キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
パシフィコ横浜を襲撃してきたチョッキリ団に対し、二手に分かれて対応するアイドルプリキュア。その中でソウルビートが戦っていたスラッシューとの戦いに決着が着いた頃。
「ダークランダー!」
「キュンキュンレーザー!」
両肩のペットボトルからエネルギー砲を放ってくるダークランダーに対してキュンキュンが同じく飛び道具のキュンキュンレーザーで対応。攻撃を完全に抑え込む事に成功する。
「「たぁああっ!」」
ダークランダーの砲撃が止んだ瞬間を狙ってアイドルとズキューンがダブルパンチを命中させてダークランダーを押し返していた。
「ンダァアアッ!?」
「やった!」
「このまま一気に追い込みます!」
アイドルプリキュアは一気に押せ押せムードになるとダークランダーに浄化技を撃てるだけの大きな隙を作るべく、更に圧力をかけようとする。
「ダーク……ラン!」
「何ですかあれ!?」
すると今度は今まで見せた事の無い攻撃として自身の体のお弁当箱に収納されていたバランと呼ばれる物を手にした。バランとは、お弁当箱の中によく入っている草原のようなギザギザシートであり、弁当の見栄えを良くする仕切りのような役割を果たす。そしてそのバランをダークランダーはまるで手裏剣のようにプリキュアに向けて連射する。
「ランダランダランダ!」
「また厄介な物を……」
「ここは私に任せて!ウインクバリア!」
ダークランダーからのバラン手裏剣攻撃に対して対応するのはチームの盾役ことキュアウインクだ。彼女がブローチをタッチするとすかさず技を使い、ダークランダーの攻撃を防ぎ切る、
「はぁあああっ!」
そして、ウインクバリアに攻撃が命中した際に発生した煙からいきなり飛び出す形でキッスが前に出るとダークランダーへと蹴りを命中させて吹き飛ばす。
「ンダァアアッ!?」
そのままダークランダーは地面に何度か激突しながら大きなダメージを負ってしまう。そして、ウインクがバリアを解除するとキックを繰り出していたキッスが合流する形で五人が集合。
「お弁当は美味しく頂かないと」
「明日は大事なライブ。キミと一緒にキラッキランにするんだから!」
「ああ、その通りだぜ」
そんな時だった。スラッシューの戦線で彼女が撤退したためにフリーになっていたソウルビートが合流。
「ソウルビート!」
「これで6人揃ったな。最後は皆でやろうぜ」
「うん!」
ここで六人が揃ったという事でより確実にダークランダーを倒すべくプリキュアは全員での浄化技を発動して領域を展開した。
♪決め歌 キミとシンガリボン♪
「「「「「「感じてYou and I キズナリボン〜♪」」」」」」
六人が歌を歌い始めるとイントロに入り、キラキライトを持ちながらステージの上で動く。
「「「「「「クライマックスは私達!」」」」」」
そして、掛け声と共にキラキライトは光と共にキラッキランリボンバトンへと変化。その後、プリキュアステージリボンを装填。同時にダークランダーは技の効果で席へと強制着席。そのままイントロが終わり、六人は歌を歌う。
「「「「「「重なる想いの強さを歌に乗せて〜♪届けるに来たよ Sing For You 照らしてみせる〜♪溢れる思いを残らず伝えるんだ〜♪どんなときでもYou and I 〜♪私とキミを結ぶキズナシンガリボン〜♪……プリキュア!キラッキランフォーユー!」」」」」」
六人が歌いながらキラッキランリボンバトンを回しつつパフォーマンスをしていき、歌が終わると同時に技を発動。六人のシンボルマークを合わせた強力な浄化の光を解放し、虹の光の奔流がダークランダーへとぶつけられた。フィニッシュは六人での決めポーズである。
「「キラッキラッタ〜」」
これによりダークランダーは無事に浄化されると囚われていたヤスが助け出され、同時にキラルンリボンも生成。今回はズキューンがキラルンリボンを手にする事になる。
そして、既にスラッシューは撤退しているためにダークランダーが浄化された事でハートガーデンはその役割を終えて消失。闇に囚われていたヤスは戻ってくると意識を取り戻した。
「あれ!?俺何してたんだ……」
「ヤス〜!リハーサル、始めるぞ!」
するとそのタイミングで館内から出てきたヤスの上司からの声がかかると彼は続けてヤスへとある事を伝えた。
「えっ、あっ!はい!」
「そうだ、今日のお弁当美味かったぞ。いつもありがとうな!」
「ッ……、ありがとうございます!」
ヤスは褒められた事に嬉しさを感じつつ答えを返し、お弁当を食べかけだったものの自分の仕事に穴を開けるわけにはいかないと上司の元に向かうのだった。
そして、その様子を少し離れた位置から見ていたアイドルプリキュアの6人はヤスの心に光が戻ったという事実に嬉しさを感じて微笑んでいるとアイドルがふとキミとシンガリボンのあるフレーズを歌い始める。
「感じてYou and I キズナリボン〜♪」
「それは“キミとシンガリボン”の歌詞か。こんな時にどうしたんだ?」
そして、そんな彼女が気になったソウルビートは問いかけるとアイドルは答えを返す。
「You and I 、キミと私。キミがいるからこそ私もいる。あのヤスさんも……そんなキミの一人なんだね。私達のライブはキミと私で一緒に作り上げていく物なんだよ!」
「キミと私で一緒に……か。確かにそうかもしれないね!」
「はい!明日、ここに足を運んでくれる5000人のキミ一人一人と一緒に作る特別な一日。……いつものキミが5000倍ですね!」
「キラッキランランも5000倍だよ!」
「ふふっ、何だか良いタイトル……思いつきそうじゃない?」
「ああ。そしてそれこそがきっと、俺達のライブに相応しいタイトルだ」
そんな風に6人でパシフィコ横浜の会場を見ながら話を進めていく。すると、館内から出てきたレイと田中が声をかけた。
「おーい、そろそろライブのリハーサル始まるぞー!」
「皆さーん!リハーサルの前に紹介したい歌手の方々がいますので、戻ってきてくださーい!」
「歌手の方達?」
二人が言い出したのはまさかのリハーサル前にとある歌手達を紹介するとの事だった。そしてそれは6人が事前に話を聞いておらず、彼等にとってもシークレット情報となっている物である。
それから6人がパシフィコ横浜の館内に入るとそのロビーでは3人の女性歌手がお揃いの衣装を着て並んでいた。
「うえっ、ま、ま、まさかこの方々は……」
「キュンキュン、知ってるの?」
「いやいや、知ってるも何も……私達がこの前カバーした曲の原曲を歌われている方々ですよ!!」
キュンキュンが言っているのはアイアイ島のライブの一件でアイドルプリキュアのメンバーが二人一組でカバーした曲達の事だ。そして、彼女達はその曲のオリジナルアーティストである。
「この方々は今回のアイドルプリキュアライブで一緒に歌を歌ってくださるシンガーさん達」
「それじゃあ順に私から。私は石井ゆみです!」
「熊田紅音です!」
「吉武千夏です!」
石井ゆみはウインクとキュンキュン、そしてアイドルとソウルビートカバーしていた曲のオリジナルアーティスト。吉武千夏はズキューンとキッスの曲のオリジナルアーティストだ。熊田紅音は数年周期に入れ替わりが発生するこのシンガーズチームへと今年初めて加入した新メンバー。そのためまだアイドルプリキュアがやったカバー曲は無いが、それでもその素敵な歌声が買われて新メンバーとして加入する事ができたのだろう。
今はこの3人で活動をしている訳なのだが、何故この3人がここにいるのか。その理由は先程レイの言った通り、今回のアイドルプリキュアのライブに一緒に出演されるという事らしい。
「待て待てレイ。まさかお前が言ってたバッティングの問題って……」
「そ、丁度空きができた瞬間を狙ってここを取ろうとしたタイミングで被っちゃったんだよな。だからどうしようかって話になった時にこのお三方の方から“合同でやりましょう”って持ちかけられたわけ」
そして、レイと田中の二人もその持ちかけに対してある程度はしっかり精査をした上で了承している。そのため、このシンガー達とのコラボは最初から確定していた事だった。
「あはは、レイ君は私達にサプライズで言うのが大好きみたいだね」
「でも、心キュンキュン燃えてきましたっ!」
「あはっ、キュンキュンが気合いバッチリだよ!」
「でも、良いんですか?私達と一緒にするなんて……」
ウインク、キュンキュン、ズキューンが話しているとキッスが確認をするかのように3人へと問いかける。ただ、3人は顔を見合わせると笑顔でその答えを返した。
「はい!だって私達……」
「「「アイドルプリキュアの大ファンなんです!」」」
「元々私達もここ、パシフィコ横浜でライブをやるつもりでしたし」
「そのステージでアイドルプリキュアさんがこの前出していた曲をカバーする事になっていました!」
「なので、折角アイドルプリキュアの皆さんと使うタイミングが被ったのなら一緒にやりたくて……」
そのようにシンガーズの3人がアイドルプリキュアへの愛を語っているとアイドルは我慢できずに3人を揃って抱きしめるように飛び出す。
「あはっ!超キラッキランラン〜♪」
「ちょっ、アイドル!?」
勿論こんな事をしてしまえばソウルビートは驚くと共に慌ててしまう。そのため、3人が不機嫌になってないか不安だったが……そんな心配なんて必要無いくらいに3人は嬉しそうな顔をしていた。
「アイドルプリキュアの歌で、沢山キラッキランランになってくれたら……私達も嬉しいよ!」
「「「「「(うん)(はい)(ええ)(ああ)」」」」」
アイドルがコラボしてくれるという話に嬉しさを爆発させ、他の5人もそれに改めて了承。
「ゆみちゃん、紅音ちゃん、千夏ちゃん!私達とのライブ。改めてよろしくお願いします!」
「「「こちらこそ!よろしくお願いします!」」」
「キミと私……あっ、思いついた!!」
そして、アイドルは何かを思いついたような顔になる。そしてそれはこのギリギリまで思いつく事ができなかった今回のライブのライブタイトルの事だった。
「アイドル、何を思いついたんだ!」
「私達のライブタイトルだよ!」
「お、やっと出てきたか。それじゃあ折角だし出演者全員で言ってもらおうか」
「何でそうなるんだよレイ……」
レイからの半分メタ的な発言を聞いてソウルビートが呆れたような顔つきを見せているとキュンキュンはもうやる気になってるようで……。
「まぁまぁ良いじゃないですか。こういう時は流れに乗る物です!」
「はいはい、わかったって。それで、タイトルは?」
「うん!ゴニョゴニョ……」
そして、アイドルがライブに出る9人の歌手達にライブタイトルの案を話すとそのタイトルに全員が了承。それからレイ達と向き合う。
「それじゃあ全員がオッケーを出したし、発表するね!せーのっ!」
『“キミとアイドルプリキュア♪LIVE2025・You &I=We’re・IDOL PRECURE”!』
こうして、ライブ前日にしてようやくライブタイトルが決定。そしてここまで遅くなった以上はどうしようもできないのでライブタイトルの公開は当日発表という流れになった。
そして、アイドルプリキュアの6人とコラボをしてくれる3人のシンガー……プリキュアシンガーズは合同で翌日のライブに備えたリハーサルを開始する。5000人のキミと作り上げる大事なライブまで……あと一日。
同時刻、チョッキリ団のアジトでは頭を押さえたスラッシューがフラフラと歩いていくとバーの中でバタンと倒れ込む。
「っ、スラッシュー!?」
「チョッキリーヌ……」
「大丈夫かい!?」
「不覚を取ったわ……。アイドルプリキュア……許さない……。まだライブをやるまで一日ある……明日こそこの手でライブをメチャクチャに……」
スラッシューは未だにアイドルプリキュアのライブを潰す事を諦めていなかった。ソウルビートとの対話でメンタル面で相当ボロボロになったはずだが……この執念の凄まじさにチョッキリーヌは思わず圧倒される。
「スラッシュー、だけど今の体で行くのは流石に……」
「煩い……私なんて誰からも好いてもらえない……。あんな冷めた視線を向けられるのなんてもう嫌なのよ……。私は結局あの子のオマケでしか無かった……。だけど、あの子が5000人の舞台に立つまでにどのくらい努力したか……」
スラッシューは何としてでもアイドルプリキュアのライブを台無しにする事で頭がいっぱいだった。
「はぁ……それなら明日は僕が行きますよ。スラッシュー様」
「ッ、ジョギ……」
するとそのタイミングでジョギがスラッシューへと自分が出ると言い出す。ただ、スラッシューは自分の手で潰したいのでその提案を良いようには受け取らなかった。
「断るわ。あなたの手を使う程堕ちてない……。それに、アイドルプリキュアをこの手で潰さないと……」
「無理ですね。少なくとも、今のあなたには」
「ッ、ジョギ!!」
スラッシューは珍しくジョギへと八つ当たりするかのように胸ぐらを掴む。しかし、それでもジョギは平然とした顔を見せる。
「落ち着いてくださいよ、スラッシュー様。まずは今の自分をよく見てください」
「ッ……くっ……」
スラッシューはジョギから告げられて改めて自分を確認すると気持ちはグチャグチャで肉体的にもボロボロ。どう見ても万全とは言い難い状態だった。そのため、ジョギを掴んでいた手を離すと気持ちをようやく落ち着ける。
「……ジョギ、あなたに任せるわ……少し、休む……」
スラッシューはこのままではどうする事もできないと察すると一人で奥の部屋に戻っていく。それを受けてジョギは笑みを浮かべるのだった。
「ふふっ、仰せのままに」
こうして、順調に開催されると思われたアイドルプリキュアのライブ。それを邪魔しようとするチョッキリ団の魔の手はまだ完全に潰えたわけでは無かったのだが……それはまた別の話で語るとしよう。
今回でアニメ36話分が終わりました……が、ラストであった通りまだチョッキリ団はライブの妨害を諦めてません。そんなわけで次回からはライブ当日を描くオリジナル回です。
また、原作で本人役として出られたプリキュアシンガーズのお三方ですが扱いとしてはこの小説独自のキャラとしてオリキャラとして当てはめさせて貰いました。実在の芸能人の人を書いちゃうと規約に引っかかりかねないので……。そのため以下の通りの変更を加えます。
石井あみさん……石井ゆみ
熊田茜音さん……熊田紅音
吉武千颯さん……吉武千夏
この3人の名前が出たらシンガーズのお三方だと思ってください。よろしくお願いします。
それではまた次回もお楽しみに。