キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ジョギの手によってまさかの響カイトがダークランダー化。そしてそのダークランダーに圧倒されたプリキュアは纏めて地面に倒れ込んでしまう。
そんな時だった。はなみちタウンの海の向こう側……世界を飛び越えたその先。アイアイ島の島では女神となったテラがトットと話をしていた。
「ええっ!?女神様……あ、アイドルプリキュアのライブを観てきたんですか!?」
「え?まぁ……。でもうた達と会えなかったのは少し残念だったわね。うたが残してくれたこのリボンの力でも私の魂だけを向こうに飛ばすのが精一杯だったみたいで」
女神テラが持っているのはうたが自分達との絆は永遠に切れないという意味を込めて彼女に預けていたプリキュアアイドルハートリボンである。
このリボンがテラをうたのいるパシフィコ横浜にまで連れて行ったと考えると……やはりこのリボンが2人を結ぶ鍵になるらしい。
「ああ……この前見せてくださったあのライブはとても素晴らしかった。できればこの私も観に行きたかったですよ……」
「ッ、仕方ないじゃない。これを使って移動できるの、私だけだし……」
トットが羨ましがる一方でテラは顔を赤らめつつ恥ずかしそうにしていた。何しろ、テラは自分だけが移動できると知って自分の想いは海を飛び越えてうたの元に届くくらい大きいのだという事実に思い至ったからだ。
「はぁ、それじゃあ……私はいつものようにヤミクラゲの定期的な浄化を……」
それからテラは女神として覚醒して以降、先代女神のアマスも定期的に行っていたヤミクラゲの浄化をしに行こうとした。その瞬間……。
「うわっ!?」
「如何されました?」
いきなりテラが持っていたプリキュアアイドルハートリボンが赤い輝きを放ちつつチカチカと点滅。更にその光が少しずつ弱まっていく。そして、そのリボン越しにテラはうた……と言うよりはキュアアイドルが窮地に陥っているのを感じ取る。
「今の感覚……まさかうた……」
しかし、今のテラには直接うたを助ける事なんてできない。何しろ、もう今の彼女はこの島の女神。そう簡単に何度も何度も島を離れるなんて事はあってはならないのだ。
「女神……様?」
「……すぐに山の頂上にあるアマスの像に行くわ。あなた達は普通に生活してても構わないから」
「えっ!?」
そのままテラはその場から駆け出す形で1000年前にアマスが石化した山の頂上へと移動。そこにある1000年前にアイドルプリキュアが島を救ったことが記された石板の前に立つとテラはプリキュアアイドルハートリボンを持ったまま手を合わせて祈る。
「(キュアアイドル……お願い……負けないで……)」
そして、テラのその祈りが手の中に持っていたプリキュアアイドルハートリボンの鼓動を更に強くする事になるのだった。
場面が戻り、ハートガーデンの中。そこでは最初にダークランダーにやられていたズキューンとキッスが立ち上がると構えていた。
その直後、ダークランダーはアイドルプリキュアの前に降り立つと立ちはだかる。そして、ダークランダーは鞭を両手で持つと二度ほど両側に引っ張る事でやる気がある事を示した。
「クラクラ!」
「光り輝くレジェンドアイドル……響カイトに闇があるなんて……。面白いね?」
するとそんなダークランダーの丁度真上くらいの位置にジョギが移動してくるとプリキュアを見下ろす。そんな彼を見たアイドルは先程のやり取りからジョギとカズマが同一人物であると見て取れたために確認の意味を込めて声を上げた。
「……本当にあなたが……カズマさんなんですか?」
「そうだね。そう呼ばれている時もあったよ」
「そんな……」
そして、ジョギはアイドルからの質問に肯定。それはつまり、ジョギの正体はカイトが親友だと言っていたカズマであるという事になる。
ただ、まだこの時点ではアイドル以外の5人はカズマの存在自体を知らないのでウインクがアイドルへと今の話に出たカズマについて問いかけた。
「カズマさんって?」
「……カイトさんの親友」
そして、当然アイドルから語られた衝撃の事実に5人の中には動揺が走る事に。
「ええっ!?ジョギが……」
「ッ……まさかこの2人にそんな繋がりがあったなんてな。だけどそうなると……」
ジョギがカイトの親友だという話を聞いて驚く他のプリキュア達。しかし、そうなると当然ある疑問が湧いてくる。それは勿論、カイトが親友と認めた男が何故世界中を真っ暗闇に染めようとするチョッキリ団側にいるのかという話だ。
「どうしてカイトの親友が……チョッキリ団にいるの?」
「チョッキリ団……ねぇ。まぁ、僕から言わせたらあんなのと一括りにされるのは正直勘弁だけどねぇ」
ズキューンの質問にジョギはダルそうな顔をしつつ答えを返す。どうやら彼一個人としては自分がチョッキリ団の1人にカウントされている事実をそこまで良く思っていないらしい。
「あなた何者!?」
「何で、何でカイトさんを!!」
それからキッス、アイドルが更に立て続けに質問をする。しかし、流石に質問ばかりが投げられる現状に少しだけイラッとしたのか。これ以上プリキュア達とのお話はお断りの様子だった。
「ははっ、質問ばっかりだと困るなぁ。君達とお喋りするつもりは無いよ。ダークランダー!!」
そんなわけでジョギはこれ以上の会話は無意味だと言う事でダークランダーへと指示を出す。そしてそれを受けたダークランダーは先程と同じように鞭の両端を一度だけ両側に引っ張ってから鞭を振るう。
「ッ……」
「こうなったら戦うしか無さそうだな」
ダークランダーの振るった鞭から凄まじい衝撃波が発生するとそれをプリキュアの6人は後ろにジャンプする形で回避。しかし、まだダークランダーは攻撃の手を緩めるつもりなんて無い。
「ッ、何か来るぞ!」
「ダークラン……」
ソウルビートが嫌な予感がして叫ぶと同時に彼等の正面にいるダークランダーは鞭を根本で持って自らごと高速回転。
「また前みたいな回転攻撃!?」
「ううん、多分あの時よりももっと強力な……」
するとダークランダーは自ら回転する事によって風を巻き起こすとその風圧によって自分自身が巨大な竜巻と化す。
「ダァアアッ!」
「ッ!?」
「あれ、凄い威力ですよ!?」
「こっちに来るわ!」
ダークランダーは竜巻状態のままアイドルプリキュアを一気に捩じ伏せるべく進んでおり、このままではひとたまりもなくやられてしまう。
「クラクラァ!」
「ソウルビート、前みたいにダークランダーを転ばせられない?」
するとアイドルが前のコーヒーカップダークランダーの時のようにダークランダーを転ばせられるかとソウルビートに問うが、残念ながら彼からの返事は芳しく無かった。
「いや、今回は転ばせる時に狙った足元も竜巻になってる。流石にあの状態から転ばせるのは無理だ!」
「それなら私が止めるよ!」
ソウルビート達が話す間にもダークランダーはどんどん接近してくる。そのため、ウインクが胸にあるブローチをタッチするとすかさず技を発動させた。
「ウインクバリア!」
「ダァアアッ!!」
そして、ウインクが展開したバリアに対して正面からぶつかる竜巻化したダークランダー。ウインクはその凄まじいパワーに必死に耐えるが、ダークランダーの力は圧倒的でありどうしても押されてしまう。
「うっ……くぅうっ……」
「ウインク!?」
「流石に1人は無茶だ!」
ソウルビートは今のでウインク1人では抑え切れないと判断。すかさずソウルリンクライトのダイヤルを合わせて技を発動。そのままウインクの肩に両手を置く。
「ッ!!」
「力を合わせるよ。ウインクの力、ソウルビートバリア!」
ソウルビートの言葉と共にウインクバリアの更に後ろ側にソウルビートのバリアも展開。2枚重ねにしたバリアで抑え込むつもりだった。
「無駄だよ」
「ダークゥウ……ラァアアン!!」
しかし、ダークランダーのパワーは増す一方であり2人分のバリアでも抑え切れていなかった。
「ぐ……これでもダメかよ……」
「ッ……!」
このままではバリアが破壊されて全員纏めて吹き飛ばされてしまう。そんな時、アイドルとキュンキュンがウインクの両側に立つとウインクの片手ずつをそれぞれ両手で支える形でフォロー。
「ッ、皆!」
「私達も手伝うよ!」
「うん!」
ウインクが自分を助けてくれる仲間達に心強さを感じていると残っていたズキューンキッスもソウルビートの背中を片側ずつ両手で支えており、6人が一つの塊となっていた。
「「「「「「はぁあああっ!」」」」」」
「クラ!?クラァアアッ!」
そのままダークランダーを押し返すために6人は力を込める。対してダークランダーもバリアを打ち破るために更に押し込もうとしてきた。その時、アイドルはダークランダーに囚われたカイトに少しでも希望を与えるために呼びかけた。
「カイトさん!」
「ッ、ううっ……うわぁあああっ!」
しかし、アイドルからの声かけも虚しく……ダークランダーの中に囚われているカイトは今まで以上の闇を放出してしまう。
そして、そのパワーによって更に凶暴化したダークランダーはソウルビートとウインクが協力して展開した二重のバリアをあっさりと打ち破ると同時に6人を吹き飛ばしてしまう。
「「「「「「うわぁああああっ!?」」」」」」
そのままバラバラに叩きつけられる6人。そして、カイトの変化したダークランダーはカイトの動きをトレースしているのか……溢れ出る闇に対して苦しそうに頭を両腕で抑えていた。
「ダーク……ダーク……」
「あははっ、流石はレジェンドアイドル!良い闇だね」
「闇……?」
ジョギが凄まじい量の闇を放出してくれるカイトを見て感心したような顔つきを見せる中、うつ伏せに倒れていたアイドルが小さく呟いてからジョギに訴えるように叫ぶ。
「ううっ……闇なんかじゃ無い……。それは……それは、カイトさんが大切にしてきた物だよ!」
「はぁ?何言ってるの?」
ジョギはアイドルが変な事を言い出したとばかりに彼女を小馬鹿にするような声色で対応。ただ、アイドルはそれでも必死に声を上げた。
「カイトさんはあなたを追いかけなかった事を今でも後悔してる!」
「ハッ、いつまで過去に拘ってるの?くだらない」
「カイトさんはあなたとの絆をとても大事に思ってる!!」
「絆?……そんな物とっくに切れてる」
ただ、アイドルが必死に訴えてもまるでジョギの心には響かない。最後の方に言った絆という言葉に少しだけ反応しかけたものの、最終的にはそれを冷たく切って捨てると彼は容赦無くダークランダーへと攻撃を指示。
「やれ、ダークランダー!」
「ダーク……」
するとジョギの言葉に反応したダークランダーはすかさず自分が手にしているロープを三本に増やすとそのロープの先端に変化が起きた。
「くうっ……ッ!」
ソウルビートはそんなダークランダーの手にしたロープを見るとそこには三本のロープをまるでカウボーイが使うような投げ縄のような形状になっているのを見抜く。
「ッ……ヤバい……皆、避けろ!!」
ソウルビートはダメージに顔を顰めつつもその場にいたら危険だと感じて声を上げる。
「ダークランダー!!」
「ッ!!ズキューンの力、ソウルビートバズーカー!」
咄嗟にソウルリンクライトのダイヤルを白に合わせせ、地面にソウルビートバズーカーをぶつけると反動で後ろに吹き飛ぶ。
「む……」
「「うわあっ!?」」
「「きゃあっ!?」」
「くうっ!?」
直後にダークランダーから投げ縄が放たれるとアイドル、ウインクとキュンキュン、ズキューンとキッスの三チームに分けられる形で縄に捕まってしまう。
「皆!!がはあっ!?ぐっ、うあっ……」
そして、咄嗟の機転で拘束を免れたソウルビート。しかし、彼もまたアイドル達の心配をした直後に反動で吹き飛んだ影響で地面に激突。
彼は無理な体勢で地面に激突したせいか体に激痛が走ると動けなくなってしまう。
「あ……ううっ……」
「はぁ、随分と無茶な逃げ方したね。今捕まっても後で捕まっても結果は同じなのにさ」
ジョギはソウルビートが無理してまで拘束されないという選択肢を選んだのを見て何故無意味な逃げ方をするのかがわからずに彼へと問いかける。
「かもな……だけど、まだ俺も皆も諦めてない……。だから、少しでも次に繋げられるようにするのは当たり前だ」
「次……かぁ。可笑しな事を言うよね?状況見てみなよ。仲間のプリキュアは全員捕まって君も満身創痍。状況はどんどん悪くなってるんだよ」
ジョギが指を鳴らすとダークランダーは先程捕まえた5人のプリキュアを拘束したまま空中に吊るしつつ締め上げる。
「「「「「ううっ……ああっ……」」」」」
5人が痛みに悶える声を上げる中でソウルビートはフラフラになりつつも立ち上がると手にソウルリンクライトに持つ。
「ここは……俺が踏ん張るしか無い……ソウルビートアトラクトに賭ける事になるけど……」
ソウルビートが切り札である自分の能力をブーストさせるソウルビートアトラクトを使おうとする。
「待って……ソウルビート……」
「ッ!?」
そんな時、拘束されて満身創痍で痛みに耐えていたはずのアイドルが声を上げるとソウルビートを含めたその場の一同の視線がアイドルに釘付けになる。
その顔つきは痛みに耐えている物だったのは変わらないものの、先程以上にアイドルは覚悟を決めたような顔になっているのだった。
また次回もお楽しみに。