キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
それから日付が経過して週末の土曜日。今現在影人達は出張所のテーブルを囲むように着席しており、平日の間に集めたデータを元に朝からライブに向けた会議を始めていた。
「それでは、アイドルプリキュアのライブに向けた会議を始めようと思いまーす!」
「「「「「「イェーイ」」」」」」
会議のスタートはチームのリーダーであるうたが音頭を取り、そこからは進行役を監督のような立ち位置であるレイとバトンタッチ。彼が指揮を取る事になった。
「それじゃあまず最初に影人、こころ、プリルン、メロロン。例の物を出してくれ」
「言い回しがちょっと怪しい物を出してるみたいで気になるが……まぁ良い」
影人達がレイに言われる形で早速出したのは“㊙︎こんなライブが見たいまとめノート”と書いてある四冊のノート達であった。勿論四冊あるのは影人達四人がそれぞれで纏めたからである。
「おぉ……!」
「プリ〜!」
うたが早速ノートを開くとそこにはアイドルプリキュアのライブをやる上で観客達が求めている要素がびっしりと記されていた。
「プリルンやメロロンと一緒に研究会の皆の意見を纏めてきました」
「キラッキランラン〜!」
「プリ〜!」
「ちなみに俺の分の冊子はカッティンやザックリンと協力して街中の人々に調査をした物をメインで纏めている。流石に研究会だけだと意見が偏るからな」
何しろ5000人の観客が収容できるライブ会場でのライブである。研究会の意見だけだと参考意見が少な過ぎて大多数の人達が楽しめないというリスクも出てしまうからだ。
「まぁ、とは言ってもアイドルプリキュア研究会の人達の意見と街中の人達の意見でそこまで大きな解釈の差異があるわけじゃない。だからそれはあくまで参考程度にな」
「流石影人。やっぱりお前は仲間の取りこぼしをフォローするのが上手いよな」
レイが影人へと褒めの言葉を話していると今度はななの方から話があるようで、彼女が話し始める。
「私もライブについて色々調べてみたんだ。まずは曲順を決めてみない?」
「曲順プリ?」
「そう。まだ今はイメージするための物が少ないけど、曲順が決まっていればライブの全体の流れがわかるし……そうなったらもっとイメージが湧くと思うから」
「おおっ!」
「プリ〜!!」
ななが提案したのはどういうライブにするかのイメージ作りのため、曲の順番を決めるという物だった。そして、レイやこころも同じ事を思っていたのか頷く。
「ななの言う通り、先に曲順を決めるのも一つの手だな」
「はい!私もそう言ってくださるのを待ってました。でしたらもう今からセトリを決めちゃいましょう!」
「「「セトリ(プリ)(メロ)?」」
するとうた、プリルン、メロロンがセトリが何の事だかわからないのか首を傾げる。そのため早速こういう時の先生役であるこころが解説を始めた。
「セトリとは、セットリストの略。さっきも話していたライブで歌う曲の順番の事です」
「なるほど!」
「この順番次第でライブの雰囲気はだいぶ変わるからな。例えば咲良さんの“笑顔のユニゾン”とななの“まばたきの五線譜”、こころの“ココロレボリューション”。この三つを比較するだけでも曲の雰囲気がだいぶ違うだろ?だからこの順番決めって結構大事だったりするんだ」
レイもこころの解説に付け足す形でセトリの大切さについてを一同に共有。そのためうた達は尚更セトリ作成に意欲を持つ事になった。
「……という事で……ジャーン!」
するとこころはいつの間にか制作して持参していたマグネットを取り出す。それはアイドルプリキュアのメンバーそれぞれの顔と名前が入ったマグネットが6枚とアイドルプリキュアという全員が一緒に入っているマグネット1枚の計7枚である。
「このマグネットを使って、セトリの流れを決めていきましょう!」
「こころ、毎度の事ながらこういう時の用意早いな」
「ふふっ、当然です!」
「それじゃあ皆でセトリを決めるか」
「「「「「おーっ!」」」」」
こころは影人から褒められて鼻息が出る程に張り切っており、そんな彼女に促されて早速セトリ決めへと突入する。
「集めた意見も参考にするのメロ」
メロロンがそう言ったのを聞いてななが早速意見のノートを手に取って開く。それから幾つか意見を読み上げていった。
「えっと、“トークで裏話を聞きたい”、“ダンスレッスンがしたい”、“アイドルプリキュアからのファンサが欲しい!”……だって」
「プリ!プリルンのファンサコーナープリ!」
それからプリルンはまたリボンを付け替えると久々のファンサコーナーにてファンサを始める。
「君のハートにズキューンプリ!」
「ねえたま素敵メロ!」
プリルンのファンサにいつも通りハートを撃ち抜かれたメロロンが目をハートにしつつプリルンの虜になる。そんな様子を見てこころはプリルンの気持ちを汲む事にした。
「オッケー。ただし、キュアズキューンバージョンでね!」
「やったプリ!」
「あー。盛り上がってる所悪いんだが、もしかするとダンスレッスンはキツイかもしれない」
「「「「「「え?」」」」」」
レイは先程なながファンの意見として出してくれたダンスレッスンが厳しいと言い出す。それを聞いて一同は彼の方を向いた。
「ダンスレッスンが厳しいってどういう事?」
「うーん。やろうと思えば幾らでもできるんだろうけど、ダンスレッスンはどうしても時間管理が難しいって言えば良いのかな。その分歌える曲数が激減しちゃいそうなんだ。それに、さっき俺が伏せた諸事情の事を考えてもやらない方が良さそうな気がする」
「そっかぁ……残念」
「諸事情っていうのが一番気になって仕方ないが……それでセトリは作れるのか?」
影人はレイがダンスレッスンに対して反対した際に自分達へと伏せている諸事情というのがある状態でセトリを勝手に組んでしまうのは大丈夫なのかと不安になってしまう。
「セトリを作る分には大丈夫。曲を多めにするって話なら問題無いし。ただ、時間管理が難しい物やあまりに尺を取りそうな物は無い方が良いかも。まぁ、問題があったらその都度指摘するから安心してくれ」
レイは基本的にセトリの構成は影人達プリキュア本人達に任せる様子であり、何かしら作る上での問題が出そうならそこで指摘して軌道修正するというブレーキ役に徹するようだ。
「オッケー。じゃあ意見を出すけど、スタートはやっぱり六人全員で行きたいな!」
「それは俺も賛成。流石に最初は全員の顔や姿を見せた方が良いと思う」
「じゃあ最初は全員でですね!」
それから六人によるセトリ会議が始まると様々な意見が飛び交い、順番が決められていく。勿論問題がある所はレイがしっかりとブレーキを踏み、訂正案を出す。それを繰り返す形で約一時間。その頃にはある程度の構成が決まりつつあった。
流れとしては初っ端は五人全員で入り、そこから個人の曲が入ってから2〜3人で歌う全員が出ない複数人の曲。その合間合間に自己紹介やらトークコーナーやらが入る事になる。
「メロ……折角ならポエムも欲しかったのメロ」
「うーん。それなら、ポエムをやるならいつものすぐ終わるタイプを話の合間合間くらいに入れる程度なら良いよ」
「この前の動画撮影みたいに夜通し喋るタイプのポエムだと流石にこっちもコントロールが効かないからな」
影人とレイは流石に全くのゼロは可哀想だと感じたためにメロロンに制限付きでポエムを言うのを解禁。これなら前の動画撮影の時のような大事故は避けられるはずだ。
「段々纏まってきたね!」
「プリ!」
するとうたがふと何かが気になったのか、作成したセトリのある場所を指差す。
「あれ、そういえばプリルンとメロロンのキャラソンはどうやって歌うの?」
それはボーカルアルバムの方で収録されてあるアイドルプリキュアのマスコットキャラ(設定)のプリルンとメロロンの仲良し曲。“なかよしJ♡YFUL”についてである。
「そっか、ズキューンキッスのままこれを歌うわけにはいかないもんね」
「うん。でもかと言って二人を妖精の姿のまま人前に出すわけにはいかないよな」
もしズキューンキッスのままでこの曲を歌ってしまうとプリキュアとしての持ち歌である“Awakening Harmony”の時に見せているあの歌唱力とのギャップが凄い事になってしまう。
しかし、二人を妖精態のまま人前に出すのは色んな意味で大問題になりかねない。
「あー、それなら多分大丈夫だな」
「レイ、何か策があるのか?」
「ああ。ライブ会場を押さえる際に後々必要になると思ってこれを作ってもらったんだ」
すると今日は非番であるザックリンとサポートで来ていた姫野が何かの着ぐるみを持ってきていた。そして、それを着ると一同は感嘆の声を上げる。
「「「「「「おぉ……」」」」」」
それはプリルンとメロロンの姿を完璧に再現した大人の人間が着る用の着ぐるみだった。
「今は参考用って事で二人に着てもらってるけど、向こうでの変身の時は着ぐるみを着て動くのにある程度慣れている専門の人……スーツアクターさんを呼ぶつもりだ」
「なるほど、それで声の方はどうします?流石に着ぐるみを専門に着る人を使うのにプリルンとメロロンが中に入って声を出すとかはできませんよ?」
「それなら問題無い。二人には出番の前後だけ裏にあるアナウンス用のスペースを借りて歌の声やらを当ててもらう」
要するにこの曲の時だけプリメロには裏の方で歌を歌ってもらう形になるわけだ。観客に見せる方の動きはスーツアクターにどうにかしてもらう形である。そして、これなら着ぐるみの中にプリメロがも行く必要が無いために色々と事故をする可能性も下げられる。
「プリルンとメロロンもそれで良いな?」
「任せてプリ!」
「ねえたまが大丈夫ならメロロンも大丈夫メロ!」
こうして、セトリ作成会議も終盤に入りつつある。そんな時、部屋の扉が開くとそこに田中とそのサポート役として来ているであろう姫野が入ってきた。
「田中さんに姫野さん!」
「あれ、姫野さん確か今日はサウンドプロダクションでの仕事のはずじゃ……」
するとマネージャーである田中は兎も角として何故仕事のある姫野がここにいるのかがわからずに影人達は疑問符を浮かべる。
「実はですね。社長から辞令が降りて。アイドルプリキュアライブが終わるまでの間はこちらのサポートに回ってほしいと」
「そういう事でしたか」
「レイ、そうなのか?」
「ああ。うちの社長もそれだけアイドルプリキュアライブに期待してるって事だろ?ちゃっかり色々な支援と今回のライブの収益の一部を貰うって言ったし」
要するにいつも通り、有望な物に投資してその利益で得をする。彼の十八番パターンだ。
「何にしても田中さ……んんっ!アイドルプリキュアのサポートをさせてもらえるなんて光栄ですよ」
「今ちゃっかり田中さんって言いかけましたね」
影人は姫野がいつも通りの様子を見せたためにある意味安心すると改めて田中が少しだけ遅れた理由についての言及が入った。
「気を取り直して……田中さん。バイトお疲れ様です!」
「ありがとうございます。皆さんは何をされていたんですか?」
「今、皆でセトリを決めていた所なんです!」
田中はななからの報告で今の状況をある程度把握すると彼もまた早速マネージャーとして提案をする。
「そうですか。……では、セトリが決まり次第リハーサルを始めるとしましょう」
「「「「「「はい!」」」」」」
そして、それは勿論ライブに向けた練習である。ライブ本番まで時間もあまり無い。駆け足になってはしまうが練習は必要になるだろう。それこそ、はなみちタウンフェスに向けたトレーニングと同じである。
「ふふっ、トレーニングなら私に任せてください」
「姫野さんかぁ……」
「まぁ影人からしてみたらアレは結構トラウマになりそうだったもんな」
「お前もその片棒を担いでいたけどな?レイ」
影人の脳裏に浮かぶのはフェスのための地獄の特訓メニューだった。しかも影人は他の三人とは違って錘を装着してやっていたのだからそのヤバさがわかるだろう。
何にせよ、これからライブをやるのならその練習は必要不可欠。そのため影人達はセトリの作成が終わった後に今回決めたセトリ通りの順番で練習をする事になる。
それから話し合いが少しだけ続き、昼前くらいにセトリはほぼ完全な状態で決定。そして、暫定でのセトリの順番は以下の通りである。
1、キミとアイドルプリキュア♪Light_Up! Remix for You and Idol Precure♪
2、We are! You & IDOL PRECURE♪
3、エブリデイ♪UTA-OH!!
4、Wink!Link!
5、GR∞VE_L∞P
6、なかよしJ♡YFUL
7、Shining Soul story
MC①
8、笑顔のユニゾン♪
9、まばたきの五線譜
10、ココロレボリューション
11、魂の鎖を解き放て
12、Trio Dreams
13、Awakening Harmony
14、キミと繋ぐ閃光の光
MC②
15、♪HiBiKi_Au_Uta♪ Solo Arrange Ver
16、ひろがるスカイ!プリキュア〜HeroGirls〜 ReMix for Cure Wink&Cure Kyun-Kyun
17、わんだふるぷりきゅあ!evolution!! ReMix for Cure Zukyoon&Cure Kiss
18、大好きのキズナ ReMix for Cure Idol&Cure Soulbeat
19、♪HiBiKi_Au_Uta♪
MC③
20、キミとシンガリボン
21、キミとルララ
MC④
22、キミとアイドルプリキュア♪Light_Up!(アンコール版)
以上、22曲である。ちなみに7曲目の曲はボーカルアルバムに収録したソウルビートのキャラソンだ。
こうして、セトリが決定したために影人達は早速はなみちタウン出張所にある練習場を使って練習を開始するのだった。
また次回もお楽しみに。