キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
キュアウインクに変身したなな。彼女は本来ならフランスにいるはず。それなのにここにいる理由がわからずに困惑するプリキュア達。ただ、それ以上にジョギからしてみれば彼女の帰還は面倒以外の何物でも無い。
「ふーん、戻って来たんだ。だけど、君1人加わった所で変わらないよ?纏めて倒せ!ダークランダー!」
「ダークランダー!」
ジョギはウインクが戻って来たのなら彼女ごと纏めて倒すまでと言わんばかりにダークランダーに指示を出す。何しろ、今回のダークランダーはレイが素体となってる影響で普段のダークランダーよりも格段に強い。そういう事情もあってジョギは強気になっていた。
そして、ダークランダーもそれに応えるように手にバスケットボールを召喚するとそれをウインクへと投げつける。
「ウインクバリア!」
「ダ!ダ!ダ!」
ただ、それはウインクがバリアを召喚して完全に防御。ダークランダーはそれを見て更にボールを追加するが、ウインクバリアはそれらも防いだためにダークランダーは一旦攻撃を中断。そうすればウインクは飛び出してくると予想したからだ。
「今!」
「クラ!」
そしてその予想通りにウインクはバリアを消して飛び出してくるとダークランダーはそれを迎え撃とうとする。
「ウインク、気をつけてください。そのダークランダーの素体は……」
「うん、わかるよ。レイ君でしょ!」
キュンキュンが慌ててウインクにレイがダークランダーの素体だと伝えようとすると彼女は最初からわかっているとばかりにダークランダーに向かって行く。その瞬間、ダークランダーは自分の間合いに入ったウインクを攻撃するために拳を繰り出した。
「っと!はあっ!」
しかし、ウインクはその拳が来るのを逆に予想していたのか。その拳の上を足場にして着地。すかさず至近距離からの後ろ回し蹴りをダークランダーの顔面にぶつけてからもう一度上に跳び上がる。
「クラ!?」
「なっ!?」
ジョギもまさか他の5人が対応できなかったダークランダーの動きにウインクが対応した事でその心に動揺が生まれた。
「はぁあああっ!」
「クラ!!」
ダークランダーは跳び上がったウインクから踵落としが来ると予想して両腕を頭の上でクロスするとウインクは咄嗟に踵落としをガードする両腕の少し上で行うとその勢いを利用して回転。落下の角度を少しだけ後ろに逸らしてから自身の真後ろにバリアを展開。
「ダーク!?」
「ガラ空きだよっ!」
すかさず今度はバリアを足場にして前に飛び出すと上へのガードでガラ空きとなったダークランダーの守りを突破する形で左脚でのボレーキックからの追撃の右脚での追い討ちキックが命中してダークランダーを後ろに倒させた。
「何で……何でダークランダーの思考が……」
「わかるよ。……だって、他でも無い私の彼氏がダークランダーの素体だから!」
ウインクはカッコ良い台詞で決めつつ着地。そこにアイドル達が声をかけた。
「ウインク!」
「遅くなってごめんね」
するとまずは自分が遅れてしまった事への謝罪を言うウインク。そんな彼女にズキューンが嬉しそうにするとそれとは対照的にキッスが不安そうに声をかける。
「会いたかったよ!」
「ウインク、どうするか決めたの?」
それは、ウインクの決断を聞く物だった。何しろ、ウインクのフランス残留の話が持ち上がった瞬間からソウルビート達にとって一番気になる話題なのだ。折角会えた今、それを聞かないわけが無い。
「私は……ママとピアノを弾きたい」
「「えっ……」」
「クラ……」
すると、ウインクの答えはフランスにいる母親とピアノを弾くという物。つまりはフランスに残るというのが答えに思えた。その影響か、5人の顔はどうしても暗くなってしまう。同時にダークランダーもその答えに反応を見せた。
「それって……フランスに残るって事?」
「確かにさっきの答えだと私はフランスに残る事になっちゃう。……だけどね、私はそれと同じくらい……うたちゃん達と……レイ君と一緒にいたい!」
ウインクが出したのはフランス残留と日本で影人達友達や彼氏のレイと一緒にいるという両方を諦めたくないという答えだったのだ。
「私、皆と一緒に色んな事がしたいの!パパともっと料理したいし、学校の行事だって頑張りたい!勿論、レイ君と外出してデートだってしたい!他にも……もっと、もっと……」
「ななちゃん……!」
「何だよそれ……。やりたい事でいっぱいだな」
「うん!」
ウインクが胸に手を当てながら自らのやりたい事を沢山口ずさむ彼女を見て暗かったソウルビート達の顔に明るさが戻っていった。
そして、そうなると当然気に入らないのはジョギである。彼は苛立ったように拳を握りしめると声を荒げた。
「チッ……世の中そんな簡単に沢山の事はやれないんだ!一つの事でさえ達成できない人だっているのに……強欲過ぎるんだよ!」
「ダークランダー!」
ジョギの言葉に合わせてダークランダーが立ち上がると手にしたバスケットボールを投げつける。
「「「「「「たっ!」」」」」」
6人はそれを回避するために跳び上がるとすかさずウインクがダークランダーへと蹴りを放とうとする。それを見たダークランダーはウインクの動きの先を読もうとした。
「ッ!皆、今がチャンスだ!」
「オッケー!はあっ!」
「クラァッ!?」
ダークランダーの視野がウインク1人に狭まった瞬間を狙ってソウルビートが声をかけるとまずアイドルが拳をぶつけて崩し、続けてキュンキュンがダブルスレッジハンマーを繰り出す。
「やぁああっ!!」
「ンダァアア!?」
先程までならダークランダーは全員の動きを先読みする余裕があった。しかし、ウインクが予想を超える動きを先程した事でダークランダーはウインクの動きに対して警戒の意識をより多く割かないといけなくなってしまう。そしてそうなると他のプリキュア達の動きがどうしても意識から外れてしまうわけで。
そこを突いてアイドルとキュンキュンの攻撃が決まる。そして、一度こうなってしまうと後は最初の遅れを連鎖的に拡大する連続攻撃が決まっていく。
「はあっ!」
「「たぁあああっ!」」
まずは最初に飛び出していたウインクがダークランダーの背後に降りてきたタイミングを使ってのバックヒールショットでの蹴り。その影響で頭が前に行ったことで前のめりに崩れかかった瞬間でのズキューンキッスのダブルパンチが命中。ダークランダーはその影響で後ろに倒れかかる。
「ほらよ、ダメ押し!」
「クラ!?……ンダァアアッ!?」
更にソウルビートは後ろに倒れかかるダークランダーの腕を掴むとお得意の背負い投げによる崩しでダークランダーを地面に強く激突させると6人が勢揃い。ジョギはそんなプリキュア達のペースに顔を歪める。
「クラァアア……」
「怯むな!お前の全力で叩き潰せ!」
ジョギからの指示を受けたダークランダーはどうにか起き上がるとすかさず手にいつもより一回り程大きなバスケットボールを召喚。それを片腕で鷲掴みにするとボールを強く握ったまま6人へと叩きつけようとする。
「ダークラン……ンダァアアッ!!」
「皆は私が守る!ウインクバリア!」
ウインクはダークランダーからの攻撃を防ぐためにバリアを展開。それによって攻撃を防御しようとする。そのままそこにダークランダーの一撃が激突。その激突の衝撃で凄まじい量の火花が散った。
「そのバリア、壊してあげるよ!やれ!!」
「ダークラン!!」
するとダークランダーは自らの全パワーをかけるように力を思い切り込めるとそのエネルギー注入の影響でボールが紫色に光りながら膨張を始める。
「くううっ……」
「ダーク!」
ウインクはどうにかダークランダーの攻撃を受け止めているとジョギがそんなウインクの心を折るために声を上げた。
「お前みたいな強欲な奴は最終的には何も得られないんだよ!どれだけ綺麗事を言ったって、そのやりたい事が叶わなかったら何も意味ないじゃないか!」
「確かに……こんなにもやりたい事があるなんて強欲だよ……それでも、私はやりたい事を沢山やりたいの!」
「チッ……」
だが、ウインクはジョギからの言葉を受けても怯むどころか自らの強い想いをぶつける形で押し返す。そして、同時に彼女の体から少しずつ青いオーラが現れ始めるとその輝きが強くなっていった。
「ッ、この輝きって!」
「ええ、間違い無いわ」
すると、ズキューンとキッスはウインクが起こすこの現象に見覚えがあるのか思わず声を上げる。そして、ウインクはその予感が間違ってない事を示すように更に自らの発する輝きを強く……眩くしていく。
「ッ、ダークランダー。早く叩き潰せ!」
「ダークラン!」
「ううっ……」
ジョギは今のままウインクを放置すれば危険だと直感。慌ててダークランダーに倒すように指示を出す。だが、それでも押し切るには至らない。それどころか、ウインク自身の輝きが強くなってるせいで逆に押し返されつつあった。
「今はうたちゃん達と沢山のキラキラを見つけたいの!1つの色だけじゃない!私だけの……なな色の旋律を奏でるために!」
それからウインクが覚悟を叫ぶととうとう彼女が放出していた青い輝きが限界点を超えるように天高く昇ると凄まじい衝撃が発生。それは、前にズキューンキッスが起こした物と全く同じ。……そこにはソウルビートアトラクトに似た形で青いオーラを纏ったキュアウインクがいた。
つまり、彼女もまた新たなる力に覚醒したのである。そして、その覚醒した力を初めて見たジョギは驚いたような顔を見せた。
「ば、馬鹿な。ソウルビートみたいな力をキュアウインクが使うだと!?ぐっ……ダークランダー!」
「ダーク……!!」
ダークランダーはこのままウインクを勢いづかせるわけには行かないと彼女を叩き潰そうとする。しかし、ウインクはそんなダークランダーの攻撃を受け止めるどころか逆に押し返し始める。そして、ウインクの光がバリアに更なる進化を与えた。
「ウインクバリア・レインボー!」
ウインクバリアがその掛け声と共に突如として虹色に変化。バリアその物も眩い光を纏う。それはウインクの目指す色……キラキラが1色だけで無く、沢山ある事から来る力であった。
「ななちゃん色の……旋律!」
「ウインク、やっちゃえ!」
アイドルやズキューンがウインクの見せる光を見て興奮しているとウインクは一気にダークランダーを押し切るべく力を込める。
「はぁああああ!」
「ダーク!」
「やあっ!」
ウインクは七色の力として進化させたウインクバリアの力でダークランダーを押し返すとその体にバリアを押しつける形でボールごと粉砕。ダークランダーは吹っ飛ばされてしまう。
「ラン!?ラン!?ラン!?ランダーッ!?」
「凄いですウインク!」
「ああ、これがウインクの本当の力。やりたい事が沢山ある蒼風さんの輝きか」
ダークランダーを単独で圧倒するウインク。それを受けて驚きと喜びを見せるプリキュア達。ただ、当然ながらジョギはこんな物を見せられて面白く無い。そのため、半ば怒ったようにダークランダーに声をかける。
「ぐ……だから何だって言うんだ!ダークランダー。早くキュアウインクを……」
「ダーク……ラ!?」
「ッ、何だ……ダークランダー。何を戦意喪失なんてしている!」
その瞬間、突如としてダークランダーは戦意を失ってしまう。その様子を見たジョギは混乱。慌てて声をかけるがまるで動こうとしない。まるで浄化してくれと言わんばかりだった。
「どうしたのかな?」
「もしかして、ダークランダーの素体にされたレイが……」
「うん、きっとそうだよ。……だから、私が助けに行かなくちゃ」
ウインクはそう言ってダークランダーの前にゆっくりと歩いて行く。ダークランダーにとって今のウインクは良い的だったが、中に囚われているレイの抵抗のおかげですんなりとダークランダーの前に行く。
「レイ君。今、助けるね」
「……クラ」
「一歩、踏み出す……Win-Winウインク!」
ウインクが声をかけるとダークランダーはレイの意思が残っているかのように頷く。ウインクは微笑むとそれに応えるかのように片目を閉じてウインクをしつつもう片方の瞳で彼を見つめ、同時に技を発動した。
「クライマックスは私。聴いてください!」
すると領域が展開されてウインクの頭にインカムが装着。その直後にダークランダーは椅子へと強制的に着席。勿論ダークランダーであるので本来なら抜け出される……のだが、そこはウインクが覚醒した事による拘束力強化とレイの意識による戦意喪失が効いていた。
そのままウインクはダークランダーに抵抗される事無く弾いていたピアノの椅子から立ち上がり、歌う。
♪決め歌 まばたきの五線譜♪
「きらめきへ踏み出そう〜♪受け取った勇気つないで♪まばたきの数だけ〜♪五線譜に焼きつけていく♪出会えたキミへと奏でたい♪いつまでも鳴り止まないメロディー〜♪……プリキュア!ウインククレッシェンド!」
ウインクは歌を歌い終えると覚醒した事によってダークランダーを浄化できるほどまでに進化した青の眩い光を解き放つ。そして、その強化版ウインククレッシェンドが降り注ぎ、命中したダークランダーは浄化されて行く。
「「キラッキラッタ〜」」
そのままダークランダーの姿がレイに戻ると今回は単独で浄化技を使ったという事でウインクがキラルンリボンを手にする事になるのだった。
また次回もお楽しみに。