キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
うたがジャック・オ・ランタンを見て叫んでしまっていた頃。チョッキリ団のアジトではチョッキリーヌがいつものようにダーツを楽しんでいた。
「ここだね!」
チョッキリーヌが投げたダーツは見事に的のど真ん中に突き刺さる。このバーに来てからそれなりに時間が経つ彼女は調子の良し悪しこそあるものの、初期の頃と比べるとダーツその物は上手くなっていた。
「ふふっ、調子が良いねぇ。……アンタの番だよ?ジョギ」
チョッキリーヌがそう言っているとジョギは普段と比べてご機嫌斜めなのか……どこか苛立っているような顔を見せていた。そして、そんな反応をされたらチョッキリーヌも気になるわけで。
「………ッ」
「……無視かい。そういえば、少し前に自分から行った時から妙に大人しいわね?腑抜けてるのなら次は私が行くよ?」
「……どうぞご勝手に。僕も僕で考え事をしたいので」
チョッキリーヌがジョギへとそう言うと彼はやはりどこか苛立ったような声色で答えを返す。正直な所、ジョギは今回の出撃はやりたく無かった。この前の出撃の時から自分の中でモヤモヤとした感情が渦巻いているのである。
「……はぁ?何でアンタに指示されなきゃならないんだい?」
「……面倒くさっ……じゃあ僕が行きますよ」
ジョギはチョッキリーヌがやる気ならさっさと行けば良いのに何故か変に指示されたと思い込んだのがかなり面倒な様子だった。
そのため、これ以上下手に言い争うのも面倒に感じたジョギはさっさと自分が行こうとする。しかし、これまたチョッキリーヌが彼を引き留めた。
「待ちな」
「……何ですか?今度は何の用です?」
「今回は私が行く。今のアンタは色々と危なっかしいからね。それに、今ここにいないスラッシューが戻ってきた時に世界が真っ暗闇になってれば……アイツももう迷わなくて良くなるしね」
チョッキリーヌはそう言ってさっさと出撃してしまう。それを見送ったジョギはそんなチョッキリーヌを見て怠そうな顔つきになる。
「……はぁ、本当に面倒くさい人」
正直な所、ジョギとしては今の会話は半分無意味だと感じていた。何しろ、過程はどうあれ自分が行くという事を最初に言い出したチョッキリーヌが行った事に変わらなかったのである。
普段ならこういうやり取りにも付き合っていたジョギだが、今回は気分がすこぶる悪い。そのため、チョッキリーヌへの苛立ちの感情が出てしまったのだ。
「それもこれも、アイツが……」
ジョギが思い浮かべたのは前にカイトをダークランダーにした際に胸の想いをぶつけてきたキュアアイドルである。
“カイトさんはあなたとの絆をとても大事に思ってる!!”
彼女が自分へとカイトの想いを伝えるために必死の形相で呼びかけてきたその姿が脳裏を過ぎる度に彼の中の苛立ちは強くなっていく。
「チッ……。何であそこまでカイトに肩入れできるんだ。それに……俺の気持ちなんて何も知らないくせに……」
ジョギはキュアアイドルのあの言葉に調子を狂わされてしまっており、普段の余裕が完全に無くなってしまっていた。
「もう良いや。スラッシュー様は今日課のトレーニング中だし、チョッキリーヌ先輩は勝手に行くって言ったし……今日はゆっくりさせてもらうよ」
ジョギはそう言って完全にお休みモードになってしまう。どちらにせよ、今日はチョッキリーヌが出撃する日として決まったために彼は出番を完全にチョッキリーヌに任せる事になるのだった。
一方、そのチョッキリーヌは街中に出るとそこはハロウィンのイベント中という事で街中そのイベントを楽しむ人々で賑わっている。
街中の木々にはジャック・オ・ランタンや飴を模した飾り付けがあり、人々は仮装するなど正にハロウィンと言った様子であった。
「何だい?この騒ぎは……」
勿論チョッキリーヌはハロウィンなんて物を知らないので何故こんなに人々で賑わっているのかわからずに疑問を浮かべている。すると、彼女は何かを見つけた。
「……うん?あれは……」
チョッキリーヌが街中を歩いているとその視線の先に2人の人物が目に映る。そこにいたのは仮装をして訪れる人々にお菓子を配る男性2人組……カッティンとザックリンであった。
「ハッピーハロウィンですぞ!」
「はい、ザックリトリート!」
「ありがとう!」
「やったあ!じゃーね!」
カッティンは狼男、ザックリンは吸血鬼の仮装をしており、お菓子を配る2人はキラキラしてとても幸せそうな顔を見せる。そして勿論、ダークイーネの力で完全に消滅したと思っていたチョッキリーヌは今こうしてお菓子を配っている2人へと話しかけようと考えた。
「なっ!?カッティーとザックリーじゃないか!?無事だったのかい!?……ッ、兎に角折角だから……」
「おばさん、おばさん!」
「は?おばさん……?」
そんな時、チョッキリーヌは何故か自分の事をおばさんと呼ばれた事に疑問符を浮かべていると自身の目の前には先程グリッターを訪れていたはもり達が並んでいた。
「せーの!」
「「「「「トリック・オア・トリート!」」」」」
「な!?何だい、いきなり!?」
チョッキリーヌはハロウィンを知らないためその合言葉もわからず。いきなり訳の分からない言葉をかけられたと感じて困惑。そんな彼女を見たはもりはそんなチョッキリーヌへと説明をする。
「おばさん知らないの?お菓子をくれないとイタズラするぞって意味なんだよ?」
「「「「だよ!」」」」
チョッキリーヌははもりからそれを教えられて意味を理解すると先程から自分へと生意気な事を言い続けるはもり達へと苛立ったのか。そんな彼女達を軽く脅すかのように答えを返す。
「ふーん、そうかい。それなら……皆纏めて、イタズラしてやろうか!?」
チョッキリーヌは子供達を驚かすようにポーズをしながら怖い顔を見せる事で彼女達を怖がらせようとする。……しかし、残念ながら子供達にとっては逆効果だったようで。
「「「「「きゃーっ!あははっ!怒ったーっ!」」」」」
「ふん、誰がおばさんだよ……」
子供達は怖がって泣くどころかその行動自体が面白かったらしく。5人揃って喜び、笑って走り去っていく事に。
チョッキリーヌはひとまずいなくなった子供達へはそれ以上気にする必要は無いと無視すると改めてカッティン、ザックリンに声をかけようと彼らの方を向く。
「って、あれ!?いない……」
しかし、どうやら今の子供達に気を取られてしまった間に移動したようで……。チョッキリーヌは2人を見失ってしまった事に愕然とする。
「(アイツら……すっかりキラキラになっちゃって……)」
チョッキリーヌが改めて2人の事を考えると先程見た2人はチョッキリ団にいた頃よりも輝いており、同時に2人がチョッキリ団に戻る事も無いのだろうと考えてしまう。
「(……もうアイツらは、私が声をかけてもチョッキリ団に戻る事は無いんだろうね……)」
そう考えると2人がいなくなって以降、ずっと悩んでいた彼女の中のモヤモヤの一つが今回の件で解決したとも見て取れるだろう。……それはさておき、そんなチョッキリーヌへと声をかける者がいた。
「トリック・オア・トリート!」
「ッ、今度は何だい!?」
チョッキリーヌが振り向くとそこにいたのはジャック・オ・ランタンの頭にロボットのような多数の四角い形の装甲を纏ったボディ。そして両肩のアーマーの上にジャック・オ・ランタンの装飾。
「ふっふっふ……どうだ、俺の仮装!名付けて……ジャック・オ・ランダムだ!!」
どう見ても○ンダムのような姿のこのロボットの名はジャック・オ・ランダムとの事で。恐らくこの姿は段ボール等で製作したハロウィンの仮装だろう。
「これで仮装コンテストはいただきだ!」
どうやらこの仮装を纏った男性はこの自作の仮装を纏う事でこの後に開かれるコンテストに出るつもりらしい。だが、男が張り切った瞬間。突如として頭部のジャック・オ・ランタンにヒビが入ると真っ二つに割れてしまった。
しかもその割れ方がどう考えてもどこかにぶつけなさそうな頭部にいきなり縦のヒビが入ったため、こうなってくるとギャグ補正か何かが付かないと壊れなさそうな壊れ方と言えるだろう。
そんなメタ的な話はさておき。そのせいで壊れた頭部の装甲の中からは仮装を着ている男性の顔が現れると真っ二つに割れたジャック・オ・ランダムの顔を見て嘆いてしまう。
「あっ……ああーっ!?俺のジャック・オ・ランダムがぁあっ!?」
男性はどうにか直す事も考えたが、今からこれを直そうとしても完全に頭部のヘルメット部分が真っ二つになってるせいで損傷が大きく。仮に直せたとしても補強した跡は誤魔化せない。何より、仮装コンテストが数時間後に迫っている今……この頭部を直す事自体が不可能に近かった。
「これじゃあコンテストに出られない……もうダメだ……お終いだぁ……」
そのため、男性は愕然として四つん這いのような状態になると某野菜王子のような台詞を言いつつチョッキリーヌの目の前で闇を出してしまう。
「良い真っ暗闇を持ってるじゃないか。寄越しな!」
そして、チョッキリーヌがこのチャンスを逃すはずが無い。彼女は指をチョキの形にすると顔の前に持ってきた状態で今回のターゲットをこの男性に定めた。
そのままチョッキリーヌは早速男性の胸に秘めた闇を抜き取るべく呪文を言いつつ指を鳴らす。
「お前の闇を見せてみな」
「ああああっ!?」
その瞬間、男性の胸から黒いリボンが生成。それは彼の心の闇を示していた。
「チョッキリ呑まれてしまえ!」
チョッキリーヌがそう言いながらポーズを決めると黒いリボンが解かれて男性が闇の中へ。そのままチョッキリーヌは水晶と闇の球体を合わせて地面に叩きつける。
「さぁ来な!ダークランダー!」
「ダークランダー!」
これにより、召喚されたダークランダー。今回の個体はまさかのうたが大の苦手とするジャック・オ・ランタンをモチーフにしていた。
一方、影人達は先程うたが外に出られなかったという事で家の中で改めてハロウィンを過ごしている。今はぷりんとめろんが仮装して2人で手を合わせてハートを作っている所をこころがぷりんことプリルンのトイカメラで撮りまくっていた。
「心キュンキュンしてます!こっち、目線ください!!」
だが、このタイミングでぶりんの闇のセンサーが反応。ダークランダーの出現を感知する。
「ッ、ブルっと来た!?」
「こんな時にまで……」
「えっ……って事は……」
「ッ……外に出ないと……」
しかし、先程うたは家からたった数歩出ただけでジャック・オ・ランタンを見つけては叫び声を上げて帰ってきてしまっていた。そのため、どうやって連れていくべきか考える。
「もうこうなったら緊急事態だし、タオルか何かで目隠しして行こう」
「うっ、でも……」
「そうですね……ダークランダーが暴れたら仮装コンテストも無くなってしまいます」
「うん、それなら話は決まりだね!」
「えっ、ちょっ!?」
そのままうたは問答無用で彼女の持っているタオルで目隠しをされると外を見れない状態となる。
「レイはこのままここにいてくれ」
「そうだな。外に出るのは危険だし……仕方ない」
「咲良さんは俺がおんぶなり抱くなりする。こころ、流石に今回は……」
「はい、緊急時ですし良いですよ」
影人は彼女のこころに確認を取るとうたを抱き抱える形でそのまま外に繋がる窓に向かって突っ込む。それから影人は一瞬だけソウルビートへと変身。窓のすり抜けバグを利用してうたと共に最短で家の外に出るとその間になな、こころ、ぷりん、めろんが影人とうたの靴を持った状態で外に出てくる。
「影人君、うたちゃん。これ履いて!」
「ありがと。それじゃあ行くぞ」
「へ?ちょっとさっきから何が起きてるかわからないんだけど!?」
うたは目隠しされたまま移動。ソウルビートも一旦変身解除して影人の姿で走り出す。
それから影人達はうたをどうにか連れてきた形でダークランダーの出た現場に到着。そのダークランダーは現在、建物の屋上にいた。
「うぅ、酷い目に遭った……」
「悪いな。こうしないと最短コースで行けなかったから」
「あそこ見て!」
そして、ぷりんが指差す先にいるダークランダーを影人達6人が確認すると早速目隠しを取ったうたが拒絶反応を見せてしまう。
「って、あれ……ジャック・オ・ランタンじゃん!?」
「うたちゃん、大丈夫そう?」
「ッ……だ、だ、大丈夫……やるしか無い!」
ななはうたがジャック・オ・ランタンのダークランダーに怯えるような素振りを見せたために彼女を心配するが、うたはそれでも囚われた人間を助けるには戦うしか無いために気持ちを奮い立たせた。
こうして六人は男性を助けるべくプリキュアへと変身。その姿を変えていった。ちなみに、今回はプリルンとメロロンは人間態から変身開始するパターンである。
「「「「「「プリキュア!ライトアップ!」」」」」」
「「「キラキラ!ドレスチェンジ!」」」
「「キラキラ!ショータイム!」」
「キラキラ!ソウルリンク!」
「「「「「「YEAH♪」」」」」」
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」
「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」
「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」
「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」
「キミと輝く、ハートの鼓動!繋がる魂、キュアソウルビート!」
「「「「「「We are!キミとアイドルプリキュア♪!」」」」」」
こうして、アイドルプリキュアの六人は変身を完了。最後にチーム名を名乗り終わって降り立つと同時にキッスが早速投げキッスを使用。
「お願い、チュッ!ハートガーデン!」
これによりハートガーデンを展開するとダークランダーごと自分達をその中に移動させる事になるのだった。
また次回もお楽しみに。