キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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一歩踏み出すななからの誘い

ハロウィンが数日後に迫ったという事でグリッターのハロウィン限定メニューであるバナナマフィンを出した田中。しかし、バナナマフィンの上に乗っているマシュマロがお化けを模しているという事で。

 

それを見たうたがいきなりビビりまくって逃げ出してしまった。それから影人達がうたを追いかけると彼女は店の近くを流れている川の堤防を降りた所に1人しゃがんでため息を吐く。

 

「はぁ……」

 

「うたちゃん!」

 

「ここにいたんですね」

 

「急にお店を飛び出したからビックリしたぞ」

 

「咲良さん、もしかしてお化けが苦手だったりするのか?」

 

影人達はうたの元に追いつくと早速彼女のお化け嫌いについて言及。そして、うたは隠しても無駄だと悟ったのかその質問に素直に頷いた。

 

「うん……」

 

「あ、そう言えば前に暗い所で動いてたプリルンにお化けと間違えてビックリしてたプリ!」

 

「なるほど、それはお化け嫌いだというのは間違いなさそうだな」

 

「うーん、それじゃあもしかしてハロウィンもダメだったりする?」

 

「うん……ちょっと怖いぃ……」

 

どうやらお化け嫌いのうたの性格が災いしてお化けやらが関連するイベントであるハロウィンもダメらしい。また、ここまででは言及されてないが肝試しとかになるともっとダメになのだろう。

 

「そういえば、さっきから言ってるハロウィンって何プリ?」

 

「あはは、プリルンはいつも通りだな……」

 

「ハロウィンっていうのは毎年10月31日にするお祭りで。お化けの仮装をしたり、“トリック・オア・トリート”って言ってお菓子を貰ったりするの」

 

プリルンはやはりこちらの世界の行事には疎いようで。早速ハロウィンに関しての疑問を抱いていたために早速なな達がその解説に入る。

 

「“トリック・オア・トリート”っていうのは、“お菓子をくれないとイタズラするぞ〜っ!”って意味なんだよ」

 

「元はヨーロッパ発祥の秋の収穫祭メロ。本で読んだのメロ」

 

「プリ〜!それを言うだけでお菓子が貰えるプリ!?」

 

こころからの説明も受けたプリルンは“トリック・オア・トリートを言うだけでお菓子が貰えるという魔法の言葉だと考えると早速実践する事に。

 

「メロロン、トリック・オア・トリートプリ!」

 

「おい、ハロウィン当日じゃないとそれは効果無い……」

 

「メロロ〜ッ!?ねえたまからのおねだりメロ!!」

 

「おーい。メロロン、そんなの間に受けるなって。というか、今からお菓子を渡してたら当日までやりたい放題になるぞ」

 

プリルンからのお菓子のおねだりを受けたメロロンは目がハートマークになってしまうと嬉しさで周囲を飛び回る。そして、まさかのハロウィン当日では無い日におねだりをしたプリルンの行動に影人は呆れたような目線を向けた。

 

「メロロン、ハートがドキドキするのメロ!!……なのに、メロロン……お菓子を持ってないのメロ」

 

「お菓子くれないなら〜……イタズラプリ〜!!」

 

そのままプリルンはメロロンからのお菓子が貰えなかったという事で彼女へと突撃すると体へのくすぐりを開始。勿論くすぐられたメロロンは堪らず笑ってしまう。

 

「メロロロ〜ッ!?」

 

「プリプリプリ〜!!」

 

「はぁ……ホントお前らは相変わらずのノリだよな……」

 

プリルンとメロロンが仲良く戯れ合う中でハロウィンというイベントを楽しんでいるのをうたは少し羨ましそうな感じで見ていた。

 

「うん、楽しそうで良いなぁ……。私ね、ハロウィンってあんまり楽しめた事が無くて」

 

「咲良さんが楽しめないのは元々がお化け嫌いだし……こればかりは仕方ないのかな」

 

「でもハロウィンのお化けって割と可愛い系だと思いますよ?」

 

お化けその物が嫌いなうたにとって、ハロウィンを楽しめないというのはどうしても避けられない道のりだろう。いつもならハイテンションで“キラッキランラン〜♪”とか言いそうな彼女だが、今回ばかりは割とテンション低めだった。そして、こころはハロウィンのお化けはそこまで怖いものじゃない事を指摘するものの……うたにとっては逆に地雷だったようで。

 

「ええーっ!?ジャック・オ・ランタンとかメチャクチャ怖いよ!!」

 

「怖い……のかな?」

 

「目つきとか口元とかダメなんじゃないか?あれって見る人によっては怖いって感じそうだし」

 

うたはジャック・オ・ランタンがどうしてもダメなのかそれを怖がってる様子であり、影人がその嫌いな理由を推測。そして協調して貰えたのが心強かったのかうたは影人の言葉に便乗した。

 

「そうだよ影人君!それに、ジャック・オ・ランタンってカボチャの生首だよ!怖いよ!!」

 

「おーい、怖いのはわかるが女児向けアニメで生首とかいうセンシティブな言葉を使うなって」

 

「カゲ先輩、またメタ発言しちゃってますよ……」

 

うたのまさかの発言にツッコミ気質のある影人が思わず反応。それに釣られる形でこころは影人へとジト目を向けた。

 

「うぅ……でも……私だって仮装したいし、トリック・オア・トリートしたいし……今年こそはキラッキランランしたい!」

 

「プリ〜!!」

 

「まぁ、咲良さんがそこまでハロウィンを楽しみたいっていう気持ちがあるのなら俺達がやる事は決まってるな」

 

うたはお化けが嫌いという現状を抱えながらも、ハロウィンを楽しみたいという気持ちはかなり強いようで。それだけの気持ちがあるならまだ改善の余地はある。何しろ、今年のハロウィンまでには数日だが時間はあるのだから。そして何より、友達が頑張りたいという気持ちを持ってる状況を見てその気持ちを無視するなんて選択肢は影人達には無い。

 

「そうですね……あっ!それなら今度の土曜日にある“はなみちハロウィンの仮装コンテスト”に皆で出るのはどうですか?」

 

「「「(えっ)(プリ)?」」」

 

「そんなイベントがあったのか」

 

「ああ、はなみちタウンでは毎年の恒例行事だな」

 

こころからの提案にうた、なな、プリルンが驚いたように声を上げ、影人はこの街に来た年という事でそういうイベントがあるのだと初めて知った。

 

「仮装コンテスト……メロ?」

 

「仮装コンテストはね、仮装の面白さやインパクトで……ハロウィンを一番盛り上げた人が優勝するんだよ!」

 

「中々面白そうなイベントをやってるんだな」

 

ハロウィンはお菓子を貰うという子供向けの要素意外にも仮装をして盛り上がるイベントという一面も存在する。加えてこちらは子供だけで無く全年齢楽しめるため、ハロウィンの日の夜の街では仮装をした人々があちこちに見られるというのはよくある話だ。

 

「トリック・オア・トリートプリ!」

 

「優勝メロ〜ッ!」

 

プリルンは早速どこからか取り出した魔女のような服を着ると手には魔法の杖……の代わりのキラキライトを持って先程教わった言葉を唱えるとそれだけでメロロンのハートは撃ち抜かれた。

 

「ねえたま、一緒にコンテストに出るメロ!」

 

「プリ!楽しそうプリ!」

 

「ふふっ」

 

ななはそんな妖精2人の微笑ましい様子を見て微笑んでいる中、レイはまた自分の彼女の可愛らしい一面を見て嬉しそうだった。

 

「やっぱりななの笑顔を見てるとこっちも癒されるなぁ」

 

「その蒼風さんの笑顔はプリルンとメロロンが作ってるわけだし、これはもう癒しの連鎖ってやつだな」

 

「そうだ、プリルンとメロロンは仮装するとして。なな先輩はどうします?」

 

こころはふとプリルン、メロロンが仮装をするという話を聞いてななは仮装をするのかと質問。それに対して彼女は少し恥ずかしそうな顔をしつつ答えた。

 

「私?うーん、仮装ってした事無いから恥ずかしいなぁ」

 

「そうですか……。うた先輩は?」

 

「うーん……。実はそのコンテスト、出ようとした事があって」

 

「お、意外。お化け嫌いが今よりもマシだった頃の事だったりする?」

 

「うん……」

 

うたは幼い頃にはなみちタウンの仮装コンテストに出ようとしたらしい。当時はまだ今程お化けに対する怖さが無かったらしく。出るには出られたようなのだが……。

 

「だけど、お化けがいっぱいで怖かったんだよね……」

 

「あちゃー……。じゃあそれが原因でお化けがダメになったのか」

 

「幼い頃のトラウマって結構引き摺りがちだからしょうがない……」

 

結局の所、うたが怖がっているお化け嫌いというのはその仮装コンテストに出るためにお化けに仮装した周りの参加者達をモロに見てしまったからという所が大きいのだろう。するとプリルンがそんなうたを元気づけるために声をかける。

 

「うたが怖く無いように応援するプリ〜ッ!!」

 

「うぅ……仮装はしたいけど……」

 

「……それじゃあさ、うたちゃん。私と一緒ならどうかな?」

 

ただ、それでもうたの不安は無くならないようで……未だに仮装コンテストに出る事に抵抗感を抱いている様子だった。そのため、ななはそんなうたのために決意を固めると彼女を仮装コンテストに誘う。

 

「なな……まさか出るつもりなのか?」

 

「えっ、良いの!?ななちゃん、さっき恥ずかしいって……」

 

ななが一緒にコンテストに参加してくれるのならとても嬉しい事だったが、先程本人の口から恥ずかしいという事も聞いていたために少しだけうたの中に躊躇いの気持ちがあった。だが、ななは自分の恥ずかしさよりもうたの事を優先したようで。

 

「うん、でも……うたちゃんがハロウィンを楽しめるように……力になりたい!」

 

「ななちゃん……ありがとう!!」

 

そんなななからの気持ちを受け取ったうたは途端に胸の中に勇気が湧き出してきた。

 

「私、頑張ってみる!!出るよ、仮装コンテスト!!」

 

「「「「(やった)(プリ)(メロ)ー!!」」」」

 

うたの決意になな、こころ、プリルン、メロロンは嬉しそうな声を上げ、影人とレイはななが自分からコンテストに誘ったという状況を受けて感慨深い気持ちになっていた。

 

「蒼風さん、前と比べて変わったよな。初めて出会った頃はクラス内で大人しいクール系女子で、あまり他人と積極的に関わるような感じじゃ無かったのにさ……」

 

「ああ。自分だって恥ずかしさがあるのにこうやって他人のために勇気を出して一緒にやろうと誘っている。……これも咲良さんが他人に与えた良い影響が、今度は咲良さん自身に良い影響として返ってこようとしてるのかもな」

 

男子の2人が改めてうたの与えた影響力の大きさを実感しているとこころが声を上げる。

 

「衣装作りは私に任せてください!!プリルンとメロロンの分も!!」

 

「プリ〜!楽しみプリ!」

 

「そうと決まれば早速会議するのメロ!」

 

そんな風にトントン拍子に決まった今回の仮装コンテスト出場の件。そして、話が纏まったという事で影人は話題を会議の話にしようとする。

 

「良し、じゃあいつも通り咲良さんの……」

 

「カゲ先輩」

 

「ん?こころ、何を……」

 

「先輩は勿論仮装しますよね?」

 

そのまま影人が話題をコントロールしようとした瞬間、こころはそれに待ったをかけるかのように彼の肩に手を置きつつ質問する。ただその声色はまるで当然の事を聞くかのようであり、影人は思わず脳がバグってしまったのか。歌を歌うような形で返す。

 

「……Na、Na、NaNa、何故?何故?Why?」

 

「何でうた先輩みたいに歌って答えを返してるんですか」

 

「いや、待って。俺も出るの?」

 

影人はどうにかバグった脳を戻すと何故か自分も仮装するみたいな流れになっている所を指摘する。

 

「そんなの当たり前じゃないですか。この状況で1人だけ私服なんて目立ちますよ」

 

「1人だけ私服って……。レイ、お前は……」

 

「は?そんなの仮装して当然じゃね?」

 

「嘘ぉおおん……」

 

どうやらレイは仮装する気満々らしく。このままでは影人が1人だけ私服コースで可哀想なため、こころは彼にも声をかけたのである。

 

「マジか……え、もしかしてレイって毎年仮装して参加してるのか?」

 

「まぁな。うちの親父がこのコンテストの出資者として一枚噛んでる所もあって、俺はハロウィンでの行動の自由を許される代わりにこの日だけは仮装をして過ごしている」

 

「あー……だからレイには仮装するしないの話が無かったんだな」

 

どうやら、レイがハロウィンで仮装するというのは既定路線らしく。キラキランドの妖精組であるプリメロ以外はそんな風に過ごすレイを毎年見ているようだった。

 

「レイ先輩の服も私が作りますから楽しみにしてくださいね」

 

「あ、流石に何着るかは俺が決めても良いか?」

 

「勿論です!」

 

こころはレイの分も一緒に仮装を作るつもりであり、後はレイのオーダー待ちという話がもう確定済み。そして、こうなると影人は嫌でも仮装をする流れになってしまう。

 

「……わかった。他の皆が仮装をするんだし、俺も仮装はして当然だな。悪い、変にゴネたりして」

 

「ふふっ、それならカゲ先輩の分も私が作りますね!!」

 

影人は仮装に関しては意外とすんなり受け入れるとこころに衣装作りを頼む事にした。今回ばかりは影人も流石に最終的に仮装するという答えに落ち着くのに余計な問答は不要だと判断したようである。

 

「それじゃあ改めて、私の部屋で会議しよっか!」

 

「「「「「(おーっ)(プリ〜)(メロ〜)!」」」」」

 

うたの言葉に合わせて影人以外の面々がそう言う中、影人はふとこの場にいない自分の妹……夢乃の事を考える。

 

「(……そういや、夢乃はどうするつもりなんだろうな……。仮装と言えば夢乃にはあの件もあるし、進んでやりそうだけど……)」

 

影人は前日に夢乃と姫野の会話を聞いてしまった事もあり、夢乃が仮装を自分からやると言い出しそうだと考える。

 

「(……あれはアイツが俺の影響じゃなくて自分で見つけた夢に近い物だからな……。できるなら兄として応援してあげたいんだけど)」

 

しかし、夢乃はまだそれを周りに話す覚悟が決まっていない。そのため、一旦その話は頭から忘れる事にしてハロウィンに向けた会議の方に向かうのだった。




また次回もお楽しみに。
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