キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
アイドルプリキュアのライブが無事に終了してから約1週間後。はなみちタウンにあるカフェ、“cafe Hanamichi”では影人、うた、なな、こころ、レイの5人にプリルン、メロロンの2人が加わった7人でテーブルを囲んでいた。
尚、プリメロは妖精態であるために椅子には座っておらず。うたの近くにフワフワと浮かんでいた。
「ライブ楽しかったプリ〜!」
「ねえたま素敵だったのメロ〜」
「ネットの記事とかでも話題になってますよ!」
するとこころが早速ネットの記事を調べるとそこには“アイドルプリキュアライブ大成功”という見出しと共にネットニュースとして表示されており、世間的に見てもアイドルプリキュアのライブは大成功として見られているらしい。
「「(プリ)(メロ)〜!!」」
「凄っご〜い!」
「喜んでもらえて良かった」
うたやなな、プリメロが興奮しているとそのタイミングで影人が思わずある事を言い出す。勿論それはライブのタイミングに合わせて襲撃を仕掛けてきたジョギの事だ。
「正直、裏で俺達があれだけ頑張ってダークランダーへの対処とライブの両立を頑張っていたんだ。大成功してなかったら逆に困る」
「そういや、そんな事がライブの裏であったらしいな」
あの日、レイ達招待客用の特別ルームで観ていたメンバーも含めてライブの裏でチョッキリ団からの襲撃があった事は誰にも伝えられておらず。下手をすればそれのせいでライブの進行に影響が響く可能性もあった。
そのためチョッキリ団の件に関してはその場では伏せられ、ライブが全て終了した上での事後報告のような形で済ませる事になる。
「あの時は本当にどうなる事かと思った」
「すまないな……俺達も全然気が付かなくて」
「レイ君達は何も悪く無いよ。むしろ、私達が周りの人が一切気が付かないように立ち回っていたんだし」
レイとしてはチョッキリ団襲撃に関しては知っておきたい所があった。知っていた所でチョッキリ団に対応できるというわけでは無い。しかし、チョッキリ団以外の事。
例えばライブの進行を急遽変更とかはできたかもしれない。むしろ、本番ではその働きかけが全く無かったのでもし仮に少しでも進行にズレが生じていたら現場は大混乱待った無しだろう。
「まぁ、折角純粋にライブを楽しんでいる俺達に要らない心配をかけさせたく無いっていうのはわかってるつもり。だけど、俺達の仕事はそういう不測の事態に対応する事。今度からはちゃんと言ってくれよ?」
「うっ、それはすみませんでした」
結局納得はしてもらえたものの、レイから完全に釘を刺された形の影人達。そして他のメンバーにそういう指示を出した影人は反省した様子でレイへと謝る事に。
「と、とにかく!沢山のキミにキラッキランランになってもらえて、私も凄くキラッキランラン〜♪」
そんなわけで軽い反省会ムードになりつつあった場を明るく締めくくるべくうたがそう言うと突然妖精であるプリメロ以外が所持しているそれぞれのスマホに通知音が鳴り響く。
『(うん)(プリ)(メロ)?』
そのため、今現在スマホを開いているこころがメッセージアプリを開くとそこにはアイドルプリキュアのグループチャットの所に田中からメールが届いていた。
「あ、このスタンプ」
「田中さんことタナカーンの妖精態の物だな」
「アイドルプリキュアが人気になってきたって事で導入したメッセージアプリでのアイドルプリキュアのスタンプですよね」
実は少し前、アイドルプリキュアの人気に便乗する形でメッセージアプリのスタンプにもアイドルプリキュア仕様の物を関係会社に依頼して作ってもらっていたのだ。
「田中さんがそれを使っていたのは意外だったけどね」
「えっと、肝心のメッセージですけど……」
改めてこころがスマホを見るとその画面にはタナカーンの顔のスタンプで“へるぷ!ヘルプ!HELP!”という文字が付いている物が表示されており、田中が今大変な状況下に置かれているのだと察せられた。
「プリキュアプリティーストアが大忙しなのでお手伝いに来てほしいとの事です」
「なるほど、そういう感じかぁ」
「プリ〜!プリティーストアでお手伝いプリ!」
「メロロン達がそこでお手伝いするのは初めてなのメロ」
どうやら田中は丁度プリキュアプリティーストアの店番をやっているようであり、そこでの仕事が大変な事になってるようだ。
「それにしてもプリティーストア、ライブを経て更に人気が加速したような感じだよな」
「これまではネット上に動画が挙がるだけで直接会う機会っていうのはあったとしてもこの街の中が殆どだったらな」
今回はなみちタウンの外であるパシフィコ横浜でのライブ。しかも5000人を集めるライブをやってそれを過程はどうあれ成功させたのだ。注目度が更に上がるのは当然の結果である。
「既にプリティーストアその物を全国展開する考えも出ている」
「本当に!?」
「ああ。とは言ってもまだお店を個別で作るとかじゃなくて同じく全国展開しているPretty_Holicのお店の一角にプリティーストアのコーナーを設けてもらうっていう形だけどな」
「「「おぉーっ!!」」」
レイは今回のライブの成功を受け、アイドルプリキュアの関連グッズを買えるプリティーストアをどんどん全国に売り出す手を使おうと考えていた。
ただし、流石に全国的なプリキュアプリティーストアの展開を新しくお店を一から作る……というのはまだ資金的にも厳しそうなので最初の方にCM出演の話が来て以降度々お世話になってるPretty_Holicのお店の一角にコーナーを設けて売り出すという形を取る事で世間への認知度を上げていこうという所だろう。
「よーし!それじゃあ今日はお店のお客さん達をキラッキランランにしちゃうよ〜!」
「決まりだな。それじゃあ早速……」
そんなわけで、影人達は田中からの要請を受けてこの日はプリキュアプリティーストアの方のお手伝いをするという方針に決定。早速一同はプリキュアプリティーストアの方へと行こうとする。
「……あれ?」
「うん?咲良さん、どうしたんだ?」
そんな時、うたがいきなり何かに気がついてその方を向く。それに気がついた他の面々もうたの視線の先を追うとそこには帽子と眼鏡を着用して変装しつつ街中を歩くカイトがいた。
「あれはカイトプリ」
「声をかけなくて良いのメロ?」
メロロンは折角カイトを見つけたのだからうたに声をかけるように促す。しかし、うたはそれを聞いて思わず驚いたような声を上げた。
「うええっ!?」
「またいつものようにプライベートでのお散歩中って所かな」
レイはカイトが何故ここを歩いているのか予想しているとなな、こころ、メロロンの3人が一瞬にしてうたの方を向く。理由は当然うたへと声をかけるためだ。
「うたちゃん。ファイトだよ!」
「2人の恋の幕はとっくにあがっちゃってます!」
「咲良さん、折角のアタックチャンスを逃したらダメだぞ」
するとななとこころは瞳にキラキラマークを浮かべつつうたへと興奮気味にそう言う中、レイはレイで完全にうたを揶揄う目的での言葉を入れていく。
やはり彼は弄れるネタがある時はとことん弄り倒したいようで。ななとこころもいつもの煩悩が発動。そんな3人からの言葉を聞いたうたは脳内が爆弾を詰められすぎて混乱してしまう。
「うぇえええーっ!?」
「……お前らは相変わらずだな……」
影人は最早定番の流れになりつつあるうたの恋の話に呆れたような顔つきを見せる。そして当然逃げ道を失ったうたは影人へと泣きつこうとするわけで。
「影人君お願い助けてーっ!」
「無理だ、諦めろ」
「うわぁああ……影人君が裏切ったぁあっ!」
「だから俺に言ってもどうにもならないって毎回言ってるだろ」
「恋!あなたを見るだけで、溢れる幸せ……」
影人が泣きついてきたうたを上手く捌いているとメロロンがお約束のポエムを口ずさむ。
「いやいやいや!」
「溢れる幸せ?」
うたはどうにか自分がカイトに恋しているという疑惑を否定しようと首を横に振る。しかし、その顔は純情のせいで赤かったためになな達の疑惑の炎はどんどん燃え盛っていた。
そんな中でもプリルンはそんな会話をしている他の人達の会話を聞いてキョトンとする。彼女も彼女で相変わらず恋愛方面には相当疎いようで。
「プリ!カイトはうたのタコさんウインナープリ!」
「ちょっ、それどういう事!?」
「お前は毎度毎度そういう所がブレないな……」
まさかのカイトの事をタコさんウインナーに例えてしまうという謎発言までやってしまう。影人はプリルンの発言に最早実家のような安心感を感じつつあり、それだけプリルンにはどれだけ恋愛の話をしても理解が追いつかないのだと感じ取る。
そして、影人達がこうやって普通に会話をしている間にもカイトは
移動を続けているわけで。このままでは彼が歩いて行ってしまう。そのため、メロロンはうたに今すぐ追いかけるように話す。
「あっ!カイトが行っちゃうのメロ!」
「えっ!?」
「早く追いかけるのメロ!」
「えっ、でも……」
しかし、うたはうたですぐ追いかける決心が付かない。前のデートでカイトにどんな気持ちを持っているかの自覚はできていてもだからってカイトに話しかける時の緊張感は無くなったわけではない。
そのため今回のように気持ちを固める前に行くというのはうたの中ではあまりやりたいと思えなかった。
「カイトさん、もうすぐライブツアーでしょ?暫く会えなくなっちゃう」
「ほら、今が最大のチャンスだぞ?改めてだけどこれを逃したらもう暫く会話なんてできないからな」
ななやレイは覚悟を決められないうたへと行くように促すが、うたは何かとつけてはその問題から目を逸らそうとしてしまう。
「だけど、プリティーストアのお手伝いあるし……」
「それは私達がやりますから!」
「咲良さん。俺からもだけど、今を逃したら本当に話すチャンスは無いからな?」
うたの逃げの一手に対し、それはこころが封殺。更に影人がうた背中を後押しするように言う。……それでも彼女には迷いがあるようで。
「でも……」
そんなうたの脳裏にある光景が浮かぶ。それはこの前のカイトとのデートの件にて最後にカイトへと言った言葉をだった。
“……また会えますか?また!会いたいです!”
“勿論だよ!”
うたはそれを思い出すと余計に行きづらいと感じてしまう。何しろ、あの発言だけを切り取ればうたはもう一度会いたいくらいカイトの事が気になってるという事を彼に伝えている事になる。そのため、うたは恥ずかしさから勇気が出せずにいたのだ。
「ッ……」
「うたちゃん!」
するとなながうたへとそっと手を重ねつつウインクを見せる。それは、うたから教えてもらった勇気を出すためのおまじないだった。
「……!!」
そして、うたはななから勇気を分けてもらうとようやく覚悟を決める事ができたのか。その様子を見ていた影人達に自分の覚悟を伝えた。
「ごめん皆。お店の方はお願い!」
うたはそう言ってカイトの後を追いかけるようにその場から走り出す。そんなうたの純情からの行為を見たメロロンはうっとりとした様子であった。
「甘酸っぱいメロ……」
「やれやれ。まぁ、咲良さんがそうしたいのなら俺達はそれを支えるだけだしな」
「それじゃあ、俺達は田中さんの方を手伝うためにプリティーストアの方に行くぞ」
「楽しみプリ!」
そんなわけでうたを見送った影人達も田中の手伝いをするべくプリティーストアの方へと向かう事になるのだった。
それから場面が変わり、はなみちタウンの公園。そこには先程影人達が見かけていたカイトがやってきていた。
彼が出歩いている所を見るに今日はライブツアー直前の数少ない休みの日なのだろう。そんなカイトが公園内を歩いているとその正面からとあるフードを被った男性とすれ違う。
「……響カイト」
「ッ!?」
カイトは変装しているのにいきなり名前を呼ばれたということで慌てて驚いて振り返る。しかし、何故かそこには誰もいない。そう、誰もいないのだ。つい数秒前にすれ違ったフードの男性さえもいないという事でカイトは困惑する。
「ッ……」
そんな時、うたが公園の入り口に到着するものの、様子のおかしいカイトを見たため思わず近くにあった木の裏に隠れる形で彼を見る事にした。
「カイトさ……あれ?」
そして、うたが公園の入り口付近からカイトを見守っていると彼は悲しそうな顔つきでとある人物の名前を呟く。
「カズマ……」
それからカイトは自分が進んでいた方に歩き出した。それを物陰から見ていたうたは複雑な気持ちになってしまう。
「(カイトさん……)」
そのままうたはカイトの元に向かう気持ちが湧かず。そのままUターンして来た道を戻ってしまうのだった。
そんな中、歩き出したカイトの様子を上から見つめる影がいる。それは先程カイトとすれ違ったフードの男……ジョギだった。
「久しぶりだね、カイト」
ジョギは笑みを浮かべつつカイトを見下ろしており、そんな彼はまるでカイトと面識のあるような雰囲気である。
「ふふっ、まぁお前はもう俺の事なんて眼中に無いかもだけどな」
その言葉を最後にジョギはその場から消え去る。果たしてカイトの呟いたカズマという人物は一体誰なのか……。そして、カイトと面識のある様子のジョギ。カイトとジョギはどういう関係があるのか。それが明らかになる時は……近い。
また次回もお楽しみに。