キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
アイドルがスラッシューを退け、ソウルビートがカガヤケナインダーの中に囚われた夢乃を説得。ただ、夢乃の方は彼女を助け出す直前にソウルビートがカガヤケナインダーによって追い出されてしまう。
「くっ……夢乃が苦しんでるんだ……俺が、助けないと」
ソウルビートは自分が夢乃を助けるために立ちあがろうとするが、カガヤケナインダーの内部に取り込まれた時点でかなり無茶をしていたのに加えて更に長時間闇の力を纏った影響で体が限界を迎えてしまう。
「ぐ……うぅ……」
「ソウルビート!?」
「無茶しないでください、ただでさえあの中に無理矢理入ったんですから」
ウインク達もこれ以上ソウルビートが無理するのは看過できないため、慌てて彼がカガヤケナインダーへと突撃しないように抑える。
ただ、そうなると今度はカガヤケナインダーを倒す方法が無い。改めて確認だが、アイドルが抜けた時点でキラッキランフォーユーは使用不可。何ならソウルビートも動けないのでもう彼の技も使えない。
可能性があるとすれば覚醒したズキューンキッスだが、あの覚醒は自分の意思で引き出せる物では無い……あくまで突発的な物だ。
「お姉様、ここは私達で」
「うん、通じるかはわからないけど……ここは私達がやるしか……」
ただ、それでもプリキュア側の最大火力はズキューンキッスの技。こうなったらそれに賭けるしか無いと考えるプリキュア達。するとそこにアイドルが飛び出してきた。
「アイドルグータッチ!」
「カガァ!?」
アイドルはアイドルハートリボンスタイルを解除した通常状態でグータッチを炸裂させると折り立つ。
「「「「アイドル!!」」」」
「待たせちゃってごめん!」
「アイドル、スラッシューは?」
アイドルが遅れた事を謝る中でソウルビートがスラッシューの事を問いかける。ただ、残念ながらスラッシューの方はどうにもできなかったためか。アイドルの返事は申し訳なさそうな物だった。
「ごめん……スラッシューは、Kotoneさんの方はダメだった」
「そっか……。わかった、アイドルはやれる事をやってくれただろうし気にするな」
「うん、ありがと」
スラッシューの事も大事だが、今はそれよりも目の前のカガヤケナインダーの方だ。今のカガヤケナインダーを相手に使うならアイドルの強化個人技が一番確率が高いだろう。
「アイドル、今はソウルビートが戦えなくなってしまったので6人では決められません」
「そっか、じゃあもう一回アイドルハートリボンスタイルで……」
アイドルは解除してしまったのを少し悔やみつつももう一度アイドルハートリボンスタイルに変身するためのリボンを送ってもらおうとする。
「待て……」
「ソウルビート?」
「……それよりも今の夢乃に届かせるなら3人でのアレの方が良い」
「「「えっ?」」」
すると、ソウルビートが技の威力や確実性では無く何故かアイドルハートリボンスタイルよりも多少劣ってしまうアイドル、ウインク、キュンキュンでの技を指名する。
「ソウルビート、どういう事?」
「今の夢乃は夢の輝きを失ってる状態なんだ」
「なるほど、夢の輝きを取り戻すのに必要なのが……」
「Trio Dreams!!って事だね!」
3人の夢……夢の輝きを取り戻すには同じく夢の名が付く曲という粋な計らいをソウルビートは指示。ただ、これだけだとカガヤケナインダーに通用しない可能性がある。
「ズキューン、キッス、ちょっと力を借りるぞ」
「え?良いけど……」
「わかったわ。持って行って良いわよ」
そのためかソウルビートはズキューン、キッスの力を一部借りるとソウルビート自身の分を合わせて光を増幅。そしてその力をベクトル変換。すかさずアイドル、ウインク、キュンキュンへと流した。
「「「ッ!」」」
「これなら3人でも行けるはず。頼んだぞ」
6人分の力を乗せた3人でのTrio Dreams。今回はこれで行くという事でアイドルは張り切った。
「よーし、それなら2人共!」
「うん、夢乃ちゃんにキラキラを取り戻してあげよう!」
「はい!可愛い養妹のためですし頑張りますよ!」
ソウルビート、ズキューン、キッスの力を受け取る形で一時的にブーストをかけたアイドル達3人はカガヤケナインダーに向き合うと技を発動。
♪決め歌 Trio Dreams♪
「「「ウー、レッツゴー!Try, try, trio dreams♪」」」
『Let's sing, let's swing, let's dance, let's bound,Let's smile, let's fly』
「「「ハート上げてくよ!」」」
その効果でライブの領域を展開しつつインカムを装着。それとほぼ同時にカガヤケナインダーは技の効果で客席へと強制的に着席。カガヤケナインダーは当然抜け出そうとするが、3人の力を予め増しているため拘束からは逃れられず。そのままその3人による歌が始まった。
「「「Sing!♪音符に夢乗せて〜♪キミ、あなたのもとへ〜for you!♪もっともっと輝き合えるね〜♪みんな、キラッキラン!♪瞳水晶にいつだって〜♪笑顔映し合おう〜promise!♪キミがいるからパワー、生まれるよ、今日も〜♪Try, try, trio dreams♪……プリキュア!ハイエモーション!」」」
すると三人が力を合わせる事で発生した虹のエネルギーがカガヤケナインダーへと降り注いでその体を浄化させていく。
「「キラッキラッタ〜」」
カガヤケナインダーがやられた事によって今回も新たなキラルンリボンが生成。今回はそれをウインクが手にするのだった。同時にハートガーデンも解除されて夢乃は無事に救出される事に。
「夢乃!」
「ッ……ううっ……お兄ちゃん……」
ソウルビートは慌ててカガヤケナインダーから出てきた夢乃の元に駆け寄ると彼女は薄らと目を覚まして微笑んでくれたため、彼は安堵の表情を浮かべる。
「たくっ……これで三回目だっての……」
「うん……今回も助けてくれてありがと。それと、私の夢……絶対叶えるから、見てて」
「ああ……ちゃんと見てるし応援もするぞ」
夢乃はアイドル達によってカガヤケナインダーによって奪われていた夢を目指すためのキラキラもちゃんと取り戻せていた。
それから影人達はひとまずはなみちタウンの出張所へと戻る。理由は当然、先程までやろうとしていた今回のアカペラの指導者である山上達にお礼を言うためだった。
「山上さん、環木さん、仙石さん、南さん。今回はご指導……」
『ありがとうございました!!』
影人達はリーダーであるうたの合図で全員で一斉にお礼を伝える。それを聞いて山上達も嬉しそうに微笑んだ。
「「「「こちらこそ、ありがとうございました」」」」
これにより、アカペラコラボのプロジェクトは一旦終了。後はアイドルプリキュアのチャンネルで編集したアカペラの動画を投稿するだけだ。
山上達と別れた後、ふとうたは1人お礼を言ってない者の事を思い出すと慌てて声を上げる。
「あーっ!そういえばレイレイ先輩!!」
「どうしよう、確かにレイレイ先輩にはまだお礼を言えてなかったよね」
「……残念だけど、それはちょっと厳しいな」
『えっ?』
うたの発言に合わせてななも玲音へのお礼を言えてない事を気にするが、レイがスマホを片手に少し難しそうな顔を浮かべていた。
「……レイレイ先輩、あの後アカペラ部の部長……愛莉先輩と話をしたらしいんだけど」
「なるほど、受け入れてもらえずに喧嘩しちゃったのか」
影人の言葉にレイは頷く。そして、更に悪い事にそこから碌に仲直りができないまま玲音はParabolaに参加するための練習を重視するようになったせいで関係が冷え込み……今は影人達の方に割ける時間が無いらしい。
尚、このParabolaの練習もリーダーである聖が割と強制的に連れ回しているため玲音個人としてはできる限り愛莉と仲直りしたいと思ってるのだが……時間が足りなさ過ぎてちゃんと話す事もできないようだった。
「そっか……」
「なら、暫くは本人から解決した連絡が来ない限りは彼女の事に下手に首は突っ込めなさそうね」
もし仮に玲音の話に勝手に首を突っ込めばそれだけで更に話がややこしくなってしまうし、それは彼女達のためにもならない。
「でも、私はきっとレイレイ先輩なら乗り越えられるって信じてる!」
「それに、アカペラ部の一年生の先輩方もいますから。そっちの仲直りは済んだみたいですしね!」
「うん。あっちの事はアカペラ部の先輩の皆に任せよう」
そういうわけで玲音へのお礼は一旦後回しになるが、その話はここまでにして。影人達は太陽も傾き出して夕焼けの空になったためそれぞれの帰路につく事に。
そんな中で影人、こころ、夢乃の3人は一緒に歩いて帰る所だった。勿論こころを送ってから家に帰るためである。
「カゲ先輩、夢乃ちゃん。すみません、わざわざ私の家まで」
「全然!むしろ私の方がごめんなさいですよ。折角の恋人同士水入らずの時間にできたのに……」
「夢乃は今回カガヤケナインダーにされて体調面での不安があるから1人では帰らせられない。そこは我慢してくれ」
「むーっ……過保護なお兄ちゃんだなぁ」
夢乃は頬を膨らませつつ少し不服そうな顔を見せた。ただ、この影人の対応が自分を心配しての事だとわかっていたために彼女はそれ以上変に言う事は無く。3人はゆったりと紫雨家までの道を歩いた。
「そうだ、お兄ちゃん。あの事は言わなくても良いの?
「あ、そういや聞かないとだったな」
「えっ?何の話ですか?」
夢乃が思い出したように影人へと問いかけると影人も聞かないといけない事を忘れていたのか。それに反応を示した。
「……こころ」
「は、はい……」
「今度のさ、金曜から土曜にかけて……俺の家に泊まらないか?」
「……えっ?」
影人は少し緊張した様子でこころに問いかける。こころは少し唖然としたのか。それから少しだけ間を置いてから言葉の意味を理解。慌てて反応する。
「あ、ああ!お泊り!お泊りですね!えっと……大丈夫ですよ。もしかして……」
「ああ。ようやくうちの両親が揃う日が出来たんだ。勿論夢乃もその日は配信を無しにしてる。……だから、その……待たせてごめん」
影人はこころがずっと影人の家でのお泊まりを楽しみにしている事はわかっていた。しかし今日この日までの間、自分達の都合のせいでタイミングが合わなかったのである。
影人としてはその事をかなり気にしてしまっており、申し訳ない気持ちだったのだ。
「ふふっ……そんなに畏まらなくても私はカゲ先輩の事を嫌いになんかなったりしませんよ。むしろ、ずっと楽しみにしてましたから」
「そっか。……ありがと、こころ」
そんな風に2人の世界でイチャイチャしそうになった時、夢乃は自分を忘れないでほしいと言わんばかりにある爆弾発言を投げる。
「は〜あ、お兄ちゃんやこころ先輩が仲良くしてるのを見てたら色々と自分が物足りなくなってきちゃった。私も誰か好きな人を探そうかなぁ」
「ちょっ、夢乃!?」
「夢乃ちゃんも恋人探しですか!?」
流石に夢乃のこの発言は看過できないのか。影人は特に動揺した様子で声を上げた。
「だってさ〜、私は2人の近くにいてもお邪魔だし。かといって1人なのも物足りないからさ。恋人を探すのもありかな〜って」
「夢乃ちゃんの恋!私も応援しますよ!!」
「いやいや待て待て認めんぞ!!夢乃がどこの馬の骨ともわからん奴とお付き合いするなど!!」
「いや、お兄ちゃんは私の生みの親じゃないんだからそういう事を言える立場じゃないじゃん」
夢乃は影人がいきなり父親のような発言をし始めた事に呆れたような顔つきで影人の方を見る。
「それと、今のは冗談だよ。……まだ恋人探しをするよりも、自分の夢を追いかける方が大切だし。何より楽しいから」
夢乃は2人よりも少しだけ前に出ると夕日を背中に浴びながら眩しい笑顔を向けた。そんな彼女に影人もこころもその笑顔が完全に戻ってくれた事が微笑ましく感じる事に。
こうして、夢乃の救出に成功した影人達は新しく歩み出した彼女の道を見守りつつ応援する事になる。
一方その頃、レイの方は姫野に今回のアカペラのレコーディング音声やらの入ったUSBを手渡す。
「姫野さん、お願いしますね」
「ええ、私は私のやるべき事をやります。折角ミュージック・ビデオの作成を任されましたから」
どうやら今回のアカペラのMVを作る事にはなったらしい。元々アップロードする際に動画としては必要だったし、結果的に作った方が宣伝効果が高いという結論に至ったようである。
「それにしても、社長の方は大丈夫ですか?」
「……まぁ、ちょっと最近変な感じはしてる。前に夢乃ちゃんに言い負かされたのが相当ダメージとして入ってるのかも」
レイはここ最近、自分の父親であるハジメが少し不調気味になりつつあると感じていた。原因は恐らく前に夢乃にサウンドプロダクションを抜けないように念押しするべく呼びつけた際に彼女に完膚なきまでにしてやられたからだろう。
「……レイさん、もしかして心配なんですか?」
「……別に。普段から好き放題し過ぎてたんだし。少しくらい痛い目を見てほしいと思ってますよ」
レイは姫野から目を逸らしつつそうやって今のハジメに対して軽く毒を吐く。ただ、姫野はレイの異変に気がついていた。
「はぁ、どうしてそうあなた達は素直になれないんですか。心配なら心配って言えば良いでしょう」
姫野はレイがハジメを心配している事を見抜くとその上で彼を諭そうとする。しかし、レイは無言のままだ。
「もうあなたの家族はお父様である社長しかいないのですから、少しくらい……」
「……それじゃあダメなんですよ。俺は……この先父さんを超えないといけなくなる。こんな所で家族に情を感じていたら……」
「その感情、ななさんにも向けないでくださいよ?」
「ッ……わかってます」
レイはそう言って出張所を後にして自宅の方へと1人で帰っていく。同時に自分の彼女であるななの顔を浮かべた。
「(……やっぱり、俺の家庭事情をななに背負わせたらダメなのかもな)」
レイは異変を起こしているハジメと彼女であるななの事。そして、自宅にある今は亡き母親との想い出の写真を考えるのだった。
また次回もお楽しみに。