キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
カガヤケナインダーと化してしまった夢乃を助けるために戦いを始めたアイドルプリキュア。その中で、カガヤケナインダーに閉じ込められた夢乃は絶望したような瞳で暗闇の奥底にいた。
「私なんか……ダメなんだ。私なんか、輝けない……。夢なんて叶わない……。ずっと独りぼっちで……誰も助けになんか来てくれない」
彼女はスラッシューに自身の持っていた光……キラキラを丸ごと全部切られてしまったせいで完全に光を失って絶望。1人でブツブツと呟く形で自分が輝けないという事を嘆いていた。
その頃、その夢乃を助けるためにプリキュア達はカガヤケナインダーとの激しい戦いを繰り広げる。
「カガヤケナイ!!」
「夢乃!しっかりしろ、夢乃!!」
カガヤケナインダーが服装をモチーフにした攻撃でアイドル以外の5人のプリキュアを同時に相手取る中、ソウルビートは夢乃が素体にされているせいか。いつもよりも相手に近づきつつ積極的に肉弾戦を仕掛けていた。
「ンダ!ンダ!ンダ!」
「くっ、この野郎!!」
ソウルビートはカガヤケナインダー相手に近づいて何度か拳をぶつけ合う。ただ、お互いに力は互角なのか。一向に戦局は好転しない。
「ソウルビート、私達が支援を……」
「はあっ!」
「えっ!?」
すると、そんなソウルビートを助けるためにズキューンやキッスが攻撃に参加しようとするがソウルビートは前に出過ぎているせいで下手に介入できなくなっていた。
「ダメ……下手に攻撃したらソウルビートを巻き込む……」
「ソウルビート、落ち着いてください!前のめり過ぎですよ!」
キュンキュンがこのままでは不味いと考えてソウルビートに頭を冷やすように声をかける。それを聞いてソウルビートはようやく我に帰った。
「ッ!!悪い、今下が……」
「危ない!」
「カガヤケナインダー!」
ソウルビートも指摘を受けてようやく自分が出過ぎているせいで周りが上手く対応できなくなってる事に気がつくと慌てて下がろうとする。しかし、この気づきが遅かったせいか……カガヤケナインダーは手にネックレスを下げるためのチェーンを取り出すとその先端に宝石の代わりと言わんばかりの鉄球が存在していた。
そして、そのチェーンを振り回す形で5人のプリキュアを次々と薙ぎ払っていく。
「しまっ!?ぐあああっ!?」
「「うわぁあああっ!?」」
「「きゃあああっ!?」」
プリキュア達がその攻撃にどうにか耐え抜くとこれ以上守りに入るのは危険だと考える。
「このカガヤケナインダー、ダークランダーと同じかそれ以上に強いわ……」
「うん、ここは私達で連携してソウルビートに繋ごう」
「そうですね、アイドルがいない以上決められるのはソウルビートだけですし」
アイドルがスラッシューの相手をしに行った時点でキラッキランランフォーユーは実質的に封じられてしまっている。そうなると一番手っ取り早くカガヤケナインダー相手に通用する可能性があるのはソウルビートのソウルビートの個人技のみだ。
「カガヤケナイ!!」
「ッ!皆来るぞ!」
その瞬間、カガヤケナインダーは服による遠距離攻撃……では無く。まさかの自ら接近しての蹴り技を主体とした肉弾戦を仕掛けてきた。
「うえっ!?そっちも普通にできるんですか!?」
「遠近共に隙が無い……」
キュンキュンとキッスはどうにかカガヤケナインダーからの蹴りを防御するものの、そのパワーや隙の無さに顔を歪めてしまう。
「だったらこれで!ズキューンバズーカー!」
それなら自分が隙を作るとばかりにズキューンがズキューンバズーカーを発動。エネルギー砲を放つ。
「ナイ!」
しかし、これはカガヤケナインダーがモデルのような華麗なステップで回避してしまう。
そして、両手から再度の服による弾幕でプリキュアを制圧しようとしてきた。
「うわあっ!?」
「ッ、ウインクバリ……」
「ダメだ!今一箇所に集まるのはリスクが高い!」
ウインクはウインクバリアを展開する事で全員が攻撃を凌げるようにしようとする。だが、これはソウルビートが声をかけて制止。
今回のカガヤケナインダーは攻撃手段が多彩であるため、一箇所に味方を集めてしまうウインクバリアは逆に危険だと感じ取ったのだ。そして、プリキュア達はどうにか個々の動きで攻撃を回避。
「「「「「はぁ……はぁ………」」」」」
ただ、攻撃を回避できてもカガヤケナインダーに対してまだ有効打が一撃も決まってない。しかも相手は多彩な攻撃を絶えず仕掛けてくるためにプリキュア側は確実に体力を削られてしまっていた。
「早く夢乃を助けないとなのに……」
「ソウルビート……」
ソウルビートはどうにか焦ってしまう気持ちを抑えながらあくまで冷静に対応しようとする。影人にとって夢乃は大切な妹だ。そんな彼女がカガヤケナインダーの中に囚われて闇の力に苦しんでいる。そう思うだけでソウルビートは今にも飛び出してしまいそうな衝動に駆られてしまう。
「どうにか夢乃に声を届けられれば……」
「そうだ、前にうたが私を助けてくれた時みたいに歌うのはどうかな?」
すると、ズキューンが声を上げて作戦を提案する。それは以前、ズキューンことプリルンが記憶を失った状態でクラヤミンダーにされた際にアイドルことうたがしてくれた歌による救出方法だ。
具体的には歌を聴かせることによって闇の中にいる相手に対して語りかけ、内側から目を覚まさせる方法である。
「確かにそれだったら可能性があるかも……」
「いや……多分アレができたのはアイドル。……咲良さんとプリルンだったからだ。それに、アレは2人が歌で繋がっているから通じたってだけで俺と夢乃の場合は……」
するとソウルビートは珍しく弱気な様子を見せる。いつもだったらこういう時に強気になって後押ししてそうなのだが……夢乃が囚われたのが余程彼にとって大きなダメージを与えているらしい。
「何言ってるんですか!だったら歌じゃないにしても、ソウルビートが諦めずに声をかければ届くはずですよ!……少なくとも、夢乃ちゃんはあなたを信じてるんです!」
「ッ……」
するとソウルビートはキュンキュンから喝を入れられた。それを聞いて彼は目を見開くともう一度よく考える。
確かに今の夢乃を助けられるのは自分だけ。それに歌が通用しないからってそれで兄である自分と妹である夢乃の絆がそう簡単に切れるはずが無い。その事実に思い至ったソウルビートは気合いを入れ直すように自身の頬を両手で軽く叩く。
「……確かにそうだ。俺と夢乃の絆……それがそう簡単に切れるわけ無いし、そう簡単に切れたら困るよな」
そして、改めてカガヤケナインダーへと向き合うとカガヤケナインダーは5人を睨みつける。
「カガヤケナイ!」
「皆、夢乃に声をかけるための隙を作るの……任せて良いか?」
「勿論!」
「やっとソウルビートらしさが戻ってきたわね」
そのまま5人は夢乃へと声をかけられるようにするためにそれぞれが行動を開始する事になるのだった。
一方その頃、スラッシューと交戦するアイドルは炎で生成した剣を振るってくるスラッシューを相手にアイドルは徒手空拳で対応。スラッシューの迷いもあってかアイドルが押していた。
「スラッシュー、もうこんな事終わりにしよう。Utakoさんはこんな事……」
「煩い!煩い煩い!Utako、Utakoってあなたに Utakoの何がわかるって言うのよ!!」
スラッシューは手にした剣でアイドルを切り裂こうと振るってくるが、その太刀筋が短調になってるせいか。アイドルはそれを見切って回避してしまうとガラ空きのお腹を殴り込む。
「があっ!?」
「アイアイ島にいるUtakoさんは、あなたの事を心配してたよ。あなたを1人こっちの世界に残してしまったって」
「はぁ?アイアイ島って、あなた何言ってるの……。そんな島聞いた事無いし。それに、死者に会って話すなんて無理に決まってるでしょ!!」
スラッシューは自身の後ろに炎の剣を大量に生成するとその先端がアイドルの方を向く。
「ッ!?」
「目障りなのよ。何でか知らないけど、あなたを見るとUtakoの事をいつでも思い出してしまう。そのくらいあなたはUtakoに纏う空気がそっくりで……イライラするのよ!!」
スラッシューが剣を射出すると飛び道具に対する対抗手段の無いアイドルにはどうする事もできず。彼女の足元が爆発を起こすとその煙に包まれる。
そして、煙が晴れるとアイドルが今のでかなりのダメージを負ってしまったのか。力無くその場に膝を着いてしまう。
「ッ……はぁ、はぁ……」
「あなたみたいなのがいちゃいけないの!!Utakoみたいに輝く太陽は1人で十分なの。今の芸能界で活躍してるアイドルなんて眼中にすら無いわ。だって、昔と比べて沢山の人数を組んで群れないと何もできないんだから……。Utakoみたいな1人で無数の煌めきを放てるような天才はあの子1人で良いのよ!」
それはまるで、今のアイドルにUtakoと同じような輝きがあるから潰しにかかっているとも受け取れる言葉だった。そして、それを聞いたアイドルは深呼吸をしてからそっと話しかける。
「確かにそうかもしれない。昔と比べて、沢山の人数でアイドルをやる人達は増えてる。だけど、それは1人1人が弱い光しか放てないからじゃない!」
「……何ですって?」
アイドルからの反論を聞いたスラッシューの瞳に怒りの炎が宿る。それでもアイドルは話すのを止めようとしない。
「皆が一生懸命頑張って、キラキラして。ファンのために自分の輝きを届けようとしてる。それは今も昔も何も変わらないよ!!」
「ッ、その答えじゃ趣旨がズレてるのよ!!私が欲しいのは……」
「何より!!……1人1人が違うキラキラを出して、それを合わせる事で1人だけよりもより大きなキラキラを作り出して。それがもっともっと多くのファンに届く。そうやって皆が頑張ってるんだよ!」
スラッシューはそれを聞いて苛立つ。そして脳裏に浮かぶのはUtakoがいなくなった後、1人になって業界から簡単に捨てられてしまう程度の光しか出せない自分の弱さとUtakoへの申し訳なさだった。
「煩い……私だって、私だって必死に頑張ってるのに……誰も、誰も私を認めてくれない。Utakoの代わりをやらないといけないと足掻いて、もがいて。結局、私はUtakoみたいにはなれなかった。当然よ……。私みたいなのはUtakoのオマケで使ってもらってただけなんだから!」
その瞬間、スラッシューの胸の中の闇の炎が燃え上がるとオーラとして生成される。そんな彼女を見たアイドルは目を見開く。同時に彼女の頬を伝う物をアイドルが見たからだ。
「スラッシュー……Kotoneさんが泣いてる……」
それは、どれだけ必死に頑張っても報われる事が無かったスラッシューの悲しみの涙であった。同時にアイドルは改めて彼女を救わないといけないと考える。
「スラッシュー、私はあなたを絶対に助けるよ。……だって、Utakoさんもあなた自身も。キラキラでいてくれた方が良いから」
「ッ……そんなの無理よ。私はダークイーネ様と共にあると誓ったの。今も、そしてこれからも!」
スラッシューが両手で自身の力を極限まで高めたエネルギー砲を生成。それが自身の前でチャージされる。
「はぁあああああっ!これで、あなたなんて……」
“もう止めて!お願い……Utakoだってこんな事望んでないってわかるでしょ?”
「黙りなさいよ……。アイドルプリキュアさえ潰せば、こんな声に悩む事も。ダークイーネ様が独りぼっちになる事も無くなるのよ!」
“でも、だからって……もっと他に方法が……”
「あるわけ無いでしょ!それに、仮にあったとしてももう私にはこれ以外の方法なんて取れないのよ!!」
スラッシューは自身の中にあるKotoneとしての優しい人格に止められるが、それを無理に押し切ると手に高めていたエネルギー砲を一気に解き放つ。
「消えなさい。キュアアイドル!!」
「ッ、消えないよ。私はあなたを照らし出してみせる!テラちゃん!!」
そして、スラッシューから極限まで高めたエネルギー砲が放たれるとそれがアイドルに向かって飛んでいく。そのままこのエネルギー砲がぶつかった瞬間。大爆発が起きると彼女の姿が煙の中に消える。
しかし、それが晴れるとそこには赤い姿になったキュアアイドル……アイドルハートリボンスタイルがいた。
「アイドルハートリボンスタイル!」
「ッ……」
「はあっ!」
スラッシューはアイドルが強化変身した事に驚いているとその直後、アイドルが一気にスラッシューへと接近。
「なっ、ぐあっ!?」
スラッシューは急激に上昇したアイドルの基礎身体能力に対応できず。一撃殴られると吹き飛ばされてしまう。
「くっ……またそんなにキラキラして。目障りなの、Utako以外でそんな輝き……持ったらいけないのよ!!」
「Kotoneさん。あなたは過去に囚われ過ぎてる。だから絶対に助ける!」
スラッシューがアイドルがまたUtakoに近づいたために余計に感情的になるとそれに対してアイドルはスラッシューを助けるために彼女へと駆け出す。
対してスラッシューはまた両手に炎の剣を生成するとそんなアイドルを正面から迎え撃つ事になる。
「はぁあああっ!」
「アイドルグータッチ!」
アイドルがブローチをタッチして発動したグータッチとスラッシューの振るった剣がぶつかり合い、その威力で凄まじい衝撃波が発生する。こうして、また2人は戦いを再開するのだった。
また次回もお楽しみに。