キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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どうにも決められないライブタイトル

パシフィコ横浜の見学を終え、とうとうライブ本番を明後日に控えた影人達。この段階でもライブタイトルを決め切れていなかった彼等はその案を出すのに苦労していた。そんな中でうたが自宅のテレビで夜の番組としてやっていた響カイト特集を発見するとそれに注目する事になる。

 

「カイトさんの話……」

 

その場にいたうた、プリルン、メロロンを観る中で早速カイトに直接インタビューをした映像が映される。その最初の質問は“響カイトにとってのライブとは?”だった。

 

『俺にとってのライブ……?うーん……。やっぱりライブは特別な空間……ですね』

 

カイトが言うにはライブというのは特別な空間ができる物だという事で話し始める。

 

『同じ時間、場所。一つの空間にその時限りの人が集まる。その人達に直接気持ちを届けられるし、お客さんの気持ちも感じられる。……そんなかけがえのない空間……ですね!』

 

ライブが開催される時間帯、一つの大きな場所にその日限定の人達が集まる。確かにライブというのは毎回全く同じ人が集まるわけでは無い。そんな事は絶対に起こり得ない事だ。だからこそ一回一回を特別に感じる事ができる。カイトの言いたい特別な空間というのはそういう事だろう。

 

「ッ……かけがえのない空間……」

 

「プリ?」

 

「メロ?」

 

うたはカイトからの話を聞いて思わずそう呟く。やはりカイトの言葉は毎回のようにうたの心に何かの変化を与えるらしい。

 

それから三人はカイトの特集を全て観た所で自身の部屋に戻ると改めてライブタイトルを考える事になった。

 

「かけがえのない空間かぁ……。良い事言うなぁ」

 

「流石カイトプリ!」

 

「メロ!」

 

ただ、うたはベッドの上で横になると枕を抱いた状態で憂鬱になってしまう。そして、同時にうたは先程のテレビでのカイトの発言からここでもカイトとのアイドルとしての差を感じずにはいられなかった。

 

「はぁ……。タイトルどうしよ……。もうこうなったら影人君かレイ君に丸投げした方がマシなのかな」

 

うたは正直な所、自分一人で考える事に限界を感じつつあった。一応最初は全員で考えていたものの、その場では思い付かず。それから話し合いの結果、それぞれで考えてみてその中で良い案があったら採用という決定がされていた。

 

しかし、このまま自分だけで考えていても仕方ないと思いつつあるのか……。自分よりも発想力がある影人やレイの方が最適な答えを出してくれるのではないのかと考えていた。

 

「でも、今更影人君達だけにお願いするのも申し訳ないし……あの広い空間、かけがえのない時間……。うーん……」

 

「プリ〜!思いついたプリ!」

 

それでもどうにかうたは一人で案を考えようと思考しているとプリルンが突如として何かを思いついたのか声を上げる。

 

「えっ、それってどんな?」

 

「その名も、“アイドルプリキュア・キミにでっかい魔法かけちゃうプリ!”」

 

「………」

 

それを聞いてうたは一瞬だけ固まってしまう。確かに会場をキラキラにするという意味では魔法をかけるという言葉を使うのはダメでは無い。ダメでは無いのだが……もっとマシな使い方は無かったのだろうか?

 

何ならタイトルに“プリ”が付いてしまうのも良くないだろう。ただ、プリルン大好きなメロロンは当然これを肯定するわけで。

 

「どうプリ?」

 

「ねえたま素敵メロ」

 

「うたは……」

 

メロロンからの賛同を得られたという事でプリルンはうたにも意見を聞こうとするが、当のうたは未だに浮かばない案に悩み過ぎて唸り声に近い声を上げてしまっていた。

 

「ううううう……」

 

「プリィ!?どうしたプリ!?」

 

「きっとタイトルの事を考え過ぎちゃってるのメロ」

 

うたが考え過ぎのせいで体がガチガチになってしまっており、そしてその状態でまともな意見が出せるはずも無く……。

 

「うあぁあああうううううっ……」

 

「うた、大丈夫プリ!」

 

うたが考え過ぎて頭の容量がオーバーしかけているのか、唸り声がどんどんヤバい方向で大きくなってしまっているとそんな彼女へとプリルンが改めて話しかける。

 

「プリルン?」

 

「うたにはプリルン達がついてるプリ!」

 

「ねえたまの言う通りメロ。皆で考えればきっと良いタイトルが思いつくのメロ」

 

プリルンとメロロンはライブタイトルがどうしても浮かばないうたを気遣うように彼女を元気づけようとする。そして、うたも二人のその気持ちが嬉しかった。

 

「プリルン……メロロン!」

 

「プリ!皆でキラッキランランなライブにするプリ!」

 

「キラッキランランなライブ……!」

 

するとプリルンはうたのメンバーカラーであるピンクのキラキライトを手にして興奮したようにそれを振りながら話す。

 

「プリ!うたのキラッキランランが届いたら、会場はキラッキランランでいっぱいになるプリ!」

 

「キラッキランランでいっぱい……」

 

それからうたは脳内にパシフィコ横浜の会場内で5000人の観客達がキラキライトを振る事で色とりどりのキラキラが会場内を埋め尽くす様を思い浮かべる。そしてステージには六人のアイドルプリキュアが並び、そのセンターにいるのが自分自身ことキュアアイドルだ。

 

「ふわぁああ……」

 

そして、それによってうたは先程までのような考え過ぎな状況から脱する事に成功。同時に早くライブをやりたいという気持ちが湧き上がってくる。

 

「私、早くライブをしたくなってきた!ありがとう。プリルン、メロロン!」

 

「プリ!」

 

うたがそうやって自分を元気付けてくれたプリメロにお礼を言うとメロロンの方は“やれやれ”と言わんばかりの顔つきになる。

 

「まったく、世話が焼けるのメロ。影人も言ってたけど、今日は早く寝て明日のリハーサルに備える……メロ?」

 

メロロンは母親のような雰囲気でうたの事を手のかかる娘を見るような雰囲気で話していると彼女は何かに気がつく。

 

そこには先程まであんなに興奮したように喋ったり動いていたうたとプリルンがいつの間にやらベッドの上でスヤスヤと寝てしまっていた。そのためメロロンは一瞬だけ唖然とすると思わず叫んでしまう事になる。

 

「スヤァ……」

 

「プリィ……」

 

「スヤァ……」

 

「プリィ……」

 

「って、もう寝てるメロォオッ!!?」

 

本当にこういう時の切り替えが早いと言うべきか……。それとも根本的な問題で睡魔には逆らえない人達なのか……。完全に電気を付けたまま熟睡してしまった二人に対し、メロロンは今更起こすのも面倒と感じて電気を消して二人の隣に寝転がると一緒に寝る事になる。

 

それから翌日の朝。パシフィコ横浜の会場付近に影人達はやってきていた。目的は勿論先程も言及があったライブ前にやるリハーサルのためである。

 

「いよいよリハーサルだね……」

 

「うぅ、緊張してきました」

 

「いや、まだこれリハーサルだからな?」

 

リハーサルの段階で緊張なんてしていたら本番では身が保たないだろう。すると時間を見ていたレイが声を上げる。

 

「皆、そろそろ変身して現場入りだ。頼むぞ」

 

「オッケー。それじゃあ皆行くよー!!」

 

こうして六人はライブに向けたリハーサルをやるために会場入り……するのだが、その前にプリキュアへと変身をする。

 

こうしないとアイドルプリキュアがいつ現場入りしたか会場側の人達が把握できないからだ。

 

「「「「「「プリキュア!ライトアップ!」」」」」」

 

「「「キラキラ!ドレスチェンジ!」」」

 

「「キラキラ!ショータイム!」」

 

「キラキラ!ソウルリンク!」

 

「「「「「「YEAH♪」」」」」」

 

「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」

 

「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」

 

「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」

 

「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」

 

「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」

 

「キミと輝く、ハートの鼓動!繋がる魂、キュアソウルビート!」

 

「「「「「「We are!キミとアイドルプリキュア♪!」」」」」」

 

こうして、アイドルプリキュアの六人が名乗りまでやった上で変身を完了。マネージャーである田中の先導で早速パシフィコ横浜の館内に現場入りした。

 

現場入りした一同はそのままホールの会場へ行くのだが……その前に改めてレイや田中からの説明が入る。

 

「皆さん、いよいよライブは明日。改めてですが、今日は最終リハーサルです」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

「会場内でわからない事があったらスタッフさんがサポートしてくれるから遠慮なく確認してくれ」

 

「レイ達はどうするんだ?」

 

「俺と田中さんは音響の辺りから見守ってる。だから安心してリハーサルに臨めば良いさ」

 

「わかった」

 

こうして、入る前の確認だけある程度済ませると早速六人はライブ会場の用意がされたホールへと入っていく事になるのだった。

 

一方その頃、チョッキリ団のアジトでの事。ここではまたいつものようにバーのカウンターにチョッキリーヌが座っておりその隣の椅子にジョギが腰掛ける。

 

「はぁ……」

 

「まーた暗い感じですねぇ。チョッキリーヌ先輩。もしかしていつもの事で部下達がいなくなった事を気にしてるんですか?」

 

「……いや、そうじゃないよ」

 

ジョギはチョッキリーヌからの返事を聞いて意外そうな顔を見せる。普段ならこういう時は大体の場合、いなくなった部下二人を気にするパターンが多いために余計に何で悩んでるか気になった。

 

「じゃあ何ですか」

 

「……ジョギは今こうやってダークイーネ様のために働く事を幸せに感じてるかい?」

 

それを聞いてジョギは困惑したような顔を浮かべる。チョッキリーヌが変な事を言い出したと感じたのだ。

 

「……チョッキリーヌ先輩、急にどうしたんですか?」

 

「いや……ここ最近毎日がつまらないなと思うようになってきたんだよ」

 

「それって結局は部下がいなくて寂しいって事に繋がるんじゃないですか」

 

ジョギは言い回しこそ変わっていたが、相変わらず部下がいない事を気にするチョッキリーヌに対して呆れたような目線を向ける。

 

「別に。お前がもっと可愛げのある部下だったら退屈しないんじゃないのかと思っただけさ」

 

「はぁ、やっぱり僕達は相性最悪ですか?」

 

「ああ、そうだね……」

 

するとジョギは少し考えると手にスマホを取り出すとチョッキリーヌにとあるサイトを見せた。

 

「そういえば、面白いニュースを仕入れたんですよ。チョッキリーヌ先輩」

 

「……何だ……ッ、これは!?」

 

そこにあったのはアイドルプリキュアのライブがパシフィコ横浜で開催されるという物である。そして、それを見たチョッキリーヌはギョッとした顔を浮かべた。

 

「生意気にもアイドルプリキュアが単独ライブをやるって最近噂なんですよ。しかも会場はパシフィコ横浜。初ライブにしてはそこそこ大きな所を確保して……」

 

「ぐぬぬぬ……これは何としてでも阻止するべきだね。ジョギ、今日はアンタがさっさと行って潰してく……」

 

「……待ちなさい」

 

チョッキリーヌは今回の出撃をジョギにしようとするが、そんなタイミングでいきなりその意見を呼び止める声が聞こえる。

 

「ッ、スラッシュー様」

 

「スラッシュー、どうしたんだい?」

 

二人の視線の先にいたのはスラッシューであった。ただし、その顔つきは今まで見た事が無いくらいに憎悪に燃えている状況である。

 

「……ふざけるなよ、アイドルプリキュア……。そんなに簡単にアイドルライブなんて……」

 

「ちょ、ちょっとスラッシュー?」

 

「あらら……これはかなり怒っちゃってるねぇ」

 

「感心してる場合かい!?」

 

チョッキリーヌはスラッシューが何故ここまでキレてしまっているのかがわからずに困惑。ジョギの方はスラッシューがここまで怒ること自体が初めてのために興味深そうにしていた。

 

「スラッシュー、ひとまず落ち着くんだよ。今のまま行ったら……」

 

「煩い……あなたに何がわかる……。私なんかは……受け入れてすら貰えなかったのに。私はあの子のオマケでしか無かったのよ!!自分一人では何もできなくて。……ホント、天は残酷な運命ばかり押し付けてくるわね……」

 

スラッシューはまた無意識に記憶に無いはずの過去の事を口走るとジョギが頭に手を置いていた。折角封じ込めた記憶がアイドルライブをやっているという事実だけで呼び起こされてしまったのだからある意味当然だろう。

 

「とにかく今回は私が直接潰すわ。アイドルライブなんて絶対に許さない。あの子達がキラキラを作り出す前にライブを中止にさせる」

 

スラッシューは異論は絶対に認めないと言わんばかりにアジトから出ていくとその場にはチョッキリーヌとジョギが残された。

 

「い、行ってしまったな」

 

「まぁ良いんじゃないんすか?」

 

「何処がだよ!?」

 

「だって放っておいてもこの世界を闇に染めてくれるんすよ?俺達からしたらこんなに楽な事は無いでしょ」

 

チョッキリーヌはそれを聞いて少し心配そうな顔を浮かべる。それを見たジョギは溜め息を吐いた。

 

「はぁ……。チョッキリーヌ先輩?俺達の目的を履き違えたらダメっすよ?それこそ、嫌でも世界を真っ暗闇に染めないと……俺達がダークイーネ様の怒りを買うんですから」

 

「ッ……そんな当たり前の事……言われなくてもちゃんとわかってるよ」

 

チョッキリーヌはそう言いつつも怒りの雰囲気のまま出ていくことになったスラッシューへの心配だけはずっと残ってしまうのだった。




また次回もお楽しみに。
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