キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ダークランダーの一撃がキッスに命中し、彼女が昏倒状態になってしまったがためにダークランダーがハートガーデンの外に出てきてしまう。更にハートガーデンその物も消失。同時にライブ会場に来ていた人々の闇を吸収してダークランダーもパワーアップしてしまった。
「ダァク……ラン!」
ダークランダーはカッティンダーとは違って姿こそ変化が無いものの、単純に体内に存在する闇の量が増えたからか。その体が一回りも二回りも大きくなってしまった。
加えて声色も先程までと比べて明らかに凶暴化しており、恐らくこの様子だと凶暴性や戦闘能力も格段に上がっているだろう。
「ッ……ヤバいな、このままじゃ人々の闇をドンドン吸って大きくなっていく。しかも、キラキラと違って闇は伝染しやすい。このままだと人々の不安が広まる程にダークランダーが格段に強くなってしまう」
ダークランダーがクラヤミンダー達と比べて優れている点。それは人々の闇を活動エネルギーにしている事だ。ダークランダーは人々の持つ闇から生まれ、成長する。
そしてその人間の闇自体はちょっとした不安や落ち込みで簡単に出てきてしまうわけで。ダークランダーが目の前にいるだけで人々は不安を覚え、それがダークランダーを成長させて更に他の人に不安を抱かせるという負の連鎖が完成してしまうのだ。
「それなら今倒すしかありません!」
「「はぁあああっ!」」
ウインクとキュンキュンはダークランダーの力が取り返しの付かないレベルにパワーアップする前に止めるしかないとばかりに飛び出すと攻撃を加える。
「ンダ!ンダ!」
「「うわぁっ!?」」
しかし、今のダークランダー相手にその程度の攻撃は通用しないとばかりに2人揃って呆気なく吹き飛ばされてしまう。そのまま2人は会場の建物に叩きつけられる形で激突。ズキューンが慌てた顔で声を上げた。
「キュンキュン!?ウインク!?」
「ぐ、クソッ……こうなったら俺がソウルビートアトラクトで」
ソウルビートはこれ以上ダークランダーをのさばらせないためにも切り札であるソウルビートアトラクトを使って倒そうとする。しかし、ズキューンが慌ててソウルビートを止めようとした。
「ッ、待って。それ以上その技を使ったらソウルビートの体が……」
「それでもやるしか……」
ソウルビートはズキューンが止めるのを張り切ってソウルビートアトラクトを発動させようとソウルリンクライトのリボン部分をタッチ。だが、ソウルビートの体にオーラが出てくるどころか、ソウルビートの体に電撃が流れる形でダメージを受けてしまう。
「ぐああああ!?」
「あははっ!とうとう君の体が悲鳴を上げたか。無理に力を解放した代償ってやつだね」
ソウルビートはソウルビートアトラクトを使いすぎたのとダークランダーからのダメージが蓄積したせいで技を使うどころか返って反動ダメージだけを受けてしまうという最悪の事態になってしまった。
「さ、もう楽にしてあげようか」
「ダァアアクランダー!」
ダークランダーは続けてアイドルに狙いを定めると闇を取り込んだ事で巨大化した拳をアイドルにぶつけようと振るう。それに対してアイドルはどうにか正面から受け止める。
ただ、アイドルハートリボンスタイルの状態でも五分五分くらいにしかなっておらず。このままではダークランダー内部の闇が増幅されて押し切られるのも時間の問題だった。
「く……ううっ」
「渋といね。でも、君のパワーアップにも限界がある。対してダークランダーは人々の闇を集め続ければ無限に進化し続けられるんだ。性能の差は明らかだと思うけど?」
「それでも絶対に……絶対に諦めるわけには……」
アイドルは自分でも何となくこのまま行けば押し切られて負けるのも時間の問題だと思っており、その証拠に少しずつ押されてしまう。それでも諦めずに踏ん張っているのはカイトを助けるという確固たる想いがあるからだ。
「止めろ!カズマ!」
「ふっ、今のお前に何ができる?プリキュアに頼らなければ、自分の体さえも守れないくせに!」
カイトはこれ以上ジョギが他人を傷つけないように叫ぶが、ジョギからしてみれば元々はカイトへの当てつけのつもりで始めた事であるためにわざわざ話を素直に聞く必要性すらない。そのため、戦えないカイトを嘲笑うのみだった。
「俺は……確かにアイドルプリキュアに守られなければお前と話す事すらできない。そんなのわかってる!でも……それでも俺は……」
カイトはジョギからの挑発に対して昨日のうたからの言葉を思い出す。そしてそれは、カイトが改めてジョギに声をかける力をくれた。
“……カイトさんは、どうしたいですか?”
「俺はカズマに、歌を届けたい!」
そして、カイトはようやく答えを出せた。前日の時点では濁すことしかできなかったその答えを、強く……ハッキリと。
「それが、カイトさんの本当の想い。……それなら、歌って!カイトさん!」
アイドルはダークランダーからの強烈な拳を受け止めた状態のまま、カイトの行動を後押しするような形で声をかける。そして、カイトはその言葉を受けると頷く。
すると、突如として照明機材が点灯するとカイトの体を照らし出す。同時に音響機材も動き出すと元々ライブで披露する予定だったカイトの歌、“キミからのEcho”の音源が流れ始める。
「な!?ば、馬鹿な……ここには誰も」
本来であれば、この時点で人々はダークランダーから避難している影響でスタッフも残っておらず。何ならダークランダーによって闇に侵されているはずだった。しかし、何故かこの時に音楽が始まっている事から何かしらの形で誰かが機材を操作しているのは間違いなさそうである。
「ッ、どういう事?」
「田中さん、姫野さんか……」
実はこの少し前。ダークランダーがこの会場に襲来した時点でレイが手を回す形でダークランダーの闇の侵食を受けにくいキラキランドの妖精である田中や姫野を呼び寄せていた。
勿論これはこの状況を想定したわけでは無く、大混乱に陥っていた観客の避難を少しでも円滑にするためにレイが呼んだのである。そして、彼らが結果的にダークランダーの特性による闇の吸収の影響を免れて音楽や照明を操作できたのだ。
「まさか、キラキランドの妖精を使ったか!?」
「ふふっ!」
「流石レイ君……頼りになる」
これにより、カイトがジョギ……いや、カズマに想いを伝える舞台は整った。後は歌で想いを伝えるだけである。
〜挿入歌 キミからのEcho〜
「永遠より長い〜♪瞬間分け合った♪笑い声を溶かしたような空♪」
「ッ!?何歌ってるんだよ!状況わかってるのか!?」
ジョギからしてみればカイトの行動は自殺行為にしか思えなかった。何しろ目の前にはアイドルが止めているとはいえ、カイトでは太刀打ちできないダークランダーがいる。つまり、アイドルがやられればその瞬間ターゲットにされかねない。
しかもプリキュア側も今動けるのはズキューンぐらい。他の4人はダメージのせいでまともに動けないのだ。そのため、ジョギの脳内は混乱を極めていた。
「投げっぱなしのオモイ♪返事はいまだumm〜♪」
「何だよ……この歌……」
ジョギはどうにか心を落ち着けようとするが、その度に脳内に響き渡るカイトの歌声はジョギの脳内を混乱させてしまう。
「聞こえないキミからのEcho♪」
ジョギは混乱のあまり、地上に降り立つと頭を押さえながらどうにかこの歌を振り払おうとする。そして、そんな様子を見てダークイーネはジョギへと語りかけた。
「そうだ、耳を貸す必要は無い」
「くっ……」
「物憂げなshine〜♪どこか少し〜気まずそうだね〜♪」
ジョギが苦しそうにする中で先程ダークランダーからの攻撃を受けていたウインク、キュンキュンが復帰。昏倒していたキッスもズキューンの傍で目を覚ます。そして、ソウルビートもどうにか立とうと踏ん張っていた。
「でも知ってるのさ〜♪あの雲の向こう♪いつかまた会えるその時まで〜♪」
「くっ……ぐううっ……」
カイトはそこまで歌った所でアイドルの方は限界に近づいており、このままでは突破される……そんな時。カイトは歌うのを一旦止めるとジョギの方を向きつつその熱い想いを口にする。
「俺はお前に、この想いを……絶対に伝える!今がその時だ、カズマ!!」
その瞬間、カイトの闇に囚われたカズマを助けたいという強い想いが彼の体に奇跡を起こした。つまり、彼のの体が光に包まれると同時にライトグリーンの空間をバックにその姿が変化を始めたのである。
まずは両手に青緑色のアクセントが入った灰色の手袋を装着。続けて髪色が緑から明るさを増した水色に近いライトグリーンへと変化。ピアスも金色となりつつ数が増加。左耳には大きなイヤーカフが展開する。
髪も後ろ髪の一部が翼のようなエフェクトと共に短髪から伸びると淡い緑色の羽によって後方で結われる形となる。同時に上半身が青緑色のラインが入った灰色のインナーに青緑のアクセントを施した白いジャケット姿。下半身が白を基調としたパンツ、青緑色の楕円型の石の装飾を施した白いブーツがある。
更に肩からはマントが展開。マントの上には透けたライトグリーンの布が重ねられる。この2つは青緑の楕円形の石が付いた金色の留め具によって前面で固定され、マントの裏地にはターコイズブルーへのグラデーション。裾には青緑の楕円形の飾りが2つ付属していた。
瞳の色は青緑へと変化し、瞳の下部分は黄緑へ。更に虹の光と共に額には緑色の石をあしらった飾りが出現。これ以外には腰部にベルト、左腕上腕部に金色のリングがある。
これにより、カイトは奇跡の力を纏う形でプリキュアへと変身。そのまま彼は空へと飛び上がるような動きを見せつつその名前を名乗る。
「キミと奏でる、ハートのキズナ!空の向こうへ、キュアコネクト!」
カイトが変身したプリキュア、キュアコネクトは青緑……というよりは厳密にはネイチャー色の背景をバックにしつつ、ネイチャー色の羽が舞い散るようなエフェクトと共に名乗った。
「「「「キュアコネクト!?」」」」
「カイトさんが……プリキュアに?」
「マジか……。多分これはコネクトのジョギを想う気持ちが起こした奇跡って所だな」
ソウルビートの想像はさておき、コネクトは自らの能力で空を飛ぶと宙に留まる。
「カズマ……今行くぞ!」
「なん……だと?カイトが……プリキュア?ふざけんなよ……ダークランダー!」
コネクトは空を飛行しつつジョギへと向かっていき、それに対してジョギはコネクトを叩き潰すようにダークランダーへと指示。するとコネクトはスラッシューと同じように歌いながらダークランダーに迫った。
「今日の片隅に響かせた僕の鼓動が〜♪」
「ッ、コネクトはスラッシューと同じ……歌いながら戦うタイプか」
コネクトが歌いながらのバトルスタイルを取るのにソウルビートが呟いているとジョギの指示を受けたダークランダーがすかさず彼を迎え撃とうとする。
「やわらかな追い風にかさなって〜♪キミの街までたどり着くように〜♪」
「ダークラン……ダー!」
「ねえ、今も頑張っているよ♪!」
ダークランダーから繰り出されたタオルの鞭に対し、コネクトは歌を維持しつつ力を込めるような歌い方をする事で蹴りに自身のパワーを強く反映。その一撃はタオルによる鞭を破壊しながら突き進んでいく。
「なっ!?」
「クラァ!?」
ダークランダーはコネクトの蹴りを受けるとジョギの真横を通過する形で吹っ飛ばされて会場の2階席〜3階席辺りにかけての場所に激突。その間もジョギへと迫っていった。
「ぽっかり空いたはずの二人の場所は〜♪相も変わらず特別なままで〜♪」
「ダークランダーをあんなにあっさりと……。だったら俺が潰す!」
ジョギは手に自身が秘めた闇の力を集約。強力なエネルギー砲として解き放つ。しかし、ジョギの顔の中にはどこか迷いのような物があった。当然コネクトはそれに気がつく。
「消えろぉおおっ!」
「まだ時を刻んでいるから〜自由においでよEcho〜♪」
その瞬間、コネクトは左腕を右から左へと横に薙ぐ形でキラキラマークを全部で9個生成。そしてそのキラキラマークは真ん中のネイチャーを囲むように上から時計回りでピンク、紫、白、銀、バイオレット、黒、青、赤のカラーリングであった。
そして、コネクトは歌を歌い終わるとすかさず技名を叫びながらジョギへと突撃していく。
「レジェンド・エコー!!」
すると中央のネイチャー色のキラキラマークは一つだけ巨大化しつつそれとコネクトが一体化。そんな彼の周囲に集まる形で他の8色のキラキラマークが合わさり、強力な流星のような姿となるとエネルギー砲とぶつかった。
「「はぁああああああっ!」」
コネクトとジョギ。互いの持つ光と闇を全力でぶつけ合い、その結果……ジョギの心に迷いがあった事も影響してコネクトの光がその闇を打ち破るとジョギへと光の奔流が命中。
「カズマ!!」
「ッ!?うわぁああああ!?」
その直後、ジョギの体に纏われていた闇の力はコネクトの持つレジェンドアイドルとしての輝きで浄化。彼の姿が元の燈夜カズマとしての物に戻ることになるのだった。
また次回もお楽しみに。