キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
レイの変身したダークランダーの登場に対してプリキュアに変身して対応する影人達。すると、ジョギは早速プリキュア側の異変に気がつく。
「……あ〜れ?よく見たら1人足りないみたいだね。仲間割れとかしたんじゃないのかな?」
「ッ!?そんなのじゃない!」
ジョギはウインクが欠けている事からプリキュアが自分達のように仲違いをしたのだと考えると邪悪な笑みを浮かべる。そして、同時に彼はやはりプリキュアの言うことなんてただの綺麗事だと感じた。
「あははっ!この前は偉そうな事を言ってたけど……やっぱり君達の絆は切れたんだ!」
「おいおい、ジョギ。そうやって勝手に決めつけられるのは心外だな。少なくとも今この瞬間は俺達の絆は壊れてなんか無い」
「そうだよ!ななちゃんは何処にいても、どんな道を選んでも……。私達の絆は、絶対に切れたりしない!」
ジョギはここぞとばかりにプリキュアの絆は所詮その程度でしか無いと煽るが、それに対してソウルビートやアイドルが毅然とした様子で口々に言い返した。
「あっそ、ならさっさと潰して。ダークランダー!」
「ダークランダー!」
ダークランダーは早速手にしたボールを地面でドリブルし始めた。ただ、体育館のように反発があるような場所で無いにも関わらず普通にドリブルができる辺りはダークランダーとしての補正だろう。
「行くよ!アイドルグータッチ!」
「ダークラン!」
それに対してアイドルが先制攻撃とばかりに飛び出すとブローチをタッチ。お得意のグータッチを放つ。対してダークランダーはドリブルを止めてボールを手に握るとそのボールをグータッチに押し付けるような形で対応。
「くううっ……」
「ダーク……」
2人が押し合う中でその力は拮抗するかに思えた。しかし、突如としてダークランダーが押していたバスケットボールが紫の光を放ち始める。
「ッ!?アイドル、離れろ!」
「えっ!?うわぁあああ!!」
ソウルビートはその様子から慌ててアイドルに離れるように言うが、時既に遅く。バスケットボールが爆発し、アイドルはそれに巻き込まれると吹き飛ばされてしまう。
アイドルがやられたのを見て次はキュンキュンがブローチをタッチ。バスケットボールが爆発して無くなったために丸腰となったダークランダーへとレーザーを放つ。
「くっ、だったらこれです!キュンキュンレーザー!」
「ダークラン!」
だが、ダークランダーは走り出すと身軽な動きでキュンキュンレーザーを回避してしまう。
「嘘!?何であんなにスイスイ躱せるんですか!?」
「レイは元々天才バスケ少年って言われてたからな。元の運動神経は良い方なのかも」
ソウルビートがそのように分析をする中、それならばと言わんばかりにズキューンがキッスへと目配せする。
「だったら、私達で!」
「はい!」
するとズキューンとキッスが両サイドに飛び出す形で展開するとまずはキッスがハートの錠前型の化粧コンパクトを手にして投げキッスを放つ。
「チュッ、キッスショック!」
「ダークラン!」
しかし、キッスのキッスショックさえもダークランダーは見事に回避してしまう。その身のこなしは脅威と言わざるを得ない。
「ッ……やっぱり当たらない」
「けど、これで私の位置はわからないよね!」
そのタイミングでズキューンは完全にダークランダーの死角である背後に回り込む。ダークランダー相手にキッスショックが決まらなかったのはかなり痛かったが、それでもズキューンが回り込む時間は稼げた。
そして、ズキューンはそのチャンスを逃さないようにするために腰に付けているハートの鍵型の化粧コンパクトを手に取る。
「ズキューンバズーカー!」
そのまま彼女はアイカラーを塗りつつバズーカー砲を放つ。威力、速度共に申し分無い一撃が完全に死角から放たれた。これなら流石に当たるはず……だった。
「クラ!」
「えっ!?」
「嘘、何で……」
ダークランダーは今の死角からのズキューンバズーカーをまさかの足を一歩後ろに引く形で半身になるという最小限の動きのみで回避してしまう。そして、半身になった事でズキューンとキッスの双方を視界に捕らえた。
「ダークランダー!」
そのタイミングでダークランダーは手にバスケットボールを召喚するとそのボールをキッスに向けてまるでドッジボールをするようにショルダーパスの形で豪速球を投げる。
「ッ!?きゃあっ!?」
キッスはパスとは思えない程の豪速球をまともに受けてしまうと思わず尻餅を付いてしまう。
「キッス!?」
「ズキューン、前!!」
その直後、キッスに気を取られたズキューンの前にはダークランダーが迫っていた。ズキューンはどうにか反応を間に合わせて構えを見せる。
「くっ!?」
「ダークララララ!」
するとダークランダーはズキューンに左腕の拳の連打を繰り出す。勿論ズキューンはそれに対抗するために自分も拳や蹴りで迎え撃つ。
「はぁあああっ!」
「ズキューンを助けに行かないと!」
「はい!」
ズキューンの窮地にアイドルやキュンキュンが飛び出す。だが、ソウルビートは1人状況を俯瞰で見ていた。
「(おかしい。ダークランダーがこんなにも簡単に捌ける攻撃をしてわかりやすく隙を晒すか?それに、さっきキッスに命中したボールは……ッ!?)」
ソウルビートはこのタイミングで何かに気がつく。それは、先程キッスに命中したボールの跳ね返り先が丁度ダークランダーに近づいていたアイドルの真上だと気がつく。
「アイドル!気をつけろ、上から来るぞ!」
「えっ?上……って、うわぁああああ!?」
ソウルビートが声をかけるものの、また一手遅く。キッスに当たって跳ね返ったボールがアイドルの真上に落ちてくるとそのまま爆発。アイドルは吹き飛ばされると地面に叩きつけられる。
「なっ!アイド……」
「あーあ、余所見をするのは良くないよね?」
ジョギがそう言ったその瞬間、今度はキュンキュンがアイドルに気を取られた一瞬の隙を付いてダークランダーが接近。再度生成したバスケットボールをノーモーションからの右足を軸にした回転式パスで投げつけるとキュンキュンはそれに当たってしまう。
「がはあっ!?」
「ダークラン!」
更にダメ押しとしてボールは爆発。キュンキュンはそれに巻き込まれて叩きつけられる。これで2人目……次はズキューンだとばかりにその方を向いた。
「これ以上はやらせない!」
「ええ、まだやれる!」
だが、ここでソウルビートが介入。更に先程尻餅を付いていたキッスも立て直してきた。
「ダークランダー!」
「ウインクの力、ソウルビートバリア!」
ダークランダーは今度は素手での拳を繰り出すとこれはソウルビートがバリアで受け止める形を作る。そして、そうなると今度はプリキュア側のチャンスだ。ダークランダーがバリアを殴っている瞬間は大きな隙を生み出す。
「今度こそ!」
「ええ、挟み撃ちです!」
「あははっ、君達学習しないねぇ?」
するとダークランダーは跳び上がって攻撃を仕掛けてきたズキューンとキッスの攻撃に対してソウルビートバリアを殴るために突き出した拳をバリアに到達する直前でパーの形で開ける。
「は?」
ダークランダーはそのまま広げた手でバリアの表面を掴む。直後にはパンチの勢いをそのままにまさかのバリアを手の置き場にする形で片手でのハンドスプリングを披露。ソウルビートの裏に移動するとズキューンキッスの攻撃は空を切る。
「「なっ!?」」
「おいおい、そんなのありかよ!?」
ソウルビートは恐ろしいまでの状況判断の速さと使えるものを何でも利用するその柔軟性の高さに冷や汗を流す。
「ダーク……ランラン!」
「「うわぁああああ!?」」
更にいつの間にか出したバスケットボールを空中で無防備な2人に投げつけるとそのまま2人は為す術無く当てられてから爆発。その後2人揃って撃墜してしまう。
「ッ、こういう時にウインクがいてくれたら……」
ソウルビートはウインクがいてくれれば先程からのバスケットボール投げ攻撃に対してバリアを展開し、投擲されたバスケットボールの爆発を防げた可能性が高い事に悔しさを感じる。
勿論自分もこの動きは可能だったが、今回のダークランダーの手強さからなるべく動きを見ておきたかった気持ちがあったせいでカバーしに行くのが遅れた所もあったのだ。
「ほらほら、最後は君だよソウルビート!」
「煩せっ、だったら俺がこの悪い流れを止める」
ソウルビートはダークランダーに対して正面から向かって行くとダークランダーは手にしたバスケットボールで1対1を仕掛けるようにドリブルを開始。ソウルビートはその対応をするため一瞬だけ動きが止まった。
「ダーク!」
「くっ」
「ラン!」
するとドリブルしていたボールが地面に着いた瞬間、そのボールをキャッチしようと上で構えていた腕を退かしてしまう。こうする事でボールは地面から跳ね返ったまま受け止められる事なく上に向かって飛ぶ。それはつまり、ソウルビートの視線がボールの方に誘導される事を意味していた。
「は?」
「ダーッ!」
ソウルビートの一瞬の視線の移動を見たダークランダーは上に視線を向けてからのローキックをぶつけてソウルビートを怯ませる。
「ぐはあっ!?し、しまった……」
「ダークランダー!」
そして、ソウルビートが怯んでしまったタイミング。そこを狙ってダークランダーは手にしたバスケットボールをリングにダンクするようにソウルビートへと直接殴ってきた。
「ッ!?ぐあああ!?」
ソウルビートはダークランダーからの全力のボールでの殴りつける攻撃に耐え切れずに飛ばされ、地面に叩きつけられてしまう。これにより、5人は全員がダウンしてしまうと体に走る痛みに悶えていた。
「くっ……そうか、レイはとにかく視野が広いし頭の回転も早い。だから俺達がアイツの死角に回り込んでも普段の俺達から動き方の癖とかどのくらい動くかを予測できるんだよ」
「何ですかそのチート性能……」
「何でもあり過ぎるよね……?」
どちらにせよレイが素体のダークランダーの真骨頂は身体能力よりもその頭脳にある。それを封じない限りは勝つのはかなり厳しい。
「ダークラン……ダ!」
するとプリキュア達が立ちあがろうともがいている間にダークランダーは何やらルーティンのような構えを見せるとバスケットボールを空中にあるリングにフリースローとして放つかのようにして上へと放る。
「ッ、あれは……」
「こ、こっちに来るよ!?」
次の瞬間。ダークランダーがフリースロー方式で投げたボールはいきなり弾けるとエネルギー弾として拡散。倒れてダメージのせいで身動きの取れないプリキュア達へとダメ押しとばかりに多数降り注ぐ。
「「「「「うわぁあああああ!?」」」」」
「ぷっ……く、あははははっ!ざまぁないね。アイドルプリキュア。まさかここまでこのダークランダーが強いとは思わなかったよ」
これにより、プリキュアはダークランダーからのダメ押しを受けてしまったのも相まって全員が倒れて体の痛みを必死に堪える状態になってしまう。
そして、ジョギはアイドルプリキュアを圧倒する今回のダークランダーの出来の良さに上機嫌だった。
「ううっ……」
「このままじゃ……」
「まさか、レイのダークランダーがここまで強いなんて」
ダークランダーの強さは素体の発する闇や素体となる人間の能力値に依存する。レイは父親に対する深い闇を持ってしまった事とそもそもの人間としての高スペックさの両方を持ってしまったがためにダークランダーの強さはとてつもない程になってしまったのだ。
「さーてと、もう抵抗もできなさそうだし君達はこれで終わりだね」
「そんなわけあるかよ……俺達はまだ戦える」
ジョギの言葉に対して5人は必死に立ちあがろうとしていた。当然だが、彼等は諦めてなどいない。最後の最後まで戦い抜くつもりである。
それを見てダークランダーはすかさず先程のフリースローを放つためのルーティンを始めた。恐らく、ジョギが合図をすればいつでもトドメの一撃を撃てるようにするためだ。
「ふふっ、今回のダークランダーは気が効くねぇ。それじゃあ、今度こそ君達には終わってもらおうか。敗因はそうだなぁ……君達の言うお友達が1人いなかったせいって事にしておけば良いんじゃない?」
「くっ……言いたい放題言ってくれやがって」
ジョギはプリキュア達の敗因をキュアウインク……なながいなかったせいにすれば良いと勝手に決めつけるとダークランダーへと目配せした。
「ダークラン……」
「それじゃ、今までの努力は全部無駄だったって事で。お疲れさん」
ジョギはプリキュアを煽るような形でそう言うとダークランダーはシュート体勢に入る。そして、後は放り投げるだけとなったその瞬間だった。
「……待って!」
「……うん?」
「クラ?」
そこに声をかける者が1人いた。それは勿論この場に唯一いなかったプリキュアで今はフランスに行っているはずの少女……蒼風ななである。
「えっ!?ななちゃん……どうして?」
「ッ……まさか、フランスから戻ってきたのか」
プリキュアを含めたその場の一同が混乱する中、ななは早速仲間の窮地を救うためにブローチを取り出すとプリキュアに変身を開始した。
「プリキュア!ライトアップ!」
ななはそう掛け声を言いながらプリキュアリボンをアイドルハートブローチに装填。そのままブローチを三回タップ。
「キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」
その直後、ななの姿はプリキュアへと変化していく。そして、変身を完了した彼女は最後に自らの名を名乗った。
「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」
こうして、ウインクも現場に合流。アイドルプリキュアが6人揃う事になる。
また次回もお楽しみに。