キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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プリティーストアのお手伝い

うたがカイトを追いかけて公園での一幕を見ていた頃。影人達が向かったプリキュアプリティーストアの中ではアイドルプリキュアのライブ以降、更に人気が高まった影響で客が沢山訪れている。

 

今も店員として働き中の田中が商品を購入した客へと商品を袋詰めした袋を手渡していた。

 

「ありがとうございました」

 

「あの!マネージャーの田中さんですよね!?」

 

「ッ、何故私の名を?」

 

すると田中から袋を受け取った2人組の少年の内の1人が興奮した様子で田中へと話しかける。そして、田中はいきなり自分の名前が呼ばれた事でキョトンとしているともう1人の少年も話に加わってきた。

 

「ファンなら皆知ってますよ!」

 

「「アイドルプリキュアのこれからも支えてください!!」」

 

どうやら、マネージャー田中についてもアイドルプリキュアの知名度が上がるのに合わせてファンの中では噂となっているらしい。そして、田中もそう言ってもらえて嬉しかったのか……。眼鏡へと手を添えつつ優しい笑顔で答えを返した。

 

「ふふっ、はい。ありがとうございます」

 

「(田中さん……やっぱり凄いなぁ。私もそんな田中さんみたいな立派なマネージャーにならないと……)」

 

そんな中、田中の隣のレジでお手伝いをしていた姫野は自分の仕事をこなしながらその様子を見ていた。するとそっと田中が話しかける。

 

「姫野さんもすみません、姫野さんだって今日は大事なお休みだったのに」

 

「ッ……いえ、私は大丈夫ですよ。私はアイドルプリキュアの力になりたいと思って働いてるのは確かですし。それに……」

 

「それに?」

 

「……いえ、やはり何でもありません。仕事の方に戻りましょう」

 

「……えぇ」

 

姫野は正直な所、今のタイミングで自分は田中の力になりたいという趣旨の言葉を言いたかった。しかし、今はお客が列を成して待ってくれている時。そのためこんな事をして待たせてはいけないと感じたのである。

 

「(……はぁ、田中さんとどこかに出かけたいなぁ……)」

 

ただ、姫野は内心で田中と出かけるのを諦めていない様子で。どうにかして時間を作りたいと考えてはいるが……その田中がワーカーホリック側の人間であるために姫野はどうやって連れて行こうと悩んでいた。

 

それはさておき、レジ担当の2人に対してカッティンとザックリンは人間態で商品陳列作業中である。

 

「これは……こうですかな……」

 

カッティンの方はアクスタやら缶バッジを担当しており、決められた通りに商品を追加していく。するとカッティンへと声がかけられて彼が振り向くとそこにはアイドルプリキュアのファンの女性が立っていた。

 

「あの、すみません」

 

「むむ、何ですかな?」

 

カッティンは女性の方を振り向くと店員としての笑顔を見せる。こういう接客の上で大事な要点も姫野のスパルタ教育でバッチリだ。

 

「アクスタってどこにありますか?」

 

「はっ……アクスタ……。つまりアクリルスタンドは……こちらにありますぞ!!」

 

カッティンは女性からの質問に対し、早速店員としてアクスタの場所へと案内。すると女性は並べられたアクスタを見て興奮したような声を上げる。

 

「わぁああ……」

 

「ちなみに自分は……6人コンプリートですぞ!」

 

そして、カッティンは女性とのコミュニケーションをするべく両手に6人分のアクスタを持った。彼も彼でしれっとオタ活は順調らしい。チョッキリ団にいた頃と比べると彼は大っぴらにアイドルプリキュアを推せるようになったという点が大きいだろう。

 

そして、それを見せられれば女性もオタクとしての気持ちが刺激されるわけで。

 

「私もコンプリートします!」

 

カッティンと女性はアイドルプリキュアのファンとしての交流を深めると女性は今日買う分を持っていく事になる。

 

「ふふっ、推し活はやっぱり最高なのですぞ!」

 

一方でザックリンの方もアイドルプリキュア6人のプリプリお手玉と呼ばれる丸いお手玉のような商品を陳列中であった。

 

「うーん……なんかザックリ物足りないなぁ……」

 

ザックリンは一番上の団にアイドルプリキュア6人が並んでいるのを見て微妙そうな顔を見せる。そして、彼はある事を考えついた。

 

「そうだ。ザックリこうするのが良いんだよ」

 

するとザックリンは棚の上から二段目の所にキュアウインクのお手玉だけを一列分横に並べる。こうする事でキュアウインクだけが視界に映るようになった。

 

「ふひひ……。中々良い景色だぜ。あ、折角ならこうするか」

 

ザックリンはそう言いつつしれっとアイドルの場所をウインクと交換させ、ウインクをセンターポジションの位置にしてしまう。そうする事でザックリンは一つ下の段にある一列丸々ウインクと併せて眩い輝きを感じる事ができた。

 

「ふっ、ザックリ眩しいぜ……」

 

この時点で私欲全開のザックリンがウインクオタクとしての気持ちを爆発させているとそこにキュアウインクのファンと思われる女子3人組がやってくると声を上げる。

 

「「「きゃーっ!キュアウインクのください!」」」

 

「はい!ザックリ喜んで!」

 

ザックリンは他人から聞かれたら絶対に認めないが、自分と同じ推しであるのが嬉しいと言わんばかりに女子3人組へとウインクのぬいぐるみを差し出す。

 

「「「ありがとうございます!」」」

 

「ふっ、良いって事よ。キュアウインク推しとしてウインクの良さがわかるんだったら俺もザックリ嬉しいからな」

 

「「「ッ!私達もです!」」」

 

そんなわけでこっちもこっちでアイドルプリキュアという共通の話題を通してオタクとしての絆を深める事に。

 

そんな中、スタッフだけが入れる裏方のポジション。そこにはプリルン、メロロンがいた。

 

この様子を見るにどうやらうたを除いた影人達6人が到着したらしい。すると早速プリルンとメロロンはお手伝いのために人間態へと変身をする。

 

「メロロン、行くプリ!」

 

「メロ!」

 

それから二人はキラキライトを使用するとそれがキラッキランリボンバトンに変化。そして自分達が身に付けているリボンを使用して装填する。

 

「プリ!」

 

「メロ!」

 

そのままキラッキランリボンバトンを振るとその光が二人を照らし、その姿を人間態へと変化させた。

 

「よーし!タナカーンのお手伝い頑張るぞーっ!」

 

「2人共、そろそろ大丈夫か?」

 

「はーい!今行くねー!」

 

「お姉様と一緒にお手伝い……ふふっ」

 

めろんはぷりんと一緒にプリティーストアでのお手伝いができる事に胸を躍らせる事になる。

 

それから影人達は早速店員のための服装を身につける。手伝いをするという事で一応お店の関係者の服装は必要だと判断したからだ。

 

そんなわけで一同はお店への手伝いに入ったわけだが、先程の件でめろんの踊った胸はある物に一瞬で撃ち抜かれた。それは……。

 

「はうっ……」

 

可愛らしいキュアズキューンの絵が描かれたふわふわクッションを見ためろんは思わずその可愛さに胸を撃ち抜かれてしまう。

 

「お姉様……あーっ!素敵ぃいいいっ!」

 

そして、そのままそのクッションが気に入っためろんは興奮した様子でクッションに頬擦りしてしまう。本当に彼女はぷりんの事になるとどうしてもクールキャラが崩壊してしまうらしい。

 

するとそこにクッションに描かれたキュアズキューン本人……ぷりんがやってきた。

 

「めろん、どうしたの?」

 

「はっ……」

 

ぷりんは丁度お店に並べるための荷物を持ってきており、様子が変なめろんへとキョトンとした顔つきを向けている。そして、めろんはクッションと本物。二つの“お姉様”を視界に入れてしまった。

 

「うん?」

 

「あ……あぁ……お姉様が2人……」

 

「えっと……」

 

めろんはクッションとぷりんの姿を見比べる中、相変わらずぷりんはよくわからない様子である。そして、めろんの許容量を超えた尊さは溢れ出てしまうわけで。

 

「かはっ……なんて破壊力……」

 

「うわあっ!?」

 

めろんは本物とクッションによるダブルパンチを受けて耐え切れず、思わず尊さで後ろに倒れかけてしまう。

 

そして、急に倒れかけてしまっためろんを慌ててこころが支える形で押し留めると未だに意味不明な状態のぷりんへと補足するように話す。

 

「どのグッズも可愛い過ぎて心キュンキュンしてます」

 

「めろんは相変わらずのぷりんLOVEだなぁ……」

 

影人はめろんが尊さで倒れている姿を見て呆れる中、めろんは続けて影人の方に視線を移動。そして、そうする事で影人とぷりんを同時に視界に入れる事になる。

 

「は、はわわ……影人も入ると本当にダメ……」

 

「めろん先輩!?とにかく正気に戻ってください!」

 

「……どうするんだよこれ」

 

こうして、めろんは自分が大好きな影人とぷりんの影響で完全にノックアウト。こころは慌ててめろんを介抱する事になるのだった。

 

影人達がそんなやり取りをするのと同時並行して。ななとレイの方では先程カッティンが担当していたアクスタの方の陳列を手伝っていた。

 

「なな、これはここで良いんだよな」

 

「うん、それにしても凄い売れ行きだよね」

 

何しろ先程カッティンが補充したにも関わらず、アクスタの方は再補充しないといけなくなっている。その点からもアイドルプリキュアの人気の片鱗を見る事ができるだろう。

 

「確かにそうだよな。アクスタに関してはこれから色々バリエーションを増やしていく事になるだろうし、コレクターからしてみると堪らないだろうな」

 

「………」

 

するとななはレイの話を聞いて少しだけ考えると多少恥ずかしさはあったが、彼へと質問する。

 

「れ、レイ君」

 

「どうしたんだ?なな」

 

「えと……アクスタだけどさ。他の衣装とかでも撮れないかな……例えばもうすぐハロウィンとかだからコスプレ仕様とか……」

 

ななは正直それを言い出すのは恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。何しろ提案した衣装を実際に着るのは自分達。ただ、それでもななはレイが望むなら構わないとばかりに話を持ちかけた。

 

「そうだな……。確かにそれもありだけど……アイドルプリキュアの姿って着替えできたっけ?」

 

「えっ!?あっ……ご、ごめん……」

 

レイは正直ななからの提案は嬉しかったが、ふとアイドルプリキュアの衣装の着脱の可否が気になって問い返す。ななはそれを受けて衣装の着脱ができない事に思い至った。

 

「……なな、もしかして俺のためにコスプレしてくれるつもりだった?」

 

「ッ……え、えっとそれはその……」

 

「もう、そんなに無理しなくても大丈夫だぞ。もしアイドルプリキュアでそういう事をして欲しかったらちゃんと話すから。少なくとも、ななが嫌がるようなやり方はしない」

 

ななは自分の発言が完全に墓穴を掘ったと考えて思わず赤面。そして、レイはそんな彼女へと優しい視線を向けつつ話す。

 

「まぁ、正直なながアイドルプリキュアとして他の衣装にコスプレしてる姿を見たいと言えば見たいかな」

 

「う、うぅ……できれば忘れてもらえると助かるけど……」

 

「それは多分無理だな。あんな可愛いななを忘れられるわけがない」

 

ななは赤面しながらダメ元でレイへと今の自分の発言の件を忘れてもらおうとするが、残念ながらレイが自分の彼女の可愛い姿を忘れるわけが無い。そのためなな苦笑いしつつも今回の件を諦める事にした。

 

「だよね……うん?」

 

「うぅ……」

 

ななとレイがそんな風に話をしていると丁度そのタイミングでプリティーストアの自動ドアが開くと共に先程カイトの元に行ったはずのうたが戻ってきた。ただ、彼女の顔つきは浮かないようで。

 

こんなにもわかりやすく悩んでいますみたいな顔をしていたら気にならないはずが無い。そのためななが声をかけた。

 

「うたちゃん?」

 

「へ?ああ、遅くなってごめん!」

 

うたはいきなり声をかけられた事で驚くが、やはりこの反応からしてカイトに話しかける際に何かがあったのだと察せられた2人はすぐにそれを聞こうとする。

 

「うたさん!お店の裏からキーホルダーを取ってきてくださるでしょうか?」

 

しかし、残念ながらタイミング悪くお店のレジにいた田中がフリーであるうたの存在に気がついてしまうと彼女へと声かけてしまう。

 

どうやら店頭に並んでいるアイドルプリキュアのキーホルダーが在庫切れしてしまったらしく。できればすぐに取りに行きたかったがレジ担当の田中や姫野の前には何人かの客がまだレジ待ち中。要するに、今彼は手が離せない状況であったのだ。

 

「はい!わっかりました!」

 

うたは混乱したような雰囲気のまま、元々手伝う予定だったプリティーストアのお店の手伝いへと参加。田中からの要請に応えてさっさとお店の奥の方にキーホルダーを取りに行ってしまうのだった。

 

「うたちゃん……」

 

「あの様子だとカイトさんへのアタックは失敗した感じっぽいなぁ……」

 

ななとレイは元気の無さそうなうたを心配そうに見る中で、あくまでそのうたはできる限りいつも通りの雰囲気で働いている。

 

「でも、告白してフラれたとはまた違う感じっぽいから後で皆揃ってる時に聞いてみる方が良いかも」

 

「そうだね。今はお手伝いの方を頑張ろう!」

 

それから暫くして。プリティーストアのお店が一旦閉まる時間になる。そのタイミングに合わせる形で影人達はお店の店舗部分に集まるのだった。




また次回もお楽しみに。
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