キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ダークランダーに苦戦するウインクの元にズキューンキッスが到着し、分身能力もある日めくりカレンダーのダークランダーを3人がかりでどうにか対応しようとする。
その頃、楽譜のダークランダーを相手にしていたアイドルは未だにダークランダーの能力に対応できずにいた。
「ダーク……ラン!ラン!ラン!」
「くっ!?ううっ……ああっ!?」
アイドルはダークランダーからの音符弾にまた被弾。最初こそ耐えていたが、何度も命中してしまうと流石にどうしようもできない。アイドルは為す術無く吹き飛ばされるとそのまま叩きつけられてしまう。
「うぐっ……」
「クラァ!」
「っ!!くうっ……」
ダークランダーは倒れ込んだアイドルへと追い討ちとばかりに拳を振り下ろそうとする。対してアイドルはどうにかその拳を受け止める事で堪えていた。
ただ、完全に仰向けに倒れてしまった上での受け止めなので逃げ道は無く。押し切られたらその時点で終わってしまうような状況だった。
「強い……どうしたら……」
アイドルはこうなると自分1人の能力の限界を感じてしまう。しかし、未だに仲間から助けは来ない。
「ランダー!」
「えっ!?うわああっ!?」
その瞬間、ダークランダーはまさかの突き出していた拳をいきなり自分のいる方向へと引っ張った。押してダメなら引いてみるってやつだろう。そして、アイドルはダークランダーの拳を止めるために腕をガッチリと掴んでしまっていた。そうなるとアイドルはダークランダーのいる方向に引っ張られるのは至極当然の話だろう。
「クラ!」
しかもダークランダーはアイドルを自分の方向に引き寄せるのと同時並行して自らの体を両サイドに開く事で楽譜を展開。そのまま音符弾を連射する。
「ッ!?しまっ……うわぁああああっ!?」
こうなってしまうとアイドルは無力だ。空中に放り出されてその場からの移動ができず。ウインクのような防御や他の4人のように技で攻撃を迎え撃つ事、或いはダークランダーの攻撃自体を止める方法が無いため音符弾は全弾命中。アイドルは体中に激痛が走って落下。地面に激突すると周囲に土煙が舞った。
「く……ううっ……」
アイドルは体の痛みに悶えていると同時にどうすればダークランダーに囚われているアカペラ部のメンバー……玲音を助けられるか考える。
「(どうすれば……どうすれば良いの……)」
「ダークランダー!」
このままではまず間違い無く負ける。それ程までに目の前のダークランダーは強力で、自分1人では太刀打ちできない。
「考えが浮かんでこない……やっぱり私は、ソウルビートみたいには……」
「ダーク!」
アイドルはこういう時にソウルビートみたいに何か浮かべば良いと考えるものの、やはり浮かばないものは浮かばない。
「ッ……そうだ。一か八かだけど……アカペラ部の誰かなら……」
アイドルはダークランダーの中にいる相手がアカペラ部の誰かであるというのは先程ズキューンの発言から判明している事に賭けようと考える。そして、アイドルはどうにか立ち上がるとダークランダー相手にある事を始めた。
「すぅ……ふぅ。あなたにこの歌を歌います」
そして、アイドルは深呼吸をするとダークランダーに囚われている誰かへと自らが最も得意とする歌で語りかける。
「キミのハートにとびっきり♪元気をあげるね♪ゼッタイ!アイドル!ドキドキが止まらない!急接近♪」
「クラ?」
ダークランダーはいきなり歌を歌い出したアイドルを見て困惑。そして、今であれば彼女を叩き潰すチャンスだと判断して少しずつ歩いて近寄ってくる。
対してアイドルは自らの持ち歌……“笑顔のユニゾン”を歌うのを止めなかった。
「笑顔のユニゾン、応えてほしいな〜サンキュー♪最高のステージで〜キミと歌を咲かそう♪」
「ダークランダー!!」
しかし、ダークランダーはそれで止まる事は無いと言わんばかりにアイドルを潰すべく拳を振り上げる。
「ッ……えっ」
だが、何故かダークランダーはアイドルへと拳を命中させる寸前でそれを寸止めしていた。そのため、アイドルは驚いたような顔を浮かべる。
「これって……」
『……キミのハートにとびっきり♪元気をあげるね♪ゼッタイ!アイドル!ドキドキが止まらない!急接近♪』
その瞬間、突如としてダークランダーの中からアカペラによる歌声が聴こえ始めた。そしてそれは歌の歌っていた“笑顔のユニゾン”より音程が1オクターブ下。つまり、低音域の歌だったのだ。この事実から導き出される答えは一つしかない。
「まさか……レイレイ先輩……なの?」
『笑顔のユニゾン、応えてほしいな〜サンキュー♪最高のステージで〜キミと歌を咲かそう♪』
アイドルはこの状況が前にクラヤミンダーにされてしまったプリルンを助ける時に自分が歌を歌った時と酷似している事に思い至る。ただし、前回はプリルンが記憶喪失だったのに対して玲音は記憶喪失でも何でも無いという差異はあるが。
ただ、あの時と同じで闇に囚われた玲音がダークランダーの内部からアイドルの歌にハモる形で歌を返してくれたのである。
「レイレイ先輩……!!」
「キミのハートにとびっきり♪」
『元気をあげるね♪』
「ゼッタイ!」
『ゼッタイ!』
「アイドル!」
『アイドル!』
「『ドキドキが止まらない!急接近♪」』
アイドルが歌っていた“笑顔のユニゾン”のタイトル通り、アイドルと玲音の歌は完全にユニゾン。そしてそれは玲音が最も得意とするアカペラによる二重奏。暗闇の中に囚われた玲音と外から歌で彼女を助けようとするアイドルが手と手を繋いだ瞬間だった。
「『笑顔のユニゾン、応えてほしいな〜サンキュー♪最高のステージで〜キミと歌を咲かそう♪」』
「クラァア……」
そして、自らの内部にいる玲音が闇から逃れるために歌を歌い出したためにダークランダーは困惑。自分の力が及ばなくなっている事実を自覚し始める。
同時にダークランダー内部では暗闇に閉じ込められていたはずの玲音が目を薄ら開くと少しずつ自らの心に光を取り戻しつつあった。
『そうだ。これ以上ここになんていられない。アイリに、私の覚悟を伝えて向き合わなきゃ。いつまでもずっと目を背けるなんて、私のためにも。アイリのためにもならない。だから……こんな所には……いられない』
「ンダァアアッ!?」
ダークランダーは目を覚まして意識を取り戻した玲音の存在がノイズになったのか。苦しそうな声を上げるとその場で暴れ出す。
「レイレイ先輩……私の声、届いたんだ」
そして、その事実は先程まで自分1人の力に限界を感じていたアイドルにとって大きな自信となる。
「レイレイ先輩、待っててください。あなたの事は私が助けます」
「ダーク……ランダー!」
するとダークランダーはどうにか玲音からの抵抗を抑え込んだのか。声を上げるともう一度アイドルを潰すと言わんばかりに体を両サイドへと展開。音符弾を連射しようとしてくる。
「テラちゃん……また力を借りるよ」
しかし、アイドルはそのタイミングでアイアイ島にいるテラの元からプリキュアアイドルハートリボンを召喚。同時にそれを手にするとリボンの力を解放。
「アイドルハートリボンスタイル!」
その力に包まれたアイドルは真っ赤なキュアアイドルことアイドルハートリボンスタイルへと変身。ダークランダーはその変化に困惑する中、アイドルはその状態で構えを取る。
「クラ!?」
「はぁああっ!」
アイドルはダークランダーが何かを理解する前に踏み込んで突撃。ダークランダーはこれまでやってこなかったアイドルハートリボンスタイルでの直接攻撃に困惑するが、やる事は変わらないという事で彼女を正面から拳で迎え撃つ。そのまま何発か殴り合った。
「クラ!クラ!」
「やあっ!はあっ!」
ダークランダーはアイドルをパワーの差で押し切ろうとするが、その力は先程よりも明らかに強い。何しろ、アイドルも強化変身している影響で強くなっている。……当然だろう。アイドルハートリボンスタイルは海を超える程に深いテラとの絆の証。そして、誰かを想う事で使える想いの力の結晶だ。
そう考えると前までのキュアアイドルの比では無い程に単純な戦う力も強くなる。
「クラ……」
「はぁああっ!」
アイドルはダークランダー相手に強くなった自らの力で押し込むと一気に決めるべく懐に飛び込もうとジャンプする。対してダークランダーはこの瞬間を好機と捉えた。同時にダークランダーはまた体を展開すると音符弾による至近距離からの連射攻撃を構える。
「……もうそれは効かないよ!」
ただし、それが通用したのは少し前までのキュアアイドルだったらの話だ。今の彼女は違う。
「クラララッ!」
ダークランダーが至近距離から音符弾を連射。先程同様にそれは全てアイドルへと命中する。しかし、次の瞬間にブローチがタッチされる音が鳴ると煙の中からアイドルが飛び出してきた。
「アイドルグータッチ!!」
「クラ!?」
アイドルはブローチをタッチした事で普段のピンクから赤く変化したグータッチをダークランダーへとぶちかます。これにより、その威力を前に吹き飛ばされるダークランダー。
「ンダァアアッ!!?」
ダークランダーが地面に激突するとすかさずアイドルが着地して踏み込む。
「レイレイ先輩の想い!私が繋いで助け出す!!」
ダークランダーは起き上がりつつどうにか目の前に迫ったアイドルを迎え撃とうと音符弾を構えようとする。しかし、そのダークランダーの想定を遥かに上回るアイドルのスピードによって接近されるとダークランダーは驚いたような声を上げた。
「ンダ!?」
「はぁああっ!だだだだだだっ!」
アイドルはダークランダーへと容赦無く連続で拳を叩き込むと体を両サイドへと展開しているダークランダーは滅多打ちにされてしまう。
そして、これこそが今回のダークランダーの弱点。本来畳まれた冊子のような状態が正常のこのダークランダーは両腕も畳まれた状態がデフォルトとなっている。
つまり、体を両サイドに展開した際は必然的にダークランダーの両腕は開いた胴体の裏に移動するという事だ。そんな事情もあって接近された時の対抗手段が音符弾頼みになってしまう。
「クラ!?クラ!?クラ!?クラ!?」
ダークランダーは先程アイドルへと放った音符弾による連射攻撃が通用しなかった時点でほぼ詰みになっており、彼女からのラッシュを前に反撃するどころか防御する事もできていなかった。
「アイドルグータッチ!」
「ンダァアアッ!?」
アイドルからのラッシュの最後の一撃は渾身のアイドルグータッチであり、それを受けたダークランダーは吹き飛ばされてそのまま近くのキノコへと激突。
「ダーク……」
「そろそろ決めるよ」
アイドルはダークランダーへとフィニッシュを決めるべく意気込む中、そのダークランダーはアイドルとの距離が離れた今の瞬間を見逃さない。すかさず再度接近される前に開いていた体を閉じると両腕が元の位置に戻り、アイドルが再度突撃してきたのに対して反撃できるようにする。
「ダークランダー!」
ダークランダーは今度は近距離に近づいてきたアイドルを迎え撃つつもりであり、そのために遠距離攻撃手段では無く近距離戦用の腕を出した……のだが。今度はそれが裏目に出てしまう。
何故ならば、アイドルがダークランダーを浄化するためにライブ技を発動。領域を展開したからである。ここに来て、ダークランダーは遠距離攻撃と近距離攻撃の切り替えが形態の切り替えに準じてしまうという弱点も露呈したのだ。
「クライマックスは私!盛り上がって行くよー!」
そして、アイドルはそんな事お構い無しにライブ空間内で耳にインカムを生成。それと同時にダークランダーは技の力によって問答無用で椅子に強制着席させられる。そのままイントロが終わり歌が始まった。
♪決め歌 笑顔のユニゾン Only you ver.♪
「キミのハートにとびっきり♪元気をあげるね♪ゼッタイ!(ゼッタイ!)アイドル!(アイドル!)ドキドキが止まらない!急接近♪笑顔のユニゾン、応えてほしいな〜サンキュー♪最高のステージで〜キミと歌を咲かそう♪……プリキュア!アイドルスマイリング・エコー!」
アイドルは真上に真っ赤なハートのエネルギーを生成。そのままダークランダーへとぶつけられるとその体が一気に浄化されていく。
「「キラッキラッタ〜」」
同時にダークランダーは浄化の際のお決まりの台詞を口にし、素体となった玲音を救出。その後生成されたキラルンリボンをアイドルが手にする事になる。
「やった……っと、レイレイ先輩!」
アイドルは自分1人でもダークランダー相手に勝てた事に嬉しさを感じるが、喜びに浸る前にダークランダーから救出されて倒れ込みそうになる玲音をキャッチ。
「んんっ……」
「良かった……息がちゃんとある」
アイドルはホッとした顔になると一旦ハートガーデンから離脱。それから人目が付かなそうな場所にそっと降ろした。
「これで良し。……後は他のアカペラ部の人達を助けないとだね」
アイドルは玲音を避難させてからハートガーデンに戻ると一旦アイドルハートリボンスタイルを解除して通常のピンクと黄色のカラーリングをしたキュアアイドルに戻る。
その後、彼女は他の仲間達を助けに行くためにその場から移動を開始するのだった。
また次回もお楽しみに。