キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
アイドルもダークランダーを浄化して彼女が移動を開始した頃。残る2体のダークランダーの内、古城愛莉を素体にしたピッチパイプ型のダークランダーと戦うキュンキュンの方では彼女が窮地に陥っていた。
「ダーク……ララララララ!!」
「ッ!?きゃあああっ!?」
大車輪のように高速回転するダークランダーに突撃されてキュンキュンは為す術無く弾き飛ばされてしまう。
「うっ!?くうっ……」
そのまま地面に叩きつけられたキュンキュンの元に容赦無く迫るダークランダー。
「クラクラクラ!」
「このままじゃ……負ける。でも、まだ諦めるわけにはいきません!」
キュンキュンがどうにか立ち上がると正面から迫るダークランダーに対して受け止めようとする。
「はああっ!」
だが、前にも解説した通りキュンキュンは6人の中で一番純粋なパワーが足りてない。
そのため、ダークランダーの大車輪攻撃を両腕で止めようとした瞬間に凄まじい負担が彼女にかかってしまう。
「ううっ……くううっ……」
ダークランダーからの猛攻に体格差もあってキュンキュンは少しずつ後ろに下がってしまっていた。それでもどうにか耐え忍ぼうと歯を食いしばる。
「負けられません……皆さんが来るまで耐えないと……くうっ……」
「ダーク!!」
しかし、ダークランダーの方も本気なのか。目が怪しく発光すると更に回転スピードが増加。そのままダークランダーの力の前にキュンキュンは押し切られて吹き飛ばされてしまう。
「ラァンダァアッ!!」
「ああああっ!?」
そのまま空中に放り出されたキュンキュンに追い討ちとばかりにダークランダーは体を正面に向けると六箇所ある息を吹きかける口にレーザービームをチャージ。空中で身動きの取れない彼女へと集中砲火しようとする。
「ダークラン……」
「(しまった……これじゃあ避けられない!?)」
キュンキュンは咄嗟にブローチを押そうとするものの、その動作よりも早くレーザーが放たれてしまった。
「ッ!?」
「ウインクの力、ソウルビートバリア!」
だが、キュンキュンにレーザービームが当たる直前。彼女の前にキラキラマーク型のバリアが展開すると攻撃を全て防ぐ事に成功。キュンキュンはそれを見て驚いたような顔をしつつ声のした方を向く。そこにはこのバリアを展開した主……キュアソウルビートが立っていた。
「待たせて悪かったな。キュンキュン」
「ソウルビート!」
「クラ!?」
キュンキュンは頼もしい援軍の到着に歓喜の声を上げるとダークランダーはこれを見て動揺。その間にソウルビートが飛び出すとダークランダーの前に来ていた。
「俺の彼女を可愛がってくれたツケ。体で払ってもらおうか!」
「ダークランダー!」
ソウルビートはキュンキュンを痛めつけた事に関してダークランダーへの怒りを持っており、そのまま気持ちをぶつけるようにダークランダーへと拳を振り抜く。対してダークランダーもそれを拳で迎え撃つ……が。
「おおらあっ!」
「クラァ!?」
二つの拳は一瞬だけ拮抗してからソウルビートが勝ってダークランダーを容赦無く吹き飛ばす。
「ソウルビート、気を付けてください!そのダークランダーは車輪のように回転しながら突進してきます!」
「ちょっ、ピッチパイプは楽器なのに何で得意技が物理なんだよ!?まぁ良いけどさ」
ソウルビートはピッチパイプ型のダークランダーからの攻撃方法に少し呆れたような反応を見せるとすぐに集中した顔つきになる。幾ら攻撃方法が意外な物だとわかったからと言ってここで油断してやられるような真似はしない。
「ダークランダー!」
「本当に大車輪攻撃してきたんだが!?」
するとダークランダーは再度高速回転すると吹き口にレーザービームを生成。それが回転によってリング状になるとその状態でソウルビートへと突撃してきた。
「そんなの食らうかよ。キュンキュン!」
「ッ……!そういう事ですね!」
ソウルビートは自身に向かってくるダークランダーに対してある考えが浮かぶと同時にキュンキュンへと声を上げる。同時に彼女もソウルビートの言葉の意図を察知。すかさず彼女も動き出す。
ソウルビートは敢えてダークランダーの進行方向の正面に向かうとその進路の前に飛び出す。勿論ダークランダーはソウルビートを潰す好機を逃さないという事で容赦無く突進してくる。
「よっとっ!」
「クラ!?」
しかし、ソウルビートは最初からダークランダーと真正面から押し合いをするつもりは無いと言わんばかりに突進をステップワークだけで回避するとダークランダーの顔が付いてない側の面へと移動。
すかさず回転と突進の勢いを利用するべく手にしたソウルリンクライトを使用。前に落下してくる多数のタライを受け止めた時と状況は違うが、ソウルリンクライトのレーザーサーベルを皿回しの棒として運用。
そして突進の勢いを殺さないようにしながらダークランダーの進路を自身の真上へと放り投げるような形に変更させた。
「キュンキュン!」
「はい!やぁああっ!」
「クラ!?ンダァアア!!!」
キュンキュンは跳び上がるとダークランダーが飛んで行く先に移動。そのままダブルスレッジハンマーでダークランダーの顔面を思い切り殴った。
これにより、ダークランダーは一気に撃墜されると地上に叩き落とされる。
「ダーク……」
「チッ、しぶといな」
ダークランダーが未だに倒れない事に顔を少し歪めるソウルビート。ただ、そんな中でキュンキュンが何かを思いつく。
「そうだ。ソウルビート、今度は私の方から良いですか?」
「!!わかった。どうすれば良い?」
ソウルビートはキュンキュンから自分に提案してくるのが珍しかったために彼女へとどうすれば良いか問いかける。
「えっとですね……」
「ダークランダー!」
ソウルビートがキュンキュンから話を聞くと彼は笑みを浮かべつつその案に乗った。
「わかった。やってみようか」
「はい!」
するとダークランダーが突進攻撃がダメならと吹き口からのレーザービームを放ってくる。
「やはり来ましたね!」
2人はそれを受けて飛び出すとそのまま走りながらレーザービームを回避しつつ移動。対してダークランダーは何としてでも2人を潰すつもりなのか。連続のビームで追撃を仕掛けてくる。
「クラ!クラ!クラ!」
「おいおい、そんな物か?」
「ちっとも当たりませんよ!」
しかし、2人はダークランダーを挑発しつつ攻撃を全弾回避する。ダークランダーはそれに対して奥の手と言わんばかりにまたまた大車輪形態となると自身の顔を下にして少しだけ空中に浮かぶ。そのまま回転を利用しながら自身の周囲にレーザービームの雨を降らせる。
しかも照射角度も微調整できるのか。先程以上に攻撃の精度は上がっていた。
「ッ!コイツも本気出してきたか」
「でも関係ありません!」
「だな。コイツの弱点は変わらない!」
ソウルビートとキュンキュンは走り回りながらある程度注意を引くとアイコンタクトを取る。
「ズキューンの力、ソウルビートバズーカー!」
「クラ!!」
するとソウルビートがズキューンの力を使用するとエネルギーの砲弾を生成。ダークランダーに向けて放つとダークランダーはその攻撃に対応するには全てのレーザービームを一点集中する必要があるのか。全火力で迎え撃つ。
「クラァアア!」
「対応力高いな……だけどちょっと迂闊じゃないか?俺にばかり気を取られるのはさ」
「クラ!?」
ダークランダーはそれを聞いて慌てて視線でキュンキュンを追うが、もう彼女の姿はダークランダーの視界に入る場所にいない。
「同じ手を2回受けるのは学習してないって事ですよ!ガラ空きです!はぁあああっ!」
「ダァアア!?」
そのタイミングでダークランダーの丁度真上。顔の無い完全な死角である背後を取ったキュンキュンが右脚での踵落としを放つとダークランダーはそのダメージで前に押し出される。そしてそれは同時に自分の近くに迫っていたソウルビートバズーカーを正面からまともに喰らうのと同じだった。
「ンダァアア!?」
ダークランダーはソウルビートバズーカーに撃墜されると地面に叩きつけられ、そのタイミングを狙ったソウルビートがすかさず決めにかかる。
「これで終わらせる!」
ソウルビートはダークランダーを浄化するために技を発動。ライブの領域を展開すると銀のスポットライトを浴びる。
「クライマックスはこの俺!フィナーレ、決めるぜ!」
ソウルビートが笑顔を浮かべると左耳に銀のインカムを生成。それと同時にダークランダーは問答無用で椅子に強制着席する。同時に観客達は銀のペンライトを振っており、ソウルビートが歌を歌い始めた。
♪決め歌 キミと繋ぐ閃光の光♪
「もう迷わない〜♪もう見失わない〜♪これが新たな自分の光♪!キミがくれたんだ〜♪その光を胸に、新たな世界へ飛び立つんだ♪!届けたいんだ、この光を〜♪キミと手を繋ぐために♪!……プリキュア!ソウルビート・フィナーレ!」
ソウルビートが放った銀の光による一撃はダークランダーへと降り注ぎ、その体を呑み込むと一気に浄化。同時にダークランダーは浄化の際のお決まりの台詞を口にする。
「「キラッキラッタ〜」」
そして、その後生成されたキラルンリボンをソウルビートが手にすると素体にされていた古城愛莉をキュンキュンがキャッチして抱き抱えた。
「っと……息はありますね。ソウルビート、愛莉先輩は大丈夫そうです!」
「ああ。これで1体浄化か。他の状況次第だけど、総数があと2体以下だとありがたいが……」
否、2体以下どころかこの時点でラスト1体である。ただ、その1体の能力が厄介すぎるのだが。
「何にせよ、まずは愛莉先輩の安全確保。それが終わったら皆に合流しに行こう」
「はい!」
それから2人はハートガーデンから出ると気絶した愛莉を物陰でそっと寝かせる。彼女の安全を確保した所ですぐさま2人はハートガーデンの中に戻ると次の戦いの場へと向かうのだった。
一方、その最後の1体。日めくりカレンダーと交戦するウインク、ズキューン、キッスはダークランダーが持つ分身能力に苦戦していた。何しろ、ダークランダー本体にダメージを与える毎に分身に必要な紙が飛び散っては分身が生成されるのだ。
しかも分身を倒しても嬉歌や弥子が囚われている本体には全くのノーダメージ。これではキリが無い。
「少しずつダメージは入ってるはずなのに……」
「ダークランダーが削れてる様子が全く無いわね」
「それどころか、私達の方が苦しくなってるよ」
ダークランダーは分身してくるせいで単発分しかダメージが入らないのに対し、プリキュア側は常に動き回るせいでダメージ自体は無くてもスタミナは確実に削られている。
事実、3人ともこれまでの戦いの疲労もあって少しずつ動きが落ち始めていた。
「さーて、そろそろ我慢の限界なんじゃないかな?諦めて闇に染まった方が楽になると思うよ」
「残念だけど、それはお断りね……」
「うん。私達はまだやれる!」
ジョギはこのタイミングで一応降伏勧告をするが、やはりプリキュア側はそれを拒否する。
「じゃあしょうがないかな。ダークランダー、やっちゃって」
「「「「ダークランダー!」」」」
するとダークランダー本体と分身体3体の計4体が同時にカレンダーの数字の部分からエネルギー波を発射。
「「「ッ!!」」」
3人は跳び上がってそれを回避するとバラバラに動く。一番最悪なのはダークランダーに包囲されてしまう事。もしそうなってしまえば逃げ道を無くされた上に包囲射撃で大ダメージを受けるのは避けられない。
「ダークランダー!」
するとダークランダーの中の分身体3体が走っていき、バラバラに別れたウインク、ズキューン、キッスと殴り合う。勿論本体はダメージを抑えるためか動かない。
「ッ、何とか本体にダメージを与えないと私達が消耗するだけだよ!」
「でも、分身のダークランダーも強い……」
分身ダークランダーと戦う3人を横目にジョギはプリキュア達を確かに追い詰めている感覚を感じていた。この調子で攻撃を続ければプリキュア相手に勝つのも可能だろう。ただ、時間をかけ過ぎると他の仲間が来るとわかっているためにそろそろ流れを変える一手が欲しいと思っていた。
「……そろそろあの手を使ってみるか」
「ッ、あの手?」
「ウインク、お姉様、気をつけて!ジョギが何かを企んでるわ!」
ウインクとキッスはジョギの言葉を聞いて警戒度を一気に引き上げる。そして彼の性格上、少なくとも自分達にとって厄介な物だと予想する。
「ふふっ、そう警戒しなくたって大丈夫だよ。だって……もう君達は詰んでるんだから」
「「「えっ!?」」」
その瞬間、ジョギが指を鳴らすとダークランダーがいきなり紙の状態に分裂。そのままその紙が竜巻のように舞い上がると3人の体を切り刻むように呑み込んでいく。
「く……うわぁあああっ!?」
「きゃあああっ!?」
「な、何これ……うわぁあああ!?」
そのまま3人は紙の竜巻に滅多打ちにされると地面に叩きつけられ、紙の竜巻はもう一度3体の分身体として再生成される。
「「「ダークランダー!」」」
「う……そ。何、今のは……」
「多分、紙の角が切れやすいの利用した技。竜巻によって巻き上げられた紙が無数の斬撃として私達を……」
「お、その予想大正解。その通りだよ」
しかもこの攻撃のミソはダークランダー本体にとってはノーリスクで使えるという点だ。何故なら竜巻や紙自体はダークランダー本体へのダメージ判定にならない。だから何らかの方法でこの攻撃を防ぐ、もしくは返り討ちにしたとしてもダークランダーにはノーダメージだ。
「これが、ジョギの言う奥の手」
「そろそろわかっただろう?どれだけ努力しても届かない物はあるんだよ。そして、同時に圧倒的な存在は全てを凌駕するってね」
ジョギは勝ち誇ったようにそう告げる。ただ、3人の心はまだ折れてなかった。そのためどれだけ傷つき、倒されても立ち上がるために動こうと足掻く。
「……って、これでも諦めてくれないか。じゃあもう抵抗できないように変身解除させるくらいまで痛めつけるしか無いかな」
ジョギが指を鳴らすと分身のダークランダー3体が3人を取り囲むように移動。そして、体に付いている日付の数字にエネルギー波をチャージする。
「ううっ……」
「まだここで諦めるわけには……」
「いいや、諦めてもらうよ。ダークランダー」
ダークランダーは3人へと一気にトドメを刺すべく同時にエネルギー波を放とうとした時だった。
「キュンキュンレーザー!」
「キュンキュンの力、ソウルビートレーザー!」
その瞬間、ダークランダーの上からレーザービームの雨が降り注ぐとそれらが分身体のダークランダーを蹴散らす。
「「「ンダァアア!?」」
そのまま分身体のダークランダーは無数の紙になって本体と合体し消滅する。
「お待たせしました!」
「これ以上はやらせない!」
その直後にソウルビートとキュンキュンが到着。これにより、アイドルプリキュアがこの場に5人揃う事になるのだった。
また次回もお楽しみに。