キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
影人がサウンドプロダクションでのレッスンを受けている最中、ダークイーネが噴水広場付近で絵を描いていた男性をダークランダーとして変貌させてしまう。
そして、そうなるとグリッターにて楽しい女子会をしている最中のうた達の元にもプリルン経由でその情報が伝わる事に。
「ブルっと来たプリ!?」
「「「ええっ!?」」」
「影人がいないこんな時にメロ!?」
「というか、ここ最近カゲ君がいないタイミングを狙い過ぎじゃないですか!?」
こころは今回もまた影人が動けない瞬間を狙ったチョッキリ団の襲撃に流石にやり過ぎだと言わんばかりだった。ただ、よくよく考えるとここ最近のチョッキリ団はアイドルプリキュアが可能な限り6人揃わないタイミングを狙って攻撃を仕掛けている所がある。
そのため、アイドルプリキュアを相手する上で全員が揃っていない瞬間が割と脆いという事も見抜かれているのだろう。
「ひとまず、ダークランダーが出たのなら早く助けに行かないと」
「うん、レイ君の方にも連絡を出すけど……」
「そうですね、カゲ君にはできる限りレッスンの方に集中してもらいたいです!」
うた達は出現したダークランダーへの対処は勿論そうなのだが、いつものように大事な事をやっている影人にはできる限り気が付かれないようにダークランダーを浄化する事を目指す事になる。
それはさておき、うた達は噴水広場の方に到達すると目の前で暴れるダークランダーを見据えた。
「ダークランダー!」
「今回のはキャンバスですか!?」
「キャンバス……って何プリ?」
「キャンバスというのは絵を描くために使う画用紙みたいな物メロ」
プリルンはキャンバスと聞いてピンと来ていなかったが、そこはメロロンがフォローする形で口にした。
「皆。影人君はいないけど、絶対にダークランダーにされた人をキラッキランにするよ!」
「「「「(うん)(はい)(プリ)(メロ)!」」」」
こうして五人は素体にされた男性を助けるべくプリキュアへと変身。その姿を変えていった。当然ながら、今回はプリルンとメロロンが最初から妖精態なのでそちら変身開始するパターンである。
「「「「「プリキュア!ライトアップ!」」」」」
「「「キラキラ!ドレスチェンジ!」」」
「「キラキラ!ショータイム!」」
「「「「「YEAH♪」」」」」
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」
「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」
「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」
「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」
こうして、アイドルプリキュアの五人は変身を完了させて降り立つ。ただ、今回も5人しかいないが故にチーム名での名乗りは不発となる。その後、キッスが早速投げキッスを使用。
「お願い、チュッ!ハートガーデン!」
これによりハートガーデンを展開するとダークランダーごと自分達をその中に移動させる事になるのだった。
「ダークランダー!」
ダークランダーがまた叫び声を上げる中、アイドルは何かの違和感に気がつく。その違和感というのが……。
「って、あれ?今日はチョッキリ団の人が……いない?」
「言われてみれば確かそうね。ジョギ……はもういないけど、いつも通りならスラッシューかチョッキリーヌはいるはず」
アイドルプリキュアはダークランダーが出てくる際にいつも近くにいるはずのチョッキリ団の幹部がいない事に気がつく。
「いつもだったら絶対にいるチョッキリ団がいないって事は……」
「多分だけど、ダークイーネが直接召喚してるのかも……ほら、カッティンが怪物化した時も……」
「ッ、確かにそうでしたね!」
アイドルプリキュアはチョッキリ団のメンバーがここにいないという事は今回のダークランダーを召喚したのはチョッキリ団の誰かでは無く、チョッキリ団以外でダークランダーを出せる存在であるダークイーネが犯人であると確信。
「ダークラン……ダーッ!」
「「「「「ッ!!」」」」」
その瞬間、ダークランダーは手にした筆を振るうとそこからインクがエネルギー弾として射出。プリキュア達はそれをどうにか回避する。
「ダークイーネは多分ここにはいなさそうだけど……」
「でも、だからって油断したらやられるわ」
「それなら、さっさとこんな奴浄化しちゃおう!」
こうして、アイドルプリキュアはソウルビートがいない中でもダークランダーに対抗するべく戦闘を開始する事に。
その頃、ダークランダーの出現など梅雨知らずの影人はサウンドプロダクションの一室で台本の読み合わせをしていた。
「ククッ……フハハハハハッ!その程度か、お前達の実力というのは!!」
「ッ……つ、強い……」
「どうしよ……こ、このままじゃ……」
今現在、影人達は中西に見せるまでの間の練習時間であった。そのため、勝手に勇者の役を取って行った挙句1人だけで先に読み進めていた白石を含めた5人で読み合わせていたのだが……。
「……お前、さっきから真面目にやってるのか?」
「ひっ……」
今は一通り台本を読み終わった所で加藤が白石から睨まれている所だった。その理由が、加藤が緊張しながら読んでいるせいで中々キャラとしての特徴を捉えられてないのである。
そしてそれが自分にとっての不利益……つまり、白石が主役として上手く輝ける舞台を作る上で不足している所があるのなら彼は容赦なく文句を言うわけだ。
「で、でも……私は……」
「言い訳すんな。そんなやり方でコイツの心境が表せると思ってるのか?ふざけんのも大概にしろよ」
「う、うぅ……」
影人はこのままだと加藤が精神的に潰れてしまうと考えると流石に介入の必要があると考えて白石へと話しかける。
「白石、少し落ち着けよ。加藤さんは初心者なんだからそんなに強く言ったって……」
「チッ、お前にそうやって邪魔されるのが一番腹立つんだよ」
ただ……白石からしてみれば、目の上のたんこぶ的な存在である影人からの注意を受けるのは屈辱以外の何物でも無いわけで。苛立ったような返事を返す。
「まぁまぁ、特に白石君は落ち着いて。仲良くやろ?」
「ふん、あんたこそ俺の足を引っ張ってるくせに何を偉そうに」
「ッ……」
佐橋もそれを言われてしまうと胸の奥にどうしても怒りの気持ちが湧いてしまうが、どうにか外面だけでも笑顔を保ってないとこの場の雰囲気が崩壊してしまうと考えて踏み留まる。
要するに、今のこの場所は最悪の空気感というわけだ。佐橋だけでは無い。立原に関しても先程から横暴な態度を取り続ける白石に対して憤りが無いわけではない。むしろ、自分もそんなに言うほど飛び抜けて上手いわけでは無いのに偉そうな言葉を幾つも言ってくるのが彼女の中にも苛立ちを与えてしまう。
「(不味いな、このままじゃチームとして壊れるだろ……。佐橋さんはどうにか白石を抑えようとしてるけど、白石が余計な事ばかり言うから少しずつ佐橋さんにも余裕が無くなってきてる。立原さんにも同じく苛立ちが見えて。加藤さんは完全に自信を喪失しちゃってるし……)」
影人はこの状態が継続しようものなら2時間の練習時間が終わる頃には空中分解してまともな演技ができないと思っていた。
「(これはもう賭けに出るしか無い。このままじゃ、発表どころじゃなくなる)」
影人はどうにかチームの仲を改善しない事にはまともな発表すらできないと考えると中西の方へと話しかける。
「あの、すみません」
「どうしました?」
「……少しの間だけ、俺と白石君の2人で外に出ていてもよろしいでしょうか?」
「そうね……わかったわ。お願いね」
どうやら、中西も薄々今の影人達のチームがどういう状態なのかをわかっている様子で。それなら影人としても話が早かった。そのため、影人は白石の元に行くと彼へと話しかける。
「白石、ちょっと来てくれ」
「ッ!言っておくが、お前の指図なんか……」
「指図じゃねぇよ。……まずお前、周り見てみろ」
白石は影人に割と強めにそう言われて改めて周りを見渡す。そこに映ったのは自分に対して敵対心を向ける他の体験者達であり、自分が他人を責める声がもう一つのグループにも聞こえていたのか……。講師である中西以外の全員から悪意的な目で睨まれてしまっていた。
「白石、一旦落ち着けよ。俺に対して憎さとかもあるかもしれないけどさ……。このままじゃ、お前の望む自分だけが輝ける作品にすらならないぞ」
「くっ……」
白石はそれを聞いてどうにか出かかっていた影人への敵対的な言葉を飲み込むと彼へと答えを返す。
「……確かにそうだな」
「佐橋さん、少しだけ時間をください。その間、立原さんと一緒に加藤さんのフォローをお願いします」
「ッ!うん、任せて」
「黒霧君はどうするの?」
影人は白石がある程度落ち着いた所で年長者である佐橋や立原に白石からの言葉で傷つき、萎縮している加藤へのフォローを頼む事に。そして、影人自身はというと……。
「白石と話を付けます。元々は俺への気持ちが彼の暴走の原因なので」
正直な所、これは賭けだ。もし失敗すれば白石の暴走は止まらないだろうし、練習の時間を削ったのが無駄になってしまう。
影人としてはできる限りこの展開は避けたかったが、これ以上白石を放っておくのは練習する上での悪影響しか無いのだ。
「白石、話は聞いていたな。行くぞ」
「ふん……」
そのまま影人は白石を連れて部屋の外に出ていく。そして、その場に残った佐橋と立原はひとまず加藤のメンタルケアをする事にした。
「……すみません、私が……私が下手なせいで」
「大丈夫よ、白石君も真剣に取り組む上で厳しく言い過ぎてるだけだから」
「ゆっくりで良いから私達とキャラクターの気持ちを理解する事から始めよう?」
「はい……」
加藤は既にメンタル面ではかなり酷いダメージを受けており、あと一歩遅ければ完全に壊れてしまっていただろう。そのため、ギリギリだったとはいえ影人が話し合いのために白石を連れ出した行動自体は正解と言える。
それはさておき、影人と白石は部屋の外に出ると2人で向き合う。最初に話をしたのは影人だ。
「……なぁ、白石。俺がいなくなった後、お前に何があったんだ」
「ッ……別に、何でも良いだろ」
白石はあくまで影人相手に自分の事は話したくなど無いと言わんばかりの反応を見せる。それに対して影人は溜め息を吐きつつ続けた。
「はぁ……。お前さ、さっきも言ったけど周りをちゃんと見てくれよ。お前が俺に対して敵対心を向けるのは勝手だけど、時と場合くらい考えてほしい」
「煩い……お前に何がわかる」
「だから、俺はお前と別れた後に何があったかなんて知らないんだよ。俺の知らない事を知ってる前提で話を進めるのはやめてもらえないかな」
影人としては白石が自分に対して怒りや恨みを募らせるのは本人の勝手だが、そのせいで折角今回のイベントを楽しみにしてきた他の体験者達に嫌な空気感を押し付けるのは迷惑行為でしか無い。
「それと、加藤さん相手に顕著だったけど……気に入らない事があるからって八つ当たりしないでもらえないか?」
「だから、お前なんぞが説教かよ。だったら俺以上に売れてから言いやがれ」
「売れて……か。……対して売れてない奴が言っても説得力無いんだけど?」
影人の言葉に白石はとうとう我慢の限界になったのか。彼の中で何かが切れるといきなり影人の胸ぐらを掴む。
「あまり調子に乗るなよ?俺の二番煎じ程度が……。芸能界でまともに戦う事すらできなかったくせに」
「その言葉、ブーメランで返してやる。……お前の方こそ、何で俺よりも売れてるって言いながら全くもってドラマ出演とかの話題が無いんだ?」
白石は影人からカウンターを言い返されて更に怒りのボルテージが上がると詰め寄りつつ影人へと鋭い目線を向けた。
「チッ……テメェ、俺がどんな苦労をしたかもわからずに外野から言いたい放題言いやがって」
「……だったら話せよ。さっきも言ったけど、俺はお前が何をしてどうなったかなんて一々知らないんだ。それを最初から俺が知っています前提で話をどんどん進められても困るんだよ」
「ッ……」
影人は白石に胸ぐらを掴まれた挙句、八つ当たりばかりされているせいで心の中では穏やかでいられなかった。だが、だからと言ってここで白石と同じように怒った所で彼にとっては全くの無意味である。
そのため、あくまで冷静な気持ちを失わないようにしつつ白石に過去の事を言うように促した。
「……わかった。そんなに聞きたいなら軽めにだけど話す。ただ、だからってアイツらと馴れ合うつもりは……」
「馴れ合わなくても良い。……俺が求めてるのはあくまで節度を持った接し方だ。だから馴れ合いはしなくても良いけどせめて他の体験者が普通に体験を楽しめる程度には抑えてくれって言いたいんだよ」
白石はまた影人に指図をされたような感じがして嫌だったが、このままでは話が進まない上にこの後に控えている発表にも響いてしまう。
そう考えた彼は不本意ながらも影人の言葉に頷くと早速影人に話していない自分の事についてを話すのだった。
また次回もお楽しみに。