キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
クレープを食べ終わり、嬉歌の中に行きたい所が浮かんだ。そのため、影人達3人はその教室へと向かう。そして、影人達が到着したのは2年3組のクラスだった。
「ここは……」
「どうかな……」
そこにあったのは所謂フォトスポットと呼ばれる写真撮影のための場所である。
「折角一緒になったんだから記念撮影とかどうかなって……あっ、私なんかと撮るのが嫌なら……」
「そんな事無いですよ!」
「嬉歌先輩と写真が撮れるなんて……嬉しい!」
嬉歌は少し心配そうな顔をしていたが、影人達にとっては嬉歌の方から写真を撮りたいと持ちかけてくれるのはとても嬉しかった。
「俺達も記念撮影とかしたかったよな。折角学園祭に来れたんだし」
「うん!」
すると、そのタイミングで丁度教室の中から2人の人が出てくる。その内の1人は金髪のロングヘアで黒いカチューシャを付けており、瞳の色も髪の色に近い物をしていた。また、雰囲気からお嬢様のような気品も備えており、お淑やかな感じである。
そして、もう1人の方は影人達や嬉歌も知っている人だった。そうなると出てきたのは勿論……。
「次の方〜……あっ、ウタちゃん?」
「影人君達もいるね。来てくれたんだ」
「部長!」
「レイレイ先輩!」
そこにいたのはこの手鞠沢高校のアカペラ部の部長である古城愛莉と副部長の近衛玲音である。すると愛莉の方は影人達を知らないので玲音へと問いかけた。
「あれ、レイレイの知り合い?」
「うん。前に私がアカペラを教えてるって言った中学生の子達だよ」
「あー、そんな事話してたね」
どうやら愛莉は玲音から話を聞いているらしく。影人達がアカペラをやっているのは知っている様子だった。ただ、嬉歌の方は影人達がアカペラをやっているのは初耳だったために驚いた様子を見せる。
「えっ、皆さんアカペラをやってたんですか!?」
「あはは、実はそうなんです」
「そりゃあ、どうりでアカペラの話に食いついてくるなと思ってたけど……」
嬉歌も何故マイナーであるアカペラの話題に影人達が前のめりなのか気になっていたが、自分達もアカペラをやっているという事であれば説明を付けることができる。
「そうだ。あの、愛莉先輩」
「ん?な〜に?」
「初めまして、いつもレイレイ先輩にお世話になってます」
「「「初めまして!」」」
影人達は改めて玲音に近い存在というよりは部活の部長であるために愛莉へと挨拶の意味を込めて頭を下げる。
「そんなに堅苦しくしなくて大丈夫だよ〜。レイレイから話は聞いてると思うけど、私は古城愛莉。アカペラ部の部長をやってま〜す」
愛莉は話し方からマイペースなのか、かなりゆるっとした話し方で親しみやすさを感じられた。
「っと、アイリ。積もる話をしたいかもしれないけど……」
「あ、そうだね。うちのフォトスポットで撮影をしたいんだよね?今は空いてるし、中にどうぞ〜!」
丁度タイミング良く空いてる時に到着できたからか。影人達は割とあっさり中に入る事ができた。すると中には教室の四方にフォトスポットが存在する形であり、中央から4方向のフォトスポットをどこでも撮影できるような状態である。
また、中には愛莉達の他にも2年3組のクラスメイトが何人かいた。恐らく愛莉達と同じく店番のタイミングの学生達だろう。
「それじゃあ、どのフォトで撮りたいか選んでね〜」
影人達は愛莉に案内される形でフォトスポットを見渡すとそこにある4つを順番に見ていく。
「わぁ……どれもキラッキランランだ〜♪」
「ふむふむ。浮島のように空の中に浮いている大きな島に中央に大きなお城があるファンタジーなフォト、普通の街中に存在する開けた場所の中心部に古の石碑?のような石があるフォト」
「えっと、これは昭和風?なちょっと昔っぽい街並みの場所ですね。中央の建物を挟むように奥に続く道があるフォト、後は……あ、これはアイドルのライブステージですかね?下側にあるライトの色がピンク、青、紫、白、黒、銀……という事は最近噂のアイドルプリキュアの?」
「ふふっ、大正解。私達のクラスの中でも最近話題が尽きないからね〜。クラスメイトの中にはこの前あったライブに行ってきたって子もいたし」
どうやらアイドルのライブステージのようなフォトスポットは最近ライブを行って話題となっているアイドルプリキュアの要素を反映しているらしい。尚、他の三つのフォトスポットはアイドルプリキュア以外の他のプリキュアシリーズの要素を反映しているのだが……ここで明言するのは避けておこう。
「どれにします?」
「俺達視点だとあそこ一択だけど……」
影人達は自分達がアイドルプリキュアであるために撮るとなればライブステージのフォトは外せない。ただ、ここにはアイドルプリキュアとは関係無い嬉歌もいる。それに、彼女の意見でここに来るという話になったのだ。その意見を聞かないわけにはいかない。
「嬉歌先輩はどこが良いですか?」
「うーんと……私はこっちの石の所かな。神秘的な感じがするし、運勢を上げてくれそう」
影人はその意見を聞いて嬉歌の性格からすると確かにそこが一番写真を撮りたいと感じる場所だと考える。
「それじゃあ、そこから行こうか」
「うん!」
影人達は嬉歌が撮りたいと言い出したという事で嬉歌のスマホで撮ってもらう事にした。勿論撮影者はこのクラスの生徒である玲音だ。
「そこに5人で並んでね」
並び順は特に言わなかったが、言い出しっぺである嬉歌をセンターに身長のバランスを考えて彼女の左側に影人とこころ。右側にうたとぷりんという形で並ぶと5人で並ぶ。
「あっ!え、えっと……私が勝手に真ん中に来ちゃってるけど……」
「良いの良いの!」
「これが一番自然だしな」
「うん!それに嬉歌がやりたいって言い出したんだし!」
影人達は嬉歌が真ん中にいるのを気にし出したためにすぐに彼女をフォロー。真ん中にいてほしいと促す。尚、ぷりんは嬉歌と呼んでこそいるがうたと呼び方は変わらないのでかなりわかりづらいが。
「ッ……うん」
「ふふっ。ウタ、良い友達と出会えて良かったね。……じゃあ撮るよ」
玲音から優しく見守られつつ影人達は場所を決定。そのまま写真を撮る事になった。そして、玲音がスマホを向ける。
「それじゃあ行くよ。3、2、1!」
こうして、影人達は写真を撮ると玲音が写りを確認して大丈夫かを見せた。
「これで良いかな?」
「はい!ありがとうございます!レイレイ先輩!」
「そうだ、折角だからレイレイも一緒に撮ってきたら?」
「えっ?」
すると愛莉は玲音へとそう声をかける。それを聞いた玲音はまだ自分は店番の時間であるために勝手に撮られる側に回って良いのかわからずに躊躇った。
「でも、良いの?」
「ふふっ、丁度店番が交代の時間でしょ?ほら、次の子達も来てるし」
愛莉が指を指すとその先には彼女達のクラスメイトと思われる他の子達が到着。どうやらタイミング的に今が愛莉や玲音達が店番の時間が終わる時だった。
「……わかったよ。……だけど、私が写るなら愛莉も一緒に。ね?」
「えっ?」
「うたちゃん達も良いでしょ?」
「はい!」
「皆で撮れるなんて心キュンキュンします!」
玲音は自分が撮られる側になって良いのなら当然同じタイミングで当番が終わる愛莉にもその権利はあるという事で彼女を撮影に誘う。
「もう、しょうがないなぁ……」
「それなら愛莉先輩とレイレイ先輩はそっちで」
「えっと、じゃたうたちゃんは真ん中を……」
「え?良いんですか!?」
「私はこっち側だね!」
愛莉と玲音が入るという事でバランスを変える形で調整。右からぷりん、影人、こころ、うた、嬉歌、愛莉、玲音という形で並ぶと早速7人で撮影をする事に。
「じゃあ撮るよ!」
それから影人達は愛莉や玲音のクラスメイトに撮ってもらう形で撮影を終えるとうたが声を上げる。
「私、アイドルのステージの所でも撮りたい!」
「私はこのファンタジーな方で……いや、この一昔前のレトロな感じも捨てがたいですね」
「だったら全部で撮れば良いだろ?」
結局、影人達はあれよあれよという内に全ての場所での撮影を終了。この教室を後にする事に。
「写真撮りまくっちゃいましたね」
「結局全部の場所で撮っちゃったしな。他のお客さんを待たせちゃっただろ」
「あはは……まぁでも次に来ていたお客さんは影人君達が撮ってる途中に希望を聞いて被らない場所は入れるようにはしていたから大丈夫だよ」
影人達は一応外に出ると愛莉と玲音も流れで着いてきていた。ただ、こうなると人数は7人。そろそろ大所帯になり過ぎそうになる人数だった。
「レイレイ先輩達はこの後どうします?」
「う〜ん、君達と一緒に行きたいのはそうなんだけど……」
「ふふっ、実は私行きたい場所があるんだよね〜」
愛莉がそう言ってパンフレットを取り出すとある一点を指さした。そこにあったのはイントロクイズコーナーである。
「イントロクイズ……」
「あ、アカペラ部員だから……」
「う〜ん?どっちかといえば興味があるからかな。何となく面白そうだし」
愛莉のゆるっとした喋り方に影人達は何となく彼女は気の向くままに行動するのが一番だと想像する。ただ、そうなると一緒に行動するのは割と大変そうだった。
「どうする?俺達もそのコーナーに行くのも手だけど……」
「すみません。実は私、気になる場所を見つけてしまって」
「こころの気になる場所かぁ、私もそこに行ってみたい!」
残念ながら行きたい場所がバラけてしまった都合でこれ以上の一緒の行動というのは厳しそうな感じであった。そのため、影人達はそういう事情も考慮しないといけないと考える。
「むむ、マジか……流石に愛莉先輩の感じだと好きな所は外せないですよね?」
「そうだね〜。私はクイズの方に行きたいかな〜」
「レイレイ先輩は?」
「私はアイリの行きたい所一択かな。こういう二択の場合、私はアイリの味方になるから」
「えぇ……」
愛莉はこの調子だと折れる様子は無さそうであり、玲音に意見を聞くと何故か愛莉の方を優先の一点張りだった。このような彼女の一面を知らない影人達は困惑する。
「嬉歌先輩、レイレイ先輩っていつもこんな感じなんですか?」
「う、うん。実はレイレイ先輩って部長の示した道には絶対従うと言うか。部長の信者みたいな所があるんだ……」
「それで良いのかよ……」
影人は玲音の行動理由が愛莉依存だと聞いて何となく苦い顔を浮かべる。同時に前に玲音から聞いた共依存の話を思い出した。
「(なるほどなぁ……。これがレイレイ先輩が前に話していた愛莉先輩との共依存の関係……ってやつか)」
影人はその際に言っていた幼馴染の名前がアイリだった事、そして目の前で2人でいる時の様子から今玲音と一緒にいるのがその幼馴染のアイリだと判断。前の玲音の話に何となく納得する。
「だからごめんね。一緒に行くのは厳しいかな……」
「大丈夫ですよ!レイレイ先輩にも関係がありますし!」
「うん。私達は私達で楽しめば良いんだから!」
うた達が申し訳なさそうな玲音の言葉を聞いても前向きでいると嬉歌は少し羨ましそうな顔を見せた。そんな会話もあって影人達と愛莉、玲音の2人は別れる事に。
「ウタちゃん、また後でね」
「は、はい」
「影人君達も楽しんで」
「はい!」
それから愛莉と玲音が行ってしまうと嬉歌が先程感じた羨ましさを話す事にした。
「うたちゃん達は強いね」
「えっ?」
「私だったら仲の良かった友達が他の友達との関係を優先してそっちに行っちゃったらどうしてもモヤモヤするというか……あまり良い気持ちがしないのに」
嬉歌の記憶の中にそういう事に関する苦い思い出があるのか……少し暗い空気感を出してしまう。*1
「確かに私も一緒に回れたら嬉しいって思ったし、一緒に行けなかったのは残念って思うよ」
すると影人達を代表してうたが嬉歌の前に笑顔を向けつつ彼女からの質問の答えを返す。
「それでも、その人がその選択をしてキラッキランランな気持ちになるなら私はそれを尊重したい。そう思えるからかな」
「まぁ、正直俺達だって少しはモヤっとするけど……それで無理にお願いした所で相手が変わらないのなら仕方がないですよ。自分を変える以上に周りを変える事が難しい事は俺もよくわかってるつもりですし。それに、嬉歌先輩がそれで独りぼっちになるわけじゃないんですよね?」
それを聞いて嬉歌は自分が1人では無い事を思い出す。加えて先程の件は断られたとはいえ、愛莉や玲音が自分を嫌いになったという事にもならないという事も。
「確かにそうだね……うん。それに、私にも他に友達がいてくれる」
「それならきっと大丈夫ですよ。だから今は考え過ぎずに俺達は俺達で楽しみましょう」
「そうだね。折角の学園祭だし楽しまないと損だよね」
こうして、嬉歌は影人達の意見に賛成。先程こころが行きたいと言った場所に行く事を決定するのだった。
また次回もお楽しみに。