キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
スラッシューによって呼び出されたダークランダー。それに対抗するためにウインクとズキューンは変身。プリキュアとして2人は戦いを挑む事に。
そんな2人が直面したハートガーデンが無い問題は危険を察知した影人が送り出した夢乃がソウルリンクライトを使うという力業で彼女からキラキラを吸収。それを使って生み出した。
「なるほど、こんな解決方法があったなんてね。あの子のキラキラはそれ程までに強かったという事かしら」
スラッシューは借り物の力を使ったとはいえ、ハートガーデンを無理矢理作り出せるだけのキラキラを持つ夢乃の力に改めて彼女の力は脅威だと考える。
「ダークランダー!」
「ふふっ、そうね。あなたの事をずっと待たせて申し訳ないわ。……やりなさい。ダークランダー!」
するとスラッシューがダークランダーにずっと待たせてしまった事を謝ると早速攻撃を指示。
「ッ、来るよ!」
「ダークランダー!」
ダークランダーは巨大な人型であるからか、軽快な動きで跳び上がると一回転しつつ踵落としを繰り出す。それを2人は回避するとその凄まじい威力に地面にヒビが入ると衝撃波と共に抉れてしまう。
「ッ!?凄いパワー!?」
「でも、負けるわけには行かない!やぁああっ!」
「クラ!ンダ!」
ウインクがダークランダーのパワーを警戒するとズキューンが飛び出しつつ猛烈なラッシュでダークランダーへと連続攻撃を繰り出す。
「だだだだだだっ!」
「ダダダダダダダ!」
ズキューンとダークランダーの拳はほぼ同速なのか。お互いに一歩も退く事なく高速連打をぶつけ合う形で力は拮抗。その後、一旦距離を取るとズキューンは軽く息切れをしてしまう。
「はぁ、はぁ……はぁ……」
「ズキューン!?大丈夫?」
「うん……でも」
その直後、ダークランダーは元気そうな声で叫び声をあげる。しかも、先程ズキューンとの拳のラッシュの打ち合いをした上でだ。この様子だとダークランダーの方が単純な格闘能力は上になるのかもしれない。
「もしかして、いつものように武器が無い分今回のダークランダーは格闘戦に特化したタイプなのかも」
「ダークランダー、手を緩めなくても良いわ。今の内に各個撃破してしまいなさい!今回はソウルビートがいなさそうだし、尚更容赦なんてしなくて良いわ!」
スラッシューは容赦無くダークランダーに攻撃を指示。彼女は先程の話から他の4人の内、アイドル、キュンキュン、キッスは遅れて参加する可能性が高いというのと今回はソウルビートが来られない可能性を脳裏に浮かべていた。
理由として挙げられるのは先程夢乃がわざわざソウルビートの変身アイテムを持って現れたという事。
もし仮にソウルビートが来られるのならまず間違いなく彼が直接来るはずだ。それなのに変身アイテムだけを持ってきたという事はソウルビートに何かしらのアクシデントが起きて彼が来られないという事が言えるわけで。
「ッ、やっぱりソウルビートが来れないのはバレちゃってる」
「それでも……私達ならきっと!」
ズキューンはソウルビートが来ない事がわかっているためにどうしても気持ちの上で不安が浮かんでしまう。しかし、ウインクはそんなズキューンを鼓舞するように自分達なら大丈夫と言う形でフォロー。2人はダークランダーに向かって走り始める。
「「はぁああああっ!」」
「なるほどねぇ。飛び道具を使わずに真っ向勝負。それなら、こちらの物よ!」
「ダークラン!」
スラッシューとしてはソウルビートが来ないのがわかっている今はアイドルプリキュア相手に勝利できるまたと無い機会。ダークランダーも相手が2人だけなら自分の独壇場とばかりに走ってきたウインクやズキューンをあっさりと拳と蹴りで返り討ちにしてしまう。
「「うわぁああああ!?」」
2人がハートガーデン内部に叩きつけられるとそのタイミングでハートガーデンがチカチカと点滅を始めてしまう。
「ッ!?ハートガーデンが消えかけてる!?」
「そっか、ハートガーデンを展開してもそれを維持する事ができないから」
ハートガーデンは展開した後であればどんなに暴れても大丈夫な空間……とはなり得ない。ハートガーデンを維持する際にもそれなりに力を必要としてしまう。
普段はハートガーデンを展開した主であるキッスが制御役を担うのだが、今回は裏技で無理矢理作り出しただけのその場凌ぎでしか無い。つまり、ハートガーデンを作ってもそれを維持するための人員が不在なのである。
「あははっ!ダークランダー、もっと暴れてこの空側に負荷をかけなさい。ハートガーデンを破壊してしまえば世界を真っ暗闇に染めることもできるわ!」
「ダークランダー!」
「ッ!そんな事させない!ウインクバリア!」
ウインクはハートガーデンを破壊なんてされてしまったら折角夢乃が危険を承知でハートガーデンを張りに来てくれた意味が無くなるため、どうにか立ち上がるとバリアを展開してダークランダーの攻撃を受け止める。
「くうっ!?」
しかし、ダークランダーの一撃を受けてウインクは思わず顔を歪めてしまう。何しろダークランダーの拳はたった一撃でウインクバリアに亀裂を発生させるとバリアその物にヘコみを作る程には強力だったのである。
「な、なんてパワーなの!?」
「まさか、私と打ち合った時は手加減して……」
同時にズキューンは先程ダークランダーと高速で打ち合った際に自分は手加減されてしまっていたのだと思い至ってしまう。
既に2人の心に絶望感が浮かび始める中、ダークランダーは容赦無く2人へと接近しつつ拳を命中させようとする。
「くっ!?うわっ!?」
ダークランダーの攻撃を受け止めたせいですぐ近くにまで来てしまっていたウインクは慌ててダークランダーからの攻撃を回避。どうにかあの強烈な拳を受けないようにするので手一杯だった。
「ウインク!はあっ!」
そんなウインクを助けるために急いでズキューンがカバーに入ると強力な蹴りを放とうとする。するとダークランダーはズキューンのその動きを察知すると彼女の蹴りを回避した挙げ句捕まえてしまう。
「しまっ!?」
「ダーク……ラン!ラン!ラン!」
そのままズキューンはダークランダーに振り回されると何度も何度も地面に叩きつけられてしまう。
「うわぁああああああ!?うぐあっ!?きゃあああ!?ああああ!?」
「ズキューン!!」
ズキューンの悲痛な叫びにウインクもまた彼女を助けようと駆け出す。するとスラッシューはその様子に笑みを浮かべた。
「ふふっ、片方を窮地に落とせばそうやって慌てて助けると思ったわ。ダークランダー!」
「ダークランダー!」
その瞬間、ダークランダーは振り回したズキューンをそのままハンマー投げをするような形でウインクに向かって投げつけてしまう。勿論急にこんな事をされれば2人揃って対応できないわけで。
「ッ!?」
「「うわぁああああ!?」」
ウインクとズキューンは2人纏めて吹き飛ばされると近くにあったキノコを突き破り、地面に激突。その痛みは凄まじく、2人揃って動けないダメージを負ってしまう。
「あ……ああっ」
「う、くうっ……」
痛々しい姿で転がってしまう2人にスラッシューは満足したように2人を見下す。
「あはははっ!良い気味ねぇ、アイドルプリキュア。あなた達は調子に乗った。乗りすぎてしまったのよ。大人しく闇に呑まれていればこんな痛くて辛い想いなんてしなくて良かったのにねぇ」
スラッシューはそれから2人が痛みで動けないのを確認してからダークランダーの方を見やると早速指示を下す。
「さ、ダークランダー。あなたが暴れるステージはここでは無いわ。こんな場所壊して外に出るわよ」
「ダークランダー!」
するとスラッシューの指示を受けたダークランダーはまるでハートガーデンその物にダメージを与えるかのように地面や空間内に生えているキノコ等を破壊しつつ打撃による衝撃を空間内に与えていく。そしてダークランダーがそもそも強いのもあってハートガーデンの点滅は激しくなり、どんどん現実空間が見えるようになってしまう。
「ラン!ラン!ランダーッ!」
「ううっ……このままじゃ……」
2人はどうにか立ち上がってダークランダーを止めようとするが、今回のダークランダーはハジメが素体になっている事もあって一撃一撃がかなり重い。
しかもそんなダークランダーからの攻撃をまともに受けてしまった影響で2人共体へのダメージが酷く。2人共体に走る鈍い痛みに耐えるので手一杯だった。
「クラ!クラ!クラ!」
そうこうしている間にも空間が歪み、現実空間が見えてしまうとあと少しでハートガーデンが壊されてしまう所に来てしまう。
「良いわよダークランダー。そのまま壊してしまいなさい!」
「ダークランダー!」
「私達で止めないと……ッ……ズキューンバズー……」
ズキューンはもうこうなったら痛む体を無茶して動かし、一か八かズキューンバズーカーを放とうとする。そんな時だった。
「「プリキュア!ライトアップ!」」
「ッ、何!?」
突如として変身のための掛け声が聞こえてくるとその声の主であるうたがアイドルハートブローチ、めろんがキラキラショータイムマイクを持って変身を開始する。
そのまま2人はプリキュアリボンをそれぞれのアイテムに装填。そしてアイテムを三回タッチしていく。
「キラキラ!ドレスチェンジ!」
「キラキラ!ショータイム!」
「「YEAH♪」」
それから2人は自分達の掛け声を言うと変身を開始。その姿をプリキュアへと変化させていった。
そのまま変身を完了させた2人の内、キッスが化粧コンパクトでリップを塗って投げキッスしつつ技を使う。
「チュッ!キッスショック!」
キッスが放った攻撃はダークランダーへと命中するとその体に凄まじい電撃を流す。
「ンダァアアッ!?」
「テラちゃん!」
ダークランダーが弱った所でアイドルはすかさず跳び上がると手にテラから送ってもらったプリキュアアイドルハートリボンを握り、その姿を変化。
「アイドルハートリボンスタイル!」
アイドルはいきなり強化形態であるアイドルハートリボンスタイルを解禁。全力でダークランダーを殴る。
「はぁあああああっ!」
「クラァッ!?」
ダークランダーはそれを受けるとダメージで吹っ飛ばされて地面に激突。その隙にキッスは消えかけてしまっていた空間の維持のために投げキッスをしてこの空間の制御権を得る。
「お願い、チュッ!」
「チュ〜!」
これにより、ハートガーデンは完全に消えてしまう前に元の隔離空間としての役割を取り戻す。
「これで4人か」
スラッシューは遅れていたプリキュアが2人到着した事に顔を顰めると後から到着した2人は名前を名乗る。
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」
「アイドル!キッス!」
「待たせちゃってごめん!」
「お店はアイドルの両親とタナカーンに任せてきたわ」
どうやら、グリッターの方はつい先程買い物に向かっていた両親と応援として呼んでいたタナカーンに引き継ぐ事ができたらしく。これでどうにか今戦えるフルメンバーが揃う事になった。
「キュアアイドル……ッ!」
スラッシューは前の時と同様にアイドルに対しては余計に強い感情を抱いてしまっており、苛立ったように唇を噛み締める。
「スラッシュー、どうしてもダメなの?」
「ええそうよ。あなた達が闇を受け入れて世界が真っ暗闇に染まらない限り……私はあなた達の前に何度でも立ち塞がるわ」
「ッ……だったら、私達もキラッキランランなあなたを取り戻すまで……何度でも助けに行く!」
アイドルもスラッシューも自分達の気持ちを通すには戦うしか無いとわかっていた。そのため、2人はこれ以上の会話は不要とばかりにそれぞれが臨戦態勢を取る。
「ハジメさん、あなたも大切な息子さんが心配して待ってくれてますよ。だから、あなたのキラキラを絶対に取り戻します!」
「お姉様、ウインク。2人もまだ戦える?」
「勿論、まだまだやれるよ!」
「うん。こんな所で音を上げてなんかいられない!」
ウインクとズキューンもダメージによる痛みで顔を歪めてこそいたが、それでもここに来てくれたアイドルとキッスのためにもまだ戦える意思示す。
「やりなさい、ダークランダー!」
「ダークランダー!」
するとスラッシューの指示と共にダークランダーは動き出すとアイドルプリキュアを倒すために向かってくるのだった。
同時刻、黒霧家では影人の頼みでキッスのハートガーデンが展開されるまでの間の繋ぎのために向かっていた夢乃が帰宅して影人の元にライトとリボンを返しに来た。
「夢乃……ごめん」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。私だってずっとお兄ちゃん達が戦うのをただ見てるだけしかできないし、このくらいなら手伝えるから」
影人の熱はまだ下がらないようであり、恐らく今回の戦いに参加するのは不可能といえるだろう。
「はぁ……はぁ……。皆、こんな時に行けなくて……くっ」
「もう、お兄ちゃんは無茶したらダメ。安静にしてて」
「ああ……」
影人は高熱で辛そうな顔を見せると夢乃は少しでもそんな影人に寄り添おうと手をそっと握る。同時に影人の意識は少しずつ落ちていくとまた眠りにつくのだった。
また次回もお楽しみに。