キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ライブ前のリハーサルを控えたアイドルプリキュア達。ただ、まさかのこのタイミングでダークランダーが出現してしまう。そのためキッスがハートガーデンを展開する形でダークランダーを現実世界から隔離。
その上でアイドルプリキュア達がダークランダーとそれを呼び出したスラッシューを迎え撃つ事になる。
「アイドルプリキュア……やっと出てきたわね」
「スラッシュー……あなた一人だけですか?」
「何か問題でもあるかしら?」
スラッシューの声色は不機嫌その物であり、アイドルプリキュア側もその事を感じ取る。
「ッ、スラッシュー。今日はいつにも増して不機嫌な感じだな」
「煩い……こんなにも簡単に人々から慕われて……苦労なんて何も知らなくて……。一度目のライブでこんな大きな箱を使って……私とUtakoの苦労を何も知らないくせに!!」
『ッ!?』
ソウルビート達はスラッシューの口からUtakoという言葉が自発的出たという事に驚きを浮かべると間髪入れずにスラッシューが怒りと共にアイドルプリキュアに向かっていく。
「はぁああっ!」
「ッ、だあっ!」
そして、スラッシューが動き出したのに対してすかさず普段なら先陣を切らないソウルビートが前に出るとスラッシューからの一撃を受け止める。
「ぐっ……」
「ソウルビート!」
「構うな!お前らはダークランダーをどうにかしてくれ!」
「キュアソウルビート……まずはあなたから潰してやるわ!!」
そのままソウルビートはスラッシューと一対一のタイマンで勝負を開始。ソウルビートは他の5人を巻き込まないようにするためにスラッシューの突撃の勢いを利用してそのまま投げ飛ばす。
「ッ!?」
「悪いけど、俺とタイマンしたいのなら邪魔の入らない向こうでやらせてもらう!」
ソウルビートはすかさず投げ飛ばしたスラッシューを追いかける形で踏み出すとそのまま他の5人とは別れて戦う事になる。
「ダークランダー!」
そして、残されたダークランダーは当然のようにアイドルプリキュアへと両肩のペットボトルから漆黒のエネルギー砲を放って攻撃を仕掛けてくる。
「うわっ!?」
「これじゃあ近づけませんよ!?」
「それでもどうにかするしか無いわ」
ダークランダーは容赦無く5人へとエネルギー砲を連射して雨のように攻撃を降らせる。
「なら私が行く!」
「「「「アイドル!?」」」」
するとアイドルはエネルギー砲に対して逃げ回って消耗するくらいならと前に出る形で走っていく。そして、当然ダークランダーはそんなアイドルを狙って砲撃を集中。彼女を撃退しようとする。
「っと!くっ……」
アイドルは回避する中で何発か危ない物もあったが、どうにかダークランダーへと接近。そして、アイドルが前に出た事で他のプリキュア達が自由に動けるようになった。
「皆、今の内に散らばろう!」
「そうね。固まっていたら狙い撃ちにされるわ」
ウインクが促す形で残っていた四人が散開。一方でダークランダーに自ら近づいたアイドルは一気にダークランダーへと攻撃するために胸のブローチをタッチしようとする。
「まずは一発目……」
「ダーク……」
そんな時、ダークランダーはどこからか武器としてお箸を取り出すとアイドルを捕まえようとする。
「うえっ、お箸!?」
「ランダー!!」
「危なっ!?」
ダークランダーがお箸でアイドルを捕まえようとしたために彼女はどうにか後ろに跳ぶ形で回避。
「ランダー!」
ダークランダーはアイドルにターゲットを絞ったのか、箸を構えたままアイドルの方を向く。ただし、そうなるという事は必然的に他のプリキュア達に対しては背を向ける形になるという事で。
「ッ!皆、チャンスだよ!」
「えぇ、今なら後ろが狙える!」
ウインクの掛け声と共に四人は左右から回り込む形でダークランダーの死角である裏側に回ろうとする。
「ダークラン!」
しかし、ダークランダー側もその気配に気がついた様子で両肩のペットボトルを半回転させると後ろ側に砲門を向けた。
「ッ、なんか後ろ向いた!?」
「ダークランダー!」
ダークランダーが後ろにプリキュア達が回り込んだタイミングでそこを狩るべくエネルギー砲を発射。対してプリキュアの四人の内、ダークランダーから見て右サイドから回ったキュンキュンとキッスは対抗する手が無いために咄嗟に回避。逆に左サイドから回ったウインク、ズキューンの方はズキューンが対応する。
「ここは私が!ズキューンバズーカー!」
ズキューンが放ったエネルギー砲はダークランダーからのエネルギー砲とぶつかって少しだけ押し合うと最終的には打ち勝ち、ダークランダーに命中する。
「ンダァアアッ!?」
「やった!」
「今なら!」
ダークランダーを後ろから吹き飛ばした事でアイドルはすかさず反応。今度こそブローチをタッチする。
「アイドルグータッチ!」
「ダァアアッ!?」
ダークランダーがアイドルからのパンチをまともに喰らって吹き飛ぶと地面に激突。それによって一気に流れがアイドルプリキュア側へと傾いた。
「やりました!」
「このまま一気に六人で……」
ズキューンはダークランダーを崩した今がチャンスという事で一気にライブ技を使おうとする。……しかし、彼女達がライブフィールドを展開しようとしても何故か展開しない。
「あれ?何で……」
「お姉様、今ソウルビートは……」
「ッ、しまった。今はソウルビートがここにいないじゃん!?」
ズキューンはまさかのメンバーが揃ってない事実を失念してしまっており、このままでは技が使えないと焦った。
「こうなったら私達だけで……」
「でも、私達だけの技で通用するかな……」
ソウルビートを欠いた今、使える最高打点はハイエモーションかズキューンキッスディスティニー。だが、前にハイエモーションが通用した時はソウルビートが絡んだメンバーで使った時。今のダークランダー相手に効く保証は無かった。
「それでもやるしか……」
「ダークランダー!」
アイドルプリキュアの5人が技を使うか否かでもたついている間にダークランダーは復帰してしまうと再び5人が纏まってしまった所を狙って砲撃を再開してしまう。
「って……」
「「「「「うわぁあああっ!?」」」」」
5人はダークランダーに逆に不意を突かれた形で崩されてしまうとどうにか煙の中から飛び出してバラバラに散る。
「皆、もう一回ダークランダーに隙を作ったら私達だけでもやるよ」
「ッ……わかりました!」
「確かに、ずっとソウルビートに頼りっぱなしはダメだよね!」
アイドルがそう声をかけると全員は頷き、今度は隙を作ったら全員揃わずとも技を使う事を決定する。そして、リーダーの鶴の一声で他の四人もそれを了承。こうして、ダークランダー相手に再度戦いを挑むのだった。
「だぁあああっ!」
その頃、ソウルビートと対戦するスラッシューはいつも以上の荒々しいファイトスタイルを取っていた。
「お前達がいつもいつも!キラキラしてるから!キラキラしてない私の事が惨めに思えてくるのよ!!」
「ッ、今日は普段以上に自分を曝け出すな。スラッシュー」
「煩い!」
スラッシューが仕掛けてくる拳の連続攻撃をソウルビートが防御と受け流しであしらっていく。ただし、スラッシューも無意味にラッシュを繰り出していたわけじゃ無い。
「受けてみなさい!」
スラッシューがいきなりソウルビートから距離を離すと手を振り下ろす。それと同時に空中に仕掛けていた炎の剣が彼へと降り注いだ。
「ッ!!ウインクの力、ソウルビートバリア!」
ソウルビートはすかさず自分の真上にだけピンポイントで小さなバリアを生成。バリアのサイズを縮小した分硬度を上げたそれはスラッシューの攻撃を受け切る。
「スラッシュー、お前はどこに向かって走ってるんだ。ダークイーネの言いなりになって、世界を真っ暗闇に染めて……それでお前は満足なのかよ!」
「ええ満足よ。私の事を受け入れてくれないこんな世界なんか……真っ暗闇に染まってしまえば良い!そうすれば、誰もキラキラする事なんて無い静寂が訪れる。そうすれば……私が惨めな気持ちになる事も無くなる!!」
スラッシューが炎の剣を手に生成するとソウルビートを本当に殺すつもりと言わんばかりの殺気でそれを刺突してきた。しかし、ソウルビートはそれを全て見切ってギリギリのタイミングで回避し続ける。
「それが本当にスラッシューの本心なのか?あなたが言ったUtakoさんは……本当にそんな事を望んだのか?」
「ッ……望んでるわけ無いでしょ!」
「じゃあKotoneさんは何でこうして闇に身を委ねるんだ!」
それと同時に二つの拳がぶつかり合うと衝撃波が周囲を駆け巡る。するとスラッシューは自分の口走っていた事に気がつくと唖然とした。
「ッ……何で……私、こんなありもしない記憶を……」
「まだ気づかないのか。それはありもしない記憶なんかじゃない!」
そして、スラッシューが動揺した瞬間を狙って押し切るとスラッシューは後ろに吹き飛ばされたために空中で体勢を立て直して着地する。
「チッ……」
「スラッシュー、お前はもう記憶のコントロールができなくなってるんだよ」
「そんなはず……無い。私は、チョッキリ団の仲間で……」
スラッシューがどうにか自分をチョッキリ団のメンバーだと思い込む事で気持ちを安定させようとするが、その脳裏にまたノイズと共にかつて一緒にステージで一緒に歌を届けた仲間……Utakoの姿が浮かぶ。
「うた……こ……はっ!?」
「やっぱり……。改めて聞く。あなたはUtaKotoneのKotoneさんで間違い無いですね?」
「ッ……Kotone……。そんな名前……知らない……知ってるわけなんかない!!」
しかし、スラッシューの動揺具合から確実に彼女は自分がKotoneであるという自覚をしたのを察したのか……。ソウルビートはそんな彼女を見届ける。
「ふぅ……。やっと自覚してる所を見られた。問題はここからだな」
ソウルビートはここでやっと本人確認ができた所でどうやって彼女を助け出すかを考える。
「一番手っ取り早いのはライブ技……だけど、多分普通に解放してもスラッシューの中……Kotoneさんの闇を解決しないとまた何度でも再発する」
Kotoneの闇。ソウルビートはこれまでの彼女の言動とUtaKotoneがUtakoの失踪で解散した後の彼女の動きを見てきて何となく答えは見えつつあった。
「私を相手に考え事なんて余裕ね!」
スラッシューが両手を正面に構えると巨大な黒い炎のエネルギー砲を構える。
「ッ!」
「消えなさい!!」
スラッシューが強力なエネルギー砲を解き放つとソウルビートはそれを正面から受け止めた。
「ぐっ……」
「私を助けるだなんて寝ぼけた事を考えてるからよ……。あなた達に助けられる程私も堕ちては無いのよ!!」
その瞬間、強力なエネルギー砲は大爆発。ソウルビートの姿はその爆風に包まれるとスラッシューは疲れたように息切れする。
「はぁ……はぁ……はぁ……ッ、本当にここ最近はアイドルプリキュアと関わるだけで調子狂わされる」
スラッシューは同時に胸に痛みが走ると脳裏に自分と同じような声質で不安そうな声が響く。
“本当に良いの……?あの子達の未来を潰して……Utakoはこんな事……”
「ッ!?煩い!黙ってよ!!アイドルプリキュアを倒さないとダークイーネ様の願いを叶えられない。私がダークイーネ様の所に行ったのは……この世界に復讐を果たすため!Utakoの事なんて知った事じゃない!」
スラッシューが脳内に響く声を捩じ伏せるかのように言い返していると先程の爆炎の中から一つの影が平然とした様子で歩いて出てきた。
「なっ!?」
「……こんなにも迷いまくったお前の攻撃。今更俺に効くわけ無いだろ」
ソウルビートはスラッシューからの全力攻撃を真正面から受け切ってしまっていた。そのため、スラッシューの顔には動揺が広がる。
「そんな……。あなた達を潰すために私は全力で……」
「……スラッシュー、俺達はUtakoさんからあなたを助けて欲しいって託されてる。だから、もうこんな事はやめて欲しい。ダークイーネの言いなりになって、世界を真っ暗闇にしたって……虚しくなるだけだ」
「Utakoから託された……?何を寝言を!!」
スラッシューは当然Utakoと会えるはずが無いとソウルビートへと炎を纏わせた拳で殴りかかる。しかし、その一撃はあっさりとソウルビートが受け止めた。
「ッ!?」
「スラッシューだって、Kotoneさんだってわかってるんだろ。Utakoさんが……真っ暗闇を望んで無い事ぐらい」
「……黙ってよ……あなたと話していると……頭がおかしくなるの」
「黙らないですよ。Kotoneさんが本当の意味で救われるまでは」
スラッシューが悔しそうにしていると突如としてスラッシューの影の部分から突如として闇の腕が伸びてくる。
「なっ!?がああっ!?」
そして、その腕がソウルビートを殴り飛ばすとそのまま腕がダークイーネの姿となった。
「ぐ……お前は、ダークイーネか」
『スラッシューよ。よもや妾を見捨てるつもりでは無かろうな?』
「ッ……滅相もございません……。私の心は……あなたと出会ったあの日からダークイーネ様と一つにございます……」
するとダークイーネの登場と同時にスラッシューの迷いが消えたかのように答えを返す。そして、ダークイーネはそれを受けてソウルビートへと告げた。
『そうか、ならば良い。それと、キュアソウルビート』
「何だよ」
『これ以上スラッシューを困らせるな。スラッシューの心は妾と一つ。過去に何があろうと今は妾のやる事に賛同している。これ以上変な真似をしてみろ。妾が直々に動く事になるぞ』
「ダークイーネが動く……」
『妾がその気になればお前達の世界など一瞬で真っ暗闇の中に落とせる。……わかったら大人しくスラッシューから手を引け』
「くっ……」
ダークイーネが言う事を言い切ったからか、ソウルビートからの返しを待つ事なく彼女の闇がスラッシューを包み込むとその場から消え去る。そして、それと共にスラッシューはその場からいなくなってしまうのだった。
「ッ!?……スラッシューを連れ帰ったのか……。ダークイーネ、カッティーやザックリーの時は容赦無く闇に染めたのに何故そこまでしてスラッシューを守りたいんだ……」
ソウルビートは今回、ダークイーネが何故かスラッシューを回収するためだけに出張ってきたと言う点が気になってしまう。そこまで彼女がスラッシューに執着する理由が何なのか……謎は深まる一方なのだった。
また次回もお楽しみに。