キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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レイ達の学園祭 パート1

影人達が学園祭を楽しんでいる裏側。レイ達のチームも手鞠沢高校の学園祭を楽しんでいた。ただ、今の時系列からスタートするとその全容を書けない。そのため少し時間を遡ろう。

 

影人達とチーム分けをした直後。レイ達は4人で組まれたチームとして移動を開始する。

 

「俺達のチームはこの4人か」

 

「ふふっ、レイ君と一緒になれて嬉しい」

 

「……でも、お兄ちゃんがちょっと心配かなぁ……。何しろ……ね?」

 

そこにいたのはレイ、なな、夢乃の3人であり、特に夢乃は今回一緒に来た8人の中で一番騒ぎを起こしそうなトップ2の2人と同じチームになった自分の兄を心配する。何しろ影人はチームのブレーキ役で苦労人だ。普段から暴走するうたやぷりんの制御を行っているため気苦労が絶えない。

 

「折角2チームになるんだから分散すれば良かったのによりによって2人共……」

 

これでは2チームに分けた意味が無いどころか普段よりも制御要員となるメンバーが減るので余計に影人の負担が増大してしまう。そのため、兄が学園祭を楽しめないのではと感じてしまうのだ。

 

「まぁ、影人の事だし大丈夫だろ。どっちかと言えば問題は……」

 

「うぅ、お姉様……影人……2人と別れてしまうなんて……」

 

レイがその視線を向けるとそれに釣られてななや夢乃がその方を向く。そこには影人やぷりんとチームが分かれてしまっためろんである。勿論他のメンバーとの学園祭が嫌というわけでは無い。だが、流石にどちらか1人とは一緒になりたかったようだ。

 

「こればかりは……仕方ないよね?」

 

「ああ。どうしようか……」

 

レイや夢乃がどうするべきか悩んでいるとなながめろんに手を重ねる形でそっと寄り添う。

 

「大丈夫。影人君やぷりんの代わりにはなれないかもだけど、めろんの隣にいるくらいなら私にもできるよ」

 

「なな……ありがと。あなたにはレイもいるのに」

 

「ふふっ、どういたしまして」

 

ただ、なながいてくれたお陰で比較的あっさりとめろんの寂しい問題は解消したようで。レイはななが一緒に来てくれて良かったと改めて感じる事になる。

 

「(流石なな。これなら問題無さそうだな)」

 

「なな先輩、めろん先輩。一緒に行きますよ」

 

そして、夢乃が2人に声をかける形で4人が集合すると早速行きたい場所を探す。するとめろんが夢乃にある事を確認する。

 

「そういえば、夢乃は行きたい所があるんじゃないの?

 

「確か、コスプレファッションのコーナーだっけ」

 

「そうですね。でも、私の好きな所は後で良いですよ」

 

「えっ、でも……」

 

夢乃は自分の行きたい場所を後回しにすると言い出したためにななやめろんは申し訳ない気持ちになってしまう。何しろ、もし仮に自分達の好きな場所を回っていたせいで時間が足りないなんて事態にはしたく無いからだ。

 

「……それなら、まずは俺達の行きたい場所を幾つか回ろう」

 

「レイ君?何で……」

 

するとレイは夢乃の言う通りに夢乃の行きたい場所を後回しにすると言い出したために2人は困惑する。ただ、レイには考えがあった。

 

「ただし、その時の混み具合を見て夢乃ちゃんの行きたい場所に支障が出そうならそこは断念する。それでどう?」

 

「なるほど、行っても入れないくらい並んでたらどっちにしても行けないものね」

 

それなら夢乃の要望を達成しつつ彼女の行きたい所にも行けるという事でレイはその方法を提案。

 

「……すみません、私の我儘に付き合わせて」

 

「大丈夫。こうするのも俺達全員で学園祭を楽しむためだからな」

 

夢乃はレイからの意見に頷くとようやく彼等4人も行きたい場所を探して動き始める事になる。

 

「それじゃあ、まずは私の行きたい所から」

 

最初に場所を決めたのはめろんだ。4人が彼女が行きたいと言うその教室に向かうと到着。それはカード占いのコーナーがある教室である。

 

「占いかぁ……」

 

「そういえば、めろんちゃんって占いグミ好きだもんね」

 

「初めてはなみちタウンに来た時もこころから貰ってたっけ」

 

めろんはメロロンとして初めてはなみちタウンに来た際にこころから貰った占いグミが気に入ってるらしく。その占い繋がりでカードによる占いが気になったようだ。

 

「順番待ちの列は……」

 

「そこにあるね」

 

すると数人が並んだ順番待ちの列が占いコーナーの教室の前に並んでおり、この程度ならそう大した待ち時間にはならなそうだった。

 

「これならすぐに入れそうだな。早速……うん?」

 

レイが時間も惜しいという事で列に並ぼうとしていると彼が何かに気がつく。その視線の先には黒髪のロングを白いリボンで二つ結びにしつつ相手を睨むかのような鋭い視線の女子がいた。瞳の色は上側が紺色、下側が薄い赤茶のような色というハーフハーフの子である。

 

すると、その女子もレイに見られた事に気がついたのか素っ気ない様子レイへと問いかけた。

 

「……何ですか?」

 

「この子……どこかで……」

 

「うーん、私も見た事あるような……」

 

「あ、もしかして」

 

なな、めろん、夢乃も最初は彼女の事が誰なのかわからなかったが、少しずつ頭の中にこの子の正体を思い出し始める。そして、レイはそんな彼女達よりもいち早くその答えに辿り着いたのか……。早速核心を突いた。

 

「アカペラ部の一年生、繭森結先輩ですか?」

 

「……は?何で私の事。それよりも、先輩って……私一年生なんだけど」

 

結と呼ばれた少女はいきなり自分の正体をピンポイントで当てられた事に困惑しつつ警戒心を高めて接してくる。

 

「ここにいる俺達は全員中学生以下ですから。先輩で問題無いですよ。それに、先輩を知ってる理由も至ってシンプルです。同じ部活のレイレイ先輩の指導を受けてるんですから」

 

「レイレイ先輩の知り合い……。というか、先輩が中学生に指導だなんて、そんな話聞いた事無いんだけど」

 

ただ、結は玲音からの指導を受けてる件を聞いても信じてくれなかったのか……。未だに睨みつけるような怖い目線を向けてきた。

 

「随分刺々しい対応ね」

 

「初めて会った頃のめろん先輩と同じだ」

 

「ちょっ、ちょっと夢乃!?その話は……」

 

めろんは夢乃から前の事を掘り返されて少し恥ずかしそうな顔を見せる。そんな中でどうにか結と話そうとするレイの話は続いていた。

 

「まぁ、レイレイ先輩が隠し事が多いのは知ってますよね?」

 

「……まぁ、部長程じゃ無いですけど……まだ上があるのに周りに合わせて本気で部活をやってない所とか」

 

結はレイから言われた言葉を聞いて何となく彼が玲音の事をわかっているという点は理解。そのため先程よりは警戒心が下がっていた。

 

「あとはレイレイ先輩はアイリ先輩の事になると色々とコントロールが効かない所とか」

 

「あー、確かに部長を甘やかし過ぎてる所はある。というか、何であんなに従順になれるのかってかん……あっ」

 

すると結はレイの言葉に誘導されて自分が少しずつ心を開きつつある事に気がつく。

 

「……はぁ」

 

「どうしました?結先輩」

 

「……何だかんだ、楽しんじゃってるのよね……」

 

結が唐突に言い出した言葉にレイ達は疑問符を抱く。その言葉の裏には部活動の方で何か大きな出来事があったかのようにも思えた。

 

「……ッ。もしかして、夏休みにある登校日の発表の時に」

 

「……えぇ。最近は部活に行けてないわ」

 

ななが結へと問いかけると彼女は少し罰が悪そうに頷く。結はアカペラガチ勢だ。……いや、アカペラガチ勢という言い方は語弊があるだろう。正確には音楽に対して妥協ができない。音楽ガチ勢と言った方が正しいだろうか。

 

「私の母は有名な音楽家でさ。私はその母を超えるために声楽の道を志してる」

 

「あっ、あの繭森さんの事!?」

 

「なな、知ってるの?」

 

「うん。ピアニストのママからあれ程の音楽家なんて早々いないって聞いた事があるの」

 

ななは母がピアニストであるために結の母の事も知っていた。何なら活動する中で現場で会った事もあるくらいである。

 

「ッ、もしかしてあなた。蒼風ななって名前だったりする?」

 

「はい。蒼風睦美の娘の蒼風ななです」

 

「ッ……」

 

結は同じく母親が音楽の道で有名な人であるななに対して対抗心を燃やしているように思えたが、ひとまずここは普通に話すべきと考えて深呼吸する。

 

「すぅ……ふぅ……」

 

「結、ななに対抗心を燃やしてない?」

 

「まぁ、母親が有名人で同じ音楽の道を志してる近い年代の子同士ならライバル視するのも無理は無いと思うよ」

 

結がななに対して対抗心を燃やしたというのはさておき、レイ達は改めてこの結が前々から玲音に聞いていた通り音楽に対して真剣に向き合うあまりトラブルを発生させてしまった子の1人だと認識した。

 

「それで、部活の方はまだ続けてるんですか?」

 

「……続けてはいる」

 

そんな中、結からの答えを聞いて一同は一安心する。玲音から聞いた内容からして下手をしたらアカペラ部内で揉めたのが原因で部活動を辞めたというパターンになっていてもおかしく無いからだ。

 

「良かった……」

 

「別に、私の母さんに続けた方が良いって言われたから続けてるだけ。……ホント、何を考えてるのかよくわからない。私には時間が無いのに……こんな所で楽しんでる間にもライバル達はどんどん先に進んでるのに」

 

結の声色はどこか焦っているようにも聞こえた。先程から言うように結の音楽に対する気持ちは並大抵な物では無い。それこそ、プロの母親を追い抜きたいという気持ちさえもある。だから部活という枠に囚われて遊んでいる今の時間に焦りを感じていたのだ。

 

「(……結先輩は恐らく幼少期の影人タイプか。同世代の子が一線級で活躍する中で結果を早く出さないといけないって考えてそうな感じ)」

 

「あの、結先輩」

 

「……何?」

 

そんな中、夢乃が結に対して何かを思ったのか彼女の話が終わったタイミングで声を上げる。結の方は少し面倒くさそうな素っ気ない聞き返し方をしていた。

 

「……結先輩の過去に何があったかはわかりませんし、結先輩が本気で音楽に向き合ってるというのは感じられました。多分ですけど、結先輩のお母さんは今の結先輩は音楽に真剣に向き合い過ぎて大事な事を見落としてるって伝えたいんじゃないんですか?」

 

「………」

 

結は夢乃からの考えを聞いて少しだけ無言になる。それは自分よりも歳下の夢乃から言われた事への不快感か、それともわかっていて見ていないフリをしていた事に気がついたのか……。何にせよ少しだけ無言の時間ができた。それでも結は改めて深呼吸して答えを返す。

 

「すぅ……ふぅ……。そうね、確かにそうかもしれない。……だけど、ここからは私に考えさせて。これ以上は他人の手を借りて良い問題じゃないから」

 

「はい……それと、すみません……」

 

夢乃は今の結の反応から自分が彼女のプライドを刺激してしまった事を何となく察しており、まずはそれを謝る。

 

「別に大丈夫よ。……元々あなたにそういう答えを言わせたのは私のせいだし」

 

「はい……。あの、結先輩。今日のアカペラライブ、楽しみにしてますから」

 

「……ええ」

 

結は夢乃からの励ましの言葉に少し申し訳なさそうな声色で答えを返す。前回の夏休みの際の登校日ライブの惨状では恐らく自分の望むライブを届ける事はできないと考えてしまっているからだ。

 

結は夢乃への返事を最後にその場を去って行くと夢乃は振り返ってなな達の方を向く。

 

「聞いていた通り、音楽については妥協できない人だったわね」

 

「うん。さっきの感じだと今回のライブも自分の中では失敗するとか思ってるのかな」

 

実際、登校日ライブの際はボイスパーカッションの子のリズムが安定しなかったせいで結以外の部員達のリズムや音程が全て崩れてしまっていた。結はあの結果を繰り返す物だと思っている。

 

「……だけど、レイレイ先輩はそのボイパの先輩も前回の反省を活かすために頑張ってるって」

 

「多分それは部活動に顔を出してない弊害だろうな……」

 

結が夏休み以降も部活に参加してさえいればボイパの子の努力を知る事ができて、少しは希望的な気持ちになるのかもしれない。だが、この調子だと今日のライブの時まで結がその事実を知る事は無いだろう。

 

「でも、私は結先輩の気持ち……少しわかるかも。自分がやってないから何とも言えないけど、プロを目指すあまり頑張り過ぎて周りの何もかもが見えなくなってしまっている人を……ずっと側で見てきたから」

 

夢乃はそう言って幼い頃からずっと一緒に育ってきた自分の兄である影人の事を思い出す。

 

「とにかく、今の私達にできるのはアカペラライブが成功する事を信じて学園祭を楽しむ事だけだし……まずは占いの方に行こ」

 

「そうね。結の事を考えてても結局私達に解決できる問題じゃ無いわ」

 

「夢乃ちゃん、今はそれでも大丈夫そう?」

 

「はい……!」

 

それからレイ達3人は早速目の前にあるカード占いの部屋に入っていく事になる。ただ、そこの教室に書いてあったクラス名は1年2組……そう……1年生のクラスだった。

 

同時にこのカード占いの教室を行きたい場所として選んでしまっためろんに最大の不幸が降り注ぐ事になってしまうのだが……それはまた次回明かすとしよう。

 

尚、先程夢乃と話してその場を去った結は教室から離れたタイミングである事に気がつく。

 

「……そういえば、店番交代のために教室に近づいたけどいつの間にか離れちゃったな……。元々占いなんて興味無いしサボるか」

 

結は音楽の事に関してはかなりストイックで妥協を許さない。しかし、それ以外の興味の無い事になると途端にやる気が無くなってしまうのである。そのせいで一学期期末に赤点問題によるアカペラ部員1年での勉強会が開かれていたのだが……それはここでは語らないでおこう。




また次回もお楽しみに。
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