めた。

 

「ッ!よくぞ聞いてくださいました!」

 

「田中さんも気合い入ってるなぁ……」

 

「ふふっ、ライブ会場は何と……パシフィコ横浜です!」

 

「ええっ!?パシフィコ横浜!?凄すぎますよこれは!

 

「マジか……そりゃあ言いたくてウズウズしちゃうよな」

 

影人とこころが思っていた以上の会場を言われたからか驚きと共に興奮したような声色で話す。ただ、うたはその会場の良さがわかってないのかキョトンとしていた。

 

「えっ、凄いって……どういう事?」

 

「ズコーッ!?」

 

影人はうたの言葉に思わずズッコケてしまう。そんな影人の代わりにこころが会場についての解説を始めた。

 

「パシフィコ横浜は何と……5000人規模の会場です!」

 

「ご、5000人!?」

 

「やっとこの凄さがわかったか」

 

流石に5000人の人数を観客として動員できるライブだと聞いたうたはようやく驚きの声を上げ、影人も彼女が凄さを理解してくれた……そう思っていたのだが……。

 

「5000人かぁ……。なるほど……って想像付かないや」

 

「おーい!?」

 

結局うたは5000人規模の会場でライブができるという意味がまだよくわかっておらず。影人はまた滑ってしまう。

 

「あはは……」

 

「プリルンもプリ……」

 

「メロ!」

 

「ダメだコイツら。蒼風さん以外はわかってなさそう……」

 

ななは自身や母親のピアノのコンクールである程度そう言った会場の規模には慣れているために理解するのも早かったが、うた、プリルン、メロロンの三人にはこの良さがわからなかったらしい。

 

「あのな。ライブ会場って一口に言ってもピンからキリまであるんだよ。例えば地下アイドルみたいな小規模会場だと100人とかその程度しか入らない。だけど、ドーム会場を使えるくらい有名なアーティストとかだと1万人以上の規模が入れる会場にしないと需要に供給が追いつかないからな」

 

「ええっ、1万人……。そう考えると小さいのかな……」

 

「いやいや。俺達が初ライブって事を考えたら凄い事だぞ?さっきも言ったけど、あくまでドームを使えるのはそれだけ客が集まる保証があるアーティストだけ。そして俺達はまだポッと出のひよっこだ。普通なら1000人も行かない所しか使えないんだよ。それがいきなり5000人規模の場所を使わせてもらえるんだ。この時点で凄いんだよ」

 

影人の解説にうた達は頷く。これだけで影人が伝えたい事が100%伝わったわけでは無いだろうが……要するに自分達は凄い事をやってのけているという事実は伝わっていた。

 

「会場も決まったし、ライブの準備をどんどん進めないとね!」

 

「「(うん)(はい)!」」

 

「そうだ、私……明日アイドル研究会でどんなライブが観たいか皆に聞いてみます!」

 

「プリ!プリルンも聞くプリ!」

 

「メロ!」

 

こうして翌週末に迫ったライブのために色々とやるべき事を済ませるべく、影人達は行動を開始する事になるのだった。

 

その日の夜、田中は出張所内で張り切った様子を見せつつパソコンと向き合っている。やってるのは勿論ライブに向けたネットでの宣伝活動だ。

 

「アイドルプリキュア公式ホームページを使ってチケット情報は公開済み。後は販売やら抽選の日程を今日中に即上げしましょう」

 

「「おお……」」

 

そんな田中の両隣にはカッティンとザックリンがおり、部屋の中に仕事上がりの姫野も入ってきた。

 

「ただいま戻りまし……うん?田中さん、そんなに張り切って何してるんですか」

 

姫野は今日の仕事が終わって疲れたような様子を見せつつ田中へと問いかける。それを受けて田中は先程正式に決定したアイドルプリキュアのライブについて説明をした。

 

「実はですね。この度アイドルプリキュアのライブをパシフィコ横浜でやる事になりました」

 

「へぇ……アイドルプリキュアのライブをパシフィコ横浜で……はい?」

 

姫野は最初疲れからボーッとしていたが、田中から言われたビッグニュースを聞いて我に帰ると慌てて詰め寄った。

 

「それ、本当ですか!?」

 

「え、えぇ……。今は公演に向けて色々と準備を……」

 

「是非手伝わさせてください!!」

 

姫野が先程までお疲れモードだったのにいきなり鼻息が荒くなる程に興奮。まさかの姫野の爆発力に隣にいたカッティンやザックリンは唖然としていた。

 

「ヒメーノ、どうしたッティン?」

 

「タナカーンの役に立てると思ってザックリやる気になってるリン」

 

「カッティン、ザックリン!あなた達にも働いてもらいますからね!!」

 

「「何でヒメーノが仕切る(ッティン)(のリン)!?」」

 

姫野は田中のために頑張れるというモチベーションでハイになっており、カッティンやザックリンはそんな彼女に思わず引いてしまっていた。

 

同時刻。丁度風呂上がりでゆっくりしていた東中はいきなりスマホの通知が鳴り響き、画面を見ると一瞬で目が覚めるかのような感覚と共に歓喜の声を上げる。

 

「んー。何……って、ええっ!?アイドルプリキュアが初単独ライブ!?やったぁあっ!」

 

そして、その気持ちは他のアイドルプリキュア研究会の会員も同じ。早速東中は会長であるこころに連絡しようとするが、それよりも早く彼女は研究会員全員に一斉通知で翌日に緊急で研究会を開く事を伝えた。

 

そんな訳で翌日の放課後に開かれたアイドルプリキュアの研究会。そこではいつの間にか作っていたくす玉を使用して単独ライブを祝う事になる。

 

「アイドルプリキュアの初単独ライブ開催、決定!!」

 

『イェーイ!』

 

そして研究会員達はその事実が嬉しい事を示すように拍手をすると会長のこころが場を仕切り、影人が黒板を使って意見を記す役割を担う事になった。勿論こころ自身もノートを片手にメモを取るのを忘れない。

 

「はい、という事で今日はアイドルプリキュアのどんなライブが観たいか。皆で語りたいと思います!」

 

そんなわけで会員達は早速アイドルプリキュアのライブを想像しながら理想となる演出について話し始めた。

 

「皆の意見が聞きたーい!」

 

「一緒に楽しく想像しましょう」

 

ぷりんとめろんも研究会員兼アイドルプリキュアの一員として他の会員達の意見は取り入れたかった。勿論自然さを出すために自分達の意見も言う事にはなるが……。

 

「私そういう想像大好き!やっぱり最初は六人揃ってドーンと登場して……盛り上がる曲で始まるの!」

 

「だよねー!」

 

やはりどういうライブでも出だしは重要というわけで最初は盛り上がるやり方が良いらしい。

 

「トークコーナーも欲しいよな」

 

「「うんうん」」

 

そして、次に希望として出たのはトークコーナー。影人もこの意見には納得だった。何しろ曲だけでライブ想定時間の2〜3時間やるのは厳し過ぎる。何より今のアイドルプリキュアの発表曲ではその2〜3時間保たせるのも大変だからだ。

 

アイドルプリキュア側としてもトークコーナーがあるだけでだいぶ負担が軽くなるだろう。

 

「アンコールは何度でも!」

 

「あ〜っ!どんなライブになるか想像するだけで……」

 

『楽し過ぎる〜!!』

 

アイドルプリキュア研究会にて単独ライブの中身がどうなるかの想像が捗っている中、カッティンやザックリンが店員として勤めているプリティストアの方ではそのカッティンとザックリンのコンビが拡声器を使いながら絶賛宣伝中である。

 

「ご通行中の皆さん!何と、アイドルプリキュアのライブが決定ですぞ!」

 

「お前達!アイドルプリキュアに会いにパシフィコ横浜に行きたいかー?」

 

『イェーイ!!』

 

ご丁寧にプリティストアでもアイドルプリキュアの初単独ライブ決定を発表する巨大ポスターが貼られており、街行く人々はそれを見て思わず足を止めて興奮したように声を上げる。

 

また、田中や姫野が前日に用意したネットでのCMや告知のメッセージにアイドルプリキュアの初単独ライブの情報は瞬く間に拡散。急なライブ開催決定とそのライブ日程だったはずなのにチケット購入を希望する人々が後を絶たず。

 

これにより世間の話題はアイドルプリキュアの初単独ライブによって染められていくのだった。




また次回もお楽しみに。
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