キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
2チームに分かれた影人達の内、影人本人のいるチームがこの学校の学生にして玲音の後輩である嬉歌と合流。早速元々行く予定だった教室へと入った。
「「わぁ……!」」
そこには教室の入り口にあったタイトル通り、輪投げや射的などと言った夏祭りなどの屋台でよくあるようなコーナーが並んでいる。
「ねぇねぇ、うた!あれやりたい!」
「オッケー!えっと」
「はぁ……アイツら早速ゲームに夢中かよ」
影人は早速お店の中にある射的コーナーの方へと行ってしまったうたやプリルンを見て唖然とすると呆れてしまう。ひとまず五人固まって行動する必要があるためにそんなうた達に付き合う形で影人達も射的コーナーに並んだ。するとこころが早速話しかける。
「やはり学園祭だけあって教室の中にコーナーが作られてるんですよね……」
「あ、嬉歌先輩のクラスって何をやってるんですか?」
「え、えと……お化け屋敷喫茶」
「「……うん?」」
2人はその言葉に一瞬だけ凍りつくと聞き覚えのあるお店の名前に困惑する。同時にそれは先程まで影人達が電車内で話題に挙げていたあのお店であると思い至った。
「あ、あれ嬉歌先輩のクラスだったんですか!?」
「確かにパンフレットには1年のクラスって書いてあるけど……マジですか」
「あはは……実は私のクラスメイトの中にお化けが大好きな子がいて。その子がやりたいと言い出してしまったがために元々出ていた喫茶店と合わさってしまったんですよね」
「どこをどう考えたらその二つを合わせようと思ったんだか……」
お化けと喫茶店を掛け合わせるというまさかの発想に至った嬉歌のクラスメイトに影人達は苦笑いを浮かべる中、射的の方の順番が回ってきたために早速影人達は手渡されたコルクを飛ばす用の玩具の銃を構える。
今回の射的は目の前にあるキャラメルの小箱を撃ち抜いて後ろに倒せば成功である。弾は5発で倒した際の景品は小箱を後ろに倒した回数に応じた飴が貰えるという形だ。
屋台とかの射的みたいに落とす必要は無いので幾らか難易度は下がっているようだった。
「ズッキュン!」
するとぷりんがやり方を教わった上で早速ズキューンが言いそうな掛け声と共に的を撃ち抜くとその的は一撃で撃ち抜かれて後ろに倒れた。
『きゃーっ!!』
「うわあっ!?な、何ですか急に……」
「あはは、そういえばぷりんちゃんって」
「確かうちの学校でも転校の初日に周りの目を引いてましたもんね……」
ぷりんが的を一発で綺麗に撃ち抜いたのを見た周囲の観衆……特に女子達がそのカッコ良さからか黄色い声援を上げる。その様子に嬉歌は唖然としてしまうと影人達はこの光景の既視感に苦笑いを浮かべていた。
「……俺達もやるか」
「そうですね」
「うん!」
「あ……う、うん」
同時にこれ以上ぷりんの事を気にしても仕方ないという事で影人達は早速射的をやる事になる。……ただ、この射的。ぷりんはあっさり一発で撃ち抜いていたが、思ったよりコツがいるのか中々上手く当たらない。
「思ったより難しいよこれ!?」
「ぷりんちゃん、どうやって一回で当てられたんだろ……」
「えっ?何となくここかなって」
「それじゃあ参考にならないよ!?」
やはりぷりんのやり方では全く参考にならないため、1人5発ある弾で調整するしか無さそうだった。そんな中で影人が最後の一発だったものの、見事に当てて倒すことに成功する。
「おお、倒した!」
「カゲ先輩凄いです!」
「私なんか全部外しちゃったよ……」
うた達は影人が当てた事に歓喜の声を上げる中、影人はこころがまだ一発分撃ってない事に気がつく。
「あれ、こころはまだ一回分残ってるんだな」
「あー、どうやったら当たるか考えながら撃ってたらちょっと時間がかかってしまって……」
ふと周りを見ると既にうた嬉歌コンビの2人は撃ち尽くしており、ぷりんに至っては教室内にある次のコーナーである輪投げの方にもう顔が向きかけている。今はそんなぷりんをうた嬉歌コンビがどうにか引き留めているような状態だった。
「そっか。じゃあせっかくだし、最後の一発は一緒にやろうか」
「えっ、カゲ先輩!?」
「ほら、ぷりんがもういつ勝手にフラフラ動くかもわからないし早めに済ませるぞ」
「うえっ!?」
こころはやはり心の準備ができてない時に近づかれると弱いのか……。顔が赤くなってしまう。それでも影人は早めに済まさないとまた興味に釣られてどこかに行ってしまいそうなぷりんの事も念頭に入れないといけなかったためにこころの後ろから手を回す形で上手く撃てる銃の構え方をレクチャーする。
「ここをこうして……」
「(うぇええっ!?か、か、カゲ君がすぐ側に……はぅうう……)」
ただ、大好きな影人に後ろから抱きしめられるような形で指導を受けているこころの気持ちは大混乱。影人の温もりに触れる度に自分の体もどんどん熱くなっていくのを感じると恥ずかしさのあまり目を回し始めてしまう。
「良し、撃ってみて」
「は、は、はいぃ……」
影人に言われるまま、こころは狙いを定めて撃つとそれが見事に的に命中。そのまま的はパタンと後ろに倒れた。
「や……やった!」
「こころ、おめでと」
影人は的を倒す事ができたこころへと後ろから支える体勢のまま優しく話しかける。ただ、そんな事をされればこころの気持ちは一瞬で再度の恥ずかしさに染まるわけで。
「か、カゲ先輩……ち、近いです」
「えっ?……あ」
影人もこころにそう言われてようやく自分が何をやってるのか自覚。そして、こんな密な姿は周囲の人達からバッチリ見られてるわけで。観客達はそんな2人に生暖かい目線を向けていた。中には男子からの嫉妬の目線や女子からの好みの男子に自分もああされたいみたいな想像をして顔を赤らめてる子もいる。当然嬉歌も2人の大胆さに唖然としていた。
「影人君って意外とこういう時ガッツリ行くタイプなんだ……」
「あはは、普段はあまりこういう事を人前ではしないんだけど……今回は興が乗っちゃったのかな?」
そして、自分が何をやらかしたか理解した影人の中には凄まじい程の恥ずかしさが湧き上がるとこころへと急に仕掛けてしまった事についで謝る。
「ご、ごめんこころ……。急にベタベタと……」
「だ、大丈夫です……。でもカゲ先輩、ここ最近そういうの増えてません?」
「ッ……それはそうかも。気をつける……」
この前のライブ前のキスの事然り、今回の事然り。段々と影人の理性の枷が外れつつある事に影人本人も今ので危機感を覚えたのか。次以降はもう少し考えてから行動しようと考えるのであった。
「……皆、何をそんなに騒いでるんだろ?」
尚、そんな中でもぷりんだけはただ1人この状況を上手く理解できていなさそうな様子だった。それはさておき。影人達は輪投げも終えて続いての場所に移動する事に。
「う〜ん♪飴ちゃん美味しいね!」
「ぷりんちゃん、私達にも一個ずつくれて……良かったの?」
「うん!皆で食べるのも美味しいから!」
ぷりんは先程の射的でまさかの全発命中して倒すことに成功しており……そのため5つの飴を貰っていたが、その中の一個ずつを当てる事ができなかったうた嬉歌コンビに譲渡。影人とこころは自分の分があるために全員で飴を舐める事ができていた。
「それじゃあ、次はっと……」
「嬉歌先輩はどこか行きたい所とかある?」
「えっ?えーっと……友達と合流してから決めるつもりだったから特にまだ行きたい場所とか決めてなかった」
「うーん……じゃあここ行きたい!」
「あっ!私も行きたいって言おうと思ってた!」
そうこうしている間にぷりんの興味がある場所が見つかってしまったらしく……うたもそこには興味があったのか一緒にそのお店に向かうことに。
それから5人がその教室に着くとそこはクレープのお店をやっているクラスであった。
「わぁ……美味しそう!」
「キラッキランラン〜♪!」
「こんなに美味しそうなクレープ……心キュンキュンします!」
嬉歌以外の女子3人が大興奮でクレープのメニューを見ていると影人はこの3人はいつも通りという事で一旦放っておき、嬉歌の方を向く。
「嬉歌先輩は何が良いか決めました?」
「うん。あ、でも私みたいなのがあまり豪勢に行くのも……」
「先輩……別に大丈夫ですよ?」
影人は嬉歌のこの感じを見ていると玲音が彼女の事を謙遜しすぎって言うのも無理は無いと思いつつ彼女をフォローする。
「……それにしても、嬉歌先輩を見てるとちょっと引っかかると言いますか」
「えっ!?それってどういう……」
「あ、別に嬉歌先輩の事が悪いとかそういうわけじゃなくてですね。……なんかどこかで見た事あるんですよ。嬉歌先輩の顔立ちとかその辺りの雰囲気が似てる人」
影人は嬉歌の顔立ちに何かを感じているようであり、首を傾げつつ考えていた。その間にうた達3人がクレープを購入したらしく。影人と嬉歌も注文をする事に。
それから教室内の飲食スペースに行くと5人でテーブルを囲んで座り、色々話し始める。
「えっ、嬉歌先輩って元々軽音部に行こうとしてたんですか!?」
「けいおんって?」
「簡単に言うと、バンドというチームを組んで楽器を弾いて音楽を演奏するんです。その音楽に合わせて歌を歌う人もいるんですよ」
「ああ、でも最初雰囲気に呑まれてしまって中々入部届けを出せなくて……」
その際に嬉歌は毎日のように軽音部の部室に通っては中に入る勇気が出ずに逃げ出していたために学校の中でも噂になってしまうくらいだった。
「毎日通ってて何で出せなかったんですか……」
「私なんかがボーカルとか言う軽音の花形をやるのは分不相応なのかなと思ってたりしてて。あと、大安の日に出したいというのもあったし……」
「大安の日に出すって……結構そういう運勢とかを気にされるんですね」
嬉歌は結構体面とかを気にしてしまうのでわざわざ自分で日めくりカレンダーを持ち歩き、今日が六曜のどの日だとかを常にチェックしている程である。
「あはは、でもそんな時……部長に誘われてアカペラをやるようになりました」
「それでいきなりリードだなんて凄いですよ!」
「あっ、でもリード自体は部長が無理矢理そうしたと言いますか……私の成長のためにって」
「レイレイ先輩も部長の言う事には逆らわない所か喜んで従いますからね……」
「一応結ちゃん……他の部員の子が反対したんですけど……」
ただ、部長はその決定を覆す事は無く。結果的に嬉歌がリードをやる事になるのだった。
「でも、部活の練習風景とか凄く楽しそうで……キラキラしてた!」
「そ、そうかな……」
「Parabolaのライブを観た時は高いレベルの歌をぶつけ合う事で全員が主役ってイメージだったんですけど、嬉歌先輩達の部活のアカペラはなんて言うか……全員がシンクロ?混ざろうとしてる感じの歌って言いますか」
「あ、そう言われるとなんかわかる気がする」
Parabolaの生ライブを観たこころが嬉歌へと二つのアカペラバンドの歌について言及すると嬉歌も何となくだが理解してくれたようである。すると影人がそこまで言った所である事に思い至った。
「そうだ。嬉歌先輩って誰かに似てると思ったんだけど、Parabolaの喜歌さんに似てるんだ」
「喜歌さん……」
「あの黄色い髪の人の事?」
Parabolaの生ライブ鑑賞に参加できなかったうたやぷりんがキョトンとしているとこころも何となく似ている事に気がついたのか声を上げる。
「あっ、言われてみたら確かにそうですね……。嬉歌先輩って喜歌さんに似てる気がします」
「あー……あの、実はその人……うちのお姉ちゃんです」
こころがそう言った所で嬉歌は少しだけ言いづらそうにしつつもゆっくりとある事実を話す事にした。
「「「……えっ?」」」
「なるほど、そう来たか……」
まさかの嬉歌と喜歌が姉妹という事実に影人達は驚きつつも、それなら影人達が感じた既視感は間違っていないのだと考える。姉妹であるならばある程度顔立ちが似るのも当然なのだろう。
「でも、話を聞いた感じだと喜歌さんって結構社交的なイメージと言いますか。他の人と結構話せそうな感じだよね」
「嬉歌とは凄く違うよね」
「嬉歌先輩と喜歌さんの苗字が違う所を見ると何となく察しはつくからそれ以上その事は言及しないけど、だとしたら凄い偶然だな……」
「姉妹揃ってアカペラをやってるって事だもんね」
先程の経緯を聞いた感じだと嬉歌と喜歌はお互いが示し合わせてアカペラに関わったわけでは無さそうなため、恐らく偶然2人共がアカペラをやる道を選んだのだろう。
「嬉歌先輩。アカペラをやるのは楽しいですか?」
「えっ……」
「歌ってる時の嬉歌先輩、そんな感じがするんです!」
すると、うたが嬉歌へとアカペラをする事が楽しいかどうかを質問。嬉歌はそれを聞いて目を見開く。
「……うん。アカペラはやってて楽しいよ。今はちょっと部内が割れちゃってるけど……だけど、今日のアカペラライブは成功させる。そのためにクマちゃんもウルルちゃんも……結ちゃんも頑張ってるから」
影人はそんな嬉歌を見て、あれだけ後ろ向きな事を言う嬉歌にも強い芯があるのだと感じ取っていた。そういう点では姉妹だと言っていた喜歌に似てる所になるのかもしれない。
「そうだ、私……行きたい所ができたんだ」
すると、嬉歌が自分から行きたい所ができたらしく。彼女からある場所を提案する。
「おお、楽しそう!」
「それじゃあ行こっか!嬉歌先輩!」
「うん!」
こうして、クレープを食べ終わった影人達の次の目的地が決定。その場所に向かう事になるのだった。
また次回もお楽しみに。