キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ズキューンキッスの2人が覚醒するとその影響で体を包むような白と黒のオーラをそれぞれ纏う。
「な!?まさかあの2人がキュアソウルビートみたいな力に目覚めたのかい!?」
ズキューンとキッスはチョッキリーヌが驚く中、ゆっくりと2人の足並みを揃える形でダークランダーへと歩き出す。
対してチョッキリーヌもただ黙ってそれを許すわけにはいかないという事で早速対応するように指示を下す。
「ダークランダー、こんな奴等を調子に乗せるな!さっさと倒すんだよ!」
「ダークラン!」
するとダークランダーは先程と同様にリズムを取るかの如く体を左右に横に揺らしながら歩いてくる。
「お姉様……」
「うん。キッス、お願い」
対してズキューンキッスの方はズキューンがキッスへと何かをお願いすると彼女は頷く。すると、ダークランダーのリズムにシンクロさせる形でキッスがボイパを始めた。
「(私のやるべき事はダークランダーのリズムをお姉様に完璧に伝える事。アカペラ練習の中で身につけたボイパの技術とリズムキープ。これでダークランダーの動きを丸裸にする!)」
それからダークランダーの動きにキッスがリズムを少しずつ合わせていくとダークランダーの方はキッスを放置すると危険な事に気がついて彼女へと少しずつ歩み寄っていく。
「ダークランダー!」
「ここです!」
しかし、キッスへとダークランダーの拳が炸裂する直前。彼女はダークランダーのリズムを完璧に読み切る事に成功。ズキューンへと声を上げる。
「はぁああっ!」
「クラァ!?ンダァアアッ!?」
そして、キッスのボイパに合わせる形でズキューンも呼吸を合わせるとダークランダーが拳を引っ込めたタイミングでズキューンからの飛び蹴りが炸裂する。
ダークランダーがズキューンからの攻撃をまともに喰らうと堪らず吹き飛ばされて地面に叩きつけられた。
「キッス!」
「ええ!ここからは私のリズムに合わせてください!」
2人は今のズキューンからの一撃でダークランダーのリズムを完全に突き崩す事に成功。そしてここまではダークランダーのリズムをわざと合わせていたキッスが自分達のアカペラのリズムへと転調させる。
「ダークラ……」
「ホラホラ、こっちだよ!」
「あなたに私達のリズムが捉えられるかしら?」
ダークランダーは2人に反撃しようとするが、今度は先程までダークランダーがやってきていたリズムによる崩しをプリキュア側がする事で撹乱を狙う。
「クラ!?」
ダークランダーが困惑する中、2人はダークランダーの周囲を動き回る事でダークランダーの気を散らす。
「くっ、だったらダークランダー。今度はこっちがプリキュアのリズムに合わせてカウンターするんだよ!」
チョッキリーヌは先程キッスがやったように2人の動きのリズムをトレース。そのままダークランダーは2人の動きに合わせて先読みのスプレー攻撃を仕掛ける。
「クラ!!」
「はい!」
「遅いよ!はあっ!」
だが、スプレー攻撃を構えた瞬間にキッスが声を上げると2人は一気に加速。そのまま2人が同時に拳を繰り出す。
「「ダブルプリキュアパンチ!!」」
「ンダァアア!?」
「ば、馬鹿な……いきなりリズムを変えてきただと!?」
確かに相手のリズムを感じ取ってそれに合わせる戦法はリズムを軸にする戦い方に有効だ。だがそれは相手のリズムを完璧に追いきれないと意味が無い。つまり、予期せぬリズムの変化に対応ができないのなら意味が無いのだ。
するとキッスはボイパを続けながらズキューンは彼女の呼吸を感じつつ動く。
「(前にレイレイに言われた周りにテンポを合わせる事……まさか戦いで役に立つなんて!)」
「(お姉様が私に合わせてくれてる。いつもなら私が合わせてるけど、これなら逆に相手の意表を突ける!)」
「ええい!ダークランダー!いつまでも手こずるな!早くリズムを捉えて攻撃を合わせるんだよ!」
チョッキリーヌは怒りの声を上げるとダークランダーへとその感情のまま指示を出す。
「単調過ぎるよ!」
「(このくらい、私達に避けてくれって言ってるような物ね)」
だが、チョッキリーヌの苛立ちも虚しくダークランダーは2人のリズムに全くついて行けない。理由として、ズキューンとキッスのリズムを複雑に入れ替える事でダークランダーのリズム合わせを阻害しながら自分達のペースに持って行ってるのだ。
勿論そのスイッチを担うのはキッスのボイパによるリズムコントロール能力である。彼女はズキューンにだけ切り替えの合図となる音を伝えており、ズキューンはそれを聴き分けて自分のペースで好きなようにやるとキッスのペースに合わせるを上手い事切り替えていた。
これもズキューンが自分以外の誰かのリズムに合わせるという事を覚えたからこそできる芸当である。
「「はぁっ!」」
「クラァ……」
ダークランダーは覚醒した2人の戦闘能力とリズム切り替え戦法に翻弄されっぱなしであり、このままでは押し負けるのは目に見えて明らかだ。
「ぐ……だったらダークランダー!奥の手を使うんだよ!」
「ッ、奥の手?」
ズキューンがチョッキリーヌがダークランダーにある奥の手を使うと聞いて困惑する中、キッスもボイパを継続しつつその様子を伺う。
「ダークランダー!」
すると、ダークランダーはどこからか巨大なブーメランを取り出すとそれを構えた。
「えっ、ブーメラン?どういう事!?」
「………」
2人はまさかここまでの戦いとは全く関係ないアイテムであるブーメランを使ってくるとは思っておらずに困惑する。対してダークランダーはこれで本当にプリキュアを仕留めるつもりなのか……。容赦無くそれを投擲してきた。
「ダークランダー!」
「「……ッ!」」
2人は投げられたブーメランをあっさり回避するとすかさず反撃のために構えを取る。
「今更そんな物効かないよ!」
「ふふっ、そんなに油断してて良いのかい?」
「ッ!!お姉様!!」
ズキューンは切り札と言っていたブーメランが大した物では無いと考えて一度目を回避した瞬間にまた正面に立つダークランダーを気にする。しかし、それを見てすかさずチョッキリーヌが笑みを浮かべた。
「ごめんなさい!」
「うわっ!?」
次の瞬間、ダークランダーの手元に戻って来る途中のブーメランが完全に背中を見せていたズキューンを後ろから狙い撃ちしようとしていたが……それに気がついたキッスが咄嗟にズキューンを押し倒すような形で事なきを得る。
「お姉様、大丈夫ですか?」
「うん……それとフォローしてくれてありがと」
ズキューンは自分の油断が生んでしまった隙を悔やむのと同時にフォローしてくれたキッスへのお礼を伝える。
「それにしてもブーメラン……あっ、もしかして閏が動画撮影か何かで使ったって事?」
「えっ、そんな事あるの!?」
キッスは何故ダークランダーが切り札としてブーメランを隠し持っていたのかわからずに最初困惑するが、閏が動画撮影のために自分で制作したからという理由ならしっくりと来る気がしていた。ちなみにキッスのこの予想は大正解であり、閏は学校の一学期期末テストの前に動画作りの中でこのブーメランを制作していたのだ。
「さぁ、そのブーメランでプリキュアを倒すんだよ!」
「ダークランダー!」
「ッ、いいえ……その発言。ブーメランにしてあげるわ」
「ッ……ムッキーッ!だったら受けてみなさい!」
チョッキリーヌはこれならプリキュア相手に勝てると考えるがキッスに言葉を返されて苛立つとダークランダーに攻撃するように促す。しかし、これはキッスの考え通りだった。
「お姉様!」
「オッケー!」
ズキューンがその手にハートキラリロックの鍵をモチーフにした化粧コンパクトを手に取るとアイカラーを塗る。その瞬間、普段以上の凄まじいエネルギーが集約するとエネルギー砲が眩い輝きを纏う。
「ズキューンバズーカー・フォルテッシモ!」
ズキューンがそう言いながらエネルギー砲を放つとそれは単発の砲弾では無くエネルギー波として放出。その威力を持ってして一気にダークランダーから投げ込まれたブーメランを呑み込むとそれを文字通り押し返してブーメランとしてお返し。
「ダーク!?ンダァアア!?」
そのままダークランダーはズキューンバズーカーと自分の投げたブーメランを纏めて喰らうとかなりのダメージを受けていた。
「う、嘘だろ!?だったらミスト攻撃で……」
「ダークゥ……」
ダークランダーは流石に今の一撃が強く効いたようでどうにか立ちあがろうとするが、フラついてしまう。ただ、それでも意地を見せるべく踏ん張ると2人を何度も苦しめていたミスト攻撃の構えに入る。
「キッス、こっちはお願いするよ!」
「ええ。チュッ!」
すると今度はキッスがハートキラリロックの錠前型の化粧コンパクトからリップを塗ると投げキッス。するとその際に生成される投げキッスは普段のピンクから更に色が濃くなった物……所謂マゼンタカラーになるといつも以上にの電撃を帯びていた。
「キッスショック・ピアニッシモ!」
するとズキューンのとても強くを意味するフォルテッシモとは対照的なとても弱くを意味するピアニッシモを冠したキッスのキッスショックがダークランダーへと飛んでいく。
「ピアニッシモだと……わざわざ弱くするなんて馬鹿だね!」
「ダークラン……ンダァアア!?」
チョッキリーヌは言葉の意味を考えてキッスショックが前よりも弱くなったと考えるが、ダークランダーに命中したキッスショックは凄まじい電撃を放出するとダークランダーの体をたった一撃で痺れさせる。そして、ダークランダーはあまりの威力に尻もちを付いてしまう。
「なっ!?ど、どうなってるんだい!!弱くなったんじゃないのか!?」
チョッキリーヌは自分の見立てが外れたどころか、威力がダークランダーさえも一撃で倒す程にまで強化されたキッスショックに困惑してしまう。
「残念だけど、ピアニッシモでとても弱くなったのは攻撃が直撃した相手。相手の力を削ぐキッスショックにピッタリの名前よ。どう?メロメロ夢CHUになったでしょう?」
「キッス、カッコ良いよ!」
キッスが改めてダークランダーへと軽く投げキッスをする仕草を見せるとズキューンが覚醒状態によって進化したキッスの技を褒め称える。
「ありがとうございます、お姉様も新しくなった技が力強くてカッコ良いですよ」
「うん!」
「な……ああ……」
それに対してチョッキリーヌは開いた口が塞がらない程に驚愕していた。ズキューンとキッスがまさかここまでの進化を遂げるとは思わなかったのである。同時に、チョッキリーヌの中に焦りの気持ちが湧き上がった。このままでは自分はプリキュア2人相手に負けかねないという焦りである。
「ダークランダー!いつまでも倒れてるんじゃない!しっかりするんだよ!!」
「だ、ダーク……」
チョッキリーヌはどうにかダークランダーに持ち直すように厳しく言うが、ダークランダーもかなり消耗してしまったのか中々立ち上がれない。こうなると最早勝負の結果は見えていた。
「キッス、皆が待ってるからそろそろ決めよう!」
「ええ、私達を信じてくれている人達のために……これで決めるわ!」
ズキューンとキッスはこのままの流れを維持しつつフィニッシュまで決めるべくダークランダー相手に向き合うと覚醒状態を維持したまま浄化技を発動させた。
「「二人の誓い!今、輝け!」」
すると、二人の掛け声と共にライブ領域が展開。同時にダークランダーは席へと強制着席させられる。ダークランダー側も黙ってやられまいと抵抗するが、覚醒した二人の技量の向上により着席の拘束力が強化。この二人だけの技でも拘束を継続させられていた。そして、とうとうイントロが終わって二人による歌が始まる。
♪決め歌 Awakening Harmony♪
「「取り戻したい〜♪光の世界〜♪」」
「その笑顔♪」
「勇気♪」
「涙♪」
「夢♪」
「「希望の兆し♪キミと明日を〜願うチカラで♪生まれる〜私たちのハーモニー♪響け〜♪……プリキュア!ズキューンキッスディスティニー!」」
ズキューンとキッスが覚醒した事によって強化された白と黒の光の一撃がダークランダーへと放たれるとそれが真上から降り注ぎ、その体を浄化していく。
同時に二人が決めポーズを取るとダークランダーの方はいつもの消え際の台詞と共に消滅した。
「「「キラッキラッタ〜」」」
そして、ダークランダーが浄化されたためにまた新たなキラルンリボンが出現。それをズキューンが回収する事になる。
「チッ……まさかこんなあっさりと負けてしまうとは……情けないね」
チョッキリーヌは自分のダークランダーがやられてしまってはこれ以上ここにいる意味が無いと言わんばかりに撤退。その場から姿を消した。
「ふぅ、何とか倒せたね」
「はい。……ですが、私達に湧き上がってた力が……」
ズキューンとキッスはダークランダーを1体浄化する事に成功したものの、一つ問題が発生した。それは覚醒状態が解除されてしまったのである。
どうやら、覚醒状態は自分の意思で常時引き出せる物では無いらしい。更に言えば、その継続時間にも限りがあるのか。ライブ技を使ってしまうとその時間が大幅に減ってしまうようだった。
「仕方ないよ。ひとまず今は結達を!」
「そうですね。閏の方も……良かった。気絶してるだけね」
2人は覚醒状態の事は一旦置いておき、ダークランダーの素体にされていた繭森結と宮崎閏の体をそっと抱き抱えつつ一時的にハートガーデンから離脱。すかさず2人を安全な場所にそっと寝かせた。
「これでもうこの2人は安心だね」
「えぇ、でもまだ他に4人も囚われてしまっている」
キッスは他のダークランダーに囚われた4人の事を憂う。対してズキューンは前向きな顔だった。
「大丈夫!私達が助けに行けばきっとすぐにキラッキランランにできるよ!」
「はい!お姉様!今の私達なら負ける気がしません!」
こうして2人は分散した際の当初の目的通り、自分達担当するダークランダーを浄化する事に成功すると他のダークランダー相手に苦戦中のプリキュア達の元に向かう事になる。
また次回もお楽しみに。