キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
アイドルプリキュアがダークランダーに対して苦戦しながらもどうにか戦いを進める中、場面はスラッシューと交戦するソウルビートの方へと移る。
「はぁああっ!」
「ッ!!」
スラッシューが炎の剣を一旦消すと両手に火炎弾を生成するとそれをソウルビートに向けて連射。ソウルビートはそれを走りながら回避するが、スラッシューの攻撃の勢いは止まらない。
「お前達のせいで!お前達のせいで!」
「コイツ……怒りでパワーを増してるのか……」
スラッシューは冷静さこそ無くしているものの、攻撃力は前以上に上がっており、しかも正確さは普段以上なためにソウルビートでもまず近づく事すらできない。
「スラッシュー、何をそんなに怒ってるんだ。俺達はスラッシューを助けたくて」
「それが余計な事なのよ!あなた達といるだけでどんどん自分がおかしくなってしまうの!!」
スラッシューはKotoneとしての記憶とアイドルプリキュアへの憎しみの気持ちに挟まれて精神的にかなりやられていた。そのため、思い出したくない記憶を無理矢理呼び起こそうとしてくるアイドルプリキュアへの憎悪の気持ちが余計に強くなっている。
「それはお前が事実と向き合おうとしないからだろ!……良い加減目を覚ませ!スラッシュー、あなたの大切な相棒が悲しむだろ!」
「煩い!あなたにUtakoの何がわかるって言うの!!Utakoの事を何も知らないくせに……あの子が、あの子がどれだけ苦労を重ねて頑張ってきたのかも知らずに!!」
スラッシューは最早自分がKotoneでは無いという言葉は言わなくなっており、逆にUtakoの事やKotoneとしての事を口走るようになっていた。
「(良し、少しずつで良い。スラッシューの本音を引き出す)」
そして、ソウルビートの狙いはそこにあった。頑なに自分の事を話したがらないスラッシューに対し、少しずつ自分の本音を引き出す方式で気持ちを吐き出させていく手を使う事で彼女の中に溜まっているストレスやらを全て発散させようとしていた。
「いつまでも逃げ回れると思うな!!」
スラッシューは火炎弾攻撃を止めるともう一度手に炎の剣を出現させる。対してソウルビートはソウルリンクライトを手に取るとダイヤルを銀に合わせた。同時にライトの部分がレーザーサーベルとして伸びると剣のような形で運用する。
「はっ、逃げ回るだけが能じゃない!」
ソウルビートはスラッシューからの鋭い太刀筋を受け止め、受け流しつつ上手くいなす形で立ち回った。
「くっ……思ったより太刀が力任せだな。だけど、それだけでも強力だから厄介過ぎんだろ……」
ソウルビートはスラッシューからの太刀の強さに流すのに苦労してしまう。そして、スラッシューはそんなソウルビートに声を上げた。
「どうしたの?その程度の力で私を倒せると思ったのかしら?」
スラッシューはソウルビートが自分の太刀を弾いた瞬間を狙って2本目の剣を左手に握るとガラ空きになってしまっていたソウルビートの脇を切り付けるように攻撃。
「があっ!?」
「崩したわよ」
とうとう攻撃に被弾してしまうソウルビート。しかし、スラッシューがこれで攻撃の手を緩めるなんて事は無い。
「良い加減やられなさい!」
スラッシューはソウルビートがダメージに顔を歪めた瞬間を使い、すかさず剣を消すと両手に高めた強力なエネルギーボールを合体。ソウルビートの腹辺りに押し当てる。
「ッ!?しまっ……」
「はぁあっ!」
そのままエネルギー圧の高い強力な砲弾が至近距離から炸裂するとソウルビートの肉体は凄まじい程の痛みに襲われてしまう。
「がぁあああっ!?」
「あはははははっ!私を馬鹿にするからよ」
スラッシューは勝ち誇ったように笑う中、彼女はソウルビートが吹き飛んで爆発した先をしっかりと見据えていた。
「だけど残念ね。今更あなたを許すつもりなんて無いわ。もっともっと痛めつけて。私に逆らった事を後悔させてあげるから」
そのままスラッシューはソウルビートに休む間も与えずに彼女の元へと歩いていく事になる。
同時刻。ズキューン、キッスが2人がかりで対応している喉スプレーのダークランダーの戦線ではチョッキリーヌの指示の元、ダークランダーが攻撃を仕掛ける。
「ダークランダー、一気に仕掛けるんだよ!」
「ダークランダー!」
ダークランダーは肉弾戦だけでズキューンとキッスに対応。しかも特徴的なのが、何故かリズムに乗ったかのようにステップを踏んでいるのだ。そのため、余計に2人は攻撃を当てづらい。
「どうしてダークランダーがこんなにノリノリなの!?」
「多分ですけど、アカペラ部のボイスパーカッション……閏が素体になってるから」
この理由はこのダークランダーの素体として閏が使われているからである。ボイスパーカッションはアカペラにおけるリズムキープの役割がある。そのため、今回のダークランダーの特徴にあるようにリズムを取りながら戦っているのだろう。
「クラ!クラ!クラ!」
「「ッ!!」」
そうこうしている間にダークランダーが2人へと近接戦を仕掛けてくる。その際のパワーの高さはやはり健在だった。
「もう!厄介過ぎるよこれ!」
「どうにかしてキッスショックで動きを止める」
キッスはキッスショックであればダークランダーの動きを一瞬止められると考える。今回のダークランダーの厄介な点はリズムを取る事による独特な動きや攻撃のテンポであるため、そのリズムさえ止めてしまえばそれはズキューンキッスにとって大きなチャンスとなり得るだろう。
「クラ!」
「ッ、今!チュッ!キッスショック!」
キッスはダークランダーの攻撃直後という無防備な瞬間を狙ってキッスショックを放つ。これが決まれば一気に自分達有利に持っていけると信じて。しかし、キッスの狙いは無情にもダークランダー側も分かっていたようで。
「クラ!クラ!クラ!」
キッスショックはただのステップワークだけで回避されてしまうと不発に終わってしまう。
「なっ!?嘘!!」
「あははっ!良いぞダークランダー!そのままチョッキリ潰してしまえ!!」
「ダークランダー!」
「そうはさせない!」
動揺するキッスに対してチョッキリーヌの指示の元、すかさず反撃しようとするダークランダー。それを見てズキューンは相方の窮地にすかさず駆けつけると対抗しようとする。ただ、その瞬間こそチョッキリーヌ及びダークランダーの狙いでもあった。
「ふふっ、チャンス到来だね。やれ!」
「ダーク!!」
チョッキリーヌはダークランダーへと声を上げるとダークランダーは頭に付いているスプレーのノズルから霧状の何かを噴射する。
「えっ!?うっ……」
「くっ!?」
2人が身構える中、その霧状の何かが体に命中。しかし、特段何かが起きるというわけでも無く。むしろ何も起きなかった。
「ッ、今のは……」
「兎に角、何も無いなら……うっ!?」
2人は最初、特に何の効果も無いという事でそのまま攻撃を続行しようとした。しかし、そのタイミングで突如として2人の体から力が抜ける感覚を感じてしまう。
「く……ううっ、何これ……」
「力が出ない」
「あははっ!そいつはダークランダーのとっておき。吸い込んだら最後、力を暫く抑制してしまうのさ」
「クラクラクラァ!」
ダークランダーは再度動けない2人へとスプレーを噴射。2人の肉体は徐々に弱らされてしまう。
「く……ううっ……痛みは無いのに、力だけ入らなくなる」
「このままじゃ……はぁ、はぁ……」
2人はスプレーの集中攻撃を受けて膝を付くと全身の力が抜けてしまい、その場でどうにか踏ん張るので手一杯になってしまう。
「ダークランダー、今のうちに潰せ!」
「させない……ズキューンバズ……」
ズキューンはどうにか高火力技であるズキューンバズーカーでダークランダーを近づけさせないようにしようとする。しかし、やはり力が入らないためアイカラーを塗る所まではできてもエネルギーを放つ前に露散してしまう。
「うっ……だ、ダメ……パワーが保たない」
「ダークラン!」
「「きゃああっ!?」」
そのまま完全に無防備となってしまった2人にダークランダーからの蹴り上げが命中。2人は最早為す術も無く吹き飛ばされるしか無かった。
「ふふっ。今日こそお前達に勝たせてもらうよ」
「ッ……卑怯な手を使わないと勝てないのに、よくそれで……」
キッスは正面から勝負をせずに搦手による攻撃で自分達を弱らせようとするチョッキリーヌやそのダークランダーに悪態を吐くが、チョッキリーヌにとってそれは褒め言葉でしか無く。
「ふっ、卑怯?良い褒め言葉をありがとうねぇ!!」
「ダークランダー!」
そのままダークランダーは調子付くと一気に仕掛けるべくズキューンとキッスを片手ずつで捕まえてしまう。
「ああっ!?」
「くうっ!?」
そのままダークランダーは渾身の力で2人を締め上げていく。2人は必死に逃げ出そうともがくが、力が入らない事も相まって振り解く事ができず。それどころか締め上げられる痛みでどんどん弱っていく。
「このままじゃ……」
「どうにか逃げないと……あうっ!?」
「良いぞ、ダークランダー!そのままトドメを刺すんだね!」
「クラ!!」
「「ぐううっ……」」
2人の事を更に強く締め上げるダークランダー。2人は苦しみながらどうにか力を入れようとする。
「まだ……終わってなんか……無いよ!」
「私達に託してくれたアイドル達の気持ちを無駄になんか……」
「煩いね。ダークランダー、もう一度アレを使うんだよ」
「クラ!」
チョッキリーヌがズキューンキッスを確実に仕留めるべくもう一度スプレー噴射を行うように指示。それをまともに受けてしまった2人の体からまた力が抜けてしまう。
「ううっ……だ、ダメ……これじゃあ力が……」
「キッス、踏ん張って……私達が負けたら皆に……」
ズキューンもキッスも倒されないように必死に踏ん張ろうとする。だが、ダークランダーから噴射されえいるミストの影響で2人のスペックは大幅に落ちている。
こうなると幾ら身体能力の高いズキューンキッスでもダークランダー相手に手も足も出ない。
「そろそろ諦めたらどうだい?お前達に勝ち目なんて無いんだよ」
「ダーク!」
「「うわぁああああっ!」」
良い加減この戦いを終わらせるべくダークランダーが2人へと締め付けの圧を更に強める。
「あははっ!とうとう、とうとうアイドルプリキュアに勝つ時が来たようだね!」
「くうっ……まだ……だよ」
「ううっ……私達は皆に託されたの」
ズキューンとキッスは今にも手放してしまいそうな意識を踏ん張って保たせるとチョッキリーヌに向けて反論した。
「ふん。託されたからってこの状況から勝てる理由になんかならないと思うけどね?」
「そうよ。勝てる理由にはならない。……けどね」
「クラ!?」
するとダークランダーは先程まで弱りきって殆ど無抵抗だったズキューンとキッスが少しずつ息を吹き返してその抵抗を強くするのを感じて驚きの声を上げる。
「アイドル達はこの街に来てから私に沢山のキラキラを見せてくれた……」
「暗闇の中に囚われていた私にも輝けるって、その可能性を示してくれた……」
同時にミスト攻撃のせいで消えかけていたはずのズキューンとキッスの胸の輝きは少しずつその強さを取り戻していく。
その際に2人が言った内容はこれまでの彼女達がアイドル達他のアイドルプリキュアのメンバーの影響を受けてきた事だった。ズキューンもキッスも。アイドルプリキュアという存在がいたからこそ今自分がズキューンキッスとしてここにいる。アイドルプリキュアの一員としてここにいるのだ。
「「だから、今度は私のキラキラで皆の力になりたい!!」」
2人はそんなアイドルプリキュアにキラキラにしてもらった分、今度は自分達が生まれ変わって仲間のために力になりたいという断固たる気持ちがある。
そして、その気持ちがミストの力によって削がれてしまっていた2人の力を増幅。同時に力を取り戻した事でダークランダーの拘束は内側から壊されつつあった。
「まさか、こんな時に火事場の馬鹿力が起きたとでも言うのかい?ダークランダー、もう一度この2人の力を奪うんだよ!」
「ダークラン!」
チョッキリーヌはこのままではまた2人が盛り返してしまうという事を危惧するとダークランダーへと再度2人の力を落とすミスト攻撃を指示。2人の力を抑制する事で一気に叩きのめしてしまおうと考える。
「「はぁあああっ!」」
「ラン!!」
ズキューンとキッスがあと少しで拘束を解く……というタイミングでダークランダーにとっては間一髪、ミスト攻撃が2人に命中。同時に2人が強めていた光が消え去ってしまう。
「今だ!ダークラン……」
「「はぁあああっ!」」
ダークランダーはミスト攻撃で2人の力が弱まった瞬間を狙った拘束強化を試みるものの、その瞬間に先程以上の光が2人から溢れ出すとそのオーラが天にまで高く昇る程に放出。衝撃でダークランダーは思いっきり後ろに吹き飛ばされてしまう。
「クラァアアッ!?」
「な、何ぃ!?」
ダークランダーがいきなり吹き飛ばされた事に動揺するチョッキリーヌ。そんな彼女が2人の方を見るとまた驚きのあまり目を見開く。
「ッ……これは」
そこにいたのは以前ソウルビートが自らの体にオーラを纏った姿。ソウルビートアトラクト状態に近いオーラを纏ったズキューンとキッスである。勿論ズキューンが白、キッスが黒のオーラだ。
「キッス、私達の力で」
「はい。世界をキラキラにします」
「「ここからはキラキラショータイムだよ!」」
こうして、ズキューンとキッスが覚醒してアイドルプリキュアとして一段レベルアップした。果たして、ダークランダー相手に勝つ事ができるのだろうか。
また次回もお楽しみに。