キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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島から届く想い!アイドルハートリボンの更なる力

カイトから生み出されたダークランダー。それは彼自身の深い闇の影響で凄まじい力を発揮しており、プリキュアはソウルビートを除いて捕まってしまう。そんな中でアイドルが声を上げていた。

 

「アイドル……」

 

「……ジョギ、絆は……切れないよ」

 

「はぁ?」

 

ジョギはアイドルが言い出した言葉に困惑したような声を上げる。絆は切れないなんて言ったって所詮彼にとっては綺麗事でしか無いのだ。

 

「おいおい。絆っていうのは最後には切れるものなんだぜ?幼い頃出会った友達、学校での仲間。大人になってから出会う人。……最終的には会わなくなる。これのどこが切れない絆だって?」

 

「絆って言うのはそう簡単に無くなったりしない!!あなただって……あなたにだって心の奥底ではカイトさんとの絆がきっと残ってるよ!!」

 

アイドルは傷だらけになり、ダークランダーに締め上げられながらも尚、カイトの持っていた大切な絆を取り戻すために戦う覚悟があった。

 

「だから……カイトさんの大切な絆は、他の誰でも無い……私が取り戻してみせる!!」

 

「……ねぇ、何でカイトのためにそこまでするの?君、カイトの何なの?」

 

先程からボロボロになりながらも彼女にとっては他人であるはずのカイトのためにどうしてここまで必死に喰らいつけるのかがわからずに彼は困惑。そのため彼女へと問いかける。

 

「私にとってカイトさんは……」

 

アイドルは初めて直接出会ったあの日からここまでの間に過ごしたカイトとの時間を思い出す。それは彼女にとってかけがえの無い物ばかりだった。

 

自分の将来の夢、デートの日の事、テレビ局でのサインの一件。それらの思い出の中にいつもある彼自身の笑顔。

 

「カイトさんは大切な事を沢山教えてくれた……歌を褒めてくれた。いつも優しかった……私に力をくれた。カイトさんといると、キラッキランランの気持ちになれた!……カイトさんは……私の特別な人!!」

 

そしてアイドルの中にはそんなカイトのために頑張りたいという思いが溢れて止まらない。何しろアイドルにとってのカイトは他の人とは明確に違う気持ちを抱く相手なのだから。

 

「はぁああああっ!」

 

「ッ、何!?」

 

するとアイドルは声を挙げると同時に自らを縛る紐を破壊するために全力の力を込める。そしてアイドルの力によって彼女を捕らえていた紐は引きちぎられるとそのまま地上に降り立った。

 

「クラ!?」

 

ダークランダーはまさかアイドルが自分の拘束を打ち破ってくるとは思っておらず。そのため動揺しているとその間に彼女は駆け出して走る。

 

「はぁあああっ!」

 

「ダァアアッ!?」

 

そのままアイドルがダークランダーとの距離を詰めると渾身の一撃でダークランダーを吹き飛ばして後ろに下がらせた。

 

「「「「ッ!?」」」」

 

「馬鹿な、何でコイツにこんな……」

 

ダークランダーは吹き飛ばされた影響か、ウインク達4人を拘束していた紐を手放してしまうと4人はそのまま真下に落ちる形で地上に落下。ただし、まだ拘束そのものが解けたわけでは無いのでただ地上に降り立っただけではあるが。

 

しかし、それよりもジョギにとってはあの状況からダークランダーが吹き飛ばされた事の方が驚きだったようで。

 

「わからないか?ジョギ……」

 

「ッ!?」

 

「キュアアイドルは俺達のリーダーでチームの太陽だ。そして、俺達の中では彼女が一番……自分の気持ちに真っ直ぐな子なんだよ!!」

 

そして、その間に姿勢を低くする形で構えたアイドルはすかさず地面を蹴り込んで走り出す。対してジョギは困惑しつつも冷たく突き放すように声を上げた。

 

「……キュアアイドル、少しはやるみたいだけど……本当に君はカイトとの間に絆なんて物があると思ってるわけ?」

 

「カイトさんがどう思ってるのかはわからない。……でも!!私は私の気持ちを……信じる!!」

 

そのままアイドルはダークランダーに接近すると跳び上がりつつ頭の上で両腕を合わせる形でダブルスレッジハンマーを振り下ろす。

 

「クゥウウッ……」

 

ダークランダーは今度はそれをしっかり防御すると周囲に衝撃波が駆け抜ける。同時にジョギが苛立ったように声を上げた。

 

「その気持ちも……カイトが闇に堕ちれば消えて無くなるんだよ!!」

 

「カイトさんとの絆、絶対に離さない!!」

 

しかし、アイドルの心が折れる様子なんて無い。彼女の中にあった迷いは戦う前、影人達に励まされた時点でとっくに解消されている。そのため、後は自分の強い気持ちをただ真っ直ぐに出力するだけだったのだ。

 

その頃、アイアイ島ではそんなアイドルの強い気持ちに呼応するように山の頂上のアマスの石像の前で祈りを捧げていたテラも強い気持ちで願う。

 

「(お願い……。もう一度、キュアアイドルに力を貸してあげて……。あの子は私にとって大切な友達で……大好きな推しだから!!まだ私は……うたや皆との絆を無くしたくないの!!)」

 

その瞬間、テラの持っていたプリキュアアイドルハートリボンは彼女の手の中で赤い眩い光を発すると直後にどこかへと消え去る。それを見たテラは驚いたように目を見開いた。

 

「ッ……!!」

 

場面は戻り、ハートガーデン。そこではアイドルが自分の気持ちを真っ直ぐに伝えるかのようにブローチをタッチすると技を発動。そのままダークランダーへと真正面から踏み込む形で拳を繰り出す。

 

「アイドル……グータッチ!!」

 

「ダークラン……ダァアアッ!!」

 

ダークランダーはそれに対抗するべく同じように拳を繰り出すと二つの拳はぶつかり合う。この瞬間、アイドルとダークランダーは意図せずとも拳と拳を合わせる……グータッチをする事になると二つの拳は拮抗して衝撃波が駆け抜ける。

 

だが次の瞬間。アイドルの拳の中から眩い光が溢れ出すと一同はその光景に驚いたような顔つきを見せた。

 

「クラ!?」

 

「な、何だ!?」

 

ダークランダーが眩しさのあまり慌てて拳を引っ込める中、アイドルはその眩い光の正体を見るために手を開くとそこに虹色の光と共にリボンが生成。そしてそれが赤く発光するとテラが持っていたはずのプリキュアアイドルハートリボンが生成される。

 

「これって……」

 

「まさか、アイアイ島での!?」

 

「どうしてここに……」

 

「いや、答えは一つしか無い。……テラがアイドルのために送ってくれたんだ!!」

 

ソウルビートの言う通り、このプリキュアアイドルハートリボンはアイアイ島でテラに預けていた物。そして今ここに来たという事は2人の絆が世界を越えるくらいに大きな物であるという事である。

 

「テラちゃん……ありがと!使わせてもらうね!」

 

アイドルはテラの祈りによって彼女から届けられたプリキュアアイドルハートリボンを手にして構えるとその力を身に纏う。

 

それにより、アイドルの姿……と言うよりは彼女のコスチュームや髪の色合いが変化。彼女が赤をメインにした変身のための特殊空間に移行すると自らの姿が幻想的な光に包まれると同時に衣装や髪のカラーリングが段階的に変貌していく。

 

具体的には髪色が金髪からピンクへと変化。また、その髪は毛先にかけて色が濃くなっており、差し色として機能していた髪のメッシュはピンクから赤に変わっていた。

 

加えてコスチュームのカラーもピンクから赤がメインに変更されており、左側のスカートは通常より濃い色合いに。また、裏地も水色から黄色に変化している。ただし、瞳の色だけは変化が無くそのままであった。

 

「アイドルハートリボンスタイル!」

 

こうして、桜のエフェクトと共にキュアアイドルは新たなる姿。アイドルハートリボンスタイルを手にする。

 

「ッ、キュアアイドルの新しい姿だと!?」

 

「「アイドルハート……」」

 

「「リボンスタイル……」」

 

「って、アイアイ島で変身した時の物とは別の姿なのか……」

 

ソウルビート達はあのリボンで変身するなら島で変身していたゴッドアイドルスタイルだと思っていた。しかし、実際には全く別の姿だったために敵であるジョギを含めてその場の一同は全員が驚愕の顔を浮かべる。その姿を簡潔に言い表すなら色がピンクや赤よりになったキュアアイドルであった。

 

恐らくだが……姿が変化したゴッドアイドルスタイルの方は応援による他人からの力が混ざった事で赤と黄色というカラーリングに加えて姿もその影響を受けたのに対し、色だけが赤やピンクに変化したアイドルハートリボンスタイルの方は色だけが前よりも赤やピンクに寄った事でキュアアイドル独自の色がより強くなったと見て取れるだろう。

 

「キュアアイドルの……」

 

「新たな力!!」

 

「ッ、所詮色が変わっただけだ。行け!ダークランダー!」

 

「ダーク……!」

 

ジョギがダークランダーへと怯まずに攻撃を指示する中、アイドルはすかさず変身のために使用したプリキュアアイドルハートリボンを構えつつその力によってライブ技を発動させる。

 

「クライマックスは私!盛り上がって行くよー!」

 

するとアイドルはいつも通りの領域を展開。また、インカムを装着してからダークランダーを強制着席させる。ここまではいつものアイドルの個人技と変わらないが、決定的な違いを挙げるとアイドルがフォームチェンジして赤が主体のカラーリングになったからか、観客達のペンライトの色がピンクでは無く赤となっていた。

 

そんなわけで早速イントロが終わるとアイドルが観客達やダークランダーに向けて歌を歌い始める。

 

♪決め歌 笑顔のユニゾン Only you ver.♪

 

「キミのハートにとびっきり♪元気をあげるね♪ゼッタイ!(ゼッタイ!)アイドル!(アイドル!)ドキドキが止まらない!急接近♪笑顔のユニゾン、応えてほしいな〜サンキュー♪最高のステージで〜キミと歌を咲かそう♪」

 

この時、アイドルの歌う歌は“笑顔のユニゾン”と同じだったものの、Only you……あなただけに届けるという意味合いが入ったアレンジの加わったバージョンになっていた。

 

またアイドルが歌う際、いつも通りにアイドルを応援するペンライトが煌めく。勿論色はピンクでは無く赤色であり、ダークランダーの方もこの姿でなら着席の影響下に置けるようで大人しくペンライトを振っていた。

 

そして、サビの部分を歌い切るとアイドルは両手を真上に掲げ、巨大な赤いハートが生成。それをダークランダーへと振り下ろすように射出しつつ技名を叫んだ。

 

「プリキュア!アイドルスマイリング・エコー!」

 

それがステージに見入っていたダークランダーへと直撃。その体がアイドルのキラキラによって浄化されていく。また、アイドルはその間に着地すると締めのために両手でハートの形を作って満開の笑顔を見せるのだった。

 

「「キラッキラッタ〜」」

 

同時にダークランダーは浄化の際のお決まりの台詞を口にし、素体となったカイトを救出。その後生成されたキラルンリボンをアイドルが手にするとハートガーデンが解除されることに。

 

「チッ……」

 

するとジョギはダークランダーが倒されてはどうしようもできないために撤退。そして、プリキュア達は砂浜に倒れてるカイトを見ていると空が夕陽の影響でオレンジ色に染まった。すると彼がピクリと動くのを見てアイドルが安堵の顔を浮かべる。

 

「ッ、カイトさん……良かった」

 

「……それじゃあアイドル。後は任せるぞ」

 

「へ?」

 

その直後、まるで示し合わせたかのようにウインク、キュンキュンは頷くとキョトンとした顔のズキューンはさり気なくキッスが促す形で回収。そのまま5人はいなくなってしまう。

 

「えっ!?ちょっ、ちょっと!?」

 

アイドルが困惑している間に砂浜に倒れていたカイトは頭を抑えてこそいたが、無事に起き上がった。

 

「んんっ、あれ?……俺、どうしたんだろう」

 

カイトは他のダークランダーの素体にされた人達と同じでダークランダー時の記憶は無く。いきなり意識が途切れたような感じであったものの、その中でアイドルプリキュアに浄化されたからか……先程のような不安は消えつつあった。

 

そして、彼はそんな気持ちと共に海の向こうに沈みつつある夕陽を見て手を伸ばす。

 

「……また会えるよな、カズマ」

 

「カイトさん!」

 

確かな事は言えない。それでもカズマと会い、過去の一件を解決するという機会は来るという直感がカイトの気持ちを前向きにさせていた。するとそこにアイドルが呼びかける。

 

「キュアアイドル?どうして君がここに……」

 

「うえっ!?え、えーっと……その……」

 

アイドルはうたの姿では無くプリキュアの姿のまま声をかけてしまった事を後悔しつつもどうにか答えようとする。そんな中でいなくなったはずの他のメンバーは近くの茂みの裏に移動していたが、空気を読んでアイドルを1人だけにするべきと言う事で割とすぐに離脱していった。

 

「あ、あの!カイトさん!」

 

「……何?」

 

「……えええっと、カイトの大切な人の絆、無くなんかいないと思います!」

 

アイドルはどうにかカイトを励ますために過去の絆の事を持ち出すが、カイトは何故自分の過去を知らないはずのアイドルがそれを知っているのかと困惑してしまう。

 

「えっ……」

 

「私……カイトさんには笑っていて欲しいんです」

 

アイドルはそんなカイトの気持ちを知ってか知らずか……。カイトへと笑顔を浮かべる。そんな時、カイトは目の前にいるキュアアイドルの笑顔がうたと瓜二つだと見抜いた。

 

「キュアアイドル……君は……」

 

「じゃ、じゃあ私はそろそろ行きますね!」

 

「えっ?」

 

アイドルはカイトのそんな気持ちの変化に気がつく事は無く。慌ててその場から立ち去ってしまう事になる。そんな彼女を見送ったカイトは少し考えつつも小さく微笑みを浮かべた。

 

「……キュアアイドル。君はやっぱり……うたちゃんなのかな」

 

カイトは前々から何となく予感はしていたが、ここ最近はどんどんキュアアイドルにうたの面影を感じつつある。そして、彼女が自分に正体を秘密にする理由も理解しつつあった。

 

そのため、今回の件は自分の胸にしまっておこう。そう考えつつ、彼は間近に迫ったライブツアーに備える事になるのだった。

 

〜おまけ アイアイ島での話〜

 

一方その頃、アイアイ島の方では祈りを終えたテラはプリキュアアイドルハートリボンが行ってしまった影響で多少不安を覚えてしまうとソワソワと歩き回る。

 

「テラ、少しは落ち着きなさい」

 

「ッ、アマスは良いわよね?推しのアイドルがすぐ近くにいてくれるんだから」

 

「うっ……それを言われたら弱いけれど……」

 

テラの近くには霊体となっているアマスがおり、テラを宥めようとしたがアマスの方は推しのアイドルであるUtakoがいつでもすぐ近くにいるという点を指摘されてしまう。

 

「はぁ……。うた、無事だと良いんだけど……」

 

そんな時、テラの目の前にいきなり赤い光が出現すると彼女は反射的に両手をその光の真下に持っていく。するとそこにプリキュアアイドルハートリボンが出現。テラがそれをキャッチすると驚いたような顔をしていた。

 

「これ……私の所に戻ってきた……」

 

「ふふっ、良かったわね。テラ、あなたの推しは無事に帰ってきてくれたわよ」

 

このリボンはうたとテラを繋ぐ絆のリボン。つまり、ちゃんとテラの所にリボンが帰ってきたということは2人の絆はまだ途切れていない事を意味する。

 

「良かった……うた……」

 

テラはリボンが帰ってきてくれた事を見てキュアアイドルが、うたが無事に生きてくれているという事を感じ取ると安堵の表情を浮かべるのであった。




また次回もお楽しみに。
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