キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
スラッシューが出撃し、サウンドプロダクションの社長であるハジメを素体にしてダークランダーを生み出す少し前。
喫茶グリッターではうたがいつものようにお店のお手伝いをする中、その2階エリアではなな、プリルン、メロロンが3人で話をしていた。
「嘘……影人が高熱を出しちゃったプリ!?」
「うん。今朝起きたら夢乃ちゃんが高熱を出してる影人君を見つけたらしくて」
「もう!だからあんなにも心配したのメロ!」
メロロンは昨日の嫌な予感が当たってしまったと後悔し、あの時無理にでも冷えた体を温めるように言っていたらこのような事にならなかったと考えてしまう。
「それなら今から皆でお見舞いに行くのはどうメロ?」
「それなんだけど。夢乃ちゃん曰く、前と一緒でただ高熱を出してるだけ休めばすぐに治るから来なくても大丈夫って」
「影人らしい対応といえば対応なのメロ。だけど……」
「そんなの余計に心配になっちゃうプリ!」
プリルンは不安で頭を抱えてしまう。ななも正直不安だったが。お見舞いに来なくて大丈夫って言われている以上、影人にも何か考えがあるかもしれないと感じていた。
ただ、このまま何もしないというのは友達としてやってはいけないと感じたななは2人にある事を提案する。
「……だからさ。私達で影人君の高熱が早く治るように果物とか持って行くのはどうかなって。直接会うのはダメでもそのくらいはしてあげたくて」
「確かにそれは名案なのメロ!」
「プリルンも賛成プリ!」
「ふふっ、じゃあ早速3人で……」
ななの提案に2人共賛成という事で早速お手伝い中のうたをグリッターに残して3人で行こうとした瞬間。うたが下から慌てた様子で上がってくると声をかけた。
「ななちゃん!プリルン!メロロン!お願い!誰か1人で良いからお店の方を手伝って欲しくて!」
「「「ええっ!?(プリ)(メロ)!?」」」
どうやら、また前の時と同じでタイミング悪くパスタを切らしてしまったらしく。更にうたの父親の和が財布を忘れてしまったという事で。
母親の音が届けに行ったのだが、これだとお店に残されるのがうたと1人だけでは心配な妹のはもりのみ。しかも今は丁度お店に人が沢山来る時間のため咲良家の姉妹だけでは捌ききれなさそうだった。
「わかったメロ。メロロンがここに残るのメロ」
「プリ!?じゃあプリルンも……」
するとメロロンがうたと一緒にグリッターの方を手伝う事を志願。そこでプリルンも手伝おうとするが、そこでななが呼び止める。
「プリルンは私と一緒に果物買いに行こ」
「で、でも……」
「私1人だけだと荷物とか持つの大変だし、プリルンは私の方を手伝ってほしいな」
「わかったプリ!プリルン、ななのお手伝いを頑張るプリ!」
プリルンがななにそう言われて手伝いをやる気になる中、メロロンは少しだけ安堵した顔を浮かべていた。何しろ、今の状況ではプリルンがお店を手伝って何かをやらかした際に対応できるだけの手が無い。
それならば、ななの方を手伝う事をお願いしてそちらの方をやってもらった方がお互いにとってプラスだろう。
「なな、ねえたまの事を受け持ってくれてありがとメロ」
「うん。あ、でもメロロン。今回は料理する事になっても料理に無いメニューとか作ったらダメだよ?」
「う……それは気をつけるのメロ」
それからメロロンはめろんの姿に変身すると早速下の階に降りてグリッターの手伝いをする事になり、プリルンの方はそれに合わせてぷりんに変身するとななと一緒に影人へと送るお見舞いの品を買いに行くのだった。
それからグリッターに訪れる客達をうた、めろん、はもりの3人がかりで捌く。だが、今回は妙に客足が多く中々落ち着かない。
「うた、こんなに多いのも珍しいんじゃ」
「うん、多分いつもより結構多めかも……」
「こんな時に切音さんがいてくれたら……」
「ワン!ワン!」
するとはもりが数ヶ月前から突如として来なくなってしまった天城切音の事を口にする。同時にきゅーたろうも寂しそうな声色を見せていた。
「ッ……はもりもきゅーちゃんも切音さんの事を……」
「今はあの人の事は気にしたらダメよ。仕事に集中しましょう」
うたははもり達がグリッターに来なくなってしまったスラッシューの人間としての姿である天城切音の事を心配しているのを見て彼女の現状を伝えるかどうか迷ってしまう。しかし、それをめろんが止めると今はスラッシューの事よりも目の前で行われている作業を優先すべきだと言う。
「うん……わかった」
うたもそれに賛成すると2人は早速作業を継続する事になる。同時刻、街中に移動したななとぷりんは果物屋を探して歩く。
「えっと確かこの辺に……」
「あ!なな、あそこあそこ!」
するとぷりんが見つける形で果物屋へと移動。それからぷりんは陳列されている果物を見つめて目をキラキラとさせる。それはまるで美味しそうな物を目の前にした子供のようだった。
「ゴクリ……なな、なんだかお腹が空いて……」
「もう、ぷりんってば。一つだけだからね?」
「やった!」
ななはまるで子供を世話する母親のような状態になっており、そんな彼女から一つだけとはいえ果物を買う事を言われたぷりんは嬉しそうな顔を見せる。
「それにしても影人君の好物って何だろ……。ぷりんは知ってる?」
「そういえば私もあんまりよくわかんないかも……」
「うーん……」
それから2人は影人の好みの果物がどれなのかわからずにどうすべきか迷ってしまう。
そんな時だった。突如としてななのスマホにレイからの電話がかかってきたのは。
「あれ、レイ君から。どうしたんだろ……」
「ブルっと来た!?」
「えっ!?」
同時にぷりんがダークランダーの気配を察知。ななが慌ててレイからの電話に出るとレイは慌てた様子で話しかけた。
『なな、うちの事務所のすぐ近くにダークランダーが出た』
「嘘、レイ君の事務所の近くに!?」
『ああ、一応すぐに社員の皆さんを避難させたけど多分今回ダークランダーにされたのは俺の父さんだ』
「ッ……」
ななはそれを聞いて今の状況がかなり危険である事を察する。それから彼女はレイに問いかけた。
「わかった。影人君は高熱だから寝ててもらうとして。うたちゃんやこころちゃんにも……」
『いや、可能ならこころにも悟られずに処理したい』
するとレイは生徒会選挙を間近に控えたこころも可能ならそちらに集中してもらいたいため、連絡しない事を指示。
「そっか、こころちゃんも大事な時期だもんね」
『そういう事だ。どうしても厳しそうなら連絡するけど、できればそうならない方が理想だ。任せても良いか?』
「うん。レイ君も無理しないでね」
これにより、ななとぷりんが移動を開始。同時にうたの方にも連絡が行くが、まだ客足が落ち着いてないのと出かけたうたの両親が帰ってきてないためにはもりを1人だけにするわけには行かず。うたとめろんは未だに動けなかった。
その頃、ダークランダーの出現のせいで空が暗くなったサウンドプロダクションの事務所付近ではスラッシューがプリキュアの到着を待ち侘びる。
「アイドルプリキュア、珍しく遅いわね」
「ダーク!」
「あと少し我慢しなさい。アイドルプリキュアが来れば好きなだけ暴れさせてあげるわ」
すると珍しくスラッシューがダークランダーが暴れるのを抑制しており、あくまでアイドルプリキュアを倒す事だけに拘っているらしい。ただ、ダークランダーは今にも暴れたい気持ちを我慢している状態なのか。
少し気を抜くか目を離せばすぐにでも自らの衝動で暴れ出してしまいそうだった。
「何故いつもすぐに来るくせに今日はこんなにも待たせる」
スラッシューとしては普段であればダークランダーを出した瞬間にチョッキリ団の出現を察知してはすぐに駆けつけるのに今回は妙に出てくるのが遅い事から少し苛立つ気持ちが出てしまう。
「スラッシュー!」
「そこまでだよ!」
「アイドルプリキュア、やっと来た……うん?」
ただ、流石に20分以上待たされる事は無く。15分ちょっとくらいでななとぷりんは到着。しかし、スラッシューとしてはアイドルプリキュア全員を相手するつもりだったために尚更困惑してしまう。
「たった2人だと?私を舐めているのか」
「え?えっと、そうじゃなくて……」
「皆色々と忙しいの!だから皆が来るまでは私達が相手になるから!」
スラッシューの怒りの込められた問いにななはどうにか誤魔化すための理由を考えるが、それを答える前にぷりんが正直に自分達の状況を話してしまう。
「えっ!?」
「なん、だと?……そういう話ならまぁ良い。ならば、今はお前達2人だけだが楽しませてもらうとしよう」
そう言ってスラッシューは2人だけ状態のアイドルプリキュアでも受け入れるとばかりに2人に来るように挑発。それを聞いて少し安心するとななとぷりんはそれぞれ変身アイテムを構える。
勿論ぷりんはめろんとの同時変身で無い都合上、変身バンクは人間態用かつぷりん単独変身のパターンである。
「「プリキュア!ライトアップ!」」
「キラキラ!ドレスチェンジ!」
「キラキラ!ショータイム!」
「「YEAH♪」」
「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」
「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」
2人は画面を分割やら使い分ける形でその姿をプリキュアへと変えていくと個人での名乗りを済ませる。
これにより、変身を完了したウインクとズキューン。だが、たった2人だけしかいないという事情もあってか。今回のチーム名の名乗りは無しという形で進むことに。
「ふふっ、2人きりでも戦う気持ちは認めるわ。でも、それで私や私の出したダークランダー相手に勝てるとでも?」
「ダークランダー!」
「2人だけでも皆が来るまで」
「耐え切ってみせるわ!」
そう言って2人はダークランダーに立ち向かおうとする……なのだが、2人は普段ならあるはずの何かが無いことに気がつく。
「……あれ、そういえばハートガーデンは?」
「ッ、そっか!キッスもソウルビートもいないからハートガーデンを出せない!?」
ウインクはこのタイミングでようやく普段なら出ているはずのバトルフィールド兼ダークランダー隔離のための結界であるハートガーデンが無いことに気がつく。
この結界が無いとダークランダーや戦いの様子はアイドルプリキュアやチョッキリ団以外の第三者に筒抜けになってしまう。そしてそれは人々を不安にさせ、闇を生むことに繋がるわけで。
その闇を取り込みダークランダーは進化する。そこからは連鎖的に闇が次々と広がる文字通りの負の連鎖。こうなると詰んでしまうのでダークランダーと戦う上でハートガーデンの展開というのは必須事項なのだ。
「どうしよう。ハートガーデンが無いと……」
「だけど、私達じゃハートガーデンは……」
このままでは2人が窮地に陥ってしまう……そんな時だった。そこに1人の少女が走ってくると声をかけた。
「いた……アイドルプリキュア!」
「ッ、あなたは……」
「夢乃ちゃん!?」
そこにいたのは高熱を出して寝込んでしまった影人の元にいたはずの彼の妹。黒霧夢乃の姿だった。
「あの子……何故ここに」
「ッ、また切音さんがダークランダーを……」
夢乃は自分の事をカガヤケナインダーとして闇に堕としたスラッシューに対してはどうしても思う所はあるが、まずは自分のやるべき事をやる事にした。
「夢乃ちゃん、何で」
「こんな所に来るなんて危ないよ!」
「うん、私もそう思う。だけど、お兄ちゃんに頼まれて!」
すると夢乃はその手にソウルビートに変身するために使うソウルリンクライトを取り出すとその手に変身のためのプリキュアリボンを持つ。
「まさか夢乃ちゃんがソウルビートに?」
「何だと!?」
その様子からズキューンやスラッシューは慌てたような顔つきを見せる。夢乃が影人の代わりにソウルビートに変身するなんて事ができるのかという話になるからだ。
「え、えっと。期待してもらってる所ごめんだけど。私じゃ変身はできないの。このリボンもライトもあくまでお兄ちゃんの物だし……」
ただ、夢乃はそんな2人に対して否定の言葉で返す。流石に他人の変身アイテムを使って変身なんて事はできないようで。
「それじゃあ、何をしにここに」
「これをこうするの!」
夢乃はプリキュアリボンをライトに装填するとライトの下側にあるダイヤルを回転。黒に合わせるとライトが黒く発光する。
「お願い、上手く行って!ハートガーデン!」
すると夢乃の体から彼女の持つキラキラが吸い上げられるとそれがソウルリンクライトの輝きを強くした。
どうやら、これが影人に頼まれた事らしい。実は、ここに来る前。夢乃はダークランダーの出現を暗い空を見た事で察知。彼女が焦ったようにソワソワし出した事から影人にも悟られてしまったらしく。
それでも賢明だったのは影人が自分で無理矢理出る事は無かった事だ。そのため影人はリボンとライトを夢乃に託すとライトの機能をリボンで起動し、夢乃の持つ常人を超えたキラキラをハートガーデン展開のエネルギーにする形で引き出したのである。
「ッ、これは……」
「ハートガーデンが出てきた!」
その直後、夢乃のキラキラを使う形でキッスの力であるハートガーデンを力業で生成する事に成功。これにより、プリキュアの2人とスラッシュー。ダークランダーがハートガーデンの中に入る事になるのだった。
「はぁ……はぁ……、後はお願いします……先輩方」
夢乃は無理矢理キラキラを吸われたせいで疲れたのか。足元が少しフラフラしていたが、どうにかハートガーデンを作る事に成功したためにすぐにその場から退避する事になる。
また次回もお楽しみに。