キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
影人がサウンドプロダクションにて新人養成イベントの方に参加している頃。喫茶グリッターでは2階のスペースにはうた達が集まっていた。
「おはようございます!」
「おはよう、皆」
「ななちゃん、こころ!」
「おはようプリ!」
「これで全員揃ったのメロ」
尚、影人やレイは知っての通りサウンドプロダクションにいるため珍しくこの日はただの女子会的な集まりだった。
「そういえば、この5人だけで集まるのも結構珍しいよね?」
「あ、言われてみたらそうかも……」
「どういう事プリ?」
なながこのメンバーだけが揃うというパターンが珍しいと言い、うたはそれに同調。何故かプリルンは首を傾げていたが、すぐにメロロンが補足した。
「ねえたま、いつもなら影人かレイがいてくれるのメロ。だから女子だけで5人集まるのが珍しいのメロ」
「女子だけで5人……本当プリ!珍しいプリ〜!」
「ふふっ。……まぁ、原作の世界線では私達が5人で集まるのはデフォルトなんですけどね……」
「こころ、何を言ってるの!?」
こころはメタ発言として原作の話を言及するものの、うたから言わせれば何のことだかさっぱりであり……彼女は思わず唖然とする。
それはさておき、折角この場が女子会であるのなら話す事は男子がいない場面でしかできない話だろう。
「なな先輩、あれからレイ先輩とどうなんですか?」
「レイ君と私?」
「そうです!レイ先輩、ここ最近父親のハジメさんと仲直りしてからどこか明るくなったじゃないですか。なな先輩はそんなレイ先輩と何か無かったのかなと」
こころの言うことにななは少し考える。レイが明るくなった事による変化と言われてもこの様子だもあまり浮かばないようだった。
「うーん……レイ君かぁ。確かに明るくはなったけど、特に大きな変化は無いかも……。普通に優しいし、偶に2人で一緒に帰ってるし。ごく普通かな」
ななの言葉にこころは頭を悩ませる。レイはハジメとの件が終わったとしても忙しいという事もあってそこまでななとの時間を伸ばせるという事は無いようであった。
「あ、でも今度デートをする約束はしたかな♪!」
「へぇ、デートかぁ」
「ふふっ、デートですね」
ななが嬉しそうにレイとのデート予定を言い出すとうたやこころは一旦彼女の言葉を受け止めてから少し考える。……ただ、まさかのななからのカミングアウトに思わず声を上げた。
「「……えっ?デート!?」」
「うん。あと2〜3週間もしたらクリスマスでしょ?流石に年内にもう一回デートしたいなってお願いしたらオッケーしてくれたんだ!」
ななはかなり嬉しそうな様子でそう言うとメロロンもななのデートに食いつく形でポエムを口ずさむ。
「お互いを想い合う心は同じなのに中々会えぬ2人……。それはまるで天の川に隔てられた織姫と彦星……」
「メロロン、確かに良い例えではあるとは思いますが季節感が……今は冬ですよ」
「プリ?」
それはさておき、ななの方は近々レイとのデートをすると言う事で。こちらの付き合いは順調であった。
「そう言うこころちゃんの方もこの前影人君の家に泊まったんでしょ?しかもご両親に挨拶までして」
「うえっ!?そっちに行きますか!?」
「そりゃあそうだよ。私にだけこの話を振るのは不公平じゃない?」
今度はななからのカウンターアタック。自分だけこの話をするのは不公平に感じたななからの逆襲だ。
「え、えっと……カゲ先輩のお父さんお母さんは私に良くしてくれましたよ?少なくとも受け入れてくれてはいるので」
「良いなぁ、私はまだ挨拶に行けてないのに……」
「そんなに急ぐ必要ある!?」
ななはこころがこんなにも早く影人の両親に挨拶をしに行っている観点から、何となく自分も早めに挨拶をしに行かないといけないと思っていた。……とは言え、こころの場合は異常なまでに早すぎるペースなのだが。
「メロロンはキラキランドが復活したらこっそりねえたまを産んでくれたあの木に挨拶をしに行くのメロ」
「プリ?それならプリルンと一緒に行くプリ!」
「メロ!?ね、ねえたまと一緒……そ、そ、それも悪く無いのメロ」
メロロンはまたプリルンの無自覚な言葉にハートを撃ち抜かれると頬を少しだけ赤く染めながら嬉しそうにしていた。
「ッ……やっぱりこの話題だと出遅れちゃうな」
そんな中、うたはただ1人……この波に乗る事ができていなかった。理由は簡単で彼女だけ彼氏持ちでは無いからである。その間にもななとこころは彼氏持ちとしてドンドン盛り上がってしまう。
「うーん、私も好きな人を探す……ッ。でも、私は……」
するとうたは自分だけ出遅れている危機感で脳裏に響カイトをパッと浮かべる。ただ、そのタイミングでうたの思考が読まれてしまったのか……。ななとこころからの視線が一瞬にしてうたの方を向いた。
「「うた(ちゃん)(先輩)……今、響カイトさんの事を思(ったね)(いましたね)?」」
「うええっ!?ふ、2人共!?何でそんなにタイミング良く……あっ」
「やはり図星でしたか!」
「さぁ、うたちゃんもこの話に入れなくて寂しいだろうから一緒に参加させてあげるよ!」
「「……たっぷりと(ね)(ですね)!」」
うたはななとこころから完全にロックオンされてしまうと体に寒気が走る。だが、もうこうなった以上はうたに逃げ切る術など無い。
「め、メロロン助けて!」
「メロ〜。メロロンもうたとカイト。伝説と呼ばれたアイドル同士の禁断の恋の話を聞きたいのメロ!」
「う、嘘!?」
うたはどうにかメロロンに助けてもらおうとするが、残念ながらメロロンはあっち側だ。
「メロロンを頼っても無駄ですよ先輩〜」
「じゃ、じゃあプリルン!どうにか……」
「プリ〜?よくわからないけど、プリルンはうたとカイトの話を聞きたいプリ!」
「ああ……ああ……」
うたは続けてプリルンへと声をかける……が、当然のようにプリルンは話がよくわかってないため……必然的にうたを援護するなんて無理だ。そのため、完全にうたは孤立してしまう。
「うたちゃ〜ん?別に何も怖くなんか無いよ?」
「そうです、知ってる事を洗いざらい話してもらえれば良いだけなので」
「ちょちょっ、ふ、2人共……」
「「さぁ、話してもら(うよ)(います)!」」
結局、うたは2人からの追撃から逃れる事などできず……。結果的にカイトとの事を全て話さざるを得ないのだった。
そんな風に女子会も同時進行していく中、サウンドプロダクションの方では中西が主導する形でレッスンが始まっていた。
「1、2、3、4、5、6、7、8……」
中西は一同へとまず軽めのストレッチをさせており、それを受けて影人達は彼女と同じくストレッチをする……なのだが。先程から影人は気が散ってならなかった。
「(……ヤバい、さっきから視線が……)」
その理由は明らかに自分1人をターゲットにしてくる男……白石からの鋭い目線だ。今までは周囲全体に対して向けられた睨みの視線が影人1人にだけ向いているのだ。気不味くないわけがない。
「(ちょっ、俺の事を敵視するのはまぁ仕方ないにしてもずっとジロジロ見られるのはあんまり好きじゃ無いんだけどな……)」
影人はかなりやりづらそうな様子でそれだけ白石からの圧は強いという事がわかる。そんな影人を見て流石に他の体験者達も同情の目線を向けつつあった。
「さ、じゃあストレッチが終わったので次は軽く発声練習ね」
「(次は発声……って事はあくまで基本的な事をやるつもりか?)」
発声練習……それは簡単に言えば声出しなのだが、これもやるとやらないとでは大きな差となる。単純に喉の奥が開くか開かないかだけでもこの後の練習での喉への負担の大きさが変わる。
何なら声優という常に声を出さないといけない職業柄、喉への負担は可能な限り落として喉が使えなくなるリスクは極力ゼロに近づけなければならないのだ。
「っと、こんな感じね……」
すると、中西は体験者達が発声練習をしている間に何かをしており……しかもそれは指導と並行しながら進めている。恐らく、この後やる練習についての事だろう。彼女の様子から丁度ひと段落した所だろうか。
「じゃあ、次の事をやるわ。まずは……今から順番に名前を呼ぶから呼ばれた人と呼ばれてない人で2チームで分かれて」
それから早速10人いる体験者達がチーム分けされていく。まずは女性側なのか。6人の中の3人の名前が呼ばれた。そして、4人目……男性の方になる。
「黒霧影人君」
「ッ、はい!」
4人目の枠として影人は呼ばれると先に呼ばれていた3人の元に合流。一応女子達の中にあまり深く入るわけにもいかないので彼女達の塊に近づきつつも、少しだけ距離は空けていた。
「次で最後ね」
中西は最後の1人である5人目を呼ぼうとする。影人としてはできれば白石とは別のチームが良かった。むしろ、別のチームでないとこの後の活動で色々と気不味くなることが確定してしまうだろう。
確率的には3分の1のため当たらない可能性の方が高い。願わくば白石とは別チーム……と思っていたのだが。
「白石光輝君」
「「なっ!?」」
その瞬間、白石の名前が呼ばれて影人と白石は2人同時に反応を示す。また、影人の近くにいた女子3人組も明らかに顔つきが悪い方向になってしまっている。
恐らく、彼女達としてもできれば地雷原である白石と組むのは嫌だったのだろう。
「ッ……はい」
そして、白石は中西に対して返事を返すと影人達の方に来る。ただ、影人の隣に行くのが嫌なのか……影人や女子3人よりも更に離れた場所に座った。
「じゃあ、名前を呼ばれなかった5人はそのままチームを組んでもらうわ。……まずはそうね、チーム内で自己紹介をしてもらおうかしら。今から5分取るから1人1分くらいでよろしくね」
中西の合図で2つチームのメンバーはそれぞれで円を作るように座る……が、やはり影人達の方は特に女子3人が完全に白石を腫れ物のような形で少しだけ離れて座っていた。
ただ、その女子3人の中の1人。金髪をロングヘアに下ろしたギャルっぽい様子の大人っぽい女性だけはまだ何とか接する事ができるのか。他の2人が嫌がっていそうな感じの白石の隣にあくまで自然に移動して座る。
勿論影人は白石に苦手意識があろうとも他の子が女子である以上は白石の隣に座らざるを得ない。そんな状態が完成した上でギャル風の女性から声を上げた。
「自己紹介ね。じゃあ私からやるね!私は佐橋彩香。こう見えて友達と遊ぶ時、歌が上手いってよく言われるしカラオケとかにはよく行くから歌には自身があるんだよね。今日はよろしく!」
佐橋はこの最悪に近い空気感の中、この場での最年長者としてだからか……どうにか場の空気が終わってしまわないようにするために話を始めてくれたのだろう。
「黒霧影人、得意な事……他人よりもこれができるっていう特技はあまり無いけどある程度の事なら何でもできると思う」
「ちょっ、例えがかなり抽象的過ぎない〜?もっとはっきりしてくれても良いんだよ?」
「すみません。色々あってあんまりこういう場は得意じゃなくて」
「ふ〜ん。ま、色々できるって事はやれる事の幅も多そうだよね!」
佐橋は影人がそう言ったのを聞いて何となく納得はしてくれたようである。ただ、昔の影人をある程度知っている白石は彼のその自己紹介を鼻で笑ったような様子を見せる。
「ふん……」
「(……やっぱコイツ俺の事に気がついてるよな。わざわざ鼻で笑う事までして。そんなに俺の事が憎いのか?)」
影人はかなり困惑したような様子で白石を見ていると次の自己紹介の番に映る。今度は高校生くらいの年齢に髪が黒髪のポニーテール。服装が動きやすい運動着に近い物だったため、明るそうな様子の女子だった。
「私は立原杏咲です!特技かどうかはわからないけど、自慢できるのは体が柔らかい事かな。後、声を張るのも得意だよ。よろしくお願いします!」
「わーお、体育会系っぽい感じかな?」
「あはは、そうかもしれないですね」
立原は白石からの視線で一時的にたじろいでしまっていたものの、影人や佐橋の2人が上手く場の空気を変えてくれたおかげで話しやすくなったのか。ある程度は普通に喋れるようにはなっていた。
「えっとじゃあ……」
「ひっ……」
「あっ。ごめんね……怖がらせるつもりじゃなくて」
「自己紹介、お願いしても良いかな?」
「は、はい……」
佐橋が残っていた少女の方へと視線を向けると彼女はビックリしたように肩を震わせる。そのため、驚かせてしまった事を佐橋が謝ると彼女は小さく頷いた。
少女は黒髪のボブヘアであり、前髪は少し目を隠すくらいに長めだった。そんな容姿の影響なのか……雰囲気も少し暗そうである。年齢は影人と同じ中学生くらいで彼女は見た目の通り、女子組の中でも一番内気であった。そのため、緊張したような様子で話を始める。
「加藤美来です……その、特技は……えと……」
加藤は口籠もると中々話せなくなってしまう。すると影人が優しく彼女をフォローする。
「大丈夫、俺達はちょっと早めに終わったからゆっくり時間を使って良いよ」
「そうそう!ゆっくりで良いから加藤ちゃんの事、話してくれると嬉しいな!」
影人に続く形で佐橋も励ますように話しかけると彼女は深呼吸をしてから改めて話す事にした。
「特技は、他の女の子より少しだけ低音の音を出せる所……です」
「本当!?凄いね!」
「えっ?」
「加藤さんみたいに女の子で低い声を出せる人って少ないから、それができるのは結構凄い事だと思う」
影人は以前手鞠沢高校生での話の際にベースのアカペラである熊井弥子の事を見ているのだが、彼女や影人達のアカペラを指導した近衛玲音も含めて低音域の声を使える女子というのは貴重な存在だ。そのため、影人もこの特技に関しては素直に凄いと思える事だった。
「ッ……あ、ありがとうございます……その、よろしくお願いします……」
これで加藤の挨拶も終わり、後は白石だけになるのだが……その彼は他の4人が挨拶を終えたという事で自分の番が来た事をようやく認識する。
「……やっと終わったか」
そして、白石は不機嫌そうな顔つきをしたまま4人へと挨拶及び自己紹介をする事になるのだった。
今回のイベント編でのオリキャラのCVですが、一応決めてあるので提示します。
中西紗織……CV:大西紗織さん
白石光輝……CV:水中雅章さん
佐橋彩香……CV:大橋彩香さん
立原杏咲……CV:橘杏咲さん
加藤美来……CV:伊藤美来さん
こんな感じですね。それではまた次回もお楽しみに。