キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
響カイトのソロでの全国ツアーライブ。その最終日にライブを観に来た影人達。しかし、そこにジョギが襲来すると彼は圧倒的な力を持つダークランダーを使役してプリキュアを次々とダウンさせてしまう。
戦いの始まりから僅かな時間でプリキュアは傷だらけとなり倒れるとダークランダーの視線は近くにいてハートガーデンに巻き込まれたカイトの方を向いた。
「ダーク……」
「ッ……」
カイトはアイドルプリキュアを圧倒するダークランダーに睨まれて一瞬たじろいでしまう。そして、当然ダークランダーの指揮官であるジョギは邪魔なプリキュア達がダウンしているこの瞬間を見逃さない。
「ダークランダー。邪魔者は消えた。やれ!」
「ダークランダー!」
ダークランダーはジョギからの指示を受けると先程ソウルビートを絡め取ったように手にしたタオルをカイトへと伸ばす。そしてプリキュアであるなら兎も角、ただの一般人であるカイトがこの攻撃に反応する事なんてできない。
そのため、ダークランダーから伸ばされたタオルがグルグルと巻きつく形でカイトは囚われてしまう。
「ぐうっ!?ああっ……」
「カイトさん!?」
アイドルは囚われてしまったカイトを助けるために焦って動いてしまう。それを見たソウルビートは慌てて声を上げた。
「待て、アイドル……下手に動いても」
「ダークランダー!」
しかし、カイトを助ける事で頭がいっぱいのアイドルはソウルビートからのストップが聞こえておらず。ダークランダーへと突撃してしまう。対してダークランダーは冷静にタオルで捕まえていたカイトを自身の元に引き寄せると自身の手でガッチリと確保。
「ッ……」
「ダァク、ランダー!」
すかさずダークランダーはカイトを助けに走るアイドルを排除するべく団扇で突風発生させる。ウインクバリアさえも粉砕する程の威力がある団扇からの突風によってアイドルはあっさりと吹き飛ばされてしまう。
「うわぁあああ!?」
「くっ……」
そのまま宙を舞ったアイドルはソウルビート以外の他の4人と同じ場所に飛ばされて叩きつけられると同時にソウルビートはこれ以上彼女達の方にダメージが入るのは危険だと考えて立ち上がる。
それを見たジョギはダークランダーにアイドル達を無視してソウルビートを攻撃するように指示。
「ダークランダー、先にソウルビートをやれ」
「ダークランダー!」
ダークランダーは手にした団扇でまた風を起こそうとする。ソウルビートはその動作よりも早く横方向に走るとダークランダーは攻撃のためのモーションを一時中断してしまう。
「今だ!」
ソウルビートはこのダークランダーの攻撃が止まった一瞬の隙に一気に距離を詰めるとダークランダーのすぐ近くにまで肉薄する。
「これで!」
「ふふっ、甘いな」
「クラ!」
ソウルビートがダークランダーへの攻撃態勢に入った瞬間。突如として右腕で握るように捕まえていたカイトをソウルビートの目の前に突き出す。
「ッ!?」
ソウルビートは人質を盾にするというダークランダーの手口に慌てて攻撃をキャンセルすると体を捻りつつダークランダーの右側を通り抜ける形でどうにか回避。地面に降り立ってからすぐに距離を取った。
「ふふっ、流石の君でも人質がいたらどうしようもできないようだね?」
「ぐ……」
ソウルビートはカイトを盾にされた際の対策法までは考えておらず。しかもこのせいでダークランダーに対して飛び道具を使うのも意識的にセーブせざるを得なくなった。
「ジョギ、お前。カイトさんの事を何だと思ってるんだ!」
「あははっ!さぁね?少なくとも君へと個人的に言う必要は無いかな!」
「ダークランダー!」
するとダークランダーは下手に手を出せなくなったソウルビートへと団扇の縁に生成した黒いエネルギーの斬撃波を放つ。
「ッ!?うわぁああああ!?」
「そんな、ソウルビート……」
ソウルビートはダークランダーからの攻撃をまともに受けてしまったせいで再び倒れてしまう。そして、ダークランダーは1番の厄介者であるソウルビートを倒したと考えたのか。次は一旦スルーしていたアイドル以外の4人へとターゲットを絞る。
「ダーク……ランランラン!」
「私が止める!ウインクバリア!」
ダークランダーはカイトを右手で握ったまま、左手で手にした団扇を仰ぐ形で動かすと凄まじい風がプリキュアへと迫っていく。プリキュア達はこれに対して何もしなければこのままではやられてしまうため、ウインクがバリアを使って守りを固める。
「クラ!クラ!クラ!」
「くうっ……なんて……パワーなの」
ウインクは必死に踏ん張る形で風の風圧を抑え込むが、そのパワーの前に押されて少しずつ後ろに下がってしまっていた。更にこの突風の中には斬撃波のような物も混じっており、それがウインクバリアの耐久値をガリガリと削っていく。
「はははははっ!無様だね!」
「ッ……」
ジョギはプリキュア達が押され、更にカイトも自分が人質にされたせいでプリキュアを追い詰める一員になっている事実に顔を曇らせているのを見ると高笑いを上げる。
そしてジョギは昂った気持ちのまま、自らが被っていたフードを外すとこのタイミングで自分がカイトとすれ違い別れをした男……燈夜カズマである事を明かした。
「よぉ、響カイト」
「カズマ……ッ!?」
カイトはようやく度々会っていたジョギがかつての親友であるカズマであった事に困惑したような様子を見せ、同時にそのカイトの顔を更に歪めさせるようにダークランダーが握ったカイトの体を更に強く握る事で締め付ける。
「カイトさん……」
そして、苦しみと動揺を一挙に味わうカイトを見てアイドルは彼を救いたいという想いでどうにか立ちあがろうとする。
「ふふっ。苦しんでるねぇ、カイトもキュアアイドルも。……それに、そろそろそのバリアも限界でしょ?」
ジョギがそう言うとダークランダーが攻撃を続けていたウインクバリアの耐久値がとうとう限界値に近づいているのか、バリアのひび割れが大きくなる。そこにダメ押しとばかりにダークランダーが仰ぐ速度とパワーを上げるととうとうウインクバリアが粉砕されてしまう。
「ダダダダダダ!」
「く……ううっ……きゃあああ!?」
ウインクはバリアが壊れてしまう際に生じた風圧や斬撃波を体中に受けてしまうとその痛みを味わいながら吹き飛ばされ、その吹っ飛ぶ直線上のキュンキュンを巻き込んでしまう。
「うえっ!?ふぶっ!」
ただ、そのおかげでキュンキュンがウインクを受け止める事には成功。落下時のダメージは最小限で済んだ。
「痛たたっ……ッ!?ウインク!しっかりしてください!ウインク!」
しかし、吹っ飛ばされた際に受けたダメージが大きいのか……。ウインクは変身解除こそしていないものの、気を失ってしまう。その証拠にキュンキュンの慌てたような声での呼びかけに応えることができていなかった。
「はぁあああっ!」
「ダーク……ランダー!」
するとウインクがやられてしまった事とカイトを苦しませているジョギやダークランダーへの怒りが込もってしまったのか。アイドルが何の考えも無しにダークランダーへと突っ込むとそれを見たダークランダーは向かってきたアイドルに対してカウンターをする形で蹴り上げる。
「きゃあああああ!?」
「アイドル!?だったら私が!」
アイドルが吹き飛ばされるのを目の当たりにしたキュンキュンは他の仲間がやられているのに自分だけずっとダウンしているわけにはいかないと焦り、ブローチをタッチ。ただ、ソウルビートは自分達が負の連鎖に嵌まりつつあると考えて落ち着くように呼びかける。
「ッ、皆一旦落ち着け!このままじゃ……」
「キュンキュンレーザー!」
しかし、キュンキュンはソウルビートの静止を振り切るとダークランダーを狙う目的でキュンキュンレーザーを放つ。ソウルビートはそれを見てまたカイトを盾にされた際にどうするべきか考えた。
「ふふっ、キュンキュンのその技ならわざわざカイトを盾にしなくても良いよ」
「えっ?」
その瞬間、ダークランダーは先程のソウルビート相手にやったように捕まえたカイトを人質として盾にするまでも無いとばかりに多数のレーザーが収束される場所を見切りつつ移動。
その地点にレーザーが集まったタイミングを狙って手にした団扇を使用してレーザーを正面から弾き返してしまう。
「な!?そんな……ッ!」
キュンキュンは弾かれたレーザーの雨に驚く中、咄嗟に近くで倒れているウインクを庇って被弾。その体に激痛が走ってしまう。
「うわぁああああっ!?」
「キュンキュン!!」
「お姉様、こうなったら私達で!」
「うん!」
こうなってしまうと仲間がダークランダーにやられている姿を前にして自分が状況を打開しないといけないという焦りの心理がプリキュア達の中に広がる。そしてその心理が芽生えてしまうとチームプレイよりも個人技に目が行きがちとなり結果的にダークランダー相手に各個撃破されやすくなってしまうのだ。
「ダメだ……ズキューン、キッス!待てって!」
「「はぁあああっ!」」
ソウルビートはどうにかバラバラで無謀な攻撃を仕掛けようとする他のメンバーを止めようとするが、焦っているプリキュア達の耳にその声は届かない。
ズキューンとキッスはダークランダーの後ろに回り込むと2人で同時に跳び上がりつつダークランダーへとダブルキックを放とうとする。
「「はああっ!」」
「あーあ、ソウルビートの声がちゃんと聴けていればなぁ」
ジョギもプリキュア達が焦りでどんどんバラバラになるのを見ながら嘆くように話すと同時にダークランダーは後ろ側からキックを仕掛けようとしたズキューンキッスの一撃を自らその場でジャンプする事で回避してしまう。
「「えっ!?」」
「クソッ!ソウルビートアトラクト!ウインクの力、ソウルビートバリア!」
ソウルビートは攻撃を回避されたズキューンとキッスのカバーをするために瞬間的にソウルビートアトラクトを発動。キックが回避されてしまったズキューンやキッスとダークランダーの間に割り込む形で入るとソウルビートアトラクトを継続しつつバリアを展開。
「ダークランダー!」
「ッ……ぐぁあああっ!?」
「「うわぁあああ!?」」
しかし、ダークランダーからの攻撃はバリアこそ突破できなかったものの凄まじく。ソウルビートやズキューン、キッスをバリアごと吹き飛ばす形で地上に叩きつけさせてしまう。
「ランダ?クラ」
するとダークランダーは今の一撃で手にしていた団扇が破れてしまったのか。破れた団扇を少しだけ見てからすぐにポイ捨てしてしまう。
「ふふっ、中々良い眺めだね。カイトは囚われて、それを助けるために戦っていたプリキュア達は纏めて返り討ち。ここまで上手く行くのは初めてだよ」
ジョギとしては今までずっとプリキュアのせいで煮湯を飲まされ続けてきたというのもあって今回のこの状況というのは彼がずっと待ち望んでいた物であった。
「さーて。コイツらをここからどう料理してやろうかな」
「カズマ!何でこんな事を!」
するとダークランダーに囚われたカイトがプリキュア達が傷つき、倒れて痛々しい姿を晒しているのを見てジョギへと抗議の声を上げる。
それを聞いたジョギは苛立ったように歯軋りをするとカイトへと恨みの込められた視線を向けた。
「くっ。……お前なんかにわかるはずがない」
ジョギはそう言いながら出来れば思い出したくない過去の事を考える。それは、カイトと道を違えた後にジョギことカズマは先に行ったカイトに追いつくために何度も何度もオーディションに挑戦した事であった。
「進もうとしたって進めやしない。光なんて無い世界にいた、俺の気持ちが……お前にわかるか?」
だが、ジョギ……かつてカズマとして必死に合格しようと努力し続けた事を思い出す。だが、その度に帰ってくる事務所やオーディションを行った審査員からの結果は不合格ばかり。
最初の方こそ自分にもできる。自分ならやれると思って受けていたものの……それはいつしか、どんどんレジェンドアイドルとして頭角を表し始めたカイトへの嫉妬や怒りに変わっていった。
この世界は自分を受け入れてくれない。……そしてそれは、自分の存在を否定されているのと同じだった。
「そんな時だ。俺の闇を見込んだダークイーネ様が俺に力を与えてくれた」
カズマは街中でカイトが活躍する様を見せつけられる度に彼への負の感情を高め、とうとうそれはダークイーネがわざわざ彼の事を直接仲間に引き入れる程になった。
「光なんて、輝きなんて、俺にはもう必要ない。この世界にも……。だから真っ暗闇にして、終わらせてやるんだよ!!」
「ダークランダー!」
それはまるでスラッシューと同じ。ジョギもまた、世界に受け入れられなかった側の人間であるのだ。そして、そんな彼の気持ちを示すかのようにダークランダーは地面を殴ると凄まじい衝撃波が周囲を駆け抜ける。
「「「「「「うわぁああああ!?」」」」」」
そして、その衝撃波に巻き込まれた6人はダメージによる痛みのせいで回避する事すらできずに宙を舞ってしまくのだった。
また次回もお楽しみに。