キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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闇に囚われた夢の絶望

アイドルとスラッシューの戦いが激化するのと同じくして。ソウルビート達と戦うカガヤケナインダーの方も本格的に夢乃を助けるための戦いとして激化していく。

 

「カガヤケナインダー!」

 

「来ますよ!」

 

するとカガヤケナインダーは爆発するタイプの上着攻撃での弾幕を仕掛けてくる。この攻撃の厄介な所は攻撃に触れたら即爆発してしまう事。それはつまり、弾く事による防御が使えないという事でもある。

 

「どうする!?触れたら爆発するんでしょ?」

 

「俺が撃ち落とす!キュンキュンの力、ソウルビートレーザー!」

 

ただ、それなら自分の元に飛んでくる前。発射された直後に撃ち落とせば良いという事でソウルビートがキュンキュンの力で発動したレーザーにより服を全て貫いて起爆。カガヤケナインダーの周囲で煙幕を発生させるとその視界を奪う。

 

「カガァ!?」

 

「今だ!散らばれ!」

 

ソウルビートはこのチャンスを逃してはならないと分散を指示。ズキューン、キッス、キュンキュンが周囲に散ると正面にはソウルビートとウインクだけが残る。

 

勿論この2人だけなのにも意味があるのだがそれは一旦さておくとして。まずはこの2人をターゲットとして定めたカガヤケナインダーは腕にズボンの形をしたエネルギー砲の発射装置を生成。

 

「カガヤケナイ!!」

 

「ッ、来るぞ!」

 

「うん!」

 

カガヤケナインダーは当然のように目の前にいる2人へとそのエネルギー弾を連射。2人を纏めて倒そうとする。対してウインクはブローチをタッチした。

 

「ウインクバリア!」

 

ウインクがバリアを展開すると正面から迫ってきたエネルギー弾の方を全て防御していく。そして、それこそがプリキュア側の狙いだった。

 

「今だ!」

 

「チュッ!キッスショック!」

 

ソウルビートの声に合わせる形でキッスがキッスショックを発動。それが命中したカガヤケナインダーは全身に電流が流れ込む。

 

「ンダァアアッ!?」

 

「次だ!キュンキュン、ズキューン!」

 

ソウルビートはカガヤケナインダーを挟み込む形で両側に位置するキュンキュンとズキューンに声をかける。

 

「オッケー!ズキューンバズーカー!」

 

「キュンキュンレーザー!」

 

その声に合わせる形でズキューンがアイカラーを塗ってのズキューンバズーカー。キュンキュンもブローチをタッチしてからレーザービームを発射。するとそのレーザービームを発射直後に1つに集中。強力な一本のレーザーとしてカガヤケナインダーへと放つ。

 

「カガヤケ……ナイ!」

 

だが、カガヤケナインダーもタダではやられないのか。両腕を左右に広げる形で突き出すとキュンキュンレーザーとズキューンバズーカーの2つを受け止めてしまう。

 

「ッ、嘘!?」

 

「私達の攻撃を止めてしまうなんて……」

 

「いや、2人共それで良い!そのまま攻撃を継続してくれ!」

 

「わかったよ!」

 

「任せてください!」

 

するとソウルビートにとってはこの方が都合が良いのか。敢えてキュンキュンレーザーとズキューンバズーカーの攻撃をそのまま継続してもらうとカガヤケナインダーの両腕を使わせ続ける。

 

「夢乃!聞こえるか?夢乃!!」

 

その間にソウルビートがカガヤケナインダーの内部に取り込まれているであろう夢乃へと呼びかけていく。

 

これは両腕を使わせている今ならカガヤケナインダーからの反撃方法が無いと予想したソウルビートが夢乃を今のうちに目覚めさせようという形だ。

 

その頃、カガヤケナインダーの中に囚われている夢乃の方は絶望しきった瞳のままとある光景を見ていた。

 

「えっ……な、何これ……どうなってるの……」

 

それは夢乃にとって夢に見た晴れ舞台。若手の人気モデル達が集まるファッションショー。そこで優秀賞を取れれば一躍人気ファッションモデルになるための若手の登竜門と言える場所。

 

そこに出場した夢乃はこの日、自分の中で最高とも言える程に気合いを入れた服を着ると最高のコンディションでファッションショーに臨む。

 

そして、ステージから見える景色に胸を躍らせながら彼女はランウェイを歩き始める。しかし、他の人の時にはいたはずの満員の観客達は夢乃の番が来ると途端に次々と消え去っていく。

 

「ま、待ってよ……私、まだ何も……」

 

まるで夢乃の事なんて眼中に無い。そう言わんばかりに人々は全て消え去り、そこに広がるのは誰1人観客席に座ってない無人のホールであった。

 

「あ……ああ……」

 

夢乃はその光景を目の前で見せつけられると心は絶望色に染まっていく。そして、彼女は同時にある事実を思い知らされた。

 

……自分なんて、どんなに努力して着飾っても誰も見てくれやしないのだと。

 

夢乃はこの事から影人がかつて味わった絶望はこれ程までに自分の胸に深く突き刺さる物だったのだと実体験してしまう。

 

「(そっか……お兄ちゃんも……これと同じ事を……)」

 

同時に夢乃の胸は深く、強く締め付けられていく。夢乃は咄嗟に胸を抑えるものの、その痛みは治らない。

 

「うっ……嫌、嫌……」

 

夢乃は自分という存在を否定されてしまうという恐怖のあまり、後退りすると脚が震えたせいかバランスを崩してその場に尻餅を付く。そのまま彼女は頭を抱えると目の前に広がる事実から逃げようとする。

 

だが、どれだけ夢乃が現実逃避をしようとしても目の前の光景は変わらない。そして、自分が助けを求められるような相手が周りにいない事もあって孤独のまま絶望に呑まれていく。

 

「私は、私は夢なんか追いかけても無駄なの?私に、夢を追いかける資格なんて……無いの?誰か……誰か……助けて……」

 

夢乃は必死にこの絶望を少しでも和らげてくれる存在を探そうとする。だが、周囲に広がる景色は一面闇の中。そのため、夢乃を助けてくれる存在なんて誰1人いない。

 

カガヤケナインダーの特性……キラキラを引き抜かれ、闇の中に囚われた素体の人間は文字通りキラキラを失った抜け殻と化してしまう。その上で自分が囚われた闇の中……キラキラの無い自分が絶望する様を永遠と見せつけられるというまるで地獄のようなループを繰り返す事になる。

 

そして、大人びているとはいえ……まだ小学6年生の夢乃にとってこの光景を見せつけられるというのはトラウマ以外の何物でもない。

 

「嫌……お願い、もうこんなの見たくない……誰か、止めて……。こんな景色、見たくない。こんな私の未来……嫌だ……嫌だ」

 

夢乃が1人苦しむ中、そんな夢乃が生み出した凄まじい量の闇をカガヤケナインダーは原動力とするとパワーアップとばかりに体から禍々しい闇のオーラを放出する。

 

「カガヤケナインダー!」

 

「う、嘘……まだパワーアップするの!?」

 

「こんなの、止められませんよ!?」

 

「このままじゃ、夢乃ちゃんにまで声が届かない……」

 

カガヤケナインダーは未だに力を増している様子であり、その力の前にプリキュア達は圧倒されてしまっている。

 

すると、直後にカガヤケナインダーを抑えていたキュンキュンレーザーとズキューンバズーカーが呆気なく粉砕されてしまう。

 

「「ッ!?」」

 

「こうなったら、私がもう一度……」

 

キッスはキッスショックを使う事でどうにかカガヤケナインダーを抑えようとする。それとほぼ同時に散っていたプリキュア達が合流した。

 

「……待ってくれ」

 

するとそのタイミングでソウルビートが1人前に出るとキッスの前に遮るように出して攻撃しないように促す。そのため、彼女が驚いてソウルビートの方を向くと彼は覚悟を決めたような顔を見せた。

 

「ここは俺1人に任せてほしい」

 

「えっ、それってどういう」

 

「賭けだけど……今はこうするしか無い!」

 

その瞬間、ソウルビートは事情説明をする時間がまず惜しいとばかりに手にソウルリンクライトを構えるとリボン部分をタッチ。その瞬間、ライトが光り輝くとソウルビートの切り札的能力を発動させる。

 

「ソウルビートアトラクト!」

 

ソウルビートの体が銀のオーラに包まれるとそのままカガヤケナインダーへと突進。それを見たウインク達はいきなりソウルビートが突っ込んだ事に驚く。

 

「えっ!?」

 

「ソウルビート!?」

 

「カガヤケ!」

 

それを見たカガヤケナインダーはソウルビートを近づけまいと靴下を模したミサイル弾を多数射出。それらはソウルビートへのホーミング機能があるのか。突っ込んでくるソウルビートへとピンポイントに向かっていく。

 

「ッ!!はぁあああっ!」

 

ただ、ソウルビートはそんなミサイルなど関係無いとばかりに最短で夢乃を助けるためにカガヤケナインダーへと突っ込んでいく。それでも無傷……というのは無理なのか。ソウルビートの肉体はカガヤケナインダーへと近づく度に傷ついていく。

 

「ぐぅっ……はぁあああ!!」

 

「ッ、やっぱり無茶だよソウルビート!!」

 

それでも夢乃を助けたいという気持ちが上回ったソウルビート。彼はカガヤケナインダーへと拳が当たる間合いに入るとその体へと自身の拳を叩き込む。

 

「だああっ!」

 

「えっ!?」

 

「嘘、ソウルビートの拳が……カガヤケナインダーの中に!?」

 

その瞬間、何とソウルビートが放った拳が何故かカガヤケナインダーの中にめり込んだのだ。厳密に言うと闇で構成されているはずのカガヤケナインダーの体に手を突っ込んでいるのと同じである。

 

「(頼む……届け……届いてくれ!!)」

 

ソウルビートの策……それは外側から声をかけるのでは無く自分からカガヤケナインダーの闇の中に入って夢乃を助け出す事だった。

 

「カガヤケ……」

 

カガヤケナインダーもいきなり腕を突っ込まれた事によるダメージを受けていたが、突如として目が紺色に輝くといきなりソウルビートの体を丸ごと取り込もうとし始めた。

 

「ええっ!?」

 

「ちょっ、何でそうなるんですか!?」

 

「いや、これで良い!皆、俺が戻るまでコイツを倒さずに外で粘っててくれ!」

 

「ソウルビート!?」

 

するとソウルビートが纏うオーラが先程までの銀からカガヤケナインダーと同じ紺色になっている事に気がつく。そして、キッスは彼のやろうとしている事を理解した。

 

「ッ、わかったわ!その代わり、絶対戻って来て!」

 

「ああ、任せてくれ!」

 

その言葉を最後にソウルビートの肉体は完全にカガヤケナインダーの中へ。それを見届けたウインク達は何故ソウルビートが取り込まれたのかを問いかける。

 

「何で、ソウルビートはいきなり……」

 

「……多分だけど、取り込まれる時にソウルビートは自分の能力である自身の力のベクトル変換を行ったんだと思う」

 

「え?え?どういう事?」

 

ソウルビートが取り込まれた理由について気になるウインク達だが、キッスの説明にズキューンは意味がわからないのか。かなり困惑したような様子であった。そのため、彼女が首を傾げているとキッスが話を続ける。

 

「簡単に言うと、ソウルビートは自らの纏う力をカガヤケナインダーと同じ物にしたの。だから殴られたカガヤケナインダー側も驚いて自分と全く同じ闇の力として誤認してソウルビートを丸々取り込んだのよ」

 

「うーん、まだよくわからない……」

 

キッスの説明にウインクやキュンキュンはある程度理解したものの、やはりズキューンの方はまだ理解が追いつかないのか……。頭にハテナマークを浮かべまくっていた。

 

「ほら、前にソウルビートが自分の力を私達と同じ物に変えて流して私達を強化してたでしょ?多分それと同じだと思う」

 

「あっ、そういうことね!」

 

「という事はソウルビートがやりたい事は……カガヤケナインダーの中に入って夢乃ちゃんを助け出す事……!」

 

「そうね。恐らく、さっきカガヤケナインダーがいきなり力を増した時点で普通に外から声をかけるだけじゃ夢乃を助けられない。……そう判断したのだと思うわ」

 

どちらにせよかなりの無茶を通した物である。それに、今の独断行動に関しても反対されるリスクを考えて周りの意見を聞く前に行った所があった。カガヤケナインダーの力が徐々に増幅したという事もあって説得の時間が致命傷になりかねないと思ったのだろう。

 

「カガヤケ……ナインダーッ!」

 

するとその瞬間、咆哮と共に突如としてカガヤケナインダーの体に更なる力が溢れ始める。それを見て4人は驚きの声を上げた。

 

「ッ!?これは……」

 

「そうか、ソウルビートの力が内部に入っちゃったからそれに従ってカガヤケナインダーもパワーアップしちゃったんだよ!」

 

「ッ!だからソウルビートは耐えてって言ってたんだね!」

 

ソウルビートは取り込まれる際、カガヤケナインダーと全く同じ闇の力を纏う事で存在ごとカガヤケナインダーの中に侵入。これはつまり、ソウルビートの力の分だけカガヤケナインダーの力が上乗せされたような物である。

 

同時に、今いる4人ではカガヤケナインダーを倒すのが不可能になってしまった。

 

「ソウルビート……。私達はあなたを信じてます!だから……」

 

「うん。絶対に耐え切るよ!」

 

「カガヤケナインダー!」

 

するとカガヤケナインダーは自身がパワーアップした事に対する気持ちの昂りからか、再び声を上げた。同時に凄まじいエネルギーが周囲を駆け抜けていく。

 

「「「「はぁああっ!」」」」

 

そして、そのままウインク、キュンキュン、ズキューン、キッスはソウルビートが夢乃を助け出すまでの間の時間稼ぎとして4人だけでパワーアップしたカガヤケナインダーを迎え撃つ事になる。




また次回もお楽しみに。
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