キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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昼休みのアイドル研究会

昼休みのチャイムが鳴り、授業が終わるとうたは嬉しそうに立ち上がって両腕を上げる。

 

「やった、お弁当の時間だ!」

 

「じゃあ私達、研究会に行ってくるね。影人君、一応こころちゃんから連絡行ってると思うけど初めてだし教室の方に案内するよ」

 

「わかった。それじゃあ行ってくるわ」

 

影人は研究会の部員である東中と共に二人で移動を開始。そんな中、うたの元にいたプリルンは研究会が気になる様子でうたの影からコッソリと顔を出した。

 

「気になるプリ」

 

「じゃあ私達は外でご飯を食べよっか」

 

「うん!あ。レイ君もどう?」

 

「わかった。俺達も行くか」

 

うた、なな、レイの三人は昼食の弁当を食べるために校舎の外のベンチへと向かっていく。ただ、その際にプリルンがコッソリとうたの元からいなくなったのに三人共気が付かなかった。

 

「あ、そういえば東中さん。手に弁当も持ってるけど研究会の日のお昼の弁当ってどうしてるの?」

 

「ああ、それなら大丈夫。研究会の時に食べる時間もあるから。そうしないとお腹空いちゃうでしょ?」

 

「なるほど、アイドルプリキュアの事を中心にした雑談をしながら食べるって事ね」

 

影人は流石にお弁当の時間無しでは昼からの授業に支障が出るのでその辺りが不安だったが、彼女からの返事に納得する事になる。

 

そんな中、うたの元を離れたプリルンはと言うと二人を追いかけるように天井へと四つん這いで張り付いて移動していた。その姿はどこからどう見てもゴキブリのそれなのだが、そこにツッコミを入れるのは野暮という物だろう。

 

「そういえば、影人君嬉しそうだね」

 

「……そんな風に見えるか?」

 

「うん。普段よりも顔が緩んでるし、研究会……と言うよりもこころちゃんに会えるのが嬉しいんでしょ?」

 

東中はこころに会うという部分だけ影人のみに聞こえるように小声で話しかけると影人は顔が若干赤く染まって慌てる。

 

「なっ!?な、何でそうなるんだよ!」

 

「ふふっ。影人君もそういう顔するんだ。……最初会った時とは大違いだね」

 

影人は東中にも揶揄われて僅かにムッとした顔になる。だが、こころに会える。それだけでテンションが普段よりも上がっているのもまた事実だと影人は何となく察していた。彼女のことがそれだけ愛おしいと思っているのかもしれないと影人は考える事に。

 

同時刻。お弁当を食べる場所に辿り着いたうた達は自分の背中に張り付いて隠れているプリルンへとご飯を食べるよと呼びかける。

 

「プリルン!お弁当だよ!」

 

しかし、プリルンはここにはいないために何も返事は無い。そのためにうたとななの二人は疑問符を浮かべた。

 

「……あれ?」

 

「いないの?」

 

「どこ行っちゃったんだろ?」

 

「……多分影人に着いて行ったんじゃねーの?」

 

「えっ!?って事は研究会に?」

 

うたはプリルンが勝手な行動をした事に慌てるものの、レイは影人ならある程度はフォローしてくれると判断して特に気にする必要は無いと言い、そのまま三人で弁当を食べる事になるのだった。

 

その数分後、影人と東中の二人は研究会のポスターがある教室へと辿り着くとその扉を開けた。

 

「こんにちは。影人君、連れて来たよ」

 

「失礼します」

 

「カゲせんぱ……っと、今はダメでした。影人先輩。ようこそ、アイドル研究会へ」

 

そこには先に来ていたこころが嬉しそうな顔つきで出迎える。更に教室の中には他のクラスの生徒で男子が四名、女子が三名いた。それから早速影人は自己紹介をする事に。

 

「黒霧影人です。東中さんと同じクラスで会長のこころさんに誘われて研究会に入ろうと決断しました。よろしくお願いします」

 

影人の自己紹介に全員は拍手で受け入れると早速活動スタートとなる。まずは教室にある机をコの字状態に合わせておき、会長であるこころの座る席のみがコの字の空いている場所になるような配置として座った。

 

「それでは、全員が揃いましたので第十二回のキュアアイドル&キュアウインク研究会を始めます」

 

こころが司会をする形で研究会が始まるとプリルンはコッソリと教室の後ろにあるロッカーに入っており、ロッカーの上側にある隙間から顔を覗かせている。

 

ちなみに教室内部には影人の背中に貼り付いて入った形だ。普段なら影人もそれをされた瞬間に気づくが、今回はこころと会える影響で気が抜けたために気が付かなかったのだ。

 

「何が始まるプリ〜?」

 

するとこころは早速巾着袋を取り出すとその中からキュアアイドル、キュアウインクの缶バッチを出した。

 

「私は今日、影人先輩の初参加に合わせて缶バッチを作って来ました。好きなのをどうぞ!」

 

それを聞いて部員達は大喜び。影人はその光景に目を見開いていた。こころが推しのアイドルを推すためにグッズを自前で作っているというのは知っていたものの、まさか缶バッチまで再現するとは思っていなかったのである。

 

「……凄っ。え?これこころ……いや、会長が作ったのかよ」

 

「先輩もどうぞ。あと先輩は私の事呼び捨てのままにして呼んでも良いんですよ?」

 

こころは一人棒立ちになっていた影人の元にアイドル、ウインクの缶バッチを差し出す。

 

「いや、会長も俺の呼び方をちゃんとしっかりした物に変えてたし……俺だけ呼び捨てのままだなんて罪悪感とかも出る。だからちゃんとした呼び方にさせてくれ」

 

影人にそう言われてこころも納得したのか、影人へと缶バッチを手渡した所で一旦約十五分間の昼食兼雑談タイムとなる。その間、ロッカーの中のプリルンは缶バッジをとても欲しそうにしていたが。

 

「あわわわわ……欲しいプリ〜」

 

「そういえば、影人君はキュアアイドルとキュアウインクって見た事ある?」

 

「本人をって事?いや、まだ一度も見た事無いな」

 

影人はご飯タイムに話を振られると自分が関与しているとは言えないので嘘を吐く。正直、あまり誤魔化したく無いが今はこのメンバーの誰一人として秘密をバラすわけにはいかないのでどうにか乗り切るしか無い状況だ。

 

「そうなんだね」

 

「そういえば東中さんはキュアアイドルとなら会った事があるって言ったよね?」

 

「うん。新学期始まってすぐの事なんだけどさ、学校からの帰り道にちょっと気を失っちゃって。次に目を覚ましたら時間は経ってたけど私の目の前にキュアアイドルがいたんだ〜!」

 

それを聞いて影人は記憶を辿ると確かに新学期が始まってからすぐに彼女はチョッキリ団の影響でマックランダー化し、キュアアイドルに助けられてその後目の前でファンサービスも受けたのだと思い出す。

 

「(思えば、あの時のキュアアイドル……咲良さんは戦う覚悟が決まってなかったせいで色々大変だったんだよなぁ……)」

 

影人が内心思考する中、昼食時間は過ぎて全員が時間内に食べ終わるとこころは早速研究会のメインイベントをする事にした。

 

「では皆さん。いつものやりますよ」

 

「……いつもの?」

 

影人が首を傾げる中、部員達の手で教室の窓に付いているカーテンが閉められ、戸締りも確認されると部屋の電気が消される。それと同時に予め垂らしておいたスクリーンとプロジェクターを使って映像が映された。

 

『クライマックスは私!盛り上がって行くよー!』

 

それはネットに挙げられていたキュアアイドルのライブ映像動画であった。すると部員達は早速準備されていたペンライトを取り出すとピンク色に光らせる。

 

「マジか。これもやるのかよ……」

 

「ほら、影人君もコーレス行くよ」

 

「お、おう」

 

影人は困惑しつつも東中に促される形でライブ曲のコーレスに参加する事になる。

 

『キミのハートにとびっきり♪元気をあげるね♪ゼッタイ!』

 

「「「「「「ゼッタイ!」」」」」」

 

『アイドル!』

 

「「「「「「アイドル!」」」」」」

 

『ドキドキが止まらない!急接近♪笑顔のユニゾン、応えてほしいな〜サンキュー♪最高のステージで〜キミと歌を咲かそう♪』

 

部員達はアイドルの歌のコーレスに合わせる形で声を上げ、こころは後ろで脚を使ってリズムを刻む。影人もコーレスの方は僅かに恥ずかしがりながらやる事に。それでも、影人の気持ちはとても晴れていた。元々はこういう行為に興味が無かったものの、実際やってみたらこんな楽しい物なのかと。

 

「プリ〜!!」

 

尚、プリルンも小声だが掃除ロッカーの中で楽しそうにペンライトを振っていた。

 

それからキュアウインクのライブ映像も視聴し終えるとまた教室の電気とカーテンを戻して全体での話になる。

 

「やっぱり私、心キュンキュンしてます!」

 

「うんうん」

 

「突き止めたい……。キュアアイドルとキュアウインクを見てるとどうしてこんなに心キュンキュンしてしまうのか……!」

 

こころの気持ちはアイドルプリキュアにぞっこんと言った所だった。影人はそんな彼女を見てやはり気持ちが高鳴るのを感じる。

 

「(こころ……。俺の気持ちもメラメラしてる。でも、ダメだ……。この気持ちは殺さなきゃ……。こころの事は諦めろ。そうしないと、そうしないと……)」

 

影人は頑張って自分の気持ちを殺そうと必死だった。自分はこころの側にずっといたらいつか彼女の夢を壊してしまう。それだけは絶対に避けなければならない。こころがもし自分を好きになったとしてもその気持ちを受けられないと、そう無理矢理思い込む事で辛うじて自分の心に蓋をしていた。

 

すると昼休み終了の予鈴が鳴り響く。そのため、今日の研究会はこれにて終了という事になる。

 

「では、また次回の研究会の日時はグループラインで連絡しますね。影人先輩も誘っておきます」

 

それから一同は解散して教室に戻って行く中、東中はコッソリとこころへと話しかけた。

 

「こころちゃん、影人君が一緒にいる機会が増えて良かったね」

 

「あはは……そうですね。私、影人先輩みたいなキラキラした存在になりたいんです」

 

「そっか。アイドルプリキュアが好きで憧れているのもそういう理由?」

 

「はい。アイドルプリキュアみたいなキラキラした存在になれたらきっと先輩の隣に並べると思うんです。だから……私、もっと頑張ります」

 

「ふふっ。こころちゃんの気持ちが実るように私達部員の皆で応援するね」

 

そんな風なやり取りがこころと東中の間で済むと二人は別れて戻って行く。そして、東中は影人の元に来た。

 

「影人君、今日はどうだった?」

 

「……正直、アイドル研究会ってどんな活動をするかわからなくて不安な所があったけど……その、楽しかった」

 

「そっか。じゃあそれはこころちゃんのおかげだね」

 

「え?」

 

東中にそう言われて影人は僅かに立ち止まって動揺する。それと同時にやはりこころともっと長い時間一緒にいたいという気持ちが湧き出してきた。だが、慌てて首を振ってその気持ちに必死に蓋をする。

 

「ダメだ……苦しい。我慢なんてしたくない……。できる事なら、こころともっといたい……」

 

影人はプリキュアの秘密をこころに伝えるのが怖かった。それを言ってしまえばこころの中にある水晶のような輝きは簡単に壊されてしまう。でも、言わなければ自分はこころの隣にずっといられない。

 

プリキュアの秘密は自分の近くにこころを置いておけばいずれ何かしらの形でバレてしまう。こころと付き合うつもりならアイドルプリキュアの事はいつかちゃんと向き合って話さないといけない。でも、それは今では無いと影人は思っている。

 

「……せめて、せめてアイドルプリキュアが普通のアイドルだったら……こんな辛い気持ちにはならないんだろうな」

 

影人はアイドルプリキュアが普通のアイドルとは違うという事実にまた今日も一人悩む。まだまだ彼の覚悟が決まるのは先になりそうだった。

 

「プリ〜?影人は何でそんなに悩んでるプリ〜?」

 

「……は?」

 

その瞬間、影人は何かの違和感を感じて肩を見るとそこには堂々と自分の肩に乗っかっているプリルンを見つけたのだ。その後、影人は思わず叫びそうな事になったのを我慢したのは言うまでもない。

 

〜おまけ〜

 

教室に戻った影人と東中は同じく校舎外から戻って来たうた達と会うとプリルンはお腹を空かせたようだった。

 

「お腹空いたプリ〜。うた、プリルンの分のお弁当が欲しいプリ!」

 

「え、えっとね……その……」

 

「プリルン、昼休みに勝手に別行動したからプリルンの分のお弁当もうっかり食べちゃったんだってさ」

 

「……プリ?」

 

その瞬間、プリルンの顔が固まると自分の分の弁当はもう残ってないという事実を何とか受け止めようとする。

 

「え?もしかしてもうプリルンの分のお弁当無いプリ?」

 

「ごめん……」

 

「私も自分の分しか無かったから……」

 

「……プ〜リィイイイイ!!!?」

 

プリルンは思わず教室内にも関わらず情けない声で叫んでしまった。そのため、慌てて四人は周りへの誤魔化しとプリルンへの宥めをやる事になったのである。

 

「こうなるぐらいなら俺の分少し残しておけば良かった……」

 

「あはは、まぁ、俺はうたさんが食べちゃった時点でこうなるかなとは思ったな」

 

「それを予知していたのなら対策立てておけよ!?」

 

尚、レイはこうなると予想していた上でプリルンの分の用意にまでは気が回らなかったらしい。肝心な所で役に立たないと影人はレイへと呆れの目を向けるのであった。




また次回もお楽しみに。
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