キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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一歩踏み出したWin-Winハロウィン

ジャック・オ・ランタンを克服し、見事ダークランダーを浄化したアイドルプリキュア。そして、ハートガーデンから元の空間に戻るとチョッキリーヌが溜め息を吐いた。

 

「はぁ……チッ、そう簡単に行く程甘くないね……」

 

チョッキリーヌは上手く行かなかった事に溜め息を吐きつつ撤退。それからダークランダーに囚われた男性の方も暫くして目を覚ます事になる。

 

「ッ……んんっ……」

 

男性は立ち上がると真っ二つに割れた頭部に装着する用のジャック・オ・ランタンを見てその事実を改めて実感する事になる。

 

「そうだ、さっき壊しちゃって……うん!接着剤を試してみるか!それでダメなら仕方ない!!」

 

どうやらアイドルプリキュアに浄化された事で考え方がポジティブになると立ち上がり、修理するために移動する事になるのだった。

 

一方、少しして影人達6人はプリキュアから変身解除。少しだけ街中を回ってから仮装コンテストに出るための登録時間の締切が近づいたために会場にまで移動。早速登録を済ませる事になる。

 

「いよいよ仮装コンテスト本番だな」

 

「はい、心キュンキュンします!」

 

「お姉様と私なら絶対優勝間違い無しです!」

 

「私も頑張るぞー!」

 

影人達が意気込みを語る中、うたはもうジャック・オ・ランタンを見ても大丈夫なようで……。どれだけ街中にあるジャック・オ・ランタンを見ても平然とした顔をできるようになった。

 

「うたちゃんもジャック・オ・ランタン嫌いが治って良かったよ」

 

「うん!これで仮装コンテストをめいいっぱい楽しめる!」

 

うたがいつもの調子を取り戻しているととそこに友達と一緒に街を回っていた夢乃が声をかけてきた。

 

「あっ、お兄ちゃん!先輩方!」

 

「夢乃ちゃん!」

 

すると夢乃はコンテストに出る関係で一旦友達に離れる事を伝えると早速影人達の方に歩いてくる。

 

「ハロウィンの方楽しめてる?」

 

「はい。私もトリック・オア・トリートしてきましたよ」

 

夢乃が片手にお菓子の入った籠を持っており、嬉しそうな顔を見せていた。忘れがちだが、夢乃はこれでも普通の小学5年生。そのため、彼女の持つ子供っぽいあどけなさは未だに健在なのだ。

 

「ふふっ、良かったわね」

 

「私もトリック・オア・トリートしてきたよ!」

 

「でもまさかぷりんの年齢でそれが通用するとは思ってなかったけどな……」

 

何しろぷりんやめろんは世間には中3として通している。トリック・オア・トリートしてお菓子を貰えるのは基本的に小学生くらいまで。中3扱いのぷりんが何故か貰える扱いにされてるのが奇跡的だった。

 

「まぁ、ぷりんやめろんは人間態だと凄い美人になるから……それで他の人達はオッケーしたんだろ」

 

「流石お姉様です!」

 

レイがそう補足するとめろんはぷりんの人気度の高さに惚れ惚れしたような様子を見せる。この様子からぷりんの場合、可愛い子がおねだりしてきたら何かサービスをしたくなる……そういう心理が働いたのだろう。

 

「それでは、仮装コンテストのための服装もちゃんと持ってきましたし……そろそろお着替えしましょう!」

 

「そうだね。まだ皆コンテスト用の仮装はしてないし……」

 

「時間的にもそろそろしないとだよね」

 

「それじゃあ、俺は観客席の方でお前らの姿の記念撮影ができるように待機してるわ」

 

レイがそう言って今回の仮装コンテストの観客席の方へと行こうとすると夢乃が引き止めた。

 

「あれ、レイ先輩は参加しないんですか?」

 

「あー……俺も出たいと言えば出たいんだけど……な?」

 

「ああ、そういう事ですね」

 

レイの言葉に夢乃は何となく事情を察する。レイがハロウィンに仮装するのはあくまで会社としての存在のアピールのため。仮装コンテスト用の仮装とは言い難い。レイがハロウィンの時に着ている共通のコンセプトであるアニメキャラの仮装であれば評価点として面白さやインパクトもあるかもしれないが、そういうのは仮装コンテストのタイミングで初披露するからこそ意味がある。

 

そのため、仮装コンテストよりも前に衣装を着ないといけないのと仮装コンテスト用として別の仮装を用意できないレイは不参加なのだ。

 

「じゃあ行ってくるね」

 

「おう、任せとけ」

 

そんなわけで影人達を見送ったレイ。するとそこに街中でお菓子を配っていた人間態のカッティンやザックリンが姿を現す。

 

「よーしお前ら。一緒にアイツらの記念撮影用の席を確保するぞ」

 

「了解ですぞ!」

 

「だけど、ザックリ何で俺らもなんすか」

 

レイの言葉にカッティンはやる気だったものの、何故かザックリンは少し消極的な様子だった。

 

「良いじゃねーか。カッティンもザックリンもアイドルプリキュアのメンバー達の仮装姿見たいだろ?」

 

「そりゃあザックリ見たい気持ちはあるけど……」

 

「お前が望むなら今回は特別にななの仮装姿を撮っても良いんだぞ?」

 

「ぐ……それは……ザックリ欲しいっす」

 

「なら決まりだ」

 

レイに言われても未だに渋っていたザックリンだったが、推しであるキュアウインク……ななの写真を合法的に撮れるという状況を用意された以上は彼が乗らない理由なんて無い。そのため、割とあっさり懐柔される事になる。

 

「勿論カッティンも良いからな?」

 

「やったのですぞ!」

 

レイはカッティンにも撮影を許可。ザックリンに許可しているのだからカッティンに対しても許可するのはある意味当然の処置と言えるだろう。

 

それはさておき、いよいよ運命のはなみちハロウィンの仮装コンテストが始まる事になる。コンテストの壇上にいるのは司会である女性とはなみちタウンのマスコットキャラクター……はなみぃちゃんだ。

 

『それでは!只今をもちまして、はなみちハロウィンの仮装コンテスト……開幕です!!』

 

それから事前にエントリーした参加者達が次々と自慢の仮装を披露していく。そのままコンテストは何事もなく順調に進み、とうとうアイドルプリキュアのメンバーが出る順番になった。

 

『続いての挑戦者はこちらのお二方です!』

 

「うたちゃん、行こう!」

 

「うん!」

 

司会者がそう言うとうたとななの2人が待機場であるテントから出てくると壇上へと移動。そして、2人のした仮装と言うのが……。

 

「「私達、一歩踏み出すバナ・バナ・バナナ!」」

 

2人の名乗りの通り、うたは横長。ななは縦長の状態で頭に丸ごとのバナナの仮装を被っていた。ただ、体の方は特に何かを着ているわけでは無く。流石に勇気を出したななでも体まで奇抜な仮装を着る勇気は出なかったらしい。

 

ただ、観客達には刺さったようで。それを見た観客達は2人に歓声を上げていた。

 

「ふーむ、丸ごとバナナを被るとは……中々初見のインパクトを重視した仮装なのですぞ」

 

「うーん、ザックリ俺はもうちょっと派手な物を見たかったが……それでも可愛いものは可愛いんだぜ!!」

 

尚、推しのコンビが仮装した姿を見たカッティンとザックリンは撮影者席からカメラを向けまくっている。勿論レイが促して早めに座った事もあって最前列の一番映りの良い場所だ。

 

「先輩達尊いです……」

 

「あはは……こころ先輩は大満足だね。でもお兄ちゃんは……」

 

「俺はちょっと微妙だな……。蒼風さんらしいと言えばらしいけど……」

 

こころはカッティン達と同様で推しのコンビが仮装して仲良く横に並んでいるだけでも目が幸福になりそうな感じだったが、影人には刺さりが悪かったのか少し微妙そうな視線を向けていた。

 

影人としてはななの天然としての一面が出てしまったと考えているくらいである。

 

『お二人共ありがとうございました。それでは続いてまたお二方。お願いします!』

 

「あ、カゲ先輩と夢乃ちゃんの番ですね!」

 

「はい!行ってきます!」

 

「ああ、行ってくるよ」

 

すると影人は何故か四つん這い状態になると首輪を付けており、その首輪から伸びているリードを夢乃が手に持っていた。その状況に会場の観客達は度肝を抜かれたのか最初の方は唖然とする。

 

「はーい。私、はなみちタウンで有名な喫茶グリッターの看板娘の咲良うたでーす!こっちは飼い犬のきゅーちゃん!」

 

「ワン!」

 

夢乃はうたと同じ茶髪のロングヘアのカツラに彼女も付けているピン。更に瞳の色はカラーコンタクトでうたの瞳に合わせる徹底ぶりであり、彼女の仕草や声色は夢乃が見事にトレース。流石に身長だけは再現できなかったためにちょっとだけ違和感があったものの、それを補って余りあるうたという人間の再現っぷりだった。

 

そして、影人の方はグリッターで飼われているペット……きゅーたろうを模した仮装である。全体的にフサフサの毛が生えた衣装であり、頭の方は犬を模したフードを被っていた。更に尻の部分からはちゃんと尻尾も生えている。

 

「それじゃあ、咲良うた。歌いまーす!今日はハロウィン楽しい〜♪皆で一緒に♪ハッピー〜♪」

 

「ワンワン!」

 

「ハロウィン♪」

 

「ワンワン!」

 

「トリック・オア・トリートが合言葉♪笑顔をユニゾン、広げて欲しいな〜サンキュー♪最高のハロウィンを〜皆で過ごそう〜♪」

 

夢乃はまさかのうたが歌う歌さえもトレース。何ならキュアアイドルの“笑顔のユニゾン”とも合わせる事で再現度を高めていた。そして、きゅーたろうをやってる影人も本物のきゅーたろうに声質を合わせる形で如何にも本物の犬が鳴いているような声を再現。

 

この仮装の完成度の高さに観客達は大興奮の声を上げた。最後に夢乃は忘れずにある事を伝える。

 

「勿論ご本人の了承は取ってまーす!」

 

「ワン!」

 

これを言っておかないと後から色々と文句を言われかねないためにしっかりと本人の許可があると公言。実際の所は仮装の中身を知らなかったので許可取りはまだなのだが……うたの事なので反対はしないだろう。

 

『お二人共、ありがとうございました!それでは次は……』

 

そんな風に仮装コンテストは進んでいくと参加者の発表が全員分終わり、とうとう結果発表の時間となった。

 

『皆さんお待たせしました!投票結果が出ました!仮装コンテストの優勝者は……紫雨こころさん!お手製のズキューンキッスの仮装をしたぬいぐるみの2人です!』

 

優勝のスポットライトを浴びたのはまさかの魔女の仮装をしたこころと、彼女が作ったズキューンキッスの仮装を着たプリメロの3人である。

 

「うえっ!?そっち!?」

 

「あはは、そりゃあズキューンキッスご本人達だし似合わないわけが無いんだよなぁ……」

 

「こころ先輩、これだけは作るのを譲れないって言ってたもんね……」

 

うたは2人が選択した仮装のチョイスに驚きの顔になる中、一緒に仮装を制作した黒霧兄妹は苦笑いを浮かべる事に。

 

「大成功メロ」

 

「プリ〜!」

 

ちなみに、準優勝が黒霧兄妹が着た咲良うた、きゅーたろうの仮装であった。そんなわけでうたは優勝こそ逃したものの、今年のハロウィンは楽しめたという事でななにそっと声をかける。

 

「ななちゃん、私……初めてハロウィン楽しかった!ありがとう!」

 

「私も!うたちゃんと一緒に好きなバナナの格好ができてWin-Winハロウィンだよ!」

 

「うん!」

 

「「2人で一緒に……バナバナバナナ!」」

 

こうして、うたはハロウィンを楽しめるようになった。こうなったのもうたがななに与えた勇気が巡り巡って彼女の元に帰ってきたという事だろう。

 

そんな2人が仲の良い様を影人は微笑ましい顔で見る事になるのだった。影人としても何だかんだ言いつつもうたがハロウィンを楽しめるようになったのが嬉しかったらしい。

 

そして、仮装コンテストを終えた影人達はその後も楽しいハロウィンの時間を過ごす事になるのだった。……尚、影人がきゅーたろうの役回りとして夢乃に首輪をつけられてリードで引かれている様を見たレイは全力で彼をイジる事になるのだが……その話は余談であるためにさておくとしよう。

 

〜おまけ 田中と姫野のハロウィン〜

 

影人達が仮装コンテストに出ている間、グリッターで働きつつ子供達にお菓子を配っていた田中と姫野。その仕事がひと段落するとうたの両親の2人は田中と姫野にもハロウィンを楽しんでほしいという事でバイトを切り上げても良いと伝える。

 

「田中さんも姫野さんもお店に付き合わせてごめんなさいね」

 

「……ここからは自由な時間を楽しんできて良いよ」

 

「いえ……」

 

「では失礼します」

 

田中と姫野はバイトの服装から着替えると自由な時間となる。ただし、流石に仮装はしたままだったが。

 

「はぁ……」

 

しかし、姫野の顔は浮かない状態だった。何しろ、折角田中とハロウィンを楽しめる状況を作ってもらったのに自分は肝心の田中をハロウィンで2人きりに誘えていなかったのだ。

 

「(どうしましょう……このままじゃ田中さんは別の仕事を始めてしまいます……。あんなに誘うチャンスがあったのに私は……)」

 

姫野もこれまで何度か彼を誘おうと声をかけようとしたのだが……その度に田中の仕事が忙しかったり、タイミング悪く姫野の方に仕事が入ったりで悉く失敗してしまっていた。

 

かくなる上は当日誘う……事も試したのだが、結局似たような状況に陥って失敗。このような状態に陥ってしまっていた。

 

「……姫野さん」

 

「へ?は、はい!」

 

姫野が悩んでいると田中はそんな姫野へといきなり声をかけてくる。それを聞いて姫野は思わずビクンと肩を震わせた。

 

「姫野さん、折角自由時間ができたので私達も2人で回りませんか?」

 

「……えっ……」

 

姫野はまさかの田中からの誘いに唖然とした様子になってしまう。普段の田中ならこういう時は他の仕事があるという事で大体の場合は次の仕事に行ってしまうのだ。そのため、田中からの誘いに姫野は驚きの感情が勝ったのである。

 

「い、良いんですか?」

 

「ふふっ、何を当たり前の事を聞いてるんですか。……そのためのフリータイムでしょう?」

 

「ッ……わ、わかりました。お願いします」

 

姫野は田中からのイケオジボイスに思わず脳が焼かれてしまうと顔を真っ赤にしつつ田中の誘いに乗り、2人きりのハロウィンを楽しむ事になるのだった。2人がこのハロウィンで何をしたのかは……読者のご想像に任せるとしよう。




また次回もお楽しみに。
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