キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

358 / 359
呉越同舟!?チョッキリ団全員出撃

学園祭が行われる手鞠沢高校に向かっていた影人達。それと時を同じくして。チョッキリ団のアジトではチョッキリーヌがバーのカウンターでスマホを開いていた。

 

「ふーん……」

 

「……珍しいっすね?チョッキリーヌ先輩がそうやってスマホを見てるの」

 

そのタイミングで話しかけてきたのは前回、心の中のモヤモヤの影響で不調かと思われたジョギである。それを見たチョッキリーヌはジョギへと答えを返した。

 

「ふん。ちょっとした調べ物だよ」

 

チョッキリーヌがいつものように素っ気なくジョギへと対応しているとジョギは少しだけ考えてからある事を言い出す。

 

「……チョッキリーヌ先輩が今何を見ているか当ててみても良いっすか?」

 

「は?そんな事、無理に決まって……」

 

「まぁ、厳密には無理っすけど……どこかの学校の学園祭のホームページを観てるとか」

 

「ッ!?」

 

チョッキリーヌはジョギから言われた予想を聞いてビクンと体を震わせると改めて自分が観ていたホームページを見る。そこにあったのは手鞠沢高校の学園祭についてのお知らせのページだった。

 

「お、お前どうやって……」

 

「あ、て事は図星みたいっすね」

 

「べ、別に図星ってわけじゃ……」

 

「またまた〜バレバレっすよ?チョッキリーヌ先輩って反応が凄くわかりやすいので」

 

「ムッキーッ!」

 

チョッキリーヌは前回出た時はあんなにも腑抜けたような顔をしていたジョギに煽られて苛立ちを募らせる。ジョギとしてもこの前の不機嫌状態からまだ抜け出せておらず。チョッキリーヌをイジる事で多少気を晴らしている所もあった。

 

「ふん!別にこんな学園祭だなんてくだらないと思ってただけだよ!」

 

「学園祭……ねぇ」

 

ジョギが少し考えを巡らせる中、チョッキリーヌは学園祭がどういう物かを調べるのを再開。ただ、調べれば調べる程に人間のキラキラが大量に集まる場所であるというのが明らかになるばかり。チョッキリーヌは段々とこの学園祭が目障りに思えてきた。

 

「ぐぬぬ……他の学園祭の様子とかが映ってる写真を見る度にキラキラした人間共の顔が鬱陶しく思えてきたね!」

 

「じゃあ潰します?僕も正直、学園祭というのはキラキラが多すぎて目障りですからね」

 

「ふーん?それはつまり、私達2人で出ると言いたいわけ?」

 

「……まぁ、僕としては1人で行っても良いんですけど……ここ最近僕達負け続きじゃないですか。一回くらい手を組んで2人で行ってみたら何か変わるかもしれませんよ?」

 

それを聞いてチョッキリーヌは考え込むような顔つきを見せる。思えば、スラッシューがジョギの上司として活動を開始した頃から自分はそこまで大きな成功を挙げられているわけでは無い。加えて、スラッシューのメンタルが不安定化している都合で2人以上の大人数で一緒に出撃するという事も最近は減りつつある。

 

「(確かに2人で行くというのは魅力的な提案……だけど、ジョギと行くというのは……)」

 

ただ、チョッキリーヌの中には不安要素もあった。それがこの気に食わない男、ジョギと一緒に出ないといけないという点である。

 

「(コイツ、前々から腹の底が本当に読めない……。できる事なら2人で行きたいんだけど、何を考えてるかわからないせいで何か裏がある気がして……)」

 

チョッキリーヌは疑心暗鬼になってしまっていた。ここまで自分とジョギの関係はお世辞にも良いとは言い難い。むしろ、自分は散々この男に揶揄われてしまっている。加えて、彼は自分の目的のために上司であるスラッシューさえも利用している節もあった。そのため、余計に彼の真の狙いが気になって仕方がないのである。

 

「……どうやら、僕の気持ちがわからないのが不安みたいですね?チョッキリーヌ先輩」

 

「ッ……当たり前だろう?スラッシューの事を考えたらお前は私と2人で行くと言いながら何か別の目的があるような気がしてな」

 

「……」

 

ジョギはチョッキリーヌからの返しに少しだけどう説明すべきか迷う素振りを見せた。流石に今回ばかりはチョッキリーヌの言うことに一理ある。それに、疑わしい態度をし続けたのは自己責任というものだ。そのため、チョッキリーヌに誤解されないように自分の考えをちゃんと言う事にした。

 

「わかりましたよ。僕の考えを話します」

 

「ふん。なら言ってみな」

 

「……潰したいんですよ。アイドルプリキュアを徹底的に」

 

「ほう?」

 

ジョギの声色は珍しく感情的であり、それはこの前のカイトとの一件が未だに尾を引いているのは明らかだった。

 

「先輩はそう思わないんすか?大事な部下2人はアイドルプリキュアの言葉に懐柔されて。そのせいであの2人はあなたの前からいなくなった。ショックを受けた先輩は新しく部下を手に入れたのにその部下も自分に心を開く前にアイドルプリキュアに掻っ攫われて……」

 

「ぐ……言われてみれば確かにそうだね……。アイドルプリキュアにこれで部下が3人取られている」

 

ジョギはそう言いつつチョッキリーヌの中にアイドルプリキュアに向けた闇の感情が高まるような誘導尋問を仕掛ける。そして同時に自分の中にもアイドルプリキュアのせいで生まれたモヤモヤを話す事にした。

 

「僕もそうですよ。関係無いくせに他人の関係性に一々口出しして。アイツら、僕達の事も光で照らせるとか本気で信じてるんですよ。……そう考えると色々とムカつきません?」

 

「……言われてみればそうだね……。確かにあの生意気なアイドルプリキュアにそろそろ私達の恐ろしさを教えたい気持ちだよ」

 

「でしょ?だから万全を期すために2人で行くんですよ。……僕もチョッキリーヌ先輩もお互いに気に食わない所はあると思いますが……今はそんな事言ってる場合じゃないでしょう?」

 

ジョギはあくまで自分と組む事の利点を解く形でチョッキリーヌを今回の作戦に参加させようとする。もしこれでチョッキリーヌが自分に対する気に食わない感情を優先させてきたらもうどうしようもないが、その場合はまた今まで通りに自分が潰しに行くだけだと考えていた。

 

「……なるほど、確かにそうだね。私としてもこれ以上アイドルプリキュアに増長されるのは良い気分じゃない。その話、私も……」

 

チョッキリーヌはそんなジョギからの提案に乗って2人で行こうとする。そんな時、アジトの奥の方からいつものようにスラッシューが姿を現す。そして、2人の会話をある程度聞いて知っていたのか……スラッシューもジョギの提案した考えにやる気を見せていた。

 

「待ちなさい。……今回は私も行く。アイドルプリキュアを潰すのなら徹底的に潰すべき。それならこちらも総力を出すのは当然の流れよ」

 

「スラッシュー……でもアンタ、良いのかい?前々からアイドルプリキュアに色々と言われて不調だっただろう?そんな事をしたら……」

 

チョッキリーヌはスラッシューの体の心配をするが、彼女はチョッキリーヌへと苛立ったような目線を向ける。それは自分が問題無いと言っているのに一々心配をしてくるチョッキリーヌへの鬱陶しさもあった。

 

「何?アンタ、まさかと思うけどビビってるわけじゃ無いでしょうね?アレだけ散々大口を叩いておいて、今更逃げが通じるとでも?」

 

「逃げてるわけじゃない。アンタが心配なんだよ!」

 

だが、今回のチョッキリーヌはスラッシューからそう言われても真正面から反論する。先程部下3人がいなくなった事について触れられたからと言うのも大きいが、何よりチョッキリーヌはスラッシューが自分の目の前で苦しむ様を何度も目の当たりにしてきた。

 

しかもそれらが全てアイドルプリキュアとの接触が原因なのだとしたら今回もそうなるリスクを懸念するのは当然である。

 

「……甘く見られたね。チョッキリーヌ、あなたこそ怖いんじゃない?自分がアイドルプリキュアに染まってしまって……ダークイーネ様の力で闇に堕とされるのが」

 

「ッ……」

 

チョッキリーヌはそうやって自分の事を挑発するスラッシューの声色が僅かに震えているのを感じ取った。同時にスラッシューが今自分に向けた発言は……スラッシュー自身に向けられた戒めのように思えてしまう。

 

「それで、チョッキリーヌ……どうなの?」

 

「馬鹿言うんじゃ無いよ……私が、今更そんな事で怖がるわけ無いだろう」

 

「……それもそうね。じゃあ、私も参加させてもらうわ。ジョギ、あなたも良いわね?」

 

「ええ、スラッシュー様が問題無いのであれば」

 

それから3人はどの学園祭を襲撃するか……という話になった。勿論学園祭と一口に言っても候補は色々ある。勿論、本拠地であるこの場所からの距離感も考える必要があるのに加えてその場所にアイドルプリキュアがすぐに来れる距離感でなくてはならない。

 

「……ただ、残念ながらはなみちタウンの学校の学園祭は今日じゃないみたいですね。その周辺の街にも色々学校はあって学園祭をやる所もあるみたいですけど」

 

はなみちタウンの内情に詳しいジョギが調べた所、残念な事にはなみちタウン内の学校はどこも学園祭の日付が今日では無いという事で。

 

「それならはなみちタウンから離れた所……」

 

「だけど、あまり離れ過ぎていてアイドルプリキュアが来れない場所とかだと本末転倒よ?」

 

「そう考えると場所選びも難しいですね……」

 

スラッシューとジョギがそう話しているとチョッキリーヌはふとある事を言い出した。

 

「……もうさっき私が見てた手鞠沢高校でどうだい?高校の学園祭ならそれなりに人もいるだろう」

 

「とか言って、難しく考えるのが面倒なだけじゃ無いんすか?」

 

「煩いわね。はなみちタウンで学園祭が無い以上、どの場所を選んだってアイドルプリキュアはすぐに来れないんだ。この際、来るまでの間に人々の闇を集めるのも良いんじゃないか?」

 

チョッキリーヌのその案を聞いてスラッシューとジョギの2人は顔を見合わせる。それから少しだけ無言の時間が続くとチョッキリーヌが耐えられずに2人に話しかけた。

 

「何よ、そんな急に黙って。私、何か変な事でも言ったかい?」

 

「ふふっ、確かにそうね。その方がここまで私達の事をコケにしてきたアイドルプリキュアに大きな精神的ダメージを与えられそうじゃない」

 

「僕も絆だの繋がりだの言うアイツに、その手が届かない場所では無力だって事を思い知らせるにはその方が都合が良い。チョッキリーヌ先輩にしては冴えた考えじゃないですか」

 

どうやら、スラッシューもジョギもチョッキリーヌのこの考えに賛成らしく。邪悪な笑みを浮かべながら頷いた。

 

「じゃあこの手鞠沢高校って所に行く事にするか……あとジョギ。しれっとアンタ私の事を馬鹿にしたね?」

 

「えー、別に良いじゃないっすか」

 

「はぁ……とにかく、そうと決まればさっさと準備する事ね」

 

こうして、チョッキリ団の面々は初めて3人で手を組む事に決定。それから早速支度を済ませると目的地である手鞠沢高校へと向かうのだが……彼女達3人にとって想定外だったのはこの日、そのターゲットであるアイドルプリキュアの面々も同じ場所に来ていたという事だろう。

 

それはさておき、そのアイドルプリキュアのメンバー6人を含めた影人達一行は手鞠沢高校に到着。丁度その学校への出入り口である校門の所にいた。

 

「着いたーっ!」

 

「沢山の人で賑わってるね!」

 

尚、プリルンとメロロンは電車から降りた後に人目のつかない場所で人間態であるぷりんとめろんに変身。その状態でこの場所にやってきていた。

 

「それでも流石に大学と比べると見劣りはしちゃいますよね……」

 

「そこは仕方ない所だろ。それに、咲良さん達は早速楽しんでそうな感じだしな」

 

影人がそう言いつつ目線を先程から学園祭に来れて大興奮のうたやぷりんの方へと向ける。

 

「どこから見て回る?」

 

「うーん、電車内とかでも見てはいたけど……色々あって悩むわね」

 

ななからの質問にめろんが難しそうな顔をしながら学校の地図と睨めっこをしていた。

 

「それこそチームごとで動くか?流石に8人だと大人数過ぎるし……」

 

「そうですね……。その方がそれぞれの行きたい場所を回れる可能性が高いですし」

 

「賛成!」

 

影人達はここにいるメンバー8人全員で回るとなると身動きが取りにくいのに加えて、コーナーを回る時のロスタイムも大きいと判断。最終的な目的地である玲音の所属するこの学校のアカペラ部のライブ時間に体育館内で集合できるのであればバラバラで回るのも一つの手であると言える。

 

「わかった。ならチームごとで回るとして。何人ずつにする?」

 

「そうだな。丁度8人だし半分ずつの4人くらいが無難かな」

 

それから4人ずつのチーム分けをするのだが、それぞれが要望を言っていたのではキリが無いので今回は公平に行うべく“グッチー”によるチーム分けをする事にした。

 

「それじゃあ、誰とチームになっても恨むのは無し。やり直しとか求めるのも禁止だからな」

 

「オッケー!」

 

「わかりました」

 

「なら早速やるぞ。せーのっ!」

 

こうして、影人達は自分の手を出すと何回かの出し直しを挟んでチーム分けが決定。それぞれのチームごとに学園祭を楽しむべく行動を開始する事になるのだった。




また次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。