キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
アイドルプリキュアライブが進行する中、そこに襲ってきたジョギと彼のダークランダー。一度はライブの進行の都合でアイドルプリキュアは予定通りのライブができなくなる危機に瀕したものの、全員の協力でライブに来てくれた観客達に一度もダークランダーの出現を悟らせる事無く無事にその処理に成功した。
「うーん……」
そして、ソウルビートの技によってダークランダーが浄化されて救出されたファンの青年が目を覚ますと起き上がる。
「あれ……俺はこんな所で一体……あ。俺、ライブチケットが無いのにこのライブの会場に来てたんだったよな」
青年は自分が生でライブを直接観ることができないという事実を改めて思い知らされるとその影響でまた闇が生まれる……なんて事は無く。
「なんか良い夢を見ていた気がする……。まるでアイドルプリキュアのライブを観れたような……はっ!そうだ。中に入れなくてもこのライブ……アーカイブも含めての配信があるんだった!そうと決まれば急いで家に帰ってライブを配信で観るぞーっ!」
こうして、自分達のライブのために会場に戻って行ったソウルビートの知らない所で彼が助け出した青年の心は浄化されていたのだった。
それはさておき、ダークランダーを浄化した後のアイドルプリキュアのライブは特に大きなトラブルが起きる事無く進行していった。
「それじゃあ私の言葉に合わせてコーレス、お願いね!キミと〜っ!」
『ズッキュン!!』
「お姉様、キラッキランランズの皆。……最高です。それはまるで、お姉様の眩い光が日々の仕事に疲れた皆の心を浄化していくようで……」
曲だけで無く、MCの時間に設けたファンサコーナーやレコーディングの裏側など。様々な楽しい仕掛けが盛りだくさんだった。
「キュンキュン、緊張のあまり上手く歌えなくてドロドロのはぐれキュンキュンになってたもんね〜」
「ちょっ!?ちょっとウインク!それは皆さんには秘密だって言ったじゃないですか〜!」
『Fu〜!!』
キュンキュンの可愛いレコーディングエピソードを聞いた観客達は歓喜の声を上げており、会場を微笑ましい笑顔に変えていく。
「キュアソウルビートに質問だよ。ソウルビートはキュアソウルだった時は紫だったけど、どうして銀色になろうって思ったんですか?だって!」
「そうだな。色を紫から銀色にイメチェンした理由かぁ……。ほら、銀色って華やかで輝いてるけど主役を食い過ぎない色だろ?俺の性格上、紫よりも銀色が合ってると思ったからかな。それにほら、紫だとキュンキュンと被っちゃうし」
質問コーナーではソウルビートがソウルの時から色変えをした理由を質問されていた。勿論ソウルビートは本当の理由は隠しつつ、それらしい答えを返す事で会場を納得させている。
またアイドルプリキュアだけで無くプリキュアシンガーズの3人も混ざったコラボ曲も盛り上がり、時間はあっという間に過ぎていった。
「それじゃあ名残惜しいけど、次が最後の一曲です!」
『ええーっ……』
「ごめんね。本当はもっと皆と歌ってキラッキランランにしたいけど、それでも最後の一曲。最後までキラッキランランズのキミ達をキラッキランランにするために全力で歌います!それでは聴いてください!」
『キミとルララ!』
そして、観客向けにラストソングとして伝えた曲。“キミとルララ”を歌い終わるとアイドルプリキュアの6人とプリキュアシンガーズの3人は“キミとルララ”のインストをBGMにステージ袖へとはけていく。その様子を観客達は拍手で送り出していた。
『ありがとうございました!』
勿論、ステージを終えた9人は観客達に最後の挨拶とばかりに声をかけつつである。
「皆、ありがとーう!」
「聞いてくれてありがとう!」
「ありがとうございましたーっ!」
「皆のハート、ズッキューン!」
「メロメロ夢CHU!」
「皆のメラメラ、届いたよー!!」
「「「ありがとうございました!」」」
アイドル達9人がステージ上からいなくなると会場が暗転して正面のモニターにライブタイトルが浮かび上がった。
そして、その様子を招待客用の部屋から見ていた夢乃達はアイドルプリキュア達がライブをしっかり最後までやり切ったという事で微笑ましい顔つきを見せていた。
「ふぅ……楽しんだのですぞ!」
「ザックリまだまだ足りねぇけどな」
「お二人共。まだありますよ」
「おおそうだった!」
「後は会場の皆さん方次第……ですぞな」
この部屋にいるメンバーはレイを通じてセトリ自体は聞いている。そのため、この後に曲がある事は知っていたのだが……それはあくまで観客達がアンコールを望んだ時だけだ。それを無しに歌をやるわけにはいかないのである。
「皆さん、お願いします……ライブと言えばのアレ。アレをやってくれれば……」
「花さん、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」
花も心配そうに見守っている中、田中の言う通り。観客達の熱はまだまだ冷めてなどいなかった。
「お前ら、まだまだ行けるよなーっ!せーのっ!プーリキュア!プーリキュア!」
「「「プーリキュア!プーリキュア!」」」
すると、そんな時に観客の中の一人。アイドルプリキュアの熱に浮かされた一人の青年が声を上げるとその友達の数人がアンコールと言わんばかりの掛け声を始める。
そして、まるでそのアンコールの輪が広がっていくかのように周囲にいる観客達はその波に乗るとアンコールを求める声はどんどん大きくなっていった。
『プーリキュア!プーリキュア!プーリキュア!プーリキュア!プーリキュア!プーリキュア!』
その声は招待客用の部屋でライブを観ていた夢乃達にも届いており、夢乃は驚いたような顔を浮かべる。
「凄い……観客の皆さんが一つになってる……」
「ああ。でも、折角こんなに大きな会場でライブをやってるんだ。そう来なくっちゃだよ」
夢乃とレイは今回のライブで観客達の心を鷲掴みにし、アンコールの掛け声をやってくれるくらいの状況に持って行ったアイドルプリキュアとプリキュアシンガーズの歌の力を目の当たりにして微笑ましい気持ちになっていた。
「自分達も声を上げるのですぞ!」
「ザックリこの波に乗らない手は無いんだぜ!」
「ええ、これこそがライブの醍醐味!曲が一通り終わった後のアンコールです!」
「三人共、ここは密室ですから程々にお願いしますよ?」
そして、招待客用の部屋にいるアイドルプリキュアオタクであるカッティン、ザックリン、桜庭花の3人は早速このアンコールに合わせる形で声を上げていた。勿論ここはホールと比べると部屋のサイズがかなり小さいので程々には抑えているが……。
その頃、舞台裏では観客達のからのアンコールを求める声はしっかりと9人に届いていた。
「皆……アンコールしてくれてる」
「これはもうやるしかないね!」
「はい。まだまだ私の心キュンキュンは止まってませんよ!」
「うん!最後までキラッキランランにするんだもんね!」
「私も皆のために全力で歌うわ」
「俺達のライブの本当のラスト一曲。皆に届けるぞ。ゆみさん、紅音さん、千夏さん。皆さんももうひと頑張りお願いします!」
アイドルプリキュアの6人は観客のアンコールを受けて気持ちをもう一度高める中、ソウルビートがプリキュアシンガーズの3人にも声をかけると3人も当然のように頷く。
「勿論ですよ!」
「最後までアイドルプリキュアの皆さんと一緒に!」
「会場をぜーんぶキラッキランランにしてみせるね!」
それから9人は観客達の“プリキュアコール”に応える形でステージに戻ると観客達からの歓喜の声と拍手が全員を包み込む。
「アンコール、ありがとう!!」
『ありがとうございます!!』
アイドルプリキュアの6人とプリキュアシンガーズの3人がステージに戻ってくるとアンコールに対するお礼を伝える事に。
「それじゃあ、アンコールにお応えして最後の曲を歌う……の前に!一言ずつ順番に、挨拶しますね!それじゃあ千夏ちゃんから!」
それから今回のライブを彩った9人の歌姫達は次々と挨拶を済ませていく。そんな中、招待客用の部屋でライブを観ていた夢乃の瞳には涙が浮かんでいた。
「夢乃さん」
「……ッ、すみません……。お兄ちゃんがあんな風に楽しそうにライブに出てるのを観るのが嬉しくて……つい……」
夢乃は自分のマネージャーである姫野からハンカチを受け取ると浮かんでくる涙を拭きながら搾り出すように今のソウルビートを見ての素直な気持ちを話す。
「そっか……。妹として、そんな事になったら嬉しい以外の気持ちなんて湧いてこないよな」
夢乃は幼い頃から兄である影人が辛い気持ちに耐えながら必死に頑張っている所や、心が折れて立ち直れない程のダメージを受けた後に夢を抱くのを諦めたような顔つきをしつつ毎日を過ごしているの一番近くで見てきた。
だからこそこうして活き活きとしてライブをやり切っていく兄の背中を見るのは心に来るものがあったのである。
「皆さん、こんな兄と出会ってくれて本当にありがとうございます……」
夢乃は自分の兄と出会って関わりを持ってくれた人達全員に向けて感謝の気持ちを呟いていた。そんな兄想いの夢乃にレイを始めとした部屋の中の一同は温かい視線を向ける事になる。
そんな間にも9人の挨拶が終わり、とうとうアンコール用に用意された本当の意味でのラストの曲。このライブの最後に相応しい曲を歌う事になる。
「それでは!最後にもう一度この曲でお別れだよ!キラッキランランに最後まで楽しもうね〜っ!」
『イェーイ!!』
アイドルが進行としてそう話すと観客達もその場の空気を盛り上げるために声を上げたそんな時。アイドルはその視線の先。一階のホールの一番奥の出入り口。
そこにはピンクのキラキライトと赤いプリキュアリボン……プリキュアアイドルハートリボンを手に持ってキュアアイドルへとそっと視線を向ける霊体の少女……アイアイ島の女神・テラの姿が見えた。
「ッ、テラちゃ……」
しかし、アイドルがその方を凝視するとその姿が見えなくなってしまう。恐らく彼女も今回のライブの話をどこかで聞いてプリキュアアイドルハートリボンの力を使い、姿を見せられないながらも様子を見に来たのだろう。
「アイドル……」
ソウルビートもそんなアイドルに一瞬だけ気を取られつつも、インカムでアイドルへと密かに進行を続けるように話しかけた。
「ッ……!」
アイドルはそれを受けて自分の役割を思い出すと改めてファンと向き合い、進行として最後の曲名発表の音頭を取る事になる。
「それじゃあ、最後の曲。行っくよーっ!せーのっ!」
『キミとアイドルプリキュア♪ Light Up!』
〜挿入歌 キミとアイドルプリキュア♪ Light Up!〜
それはこのライブの一番最初に歌われた曲であり、その時は1番2番でパートが別れていたが今度は9人全員でのフルコーラスが歌われる事になるのだった。
その間も観客達は大盛り上がりで歌のコーレスに応えていく。勿論ラストの曲という事でゆるキャラの着ぐるみサイズのプリルン、メロロンも登場していた。
『笑顔 Light up〜♪ Light up!♪届け Song love〜♪ Song love!♪きらめき〜満開ステージ開演中〜♪愛がいっぱい〜♪プリキュア!♪大丈夫ゼッタイ〜♪プリキュア!♪』
アイドルプリキュアもプリキュアシンガーズも最後の曲で疲労感が一番ピークに達していたものの、それでもこの楽しい空間と時間のおかげからかパフォーマンスの質が落ちるどころか逆に上がっていく。
『歌って踊って〜ファンサしてChange the world〜♪Come on join us♪』
そして、あっという間に曲はラストの方へ。名残惜しいが、ライブが始まるという事は当然終わりもある。そしてそのため9人の歌姫達とゆるキャラプリメロがステージ上の広い空間に集結した。
ウ、ズ、熊「「「伸ばす手と手触れるフレーズ♪」」」
キュ、キッ、吉「「「アコガレ光になる♪」」」
ア、ソ、石「「「今日ここからハジマレ未来♪」」」
『キミとアイドルプリキュア♪』
『Fu〜ッ!!』
最後の最後の演出として残っていた巨大クラッカーが会場中に雨をカラフルな紙テープの雨を降らせるとゆるキャラを含めた11人は最後に観客へとお礼を言う事になる。
『ありがとうございました!』
まずは全員で声を合わせてから配信で観てくれているファン達へと挨拶をする事に。
「まずは、配信を観てくれているキミ!ありがとうございました!」
『ありがとうございました!』
その後急なライブ開催だったのにも関わらず、こうしてパシフィコ横浜の地に集まってくれたファン達……キラッキランランズのためのお礼も続けて言った。
「そして勿論、会場で観てくれているキラッキランランズのキミ達にも!本日は本当に……ありがとうございました!」
『ありがとうございました!』
こうして、最後の挨拶が終わると観客達の無数のキラキライトと拍手に見送られる形で順次ステージの端へとはけていく。そして、最後に残ったアイドルは一人だけ階段を登ってステージ正面。映像の映るスクリーンの下にある出入り口の前に立つと視界いっぱいに広がるファン達へと手を振りながら別れの挨拶をした。
「皆〜絶対にまた会おうね!約束だよ〜っ!キラッキランラン〜♪!!」
アイドルはそう言いながら出入り口を潜るとステージから姿を消す。それから暫くの間、最高のライブを披露してくれたアイドルプリキュアに向けられたファン達からの賞賛の拍手が鳴り止む事は無く。
こうして、アイドルプリキュアが開催したアイドルプリキュアの生ライブは……大成功と言える結果で幕を下ろす事になるのだった。
また次回もお楽しみに。