キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
影人が初めてのアイドル研究会を終えてから更に時間が経って放課後の事。影人達が下校する中、プリルンがまたいなくなってしまったらしい。
「影人君、どうしよう……またプリルンがどこかに行っちゃって……」
「……」
影人は流石にプリルンが自由に動きすぎではと考えた。昼休みもいつの間にかいなくなって自分の所に来ていたというのもあって、プリルンがジッとできない性質だと改めて思い知る。ただ、いなくなってしまった物は仕方ない。こうなれば手分けしてでもプリキュアと無関係な人に見つかる前に探し出す必要があると判断。レイやななも揃って探すことにした。
「ななちゃん、レイ君もお願い」
「わかった。プリルンを探せば良いんだよね?」
「ただ、プリルンの事を直接呼ぶと周りから変な目で見られるかもしれないから周りに誰かがいる時に直接呼ぶのは禁止な」
それから四人は手分けをして捜索を開始する事に。同時刻、こころは上機嫌にイヤホンでキュアアイドルの曲を流しながら下校中だった。そんな彼女の近くの茂みの中ではガサガサと音が鳴りつつもこころを追う影が一匹。それは影人達の前からいなくなっていたプリルンである。
「プリ!こころと仲良くなりたいプリ!」
「紫雨さん!」
するとこころを呼ぶ声がしてプリルンは慌てて隠れるとこころの側にブレイクダンスをしながら一人の少年が現れる。
「よっと!」
「寸田先輩」
彼の名は寸田躍。この学校の三年生でダンス部に所属している。そんな彼はこころへと勧誘の意を示した。
「考えてくれた?この前の事」
「あ、はい。……すみません。私、ダンス部にはやっぱり入りません」
それを聞いて寸田は少し固まった後に両脚を前後に開脚しなから横にクテッと倒れるとガッカリするという独特な落ち込み方を見せる。
「そんな……頼むよ!紫雨さんのダンスは小学生の頃から見てるけど、本当に凄いと思ってる!一緒に大会を目指そうよ!」
「……ありがとうございます。私、入学する前はダンス部に入ろうと思ってたんですけど、今は他の事に心キュンキュンしてます」
「他の事?」
こころはそう言うとどこからともなくキュアアイドル、キュアウインクのアクスタを取り出した。
「キュアアイドルとキュアウインクです。だから……ごめんなさい!」
「そっか……残念だけど、考えてくれてありがとう」
「大会、頑張ってください」
「ああ!」
そんな風にやり取りをする二人。それを見たプリルンは目をキラキラとさせていた。そして、それと同時に二人きりで話すその様子をプリルン捜索中だった影人が見る。
「あれは……こころと……確かダンス部の寸田先輩だったっけ……。何で二人きり……あ、確か前にこころも話してたダンス部の勧誘……だよな?間違っても告白では無いと思うけど」
影人は自分でその思考になった直後に慌てて首を横に振る。その考え方は前のこころの事を言えないぐらいの発言であると自分で思い至ったのだ。
「ッ!?違う違う!俺がそんな事考えてどうする……。そんなの、そんなの俺がこころの事を大好きですって言ってるような物だろ」
影人はその考えを否定するとこころが影人へと気がついたのか、トテトテと走って来た。
「カゲ先輩!今日は一緒に帰りましょう!私の行く場所に付き合ってもらいたいです」
「お、おう……わかった」
影人はプリルンを探して欲しいと言われたのだが、プリルンが既に学校の外に行った可能性もあると思い至るとその旨をメッセージで他の三人に送る。そのため、自分は外を探してみるという名目で二人で行く事にした。
「プリ。影人ばかりズルいプリ。プリルンも後を追いかけるプリ〜」
そんな中、プリルンもこころと仲良くしたい気持ちでいっぱいだった。その影響で二人を追う形でプリルンも移動する。
「プリプリ〜!」
プリルンは小さい体を上手いこと活かして移動すると二人にバレてしまわないように前身。豚さんのオブジェの所に到達するとプリルンは興奮してバタバタとする。
「こころはアイドルプリキュアに心キュンキュンプリ〜!プリルンと一緒プリ〜!」
プリルンはこんなにも目立つ行為をしているが、どうにか二人にバレては無いので尾行には成功している。とは言え、このままでは第三者に見られてもおかしく無いのだが……。
そんな中、影人とこころの二人は街中にあるアイドルストアに入るとこころは影人へとある物を探して欲しいとお願いする。
「そういや、こころは何でここに来たかったんだ?」
「勿論、アイドルプリキュアのグッズを探すためです。まだ公式からのグッズって言ったらこの前のPretty_Holicでのメイク道具だけなので!」
こころは推しのアイドルプリキュアがグッズ展開するとなれば迷わず手に入れるつもりのようだ。
「(……そう考えるとこころの推しへの気持ちが凄まじいな。でも、多分だけどそういうグッズ展開はまだ出てないと思うが……)」
影人はまだレイや田中経由でそういうグッズに関しての連絡が回ってないために恐らく出回ってはいないだろうと考えていたものの、それを知っているのは不自然なために協力はする事にした。
「……やっぱりまだ無い。キュアアイドルとキュアウインクのグッズ」
「探してみたけど、こっちにも無いな」
「これだけ有名ならグッズ制作が何かしらあっても良いと思うんですけどね……」
「まぁ、まだ仕方ないだろ。そもそもの話だがアイドルプリキュア自体が最近出たばかりだし、グッズ展開するにしても時間がかかると思うから気長に待つのが良いと思う」
「……そう……ですよね」
こころは落ち込んだような顔つきになるとグッズが無い現状を嘆いても仕方ないと割り切る事にした。するとそんな彼女の視線の先に何かを発見する。
「……あれ?」
影人が背を向けている向こう側。二人をジッと覗く何かとこころは目が合ったのだ。
「……あっ」
そこにいたのはこころと友達になりたくて彼女を追いかけて来たプリルンだった。そして、こころはプリルンの姿を見かけると前のPretty_HolicのCMで見たぬいぐるみだと思い出す。
「グッズあった!」
「……へ?」
影人が振り向くとようやく影人もプリルンがいたという認識をすると同時にプリルンへと内心思いっきりツッコミを入れた。
「(お前マジふざけんなぁああっ!?何でここにいるんだよ!!取り敢えず喋るなよ!?今からでもぬいぐるみのフリしろよ!?)」
そんな影人の内心でのツッコミを他所にこころは興奮した様子でプリルンを捕まえるとプリルンはジッと見つめられたせいで冷や汗をかきまくる。
「ジーッ」
「プリ……」
「えっ!?喋った!?」
「(プリルンお前ぇええっ!!秒で喋ってるんじゃねーよ!?)」
影人は内心かなり激昂していた。そもそもプリルンがここにいるだけでツッコミ案件なのに喋る事による胃への負担をこれ以上増やしてほしく無いのだ。
「プリ!プリルンはぬいぐるみプリ!動かないプリ……」
「凄い。ぬいぐるみが喋ってる」
プリルンは何とか誤魔化そうとするものの、喋りまくっているせいで完全にこころから見たらぬいぐるみが口を動かした上で流暢に喋るという奇妙な事態になっている。
「(せめて話すにしても腹話術にしろよプリルン。そうしたらぬいぐるみから鳴る音声だって誤魔化せるのに……)」
とは言え、プリルンは精神的に幼いのでそれなりの技術を要する腹話術が使えないのは仕方ない所なのだが。
「プリルンって言うの!?何者なの?」
こころから何度も体を揺さぶられ、更にプリルンへと踏み込んだ問いを聞き、プリルンは冷や汗が大量に流れる。これ以上は誤魔化せないと判断したため、プリルンは思わずこころの気を引くような事を言う事にした。
「プリ!空飛ぶお弁当プリ!」
「ええっ!?」
「そんなのあるわけ無いだろ……」
「さいなランランプリ〜!」
プリルンが苦し紛れの言葉を言い、影人が呆れ果てる中、こころの事は騙せたようで目線が後ろを向いてプリルンを捕まえていた手が緩んだためにプリルンは慌てて抜け出すとそのまま一目散に逃げ出した。
「ちょっと、待ってよ!」
店から飛び出して走りながら逃げるプリルン。それを追いかけるこころに影人も後について行かざるを得なかった。
「お前飛べるんだから走るより飛んで逃げた方がマシだろ!?てか、やっぱこういう時だけ皆走るの速くなるの何でだ!」
影人はいつも以上の走るスピードを見せるプリルンにツッコミを入れる。やはりギャグ補正がかかると走るスピードが上がるのだろうか。
そんなメタ発言はさておき、プリルンは狭い路地に入るとそのまま逃走。こころと影人もそれを追いかける形で路地へと入った。
「ぬいぐるみプリ!動かないプリ!」
「待ってってば!」
「走って逃走してる奴に“自分は動きません”と言われても説得力皆無だけどな!?」
それから追いかけっこをする中、プリルンは路地の行き止まりに到達すると完全に逃げ道を失ってしまう。
「あっ!?行き止まりプリ!」
「……ぬいぐるみじゃ無いでしょ」
「プリィイッ!?」
プリルンはこのタイミングでこころに追いつかれてしまう。こころはしゃがむとジト目でプリルンを見ていた。
「何者なの?」
「プリルンはぬいぐるみのフリをしないといけないプリ!本当は本当は、キラキランドの……」
「オッケー」
こころはプリルンの事情を何となく察するとそれ以上秘密を言わないようにするためにプリルンの言葉を止めさせた。
「……プリルンの奴、こころが口止めしなかったらマジで全部言う所だっただろ」
影人はこころにプリキュアの正体や活動も含めて全部バレなかった事を安堵するが、取り敢えず後で自分から接触してバレた分の説教はしようと考える。
彼としてはプリルンの正体バレからのプリキュアの活動内容バレが一番怖かった。何しろ自分でさえこころの気持ちの事も考えてプリキュアの本当の内容を言うタイミングを考えていた矢先にこれなのだ。
恐らく、プリルン経由でプリキュアと直接会う機会はできてしまうだろう。プリルンがバレた時点でもうこころとプリキュアの間に繋がりはできてしまった。自分もプリキュアの関係者だというのはこころに知られる。
「……もう頼むからこれ以上は変な事喋るなよ……」
影人はそんな風に祈りつつこころとプリルンのやり取りの方を注視する。そんな中、こころはプリルンがプリキュアと関係者だと知ったためにあるお願いをする事にした。
「そういえば、プリルンがあのCMに出てたって事はキュアアイドル達と知り合いだよね?」
「プリ」
「やっぱり!それならお願いがあるんだけど!」
「……プリ?」
「キュアアイドル、キュアウインクと会わせて欲しいの!」
影人は脳内でまた頭を抱えた。むしろこころにプリルンの正体がバレた時点で何となくすぐこうなるとは思っていたのだが、そうなるまでがあまりにも早すぎる。
「……それと、カゲ先輩。その感じ、プリルンの事知ってましたよね?」
「……これ以上は隠しても無駄か。……ああ。知ってたよ。プリルンの事も、キュアアイドル達の事も」
「やっぱり……。プリルンの事を見てもそこまで驚いてませんでしたし、むしろプリルンの行動を見て何か言いたそうでしたから」
影人はこころからの発言に自分の思っていた以上に自分の心の動きをこころに知られるようになったのだと実感した。喜ぶべきと言うべきか、この状況になった事にまず一言言うべきなのか。
「……ごめん。こころには隠す形になっちゃって」
ショックを受けただろう。尊敬する先輩に隠し事をされたのだ。影人は胸が痛む思いだったが、こころからの責めはちゃんと受けるつもりだった。
「……先輩は悪くありません。プリルンにはきっと隠すべき事があって、先輩もそれを守っていただけなので」
それから影人とこころはプリルンと共に一度路地から出ると前に話をしたホットドッグが売っていたキッチンカーの近くにあるベンチで座る事に。尚、プリルンは影人からホットドッグを買ってもらって頬張っていた。一応、まだプリルンは昼ご飯を抜かれたままで腹ペコだったのである。
「こころはアイドルプリキュアと会いたいのか?」
「はい。先輩なら私は好きに対して一直線なのは知ってると思います。せっかくプリルンとお友達になれて直接会える機会なので、それを逃したくありません」
「……わかった。むしろ、俺とアイドルプリキュアが繋がってて、その上で俺とこころが繋がっていたんだ。いつかバレるのも時間の問題だったんだろ。むしろ、俺から打ち明けられずにこんな形になってごめん」
「良いですよ。さっきも言いましたが、先輩は何も悪く無いので」
そう言うこころの手は僅かに震えていた。影人はそんな彼女を見て結果的にこころへと隠し事をして傷つけたと考えてしまう。しかし、こころの考え方は少し違っていた。
「(……先輩、前と比べてキラキラするようになったと思ったら……アイドルプリキュアのお二人の関係者だったなんて……。私の目指した憧れがどんどん遠くに行ってしまって……悔しい)」
こころは影人の事が大好きだ。でも今の自分では影人の隣は相応しく無い。だから沢山努力して影人に追いつきたかった。むしろ影人を上回る輝きが欲しかったのだ。でも、憧れは自分の成長する速度よりもとてつもなく速いスピードで先に進んでいると思うと悔しさがでてくるのも当然だった。
「それで、こころはアイドルプリキュアに会えるならすぐに会いたいのか?」
「はい。できる限り早めが良いです」
「わかった。今本人に確認を……」
「わかったプリ。一時間後、今から一時間後に会えるようにするプリ!」
「……はあ!?」
「本当に!?そんなに早く会えるの!?」
影人は本人の都合もあると考えて少し待ってもらうつもりだったが、プリルンの勝手な発言のせいで一時間後に急遽会う事が決定してしまう。
「勿論プリ!二人から絶対に承諾してくれるプリ!」
「何だよその根拠のない自信……」
「それじゃあ、私も会うために準備してきます!」
それからこころは急いで家に戻っていくと影人はこころがいなくなってしまって唖然とする。
「……プ〜リ〜ルン?」
「プリ!?べ、別に大丈夫プリ!問題なんてどこにも……」
「問題大アリに決まってるだろ!?どうするんだよこれ!?」
影人は取り敢えずまだプリルンの捜索のために学校にいるであろううた達と連絡を取るとプリルンの確保に成功したため大至急家に戻って着替えてから三十分後ぐらいにはグリッターに集まるという話になるのであった。
また次回もお楽しみに。