キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
最後に残された日めくりカレンダー型のダークランダー相手に苦戦する3人。ただ、そこにソウルビートとキュンキュンが到着するとダークランダーを従えるジョギの方を向く。
対してジョギはまた一番来てほしくないタイミングで援軍が来たために苛立ちを露わにする。
「はぁ……あのさ、毎回毎回あとちょっとで押し切れそうなタイミングで駆けつけるの止めてくれないかな?こっちも良い加減気分が下がるんだけど」
「お前の都合なんて知るか。それに、これだけ時間をかけてたら俺達が戻ってくるかもしれない事は容易に想像できるだろ。そこは予想してないお前が悪い」
「チェッ、そこは正論か」
ジョギはソウルビートから正論を言われてそこは納得すると次にどうすべきか考えようとする。そのタイミングでソウルビートが声をかけた。
「そういやさ、ジョギ」
「うん?何だい?」
「……お前、あと1人誰か忘れてないか?」
「む……」
「はぁああっ!」
その瞬間、ダークランダーへとアイドルが突っ込んでくると強烈な拳を叩き込む。
「クラァ!?」
ダークランダーはその一撃を受けて吹き飛ばされるとダメージを受ける。ただ、この一撃だけでは分身生成にまでは至らなかったのか。数は1体のままだった。
「まさか、揃ったのか……」
「そうだよ!お待たせ、皆!」
「「「「アイドル!」」」」
主役は遅れて到着する……とはよく言ったもので。ここでチームのセンター、アイドルが到着するとようやく6人が勢揃いする。
「これで6人だ、ジョギ。他のダークランダーや仲間達は全員退けたぞ」
「ふふっ、やるね。……だけど人数が増えた所で無駄だよ。君達が幾ら攻撃したってその分ダークランダーの数が増えるだけ。そうなれば本体へのダメージが抑制される。結果的に君達が勝つのは不可能さ」
ジョギの言う通りだ。このまま正面からやり合った所でダークランダーの分身能力をどうにかしない限り、プリキュアに勝ち目は無い。
「分身能力?」
「あのダークランダーは攻撃を受ける時の衝撃で体の紙を撒き散らして分身を作るの」
「うえっ、それじゃあダメージを受ける程に数が増えるって事!?」
アイドルはキッスから説明を受けて状況を理解。今回のダークランダーの手強さを認識する。
「どうしましょう、これじゃあ下手に攻撃は……」
「……いや、逆だ。思いついたぞ、アイツの攻略法」
キュンキュンも現状を改めて確認すると少し不安そうにする。……ただ、ソウルビートの脳内には策が浮かんでおり。早速指示を出す。
「ウインク、ウインクバリアをぶん投げてくれ。狙う位置は……」
「ウインクバリアを……わかった!」
「キュンキュン、ズキューン、キッスは合図をしたら個人技で攻撃。良い?」
「「「(はい)(うん)(ええ)!」」」
ソウルビートが指示を出す中で1人だけ置いて行かれたアイドルは自分の役割を問われるとソウルビートはどう答えるか少しだけ迷う。
「って、あれ?私は?」
「アイドルは……取り敢えず隙を見てグータッチだ」
「ちょっ!?私への指示が雑過ぎない!?」
ソウルビートからの半ば適当な指示にアイドルは唖然とする。そして、それを見たジョギは同じくダークランダーへと指示を出した。
「何をする気かわからないけど、そう上手くは行かないよ。ダークランダー!」
「ダークラン……」
するとダークランダーがカレンダーの数字部分にエネルギーをチャージ。エネルギー波を放とうとする。
「ウインク!」
「うん!ウインクバリア!はぁああっ!」
ウインクはダークランダーがエネルギー波を発射する前に召喚したウインクバリアを手にしつつそのままハンマー投げのように回転。バリアを全力で放り投げた。
「せーのっ!」
「ッ、何をする気だ」
ジョギがプリキュアの打つ手を気にする中、ウインクバリアは回転しながら飛んでいくとそれがカレンダーの紙を根本から全て切断する事に成功。
「クラァ!?」
その瞬間、ダークランダーがチャージしていたエネルギー波は露散。しかし、紙が切断されるという事は大量のダークランダーの分身が作られることを意味する。
「あははっ、君達は馬鹿かな?そんな事をしたらダークランダーの分身が沢山出てきちゃうよ?」
「ああ、だからこうする。皆!」
「ッ!そういう事ですね!キュンキュンレーザー!」
「ズキューンバズーカー!」
「チュッ、キッスショック!」
「キュンキュンの力、ソウルビートレーザー!」
ソウルビートの合図と共に4人は個人が使える飛び道具系の技を使用。ダークランダーから飛び散った大量の紙を次々と焼き消していく。
「なっ、まさか……」
「ああ。今回のダークランダーの特性は体の一部である紙が集まる事によって生成される分身体。しかも分身体を倒しても体を構成する紙が無事なら何度でも復活できるという厄介もある」
ここまでの戦いでダークランダーの長所はダメージと同時にばら撒く紙で分身体を作るという点と分身体が倒された後にその紙を取り込む事で分身体のダメージを無傷にできる点だ。ここでソウルビートが注目したのはばら撒かれる紙の一枚一枚に限るならそこまで耐久力が高く無いという事。
加えてその紙を消失させた後のケアが無いという点もソウルビートは弱点と判断。
「流石に分身体を作る前に紙を潰してしまえば分身体を作れないだろ。そして……」
「クラ……」
すると、ダークランダーは自らの一部であるカレンダーの日付が書かれた紙が根こそぎ消失した影響でパワーを大きく落としたようだった。
「アイドル!」
「ここで私の出番だね!」
そのタイミングをプリキュア達は逃さない。すかさずソウルビートの声と同時にアイドルが飛び出すとブローチをタッチ。ピンクの光の力を拳に込めるとダークランダーへと全力でのパンチを繰り出す。
「アイドルグータッチ!」
「ンダァアア!?」
「ぐ……まさか分身を完全に攻略されちゃうなんてね」
流石にこうなってしまうとジョギの中にあった余裕は無くなってしまう。そして、このようにプリキュア側が有利な展開に一度なってしまうともう覆しようが無い事も彼は理解していた。
「待たせちゃってごめんね。私達が今助けるから!」
そして、アイドルの言葉に合わせる形でプリキュア達は全員での浄化技を発動すると早速ライブのための領域を展開した。
♪決め歌 キミとシンガリボン♪
「「「「「「感じてYou and I キズナリボン〜♪」」」」」」
六人が歌を歌い始めるとイントロに入り、キラキライトを持ちながらステージの上で動く。
「「「「「「クライマックスは私達!」」」」」」
そして、掛け声と共にキラキライトは光と共にキラッキランリボンバトンへと変化。その後、プリキュアステージリボンを装填。同時にダークランダーは技の効果で席へと強制着席。そのままイントロが終わり、六人は歌を歌う。
「「「「「「重なる想いの強さを歌に乗せて〜♪届けるに来たよ Sing For You 照らしてみせる〜♪溢れる思いを残らず伝えるんだ〜♪どんなときでもYou and I 〜♪私とキミを結ぶキズナシンガリボン〜♪……プリキュア!キラッキランフォーユー!」」」」」」
六人が歌いながらキラッキランリボンバトンを回しつつパフォーマンスをしていき、歌が終わると同時に技を発動。六人のシンボルマークを合わせた強力な浄化の光を解放し、虹の光の奔流がダークランダーへとぶつけられた。フィニッシュは六人での決めポーズである。
「「キラッキラッタ〜」」
これによりダークランダーは無事に浄化されると囚われていた嬉歌と弥子が助け出され、同時にキラルンリボンも生成。今回はキッスがキラルンリボンを手にする事になる。
ダークランダーを浄化されたジョギはチョッキリ団が総力戦を仕掛けても最終的に返り討ちにされたという事でかなり精神的なダメージを受けていた。
「あーあ。アレだけ有利な状況からスタートしたのに最後には負けるとか流石に無いんだけど」
「カズマさん!」
するとショックを受けているジョギの元にアイドルが彼を説得しようと声をかける。ただ、ジョギからして見ればそれに乗る理由などどこにも無いわけで。
「……またこの前の話の続き?良い加減やめて欲しいんだけど。何でもかんでも暴いて問い詰めて。僕にプライバシーという物は無いのかな?」
「でも、カイトさんはあなたの事を心配して……」
「カイトの事なんてどうでも良いんだよ。というか、君達だって僕を助けたいのはあくまでカイトのためだろう?」
「ッ、それは……」
ジョギにそう言われて思わず詰まってしまうアイドル。実際の所、ジョギ……カズマを助けようと思い至ったのはカイトが彼との絆を取り戻したいと考えているからだ。
そしてそれはあくまでカイトの意見であってジョギの意見では無い。アイドルはその点を指摘されて口籠もってしまう。
「はぁ……やっぱりそうだ。僕を助けるという気持ちもカイトの笑顔を守るため。……もう良いんだよ。カイトカイトカイトカイト。いつも優先されるのはアイツだ」
「ジョギ……だったらこれだけは理解してほしい」
するとこの段階でジョギの説得が困難だと感じたソウルビートはすかさずジョギへと話しかける。
「……一応聞くだけ聞いておくか。何?」
「確かに俺達がカズマさんの事を助けたいと思ったのはカイトさんとの事が原因だ。カイトさんの笑顔を取り戻したいという気持ちだって否定しない。……だけどな。そこにはカズマさんの笑顔を取り戻したいって気持ちもあるという事。それと、闇に堕ちたカズマさんをずっと気にして心配する人がいるって事。よく覚えておいてくれ」
「そいつはどーも。……話は終わったね?それじゃあ、今日は帰らせてもらうよ」
ジョギは冷たくそう言うとその場から撤退。プリキュアの前には気絶した嬉歌と弥子が残されるのみだった。
「ッ、ジョギ。良い加減会話に乗ってくれても良いと思うんですけど」
「仕方ないわよ。私も周りの言葉を受け入れられなかった時があったし、もっと私達が彼の気持ちを考えた方が良いのかもしれない」
キュンキュンが未だに説得に対してまともに応じてくれないジョギへと愚痴を溢すが、そこにキッスがフォローを入れる。
「でも、折角ならジョギにもキラッキランランになって欲しいよ」
「うん。その気持ちは皆同じ。……どうにかカズマさんの心を開く方法を考えないとだね」
少なくとも今のままでは会話にすらならない。ジョギの問題を解決するには彼が自分達と話す気になる必要があるだろう。
「んんっ……」
「ッ、嬉歌先輩」
「弥子先輩も目を覚ましそう」
すると気絶していた嬉歌と弥子がもう少しで目覚めそうな感じがしていた。そのため、そろそろ元の空間に戻る必要がある。
「ひとまず2人を連れてハートガーデンを出よう」
「そうだね。これ以上ここにいる意味も無いし」
それから一同は変身を解除してハートガーデンを消失させる。その頃には騒ぎが収まったからから少しずつ逃げていた人達が戻ってきていた。
「嬉歌先輩達は……」
「そこのベンチに座らせよう」
そして、気絶していた嬉歌と弥子の2人は隣り合わせで座らせる形でそっとしておく事になる。
「それじゃあ、俺達は夢乃やレイの元に戻るか」
「うん!学園祭をまた楽しまないとだからね!」
それから影人達はチョッキリ団での戦いが終わったために移動する。また、同時刻。ダークランダーの素体にされ、プリキュア達に助けられた6人のアカペラ部員達は目を覚ますと状況を確認する。
「んんっ……あ、あれ。私は……」.
「何だろ、凄く見覚えのあるアイドルのライブを観ていたような……」
「「あっ……」」
結と閏の2人がほぼ同時に目を覚ますと思わず目線が合ってしまう。そのため少し気不味い状態になった。
「……おむすび」
「……はぁ、もうわかったから。教室に戻って店番すれば良いんでしょ」
「えっ、そうだけど」
「それと、サボって悪かったわね」
ただ、気不味い空気ながらも2人に必要な会話はできたようで。結は教室に戻り、閏は学園祭を楽しむ事になるのだった。
「ッ……ハッ!!あ、あれ……」
結、閏と順番を前後して。玲音も目を覚ますと先程まで一緒にいた愛莉がいない事に気がつく。
「愛莉!?一体何処に……」
玲音が慌てて近くを探すと愛莉が気絶しているのに気がついて慌てて彼女の元に駆け寄った。
「ッ!アイリ!!大丈夫?」
「う……ううっ……レイレイ?」
すると玲音の声かけを受けて割とすぐに愛莉が目を覚まし、玲音の姿を認識。それを見て玲音は安心感に包まれた。
「アイリ!!良かった……」
「もう、心配し過ぎだよ」
「(多分私達、アイドルプリキュアに助けてもらったんだ)」
玲音は今回の事象から自分達がアイドルプリキュアに助けられたのだと察すると彼女達への感謝の気持ちが浮かぶと同時に愛莉も無事な事に安堵する事に。
「うう……」
「ん……」
最後に隣り合わせでベンチに座って寝ていた嬉歌と弥子の2人も目を覚ます。そして2人は未だに状況を上手く認識できていなかった。
「あれ……私達何してたんだろ」
「うん。多分寝ちゃってたのかな」
嬉歌は自分達が今まで寝ていたためにスマホを取り出して時間を確認すると顔を青ざめさせてしまう。
「あ……ああ……」
「どうしたの?嬉歌ちゃ……あっ」
「ヤバい、早く教室に戻らないと店番が!!」
「う、うん。学園祭は後回しだね」
こうして、嬉歌と弥子はタイミング悪く店番交代の時間になってしまうと慌ててその場から移動する事に。
これにより、チョッキリ団によってダークランダーにされた6人は全員救出される事になるのだった。
また次回もお楽しみに。