キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ダークランダーに圧倒され、既に深刻なダメージを受けてしまったプリキュアの6人。カイトも動揺の中でジョギがかつての親友であるカズマだと知る事になる。
カイトはジョギの中にあるカズマの心を取り戻そうとするものの……そのカズマは1人でどんどん先に進んでしまうカイトの姿を見る度に嫉妬や怒りを募らせるようになってしまう。
そんな彼の怒りを示すようにダークランダーはカイトを捕まえたまま地面を殴るとその衝撃波がプリキュアを襲い、彼女達は宙を舞ってしまった。
「あはははっ!アイドルプリキュア、もうお前達にこの俺の邪魔なんてさせない」
ジョギは宙を舞ったプリキュア達が次々と地面に叩きつけられるのを見届けながらカイトへと嘲笑うように話しかける。
「ねぇカイト。レジェンドアイドルって楽しかった?俺は見ててウザかったよ!」
「ッ……」
ジョギはここぞとばかりに自分が失敗し、挫折している間に先に先に進んでいたカイトへと不満や怒りをぶつけていく。その瞬間、銀色に輝くオーラを纏ったソウルビートがジョギへと肉薄していた。
「お前、良い加減にしろよ!」
「ッ!?」
「だあっ!」
ソウルビートは自身の身体能力をブーストするソウルビートアトラクトを発動状態でジョギへと殴りかかるとジョギはそれを腕で防御して受け止める。
「お前……」
「カイトさんに先に進むように言ったのはお前自身だろ……カイトさんの背中を押すだけ押しておいて自分が上手く行かなかったら逆恨み?ふざけんな!!」
ソウルビートは珍しくジョギへと怒りをぶつけており、それだけ先程のカイトへの侮辱行為が許せなかったのだ。
「はっ、年上に対する礼儀がなってねーな?お仲間がいなかったら俺と同じような末路しか辿れなかった奴が……上から目線で説教するんじゃねぇ!」
ジョギはソウルビートを押し返すと彼は一旦下がってからもう一度殴りかかろうとする。
しかし、そのタイミングでダークランダーがカイトを人質にする形でソウルビートの前に立ち塞がった。
「ッ!?お前また!」
「あははっ!お生憎様、俺は生粋の悪者だからね。こういう卑怯な手を取るのに躊躇とかはしてあげないよ?」
「ダークランダー!」
ソウルビートはカイトを人質として盾に使われてはどうする事もできない。そこにダークランダーが手にしたタオルによる鞭攻撃がソウルビートへと直撃する。
「がはあっ!?」
そのままソウルビートは思い切り吹き飛ばされてしまうと近くにあったキノコに叩きつけられてしまう。
「ソウル……ビート」
「ぐ……うう……」
キュンキュンが大きなダメージに倒れたまま動けなくなってしまうソウルビートに弱々しく声をかける中、彼もまたあまりのダメージを前に顔を歪めてしまう。そして、ジョギはそんなソウルビートを見て笑みを浮かべていた。
「ふふっ、この俺に逆らって調子に乗るからそうなるんだよ。所詮、誰かの力無しじゃ何もできなかった程度の存在のくせに」
「ッ……ソウルビートを馬鹿にしないで……」
「ソウルビートは、あなたなんかよりよっぽど強いんですよ」
ジョギが自分に反抗的な態度を取ったソウルビートを人質込みとはいえ完封している事に上機嫌になると彼を煽りまくる。勿論それにキュンキュンやキッスが反応するが、彼女達もダメージの大きさからかまともに動く事さえできなかった。
そんな時、アイドルが痛みに顔を歪めながらもジョギへとカイトの想いを伝えようとする。
「カズマさん……カイトさんは、あなたに届けたくて歌っていたんですよ!」
「ウザっ。わざわざ俺のために歌ってたぁ?それは今までご苦労様だったね。ま、俺から言わせたらそんな事されても不快なだけだったけど」
しかし、ジョギは自分のために歌われても鬱陶しい以外の何物でも無いと言わんばかりに嫌悪感を示す。
「ずっと待ってたんだぞ……俺はカズマの事、ずっと想ってたんだぞ!」
「はっ、そりゃあどうも。ははっ、おかし」
ジョギはカイトからの言葉に対し、それを嘲笑うような形で聴く相手が不快感を感じるような言い方で話す。
「何がおかしいの!」
「アイドルプリキュアに守ってもらいながら、来るはずのない親友を待ってるとか笑えるでしょ?馬鹿みたい!」
ジョギはそう言いながらカイトが今までやってきた事を全て否定すると言わんばかりの言葉を投げかけ続ける。その言葉を聞いたアイドルはずっと大切な親友を待ち続けたカイトの想いを踏み躙ろうとするジョギへと向かっていく。
「何もおかしくなんかない!カイトさんの温ったかくて大切な想いを……馬鹿にしないで!」
その瞬間、アイドルは飛び出すとブローチをタッチ。すかさず自らの技を使う。
「アイドルグータッチ!」
「はっ、今更君のカイトへのちっぽけな想い程度でどうにかなると思うな!」
「ダークランダー!」
アイドルとダークランダーの拳はぶつかり合うと火花を散らす。ただ、やはり単純なパワーの面ではダークランダーに分がある。そのため、アイドルは少しずつ後ろに押し戻されつつあった。
「く……ううっ……」
「ダーク」
「そのままやられちゃいなよ!」
「ううん……想いは、絶対に届くんだぁぁああっ!」
アイドルの叫びに呼応する形でアイドルの目の前にテラから送られてきたアイドルハートリボンが光を放つとその力がアイドルの力の質を更に強化する。
「アイドルハート……リボンスタイルッ!!」
「クラ!?」
「アイドル……グータッチ!!」
アイドルは強化形態であるアイドルハートリボンスタイルを解放した上で再度ブローチの力を引き出すと二度目のグータッチを発動。それによって上乗せされた力がダークランダーを見事に吹き飛ばした。
「ンダァアアッ!?」
「うわっ!?」
それと同時にカイトはようやくダークランダーの拘束から逃れると地面に放り出されそうになってしまう。
それを見たソウルビートはどうにかダメージに痛む体を無理に動かすと能力強化を発動。
「ソウルビートアトラクト!」
ソウルビートは高速で動くと落下して地面に叩きつけられそうなカイトを受け止める事に成功。ただ、その代償も大きく。ソウルビートの肉体は無茶なソウルビートアトラクトの連続使用に悲鳴を上げていた。
「カイトさん……大丈夫ですか?」
「ッ!キュアソウルビート。助けてくれてありがとう」
「そのくらい当たり前ですよ……ッ」
ソウルビートが過負荷に苦しむ様子はカイトも何となく察する事になり、彼を心配する。対してソウルビートはカイトにあまり心配をかけさせないように逆に話しかけた。
「ソウルビート、まさか……」
「まだ通常状態なら何とか動けはします……。それよりもカイトさんはカズマさんに想いをぶつけてください。まだ今ならきっと間に合うはずです」
「ッ……うん」
ソウルビートはそのままカイトの近くにいる形でダークランダーからカイトへの手出しを防ぐと共にカイトには自分の気持ちをカズマことジョギに言うように促した。
「カイトさん、あなたの想いを!」
「キュアアイドル……ッ!」
そして、アイドルも同じくカイトへと視線を向ける。2人の視線を受けてカイトは早速ジョギへと声をかけた。
「ごめん、カズマ!」
「……同情?それなら結構」
「違う!」
ジョギはカイトからの言葉を自分への同情と見做して無視しようとした。しかし、カイトが伝えたいのはジョギへの同情の想いではない。
「あの時、お前の手を離してごめん……ずっと後悔してた」
それは、カイトとジョギことカズマの道が光と影という形で別れてしまったあの日。カイトはカズマの手を最後まで握っていることができなかった。
そして、そのせいでカズマは闇に堕ちてジョギになってしまった。カイトはあの時の自分の失敗を今までずっと後悔していたのである。
「でも、今度は……絶対にお前の手を離さない!」
「ッ……!」
そう言いながらカイトは空中にいるジョギに向かって手を伸ばす。それを見たジョギは動揺したように目を見開くと彼はかつての光景を思い出した。それは海のすぐ近くの砂浜で2人で手を上に掲げつつ繋いだあの日の事である。
「カイト……ぐ!!」
その瞬間、ジョギの心に迷いが生まれてしまうと頭を抑える。だが、それでも闇の心の方がまだ強いのか声を荒げた。
「何を今更言ってるんだ……レジェンドアイドルとして活動している間、その後悔をずっと言わなかったくせに!」
「ダークランダー!」
すると、ジョギの迷いにダークランダーが応えるようにカイトを倒そうとする。それに対してダークランダーの前にソウルビートとアイドルが立っている状態で構えを取った。そんな時、2つの影がダークランダーに向かって走ってくる。
「「はぁあああっ!」」
「ウインク!キッス!」
「アレだけ時間があれば……」
「復帰できるわ!」
それは、先程まで倒れていたウインクとキッスだ。2人は先程までダメージで倒れてしまっていたものの、その時からそれなりに時間が経った事もあって体力も少しだけ回復して戦えるようになったのだ。
「「はあっ!」」
「クラァアア!?」
その瞬間、ウインクとキッスが息を合わせて2人同時の蹴り上げ攻撃を放つとダークランダーはその体を上方向に吹っ飛ばされる。
そして、ダークランダーの体が宙に浮いて対応がしづらいタイミングを狙って今度はキュンキュンとズキューンが迫る。
「「はぁあああっ!」」.
「ダァアアッ!?」
キュンキュンとズキューンによるダブルパンチが炸裂した瞬間、ダークランダーは凄まじい勢いで吹っ飛ばされながら撃墜。かなりのダメージが入っていた。
するとジョギはその様子を見ながらも、脳内に走る動揺をどうにか抑えつけるかのように、カイトからの声を振り切ってしまうように叫ぶ。
「ぐ……俺は、俺は……今更後戻りなんかできないんだよ!ダークランダー!」
「クラァッ!」
ダークランダーはそんなジョギに応えると手にしたタオルによる鞭攻撃をキッスに放つと命中させる。
「きゃあああっ!!ううっ!?」
「ッ!?キッス!」
キッスはダークランダーの一撃を喰らって吹き飛ばされてしまうとその勢いのまま近くのキノコの柄の部分に叩きつけられる形で激突。その衝撃と全身に走る激痛が彼女の意識を一瞬だが昏倒させてしまう。
ズキューンが慌てて倒れ込む彼女を支えるが、そのタイミングでこの空間その物に異変が起きた。
「ッ!?これは一体……」
「ハートガーデンの様子が……」
キッスが倒れた事による異変……それは、ハートガーデンがその力を維持できなくなってしまったのだ。そして、それを示すかのように空に闇の影響が広がるとその色が暗くなり始める。
「もしかして、ハートガーデンをコントロールしていたキッスがやられたから」
「だったら俺がコントロールを引き継げば……」
「そんな事、させると思ってるの?」
ソウルビートは唯一キッスの力を使えるためにどうにかハートガーデンが消え去るよりも早くコントロール権を得るためにソウルリンクライトのダイヤルを合わせようとする。しかし、そんな様子を当然ジョギやダークランダーが見逃すはずが無い。
「ダークラン!」
「がっ!?ぐぅうう……」
ダークランダーから伸ばされたタオルの鞭はソウルビートの体に絡みつくとそのまま強く締め上げる。そして、そのせいでソウルビートはハートガーデンのコントロールをする事ができなくなってしまう。
「あがああ……」
「ッ!ソウルビート!キュンキュンレーザー!」
「クラ!?」
そんなソウルビートを助けるためにキュンキュンがレーザーを放つとそれらがダークランダーに命中。どうにかソウルビートの解放だけには成功するものの、やはりその間にハートガーデンは限界を迎えてしまったのか。
空には青黒いエネルギーが集約していくとその空間が取り返しの付かないほどに不安定化してしまう。
「折角観客がいるのに、こんな所に閉じこもるのなんて勿体無いよ!」
同時刻、先程までプリキュアやダークランダーがいたはなみちスタジアムでは避難した人々の不安の高まりが頂点に達しつつあった。
「何が起こってるの!?」
「うっ!?」
そして、観客達の不安が高められた結果……その体から闇が出てしまう程に彼女達の心は不安定化。1人、また1人と闇に呑まれて意識を失ってしまう。
「これは……まさか……ぐうっ……」
また、この光景を見ていたレイもちょっとした不安な闇に包まれそうになると苦しさが胸の中に広がる。どうやら、少しでも負の感情が心の中にあるとそれを中心に闇が広がって人々の心を闇に染めてしまうらしい。
そして、その影響でスタジアムの会場にいた人々のほぼ全てが闇の力で心が覆われるとその場で倒れてしまう。
それは未だに記者席に残っていた貴島も例外では無い。彼女の視点だと突如として消えたはずのアイドルプリキュアや怪物が現れたような形となると目を見開く。
「えっ……どうなっているの?……あ、うぅ……」
「クソッ……なな、皆……済まない……」
とうとう一度怪物化させられて闇に対する多少の耐性があったレイや貴島も闇に呑まれて倒れてしまうとそのタイミングでハートガーデンは完全に解除。ジョギは両手を広げて空を見上げつつ声を上げた。
「流石カイトのファンは……良い真っ暗闇を出してくれるねぇ!」
次の瞬間、ハートガーデンの空だった場所が現実世界の空へと戻るとそこには青黒いエネルギーという形で会場にいた人間全ての闇が集約されており……その闇が一斉にダークランダーへと降り注ぐのだった。
また次回もお楽しみに。