キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
手鞠沢高校の学園祭を潰すべくとうとうチョッキリ団が総力戦を仕掛けてきた。そして、ダークランダーが4体も召喚されるとスラッシューも加わる形となって実質的にプリキュアと6対5の戦いが展開される事に。
まずは玲音が変化した楽譜ダークランダーと戦うアイドルの方から見ていこう。
「ダークランダー!」
「はあっ!」
2人の拳がぶつかると先程とは違い、互角のパワーだったのかお互いに後ろに押し戻される。
「くっ……ッ!!」
アイドルが着地するとそのタイミングでダークランダー側に動きがあった。それはダークランダーが閉じていた楽譜を左右に広げるように展開。胴体が三倍くらい横長になる。そして、その楽譜の中に存在したダークランダーとしての目が光るとそこに描かれている音符達が飛び出して紫のエネルギー弾としてアイドルへと放たれた。
「な、何あれ!?」
アイドルが慌ててその攻撃を回避するために走り回るとそれらは容赦無くアイドルを潰そうと降り注ぐ。
「ッ!!くっ!?危ないっ!?」
アイドルはどうにか回避に専念する事で直撃を免れているが、それもあまり長く続くものではない。反撃ができないのであればいつかは攻撃を受けてしまう。
「これじゃあ近づけない……」
だが、残念ながらアイドルにはこの音符の雨に対抗する手段が皆無だ。そのため、どうにか当たらないように逃げ回るしか今の彼女にはできない。
「このままじゃ押し切られちゃう。せめてキュンキュンみたいにレーザーが使えたら……」
キュンキュンの持っているキュンキュンレーザーであればこの無数の音符弾にも対抗する事が可能だろう。しかし、今はそんな都合の良いものなんて無い。そのため、アイドルは走りながらダークランダーの隙が無いか探す。
「ッ、そういえば……ダークランダーが音符を放ってるのは楽譜の中からだけだよね。だったら……後ろに回れれば!」
アイドルは攻撃回避と並行してダークランダーとの距離を少しずつ詰めていく。ダークランダーはアイドルのこの動きに対してすかさず対応してきた。
「ダークランダー!」
するとアイドルとの距離が縮まったのを察知したダークランダーは横長に伸ばしていたページをたたむとすかさず元の状態に戻ってアイドルへと拳を繰り出す。
「やぁああっ!」
すると体を畳んだ分だけダークランダーが出遅れたのか……。アイドルの拳が先にダークランダーへと命中。
「クラッ!?」
「やった!」
アイドルはこの事から今回の楽譜ダークランダーは接近戦と遠距離戦の切り替えの瞬間が大きな隙になると察する。
「よーし、このままどんどん……」
アイドルはダークランダーが生み出すこの大きな隙を上手く突けば1人でもどうにかできるかもしれないと考える。しかし、現実はそう甘くは無かった。
「はぁああっ!」
ダークランダーへともう一度パンチを命中させるために走って接近するアイドル。そのまま跳び上がって拳を後ろへと下げた瞬間だった。
「ラン!」
「えっ!?」
突如としてダークランダーはアイドルの跳び上がった瞬間を狙うと先程音符弾を連射してきた時と同じように自身の体を両側に開く形で展開した。
「ダダダダダダッ!」
そして、アイドルが困惑している間にダークランダーはアイドルへと至近距離から音符弾を連射。流石にここまで接近してしまった挙げ句、パンチをするために自ら近づいてしまった事が災いしてアイドルはその集中砲火の餌食になってしまう。
「ッ!?うわぁああああっ!?」
そして、アイドルに攻撃が着弾した影響で周囲には煙が立ち込める。その中からアイドルが吹き飛ばされる形で飛び出すと何度か地面に体を打ちつけて全身を引き摺られてからようやく止まった。
ただ、今の音符弾への被弾と地面に体を打ちつけた影響は大きく。まともに喰らってしまったのもあってかなりのダメージだった。
「く……ううっ……はぁ、はぁ……」
「ダークランダー」
アイドルが痛みに悶える中、ダークランダーは再び体を畳むと倒れているアイドルを睨みつける。
「……まだ負けられない。先輩達をキラッキランランにするまで……負けるわけにはいかない」
アイドルはダークランダーに囚われたアカペラ部のメンバーの事を考えつつ歯を食いしばって立ち上がった。
「はぁああっ!」
「ダークランダー!」
アイドルは何としてでも目の前にいる玲音を助けるために駆け出す事になる。
一方その頃、別の場所ではキュンキュンがピッチパイプのダークランダーと交戦中だった。
「ダークラン……ダー!ダー!ダー!」
「ッ!そんな単発攻撃、当たりません!」
ダークランダーが目からレーザービームを放つのに対してキュンキュンは強みである素早い動きで攻撃を全て回避。そのままダークランダーへの接近を試みる。しかし、ダークランダーもただやられるわけでは無い。全身に力を込めると体に多数存在するピッチパイプの吹き口からレーザービームをチャージした。
「そちらが弾幕で来るなら私も!」
ダークランダーが弾幕で来るというのなら自分も弾幕で対抗すると言わんばかりにキュンキュンはブローチをタッチ。これにより彼女は自らの得意技を解き放つ。
「キュンキュンレーザー!」
「ダーク!!」
キュンキュンの黄色い髪留めからレーザービームを射出するとそれが分裂として弾幕と化す。同時にダークランダーからもレーザービームが弾幕として放たれた。
「はぁあああっ!」
「ラァアアン!」
二つの弾幕がぶつかり合うとその力は拮抗。そのまま相殺されるように爆発すると周辺に煙幕が張られる。
「チャンスです!」
キュンキュンはこれを見て幸いとばかりにその煙幕の中へと自ら突入。そのままダークランダーへと気が付かれないように注意しながら接近していく。
この状況はキュンキュンにとって大きなチャンスだ。何しろ、ダークランダー視点だと今のキュンキュンの動きは見えていない。加えて、キュンキュンのスピードならこの動きでダークランダーの懐に入り込む事も可能である。そして、そうなれば不意が突ける分キュンキュンが有利だ。
「今です!たぁああっ!」
そのまま煙幕地帯を無傷で突破したキュンキュンはダークランダーの目の前にいきなり姿を表すと拳を振り抜く。
「クラァ!?」
「はぁああっ!」
ダークランダーに一撃を入れたキュンキュンはそのまま追撃をかけようと足を後ろに引っ込める。そのまま回し蹴りを放とうとした瞬間だった。
「ダーク!」
「えっ!?うわぁああっ!?」
するとダークランダーはキュンキュンに殴られて後ろに倒れ込みかけた動きのまま、両腕と両足を引っ込めるとそのまま丸い胴体を利用して高速回転。キュンキュンをその体格差で弾き返してしまう。
「ッ、今のは……」
キュンキュンは驚きつつもどうにか立て直して着地する。しかし、ダークランダーは追撃の手を緩めない。体を投擲されたフリスビーのように回転させつつ宙に浮くと先程レーザービームを放ったのを応用したのかレーザーを生成。また、そのまま自らが回転するのを利用してそれがリングのように体の周りに展開される。
「ああするって事はまさか……」
「ダークラン!」
キュンキュンは嫌な予感がすると咄嗟にその場から離れようとした。しかし、ダークランダーはキュンキュンの動きを見切ってしまうと彼女の逃げる先へとピンポイントで突撃してくる。
「えっ!?きゃあああっ!?」
キュンキュンはまさか自分の動きが完全に見切られてしまったとは思っておらず。ダークランダーからの突撃をまともに喰らってしまうとそのまま為す術無く撃墜。地面に叩きつけられる衝撃で彼女の体に鈍い痛みが駆け巡った。
「あ……ううっ……」
キュンキュンは今の攻撃で倒れ込むと体は傷つき、痛みのせいで上手く動けなくなってしまう。こうなるとキュンキュンは自慢のスピードもフルに発揮できない。
しかも、当然ながらパワーはダークランダーが上。先程の大車輪攻撃をキュンキュンが単独で正面から受け止めるのはかなり厳しい。そんな事もあって彼女はあっという間に圧倒的不利な状況へと追い込まれてしまった。
「ダークランダー!」
「やはり一筋縄では行かせてくれませんね……ッ」
キュンキュンは痛む体を動かす形で立ち上がるとダークランダーを見据える。勿論、勝てないからと言って逃げるわけにはいかない。キュンキュンだって囚われた人を助けたい気持ちは同じだ。
「私1人で勝つのは現実的じゃないですけど……それなら他の皆さんが来るまで踏ん張るだけです」
キュンキュンは気合いを入れ直すとダークランダーへと対応するために走り出す事になる。
また場面が代わり、こちらではウインク対日めくりカレンダーのダークランダーであった。
「ダーク!ラン!ラン!」
「はあっ!やあっ!」
正面から力押しをしてくるダークランダーに対してウインクは蹴りを中心とした足技で対応。どうにか互角にまで持ち込んでいた。
「ふふっ、ソウルビート以外がダークランダー相手に1人でどこまで持ち堪えられるかな?」
そんな中、高みの見物とばかりにジョギは自分が生み出したダークランダーとウインクが戦う様子を見ながら笑みを浮かべるとウインクはジョギへと反論する。
「確かに私じゃダークランダー相手に太刀打ちできないかもしれない。だけど、私にだってやらないといけない事がある!」
「へぇ。じゃあ、せいぜい抗ってよ!」
「ダークラン!」
その瞬間、ダークランダーが拳を振り翳そうとする。対してウインクは敢えて少しだけ後ろに跳ぶ形で回避をすると地面にめり込んだダークランダーの拳を両腕で捕まえた。
「クラ!?」
「はぁあああっ!」
そのままウインクがダークランダーを振り回すように自らを軸にしてスイング。すかさず真上に放り投げた。
「ンダァアア!?」
「たあっ!」
ウインクはダークランダーが上方向に飛ぶのに合わせてジャンプするとそれを追い抜いて真上に到達。
「やぁああっ!」
そして、真上から両脚を揃えてのドロップキックが炸裂。ダークランダーはその衝撃で日めくりカレンダーの日付の紙を撒き散らしながら落下して地上に叩きつけられた。
「クラァアア!?」
「おー、流石にダークランダーの力にも慣れてきたって所かな?」
ジョギはウインクが1人でダークランダーを地面に倒した事に驚きを浮かべつつも顔つきは割と余裕そうである。
「カズマさん!」
「うん?」
そんな中でウインクはジョギへと人間の時の名前で呼びかける。勿論ジョギからしてみれば当時の嫌な事を思い出してしまうため、その呼び方は気に入らない。
「……その名前で呼ぶの、止めてほしいんだけど?」
「カズマさんはカイトさんの事、本当に何とも思ってないんですか?」
ジョギは苛立ったような顔を見せるが、ウインクはあくまでジョギの事をカズマと呼ぶ。そして、ジョギはため息を吐くと前と考えは変わらないとばかりに冷たく答えを返した。
「ああ、何とも思ってないね」
「カイトさんはカズマさんの事、心配してたんですよ!それなのに……」
「誰が心配しろって言ったんだよ。……それに、勝者の余裕みたいな事をしてくれて。本当にムカつく」
やはりジョギからしてみれば、カイトだけがあのオーディションに通った件についてはまだ納得できてないようで。更に負の感情を増幅させると怒りを露わにする。
「あの時1人だけ合格したカイトは俺を置き去りにしてレジェンドアイドルへの道を走り出した。……俺も同じように頑張ったはずなのに何でアイツだけ……それで1人大成功した上で俺の事を上から見下ろして」
「ッ、カイトさんはそんな事……」
「そう思ってなかったとしても俺からはそう見えちゃうんだよ!!」
ジョギはウインクへと八つ当たりするかの如く怒りの感情を彼女へとぶつけてきた。そして、これ以上の話し合いなど無意味だとばかりにジョギはダークランダーに指示を出す。
「ダークランダー、そろそろお前の真の力を見せてもらおうか」
「真の……力?」
ウインクはカイトからの言葉に困惑しているとその瞬間、ダークランダーの周囲に落ちている大量の紙が舞い上がる。それはダークランダーの一部だった日めくりカレンダーの紙であった。
「ッ!?」
「「「ダークランダー!」」」
その瞬間、大量に舞い上がった紙が2つの塊として集まっていくと重なり合っていった。そして、ある程度紙が集約されるとまさかの日めくりカレンダーのダークランダーと姿形が全く同じダークランダーが2体も誕生する。
「そんな……どうして!?」
どうやら、カレンダーの日付が進むごとにちぎられていく紙がある程度集合する事で分身体を生成できるようだった。
「さぁ、ダークランダー。さっきから煩いアイドルプリキュアのその口を黙らせるんだよ!」
「「「ダークランダー!」」」
そして、こうなると苦しいのはウインクだ。ダークランダーとの1対1なら兎も角、ダークランダー側に数押しの戦術をやられてしまうとチームの盾であるウインクといえど戦況は一気に苦しくなってしまう。
「「「ダーク!」」」
ダークランダーが拳を繰り出してくるとウインクはそれを回避するが、分身された事で逃げた先を狙い撃ちされて吹き飛ばされてしまう。
「あああっ!?」
「「「ランダー!」」」
更に追撃とばかりにカレンダーの数字からエネルギー波を放つとウインクはそれが直撃。煙が晴れると傷だらけで倒れた彼女がいた。
「く……ううっ」
「そろそろ諦めた方が良いんじゃない?って、こんな事言ってもしぶとく粘るんだろうけど」
ジョギもそろそろ何となくの流れを理解してきたのか。ウインクが立つ事前提で話を進めるとその通りに彼女は立ち上がる。
「うん……だってまだ、諦めるには早過ぎるから。あなたのキラキラを取り戻すまで、倒れるわけには行かないよ!」
「じゃあいつまで耐えられるか。我慢比べと行こうか」
ジョギが手を振ると分身していたダークランダーはまた1体に戻り、ウインクへと向かっていく。そして、彼女もまたダークランダーと戦うために構えるのだった。
また次回もお楽しみに。