キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
カイトとカズマが仲直りし、2人の絆は元通りとなった。ただ、その際にダークイーネがその場にいたダークランダーを強化。プリキュア達はそれに立ち向かうと全員が覚醒状態になる事で対抗。無事に浄化すると壊されていた会場は元通りになった。
「何とかなったぁ……」
「ああ、ダークイーネはいつの間にかいなくなってるし。このダークランダーが倒されたら撤退するつもりだったのかな」
ダークイーネはダークランダーにアイドルプリキュアを始末させるつもりだったようだが、アイドルプリキュアが勝った以上はここに留まるつもりも無かったのか。いつの間にか姿を消していた。
「空も元通りになったわね」
「うん、後はライブがちゃんと再開してくれたら良いけど……」
ダークランダーやダークイーネがいなくなった事により、空が元の夕焼けへと戻ると同時に外で倒れていたダークランダーの素体の青年が起き上がる。
「僕、何してたんだろう。……ッ、そうだ!チケット!」
青年は最初の方は唖然としていたものの、自分はライブのためのチケットを見つけないといけないとばかりに慌てて鞄の中を探し始めた。そんな時、自身の足元に置いてあった鞄の一番上の方に無かったはずのライブのチケットを発見する。
「……ん?あ、あーっ!チケットあったぁーっ!」
結局青年は探し出せなかっただけでライブのチケットを持ってきており、それを手にして嬉しそうな声を上げた。
尚、彼は自分がダークランダーだった分その存在を見ておらず。恐怖に怯えてない分、実は彼が最も幸せ者なのかもしれない。
それはさておき、夕焼けが煌めく中で6人のプリキュア達はカイトとカズマの2人と共に話す事になった。
「さっきの力は何だったんだろう?」
「ふふっ。きっと、親友の想う強い気持ちがあなたをプリキュアにしたんだと思う」
カイトは先程の力であるキュアコネクトに何故自分が至ることができたのかが分からずに困惑。すると珍しく興奮したような声色でキッスが話しかけた。カイトはその話を聞いて考える。
「そっか……この前から度々見ていたけど、プリキュアって一体何者なんだ?アイドルなのに怪物と戦ってるなんて」
「「「「「……あっ」」」」」
カイトには前々からアイドルプリキュアが戦う姿を目撃されており、彼はアイドルプリキュアについては詳しく知らない。そのため、カイトはその事について疑問に思うとソウルビート以外の5人は慌てた顔つきになる。
「もう戦う所バッチリ見られてるし、何ならそれは蓮司さん助けた段階からずっとだし……誤魔化すのも無理だろ」
一方のソウルビートはカイトがプリキュアの事を隠すのを半ば諦めている所があった。何しろ、一度や二度くらいなら誤魔化しが効く所をカイトは明らかにそれ以上にアイドルプリキュアが戦う姿を見てしまっている。それこそ最早誤魔化しようが無い程にだ。
「プリキュアはえーっと……」
「キラキラーッて闇を照らす救世主だよ!」
結局、カイトに教えたのは必要最低限のみの情報に抑えた。今後、プリキュアとして一緒に戦うのなら兎も角……今回のカイトの変身自体がイレギュラーだったのか。変身解除した際にカイトの手元に変身のためのプリキュアリボンが残っておらず。
変身アイテムさえも介して無かったためにもう一度の変身が不可能だったのだ。なので、今はもうただの一般人に逆戻りしたわけである。
「なるほど、確かにアレは救世主みたいな力だったな」
「俺も救われた。ありがとうな、カイト」
それはさておき、カイトは今の説明でも十分に納得する事はできたのか。変に教えられた事以外を詮索してくるという事は無く。この辺りについてもカイトがレジェンドアイドルと呼ばれる所以の一つだと言える。
それはさておき、今度はカズマがアイドルプリキュアの6人に向けて今までの事を謝罪する事に。
「それと、君達には沢山迷惑をかけて悪かった。それに、それでも諦めずに救おうとしてくれてありがとう」
「ふふっ、どういたしまして!」
「本当ですよ。あなたの影響でどれだけの人が闇に堕ちかけたか」
するとソウルビートがカズマに対して少しキツめの話し方で声をかける。そのため、アイドルは慌ててフォローしようとした。
「ちょっ、ソウルビート。カズマさんはダークイーネに操られていただけで」
「……どんな理由があったとしてもカズマさんがやった事は消えないよ。だけど、今はもうただの一般人です。もし、カズマさんがジョギとして今までやってきた事を悔いているのなら……これからは他の人々にキラキラを届けられる存在になってください」
「ああ、そうするよ」
ソウルビートはあくまでやり方をカズマ本人に委ねた上で今後は人々を闇では無く光へと導ける存在になる事を促した。そんな風にソウルビートがある程度寛容な対応をした事に他のプリキュア達は安堵の顔を浮かべるとカイトが改めてお礼を言う。
「俺からもありがとう、プリキュア」
「これで俺はもう一度やり直す事ができる気がする」
カズマはすっかりダークイーネの闇が抜けて晴れやかな顔を浮かべるとカイトと共に微笑む。それを受けてアイドルプリキュアの6人は復活した2人の絆に同じく微笑みで返す事になる。
「カイトさん!皆、待ってます!」
「ああ、会場の外に避難していた皆も戻り始めてる。多分その内ライブは再開するよ」
そんな時、闇に呑まれて倒れていたレイが歩いてくるとその後ろから着いてくる形で照明や音響の操作に協力していた田中、姫野の2人もやってくる。
「レイ君、それに田中さん、姫野さん!」
「そっか、さっきの照明と音響操作をしてくれたのはお二人でしたからね」
「お二人がいてくれて本当に助かりました。ありがとうございます」
恐らく、キラキランドの妖精でありアイドルプリキュアという存在に希望を見出す事で闇を抑え込める田中と姫野でなければダークランダーの能力である闇の吸収を使われて照明や音響の操作なんてできなかっただろう。
「レイさんに呼ばれましたからね。どうにか大事な場面に間に合って良かったですよ」
「ええ、田中さんとの共同作業……嬉しかったです」
その後、カイトはライブのためにステージの方に戻るとアイドルプリキュア達は変身解除。尚、カズマに関してはジョギとしての記憶が残っているので特に正体を晒す事自体に問題は無い。
何にせよ、ダークランダーがいなくなった事で安全の確保に成功。それからライブの運営の方で話し合いが行われた際にカイトがライブを再開を強く主張。
“ここに来てくれたファン達に怖い思いをさせたまま帰ってほしくない”というカイトの意見が受け入れられると運営の方もライブの再開を許可。
人々がスタッフの誘導でもう一度会場に入ると無事にライブは再開。会場が再びカイトのファン……カイ友達で埋まるとカイトはステージの上で声を上げていた。
「途中ハプニングがあったけど、今日は来てくれてありがとう!改めて聴いてください。“キミからのEcho”!」
カイトが曲名をコールするとそれだけで会場が湧き立ち、盛り上がっていく。そして、カイ友達は手にネイチャー色のキラキライトを振りながらその歌を聴いてキラキラした気持ちになっていった。
「良かった、無事に再開でして……」
「田中さん、姫野さん、急に呼び出してすみません」
「急いで飛んできたから疲れたタナ……」
「それでも、レジェンドアイドルのために照明や音響をやるのも案外楽しかったのヒメ」
尚、急遽来てもらった田中と姫野は流石に今からチケットの用意及び人間態として席に入るのは無理なので……プリルンやメロロンと共に妖精態になってレイが膝の上に乗せる形で対応。
2人にとっても思いがけずカイトのライブを生で観れたというのは大きな想い出になるだろう。
それはさておき。それからライブは予定より時間が後ろ倒しになったものの、無事に終了。観客達が帰った所で客席に誰もいなくなったステージでカイトは1人余韻に浸っていた。
「……」
「こんなデカい会場で。流石だな」
そこにライブを席では無く立ちながら観ていたジョギ改め燈夜カズマがカイトのいるステージに姿を現すと話しかける。
「見る目は正しかったね。未来のレジェンドアイドルさん」
「お前……それ、嫌味かよ」
カイトがそう言ったのに対してカズマは苦笑いを浮かべつつ答えを返す。ただ、カイトとしては悪気があったわけでは無いため平然とした様子で返す。
「いいや、カズマへの褒め言葉だよ」
「はぁ……もうアイドルは懲り懲りだよ。レジェンドアイドルとか、アイドルプリキュアとか。キラキラし過ぎて俺の手に負えない」
カズマはアイドルになる夢を諦める事を考えていた。勿論今言ったレジェンドアイドルやアイドルプリキュアがライバルとして強力過ぎる……というのは彼の中にあるのだろうが、それ以上に自分がアイドルになり損なったせいで他人に多大な迷惑をかけてしまった負い目というのもあるのだろう。
「夢を途中で辞めるなんて……ダサいんじゃない?」
「えっ……」
ただ、カイトとしてはこのままカズマがフェードアウトしてしまうのが嫌だったのか。彼はカズマへと手を差し伸べつつ先程のソウルビートの言葉を話した。
「さっきキュアソウルビートが言ってくれただろ?これからは他の人にキラキラを与える存在になってほしいって」
「ッ、別にそれはアイドルじゃ無くても良いだろ」
「いや……ソウルビートのあの口振りだと俺にはカズマにもう一度アイドルに向き合ってほしいって言ってたように聞こえたかな」
カズマはそんな話を聞いて俯く。幾らソウルビートがそれを望んだ所で自分にそのような資格は無いという気持ちだって浮かんでいた。
「でも、俺は……」
「少なくとも、俺は2人で同じステージに立つのを諦めてなんかないよ」
「ッ……!」
カイトの瞳は本気であり、彼は2人でレジェンドアイドルとして同じステージに立ちたいという気持ちが強かった。それからカイトはもう一度手を差し出す。
「もう一度、目指そう。2人で一緒に」
「……ッ!ああ!」
カズマは差し出されたカイトの手を掴むと強く握り締める。こうして、壊れていた2人の絆は再び強く交わった。また2人でやり直すために……。
カイトとカズマの絆が復活する数時間前。具体的にはジョギがキュアコネクトによって浄化された直後。
「ッ!?ああああああ!?」
チョッキリ団のアジトにいたスラッシュー突如として悲鳴のような叫び声を上げるとそのまま力無く崩れ落ちてしまう。そこに彼女の叫び声を聞いてチョッキリーヌが慌てて出てきた。
「スラッシュー!?どうしたんだい、スラッシュー!!」
チョッキリーヌがスラッシューの事を心配して倒れた彼女に駆け寄るとその体を見て目を見開く。そこではスラッシューの体がチカチカと点滅を始めるとその衣装が変化しつつあった。
「こ、これは……どういう事だい?」
するとスラッシューの体に纏われていた衣装は先程までの暗い雰囲気では無く、上が水色を基調としたトップス。下は白色のジーンズで髪は黒いセミディヘア。瞳は暗めな青色をしていた。
……そう、彼女の名は天城切音。昭和の時代にUtaKotoneとして活動したアイドルユニットの片割れ、Kotoneだ。彼女は今までずっと意識が底に沈んでいたのだが、恐らく洗脳をかけていた主であるジョギが浄化されたおかげでその呪縛から解放されたのだろう。
「ッ……ううっ……ここは」
「スラッシュー?」
「ッ!?あ、あなたは……誰?」
するとスラッシューが目を覚まして周囲を見渡すとチョッキリーヌを捉える。しかし、何故か彼女は恐怖に怯えたような顔になると慌てて座った状態で後ずさる。
「な、何言ってるんだい?私はチョッキリ団の……」
「チョッキリ……団?」
その瞬間だった。突如として女性の脳裏に記憶が湧き上がってくる。それは、自分がスラッシューとして人々を苦しめて絶望の底に叩き落とす様であった。
「あ……ああ……私は、私は……なんて事を……」
「お、落ち着きなってスラッシュー。アンタは」
『お前も妾を裏切るのか?スラッシュー』
チョッキリーヌがスラッシューことKotoneの事を心配しているとKotoneの影からダークイーネが出てきて彼女を睨むような鋭い視線を向ける。
「ヒッ……。う、裏切るだなんて。私はただ、ダークイーネ様のために」
『そうだろうな。お前に裏切るつもりが無いのはわかっている。だが、ならば何故闇の力を手放そうとする』
「……こんな事、Utakoが望まない事だから」
『妾は望んでいるのにか?お前は妾の側にいると言ってくれたではないか。その運命を選んだ以上……勝手にいなくなる事は許さない』
Kotoneはそう言われた直後、再度ダークイーネの力によってその肉体が闇に侵食をされ始める。
「うぐっ!?あ……ああっ……」
『お前は一度世界に見捨てられた。こんな世界なんて要らない。妾と共に歩もうではないか。世界中が真っ暗闇に染まった世界の中を』
「ああああああ!?」
そのままKotoneの肉体はダークイーネの闇に侵食されていくとその姿がスラッシューの物へと戻る事に。
『チョッキリーヌ」
「は、はい!」
『貴様もいつまでもチャンスがあると思うな?次失敗したら……』
「ッ……わかりました」
こうして、ジョギことカズマの離脱により危機感を感じたダークイーネは残された2人であるチョッキリーヌやスラッシューにも最後通告に等しい宣言を告げる事になる。
また次回もお楽しみに。