キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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ライブのイメージ作りのための見学会

アイドルプリキュアのライブにおけるセトリが決定し、影人達はプリキュアへと変身して早速練習に突入していた。そして今はキミとシンガリボンの所である。

 

「ラストポーズ、ビシッと決めるよ。せーのっ!」

 

ズキューンの掛け声と共に六人はキラッキランリボンバトンを構えつつ決めポーズを決める。

 

「わぁ………」

 

「おぉ、しっりと決まったな」

 

そして、それを観客視点で見ていたレイはビシッと揃ったタイミングで決められたポーズにタイミングを見て嬉しそうにする。

 

「皆さん、キレッキレで良い感じでした」

 

「このペースなら本番までに上手く纏まりそうですよね」

 

また、レイだけで無く田中や姫野もこのパフォーマンスには満足げであり拍手を送っていた。

 

「それじゃあ、今日はここまでかな。お疲れ様でした」

 

『お疲れ様でした!』

 

レイは時計を確認すると夕日が指している所からもわかるように既に時刻は夕方であり、今日の練習もこれにて終了と言った所だった。

 

「ふぁああ……こんなにいっぱい歌って踊ったの初めてかも……」

 

すると緊張の糸が切れたのか……早速アイドルはその場に仰向けに寝転がると疲れたかのような声を上げた。

 

「5000人のお客さんにい〜っぱい楽しんでもらえると思ったら幾らでも体が動いちゃいます!」

 

「キュンキュン、元気有り余ってるなぁ……」.

 

「それにしても5000人のライブ会場か……」

 

やはり六人の中で一番ダンスが踊り慣れているだろうキュンキュンはまだまだ元気な様子であり、その場でステップを踏んでいた。するとアイドルは天井を見上げたままライブ会場の様子を思い浮かべるものの、その様子が上手く浮かんで来ず……。

 

「……やっぱり想像つかないや。ライブタイトルだってまだ全然思いつかないし……」

 

「あっ、そうだ!」

 

アイドルがライブタイトルも含めて上手くイメージが出来ずにいるとそこにズキューンが何かを思いついたのか話しかける。

 

「それだったらさ、行ってみようよ!パシフィコ横浜!」

 

「えっ?」

 

「お姉様の言う通り、考えてもわからないなら実際に会場に行ってみれば良いの」

 

ズキューンが思いついたのは想像できないのなら実際に行けば良いという事でライブ会場を直接訪問するという物だった。そして、それができるのならイメージも湧きやすい。

 

「確かに、ナイスアイデアだね!」

 

「わぁ、そっか!」

 

「ズキューンにしては良い案だけど、いきなり行っても大丈夫なのか?向こうの邪魔になったりしない?」

 

「まぁ、その辺りは見学を希望するタイミングにもよるけど……」

 

ソウルビートは会場側にだって予定があるはずなのに勝手にそういう事を決めて良いのかが少し不安な様子だった。それからレイがパシフィコ横浜での予定を見ると笑みを浮かべる。

 

「明日は特にイベントとか無さそうだし、本番前の他のアーティストとバッティングする事は無さそうだな。流石に明後日の祝日はヤバそうだけど」

 

「それなら向こう次第だけど行けそうか」

 

「きっと良いライブタイトルが思いつきますよ!」

 

「見学でしたら私達にお任せを」

 

一応こういう見学に関しては正式な申し入れが必要であるためにここは田中達裏方組の手腕の見せ所であった。

 

「今会場の方に問い合わせますので少々お待ちください」

 

それから田中が会場の方へと確認をするために電話をしに移動。ソウルビート達はまずは練習の疲れを回復させるべきという事で柔軟をしつつ休んでいた。

 

「それにしても一週間後にはもうライブか……。本当に唐突に決まったライブイベントだよな」

 

「あはは……普通ならもっと期間があるよね」

 

ソウルビートは遠くを見るような目で天井を見上げつつ呟くとウインクが苦笑い。

 

「でも、ライブに関しては前々からやりたいって言うと思ってたからな。どこかしらのタイミングで提案するつもりだったぞ」

 

「だけどまさか会場確保日の二週間前くらいに唐突にわかるなんて誰が予想できると思うんだよ。もう少し早く教えてくれ」

 

その話に合わせてきたレイに対してソウルビートが僅かに睨むような目線を向ける。実際の所、もっと早く教えられるのなら教えて欲しかった所だろう。

 

「悪い悪い。できれば本人達がやりたいって言った時に明かしたかったんだ。まぁ、俺も思ったよりお前らが言い出さなかったから内心ちょっと焦ってたのはそうだけど」

 

「おいおい……」

 

ソウルビートは呆れ果てたような顔つきになるとまた天井を見上げる。するとそのタイミングで話が終わったのか田中が戻ってきた。

 

「交渉が完了しました。明日なら大丈夫だそうです」

 

「早っ!?」

 

ソウルビートはまさかのアポ取りの速さに唖然としてしまう。何にせよこれで心置きなくパシフィコ横浜を訪れる事ができそうだった。

 

そして、一夜が明けて翌日。影人達は早速パシフィコ横浜にやって来ていた。メンバーは裏方仕事を引き受けた姫野を除いた面々である。

 

「わぁ……」

 

「これがパシフィコ横浜かぁ!!」

 

「写真で見るよりもずっと迫力がありますね!」

 

現地に着くと早速うた、こころ、ぷりん辺りはその会場の大きさに大興奮である。

 

「頼むから粗相だけは起こすなよ……特に咲良さんとプリルン」

 

「ええっ!?」

 

「私も!?」

 

それから影人達は会場内部へと入ると自分達が立つステージの上に移動。勿論中に入る際、田中以外の7人はサウンドプロダクションのマネージャー見習いとして通している。普段ならアイドルプリキュアのマネージャー見習いとしているが、流石にアイドルプリキュアのためだけに7人もマネージャー見習いとして行くのは可笑しいと思われるからだ。

 

また、アイドルプリキュアはサウンドプロダクションに名目上所属している形を取っているためにサウンドプロダクションにしたとしても問題は無いのである。

 

「うわぁ……」

 

「ステージ上を走るなよ。転んでその辺の養生テープとか剥がれたら怒られるからな?」

 

早速ステージの上を走ってその広さを見たうたを指摘する影人。何しろ翌日に別のアーティストのライブが控えているため、もし足元に貼られている養生テープを剥がすなんて事になってほしく無いのだ。

 

「レイ、このテープって何か意味があるの?」

 

「ああ。これはステージ上に小道具とか舞台装置とかを置く時。後は出演者がどの辺に立つとかをマーキングしてあるんだ。だから何かの拍子で剥がれると貼り直さないといけない。影人が心配してるのはそういう所だ」

 

めろんの疑問点にレイが答えるとめろんの隣にいるぷりんはそんな事よりもと言わんばかりに声を上げる。

 

「ねぇねぇ、それよりも見て見て!ここから客席が凄くよく見えるよ!」

 

「はい!ここに5000人のお客さんが座るって考えただけで心キュンキュンします!」

 

「……ああ。正直俺も生で見てやっとイメージと現実が重なったって感じ」

 

「あ、もしかしてカゲ先輩。何だかんだ言いながらもこのステージに立てて興奮してます?」

 

「そりゃあ、するに決まってるだろ」

 

影人はそう言ってこころの頭を優しく撫でつつ自分の気持ちの昂りを感じていた。

 

「そういえば、うたちゃん。さっきからソワソワしてない?」

 

「へ?」

 

するとななの指摘で一同の目線がうたの方を向くと既に彼女は何かとウズウズしており、もう限界と言わんばかりに息を吸っていた。

 

「うう、こうして見ると……すぅ……」

 

「ちょっ、咲良さんまさか……」

 

「こんなに広いのーッ!!?」

 

うたはステージの上に立てた興奮で気持ちが高まってしまったのか……。その場で思い切り叫んでしまう。そのため、翌日のライブに備えて準備をしていたスタッフ達は驚いたような顔を見せた。

 

「いっ!?あっ、ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

影人達はうたがいきなり大声を出してスタッフ達を驚かせた事について急いでその場で謝罪。

 

結局、パシフィコ横浜の見学会が全て終わった後のタイミングで影人はうたへといきなり叫んだ事に対する説教をする事になるのだった。

 

 

それから約一週間程時間が経ち、本番であるライブ当日まで残り二日となった。この一週間の間、ライブに出るための練習を欠かさずやってきた影人達。しかし、未だに感じるのライブのタイトルが決まっていなかった。

 

黒霧家では影人が自室のベッドの上に寝転んだ状態でライブの事について考える。

 

「ふぅ……。今日まで色々頑張ったけど……とうとう明後日には本番か」

 

ちなみに翌日には本番に向けた会場でのリハーサルが控えていた。ただ、このタイミングになってもレイは隠している事を教えてくれず。影人の中では大きな懸念点として残っていた。

 

「レイの野郎、結局二日前になっても教えてくれないとか……アイツこういう時とことん秘密主義者だよな」

 

恐らく、レイの事だから余程サプライズで伝えたい事なのであると影人は予想。ひとまずは変に考え過ぎない方が気持ち的にも楽だという結論に落ち着くと深呼吸をする。

 

「……ヤバいな。こんな二日前から昂ってたら本番まで保たない」

 

「お兄ちゃん、今良いかな?」

 

そんな時、夢乃が部屋の戸をノックした。そのため、影人は特に入られても問題無いために了承する。

 

「ああ、良いぞ」

 

「じゃあ入るね〜」

 

夢乃が部屋に入ってくると影人の様子を見て少しだけ口角が上がった。どうやら兄がライブに対する緊張と興奮の二つの感情に悩まされていると一瞬でわかったらしい。

 

「あー、お兄ちゃんもしかしてライブの事で頭いっぱいだった?」

 

「当たり前だろ……。折角5000人の前でライブをやれるんだ。昔の俺だったら考えられない事だったなぁ……」

 

夢乃はそんな風に呟く影人を見て微笑ましい気持ちになった。あれだけ自分に自信が無くて、他人の事ばかり心配していた影人が自分の出るライブの話をこんなにも楽しそうにしているのだから。

 

「あ、そうそう。ライブの日だけど、お父さんお母さんは無理そうだった……。やっぱり仕事が忙しいんだって」

 

「そっか……」

 

「だけど、レイ先輩が関係者席だっけ……それに招待してくれるんだって」

 

「あー……」

 

影人はそれを聞いて何となく夢乃が招待された理由には納得が行った。彼女だけはプリキュアの変身者の家族の中で唯一プリキュアの正体が身内にいると知っている。他の家族達だと何故プリキュアとは何の関係も無い自分達がそこに呼ばれるのかわからなかっただろう。

 

「良かったじゃん。特等席だぞ?多分そこ」

 

「うん。一応そこにはレイ先輩、姫野さん、カッティンさんにザックリンさん……あ、あと桜庭花さん……?だっけ。そんな人が呼ばれるんだって」

 

「花さん……ああ、元バッサリーナさんか」

 

どうやら今回のライブの開催には彼女も一枚噛んでいるらしい。バッサリーナとして活動していた頃から彼女はアイドルプリキュアのライブに関してプロデュースをやりたいと理想を語っていた。そのため実家を説得して会社としてライブを支援する方向に持って行ってたとしても何もおかしく無いだろう。

 

「そういえば、ライブタイトルはまだ決まってないの?」

 

「まぁな。この分だと当日発表になりそう。明日仮に思いついて告知しても今更が過ぎるし……」

 

そう考えつつ影人はライブタイトルについて悩みまくっているうたの事を浮かべる事になる。一方その頃、咲良家では影人が予想した通りにうたがライブタイトルを頭を悩ませながら考えていた。

 

「うーん……あんな大きな会場でやるライブのタイトルだから……大きいビッグビッグコンサート?うーん……ウルトラデカいライブ?うーん……」

 

今現在、咲良家のリビングにてうたがはもりと共にテレビを観ている所である。しかし、今のうたはテレビを観る所では無く……手にしたプリルンのトイカメラを凝視していた。そこにあるのはステージから撮ったパシフィコ横浜の客席である。

 

すると、うたが中々決まらないライブタイトルに苦戦し続けたせいか、一般人であるはもりの隣なのに一人でブツブツと纏まらない考えを呟くという状況が完成してしまう。

 

ちなみにうたとはもりが隣り合わせで腰掛けるソファーと彼女達が観ているテレビの間に小さなテーブルがあり、そこにプリルンとメロロンが人形として座っている。

 

「うぁああっ!?何か余計にわからなくなってきちゃったぁあっ!?」

 

「お姉ちゃん、大丈夫?ここ最近いつも以上に辺な事ばかり言ってるよ?」

 

はもりもこうやって悩み続けているうたを見ているとそろそろ心配になってきていた。ただ、うたはこの件についてはもりから問われても誤魔化す事しかできなかったが。

 

「はもり、そろそろ寝なさい」

 

「はーい」

 

そのタイミングでうたの母親である音がはもりにそろそろ寝るように宣告される。そのため、はもりも仕方ないと考えつつ素直に部屋へと戻っていくのだった。

 

「お姉ちゃんお休み!」

 

「えっ?ああ、うん!お休み……」

 

はもりが部屋に戻り、音もいなくなった事を確認してプリルンとメロロンは人形のフリを止めるとホッとしたように動き始める。

 

「プリ……」

 

「メロ……」

 

「ふぅ……何とか落ち着けた。っと……私達も部屋に戻ろっか」

 

「プリ!」

 

「メロ!」

 

うた達は丁度キリが良いというのもあって自室へと戻ろうとする。するとそのタイミングで目の前のテレビでやっていた番組のコーナーが切り替わった。

 

「えっと、リモコンリモコン……」

 

『えー、続いては……響カイトさんの特集です』

 

「メロ?」

 

すると、うたがリモコンを手にしたタイミングでニュースの方に視線を向けていたメロロンが響カイトという単語に反応。うたに声をかける。

 

『はい!開催が迫る響カイトライブツアー。空を駆けるメロディーについて。レジェンドアイドル・響カイトさんご本人に直接インタビュー。たっぷりお話しいただきました』

 

「響カイトメロ」

 

「プリ〜」

 

「うえ!?」

 

うたはまさかここで響カイトの特集がやると思っておらず。そのため思わずテレビの画面に釘付けになってしまうのだった。




また次回もお楽しみに。
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