キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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受け入れられない白石の主張

影人の参加した新人養成イベント。……ただ、その際にかつての芸能事務所の養成所仲間であった白石は何故か影人に強い敵対心を抱いていた。

 

そんな白石はイベントでのレッスンを馴れ合いだとして殆ど受け入れず。他の参加者まで巻き込んで暴走してしまう。そのため、影人はそんな彼を連れ出すと話す事に。

 

「で、どの辺りから話せば良い?」

 

「そうだな、可能なら俺と一緒に養成所にいた頃からで良いか?」

 

「はぁ……要するに全部話せって事か」

 

話の中で影人は白石に何があったのかを聞く事になり、白石はそれを受けて最初は渋ったものの……結果的に話す事になった。

 

「……俺も最初はお前と同じ。芸能界に入って活躍したい気持ちで入った。実際、俺はお前とは違って最初の頃は周りから認められて……自分がこの世界の中心だと思えるくらいに楽しかった」

 

「ッ……」

 

影人は白石の言葉を聞いて心の中に強い悔しさが湧き上がる。自分から聞いたとはいえ、やはりどうしても過去の事になると自分よりも白石の方が輝きを出していたという事実が出てしまう。そのため影人は当時、自分がやりたいと思っていた事を全部目の前の男に掻っ攫われた事への悔しさが湧き上がってしまうのだ。

 

「……おかげさまで俺はさっさと事務所に正規で契約して使ってもらえるようになったよ。目の前の誰かさんとは違ってな?」

 

「お前は一々挑発しないと話が進められないのか?」

 

影人はしれっと自分を挑発してきた白石へとジト目を向けつつ話の続きを聞く事に。

 

「俺はお前と別れて本所属になった後。少しだけ映像作品とかにもモブとして出してもらうとかの仕事をさせてもらえた。その時は、ここから俺の活躍する時代が来てくれる……そう思ってたのに」

 

白石は悔しそうに拳を握りしめる。それは思い出したく無い記憶を呼び起こすかのようだった。

 

「事務所に正式で所属してから暫くして。俺に待ち受けていたのは受けたオーディションにことごとく落ちたという連絡だった。それからも諦めずに数え切れない程のオーディションを追加で受けた……が、一年もする頃にはモブの仕事も無くなってしまったよ」

 

影人はそれを聞いて何故白石が最初の方に限って仕事があったのかを考える。そして、その答えには割とすぐ辿り着いた。

 

「……なるほど、最初の方に仕事があったのはバーターとして出てたからとかか?」

 

「だろうな。最初の方は仕事を受ける事ができてもあくまで事務所に所属する他の俳優若しくは女優を使う際に彼等を起用する対価として事務所で新しく売り出す新人を使ってくれっていうパターンだったんだろ」

 

白石は事務所に所属したての頃、ドラマにモブ役として出演する事ができていたのは事務所が当時売り出そうとしていたメインの俳優若しくは女優にくっつける形で新人を業界に売り込むための手法……バーターとして出していたからだった。

 

そして、悲しい事に白石はそれを自分の実力が早速認められた物であると勘違い。そこで調子に乗ってしまったのだ。

 

「……俺はドラマに出してもらえる事が嬉しくて、努力を怠った。その結果、あっという間に周囲の人間に置き去りにされて……上の人間からも見放されたんだ」

 

「なるほどな」

 

影人はその当時。白石が事務所に正式所属したのは知りつつも、その後彼がどうなったのかがよくわからなかった。……それは、白石が調子に乗って自爆して業界での居場所が失われたからなのだろう。

 

「……それでお前は業界で勝ち抜くために馴れ合いをする奴を憎むようになったんだな」

 

「ああ。この世界は少しでも練習をサボったらとことん落ちてしまうんだ。俺はそれを身をもって教えられたんだよ」

 

影人はその情報を前提にして考えると白石が温いやり方を嫌がる理由も何となく想像が付いた。

 

「まぁ、それはそうとして。何で芸能界で見放されたお前がこっちに来てるんだ?もしかして声優ならやれるとか思った感じ?」

 

「ああ。確かに俳優、女優としての道はもう潰えた。事務所から見放された後も数年間しがみついてはいたが、俺の両親が良い加減辞めるように進めてきたからな。せめてもの抵抗と言えば抵抗か」

 

影人はそれを聞いて一応は納得した。こうして見ると白石もまた、芸能界の荒波に呑まれて挫折して芽が出る事すら無く引退せざるを得なかった辺りはある意味影人と同じと言えるだろう。

 

ただし、影人とは違って彼の場合は自分で調子に乗ってやるべき事を疎かにした結果の自業自得に近い形で引退なので……どちらかと言えば白石本人の問題と言える。

 

「白石、お前の事情はわかったけど……お前が事務所から見放されてしまう程に落ちたのは自分の責任ってわかってるよな?」

 

「だから、俺と同じ位置にまで到達すらできてないお前に説教される筋合いはねーよ。それに、もし俺と同じ立場に来れた所でお前程度じゃ他のライバル相手に勝てないだろうけどな?」

 

「………」

 

影人は白石がわざわざマウントを取りながら言い返してくる辺り、恐らくだが相当周りから白石のサボり具合をかなりキツく言われてしまっているのかもしれない。その影響で彼の性格は歪み、自分よりも下の者を見下してはマウントを取りたがる嫌な奴へと変わってしまったのだろう。

 

「あははっ、本当の事を言われて黙っちゃったかぁ」

 

ただし……そんな過去があったとしてもやはり先程までの行いを擁護し切れるかと言われた場合、影人は絶対に無理だと言い切れる自信はあるが。

 

「……それで?白石からの主張は終わりか?」

 

「ああ、これで終わりだ」

 

影人はひとまず白石からの煽りの言葉を完全に無視すると彼からの主張はここまでだと仮定して話を進める。

 

「話を聞く限り、お前の性格が捻じ曲がった理由は何となくわかった。ここに関しては俺も似たような事を経験してるし、特に何かを言うつもりはない」

 

影人はそう言いつつ白石の意見をあくまで肯定する。彼としても過去の事が性格に影響を与えたという点に関しては白石と似たり寄ったりなので彼の事を否定する立場には無いだろう。

 

「……ただ、まだこの時点では俺の事を敵対視する理由に関してが触れられてない。ここまでの話だけ聞いてると俺の事を敵対視する理由は特に無さそうにも見えるんだけど」

 

白石からの主張を聞く限り、練習の際の馴れ合いを嫌っているという理由に関してはある程度理解はできるものの……肝心な影人への恨みや敵対心の理由が説明できない。要するにここまでは影人の事とは別の物としか考えられないわけだ。

 

「ふん。そんなの、あれだけ血眼になって努力してたお前がその馴れ合いの中に溶け込んでる事とその上で俺よりも目立ってるのが苛立つんだよ」

 

「……はぁ?」

 

白石は当然と言わんばかりの顔つきで影人へと敵対心を向ける理由を説明すると流石に今の理由を受けて影人も呆気に取られてしまう。

 

先程までの白石の挫折に関してだけならまだ擁護もできたし、その気持ちは影人にも痛い程わかっている。ただ、影人自身に向けた敵対心に関しては幾らある程度の言葉なら許容しようと思っていた影人にも理解不能と思えるような身勝手な理由だった。

 

「わかったらお前みたいな雑魚は大人しく……」

 

「……あのな?」

 

「何だよ」

 

影人は白石がそう言うのを聞いて良い加減彼の身勝手な話に付き合うのは飽きたと言わんばかりに話を止めさせると横槍を入れる。

 

「さっきも言ったけど、俺の事を馬鹿にする分は良い。少なくとも、俺はあの時白石以上の結果を出せなかった」

 

「ふん、何を当たり前な事を……」

 

「だけどな。俺が調子に乗るのがそんなに嫌なのなら俺を直接演技で叩き潰せよ。わざわざ関係無い騒ぎまで起こしてさ。……お前、もし今のままこの業界にいるなんて事になったら間違いなく失敗するぞ」

 

影人は他人を軽視し、自分1人が主役の演技を求める白石の考え方を真っ向から否定。少なくとも、そのやり方を続けるのなら身を滅ぼすとまで警告を入れた。

 

「失敗だぁ?別に良いだろ。あんな雑魚達なんて今のうちに俺に言われて諦める程度なら最初から俺の相手ですらねーよ」

 

白石はそう言って自分以外の体験者達の努力を見下して嘲笑うように話す。それを聞いて影人は正直頭を抱えたくなった。白石がここまでヤバい思想に染まっていたとは思っていなかったからである。

 

「嘘だろ……。それマジで言ってるのか?」

 

「ふん。わざわざ嘘で言う理由がねーよ。あんなモブ練習なんて俺の踏み台になって終わりだ。勿論お前もな?」

 

「ッ……」

 

影人もそれを聞いて流石に苛立ってしまう。それでもどうにか心を落ち着けて踏みとどまったが、彼は白石がここまでのクズ人間だとは思っていなかった。

 

「(おいおいおい、何でそんな簡単に他人を軽視できるんだよ。というかそもそも他の人と一緒に作るのがアニメだろ。お前1人しかいなかったら主役もクソも無いんだが?)」

 

影人はどこをどうやったらこんなにも歪んだ性格になってしまうかわからずに困惑気味な顔を浮かべる。確かに自分も俳優になる道を閉ざされてやさぐれた時期もあった。何なら半年前くらいまではそういう状態だったわけなのだが……今の白石のクズさ加減は当時の自分を明らかに超越している。

 

「(コイツ……何でこんな奴に俺は負けてたんだろうな)」

 

影人はずっと忘れていた感覚が頭の中に沸々と湧き上がってくるのを感じていく。幼い頃、自分が養成所で周りと切磋琢磨していた頃は誰にも負けたく無い気持ちが強く。自分よりも一枚も二枚も上手の演技を見せつけてくる白石に何度打ちのめされても立ち向かっていた。

 

勿論、影人もどこかでこの男を超えるのは無理かもしれないと諦める感情だってあっただろう。それでも白石が事務所に正式に所属するその時まではずっと彼に挑み続けてきた。

 

「(負けたくない、負けたくない、負けたくない……!)」

 

「どうした?怖気付いたか?ま、お前みたいな奴がどれだけ頑張った所で俺に勝つのは無理に決まって……」

 

「誰がお前に勝つのが無理だって?」

 

白石はそれを聞いて一瞬びっくりしたように肩を振るわせた。それは影人が久しぶりに見せた白石への強い対抗心である。そして、その気配は幼い頃に白石が感じなかった程の強い圧となっていた。

 

「ッ……テメェ」

 

「お生憎だけど、お前が他人を馬鹿にしてサボったりしてる間にも俺は成長してるんだ。お前があの頃からどのくらいレベルアップしたかは知らないけど……黙って負けてやるつもりはねーよ?」

 

「ふん、望む所だ。今度こそお前を叩きのめして俺に対して文句一つ言えない状態にしてやる」

 

こうして、影人と白石は今回中西から配られた台本に関して勝負をする事に決めた。勿論、どちらが演技を見ている人を魅了できるかの勝負である。

 

「ま、さっきまでの件で俺が悪印象を持たれてるのは良いハンデだろ?」

 

「(あーなるほど、要するに悪印象状態でなら俺が勝ったとしてもそれを理由に逃げるつもりだな。ほんとこのクズ野郎、どうしようかな)」

 

ただ、白石のこの様子だともし仮に白石が負けた際は自分に向けられてる初期好感度が低いのを利用してその客達の評価基準のせいにするようで……。

 

「なぁ白石。それだったら中西先生1人に判定してもらおうよ。流石に好感度低いのを理由にしてくるようだとこっちからしたら不公平と言わざるを得ない。仮に勝っても正当に評価されないって事だからな」

 

「はぁ?チッ……仕方ねーな」

 

白石は影人が予めそう言ったのを不服そうにしていたが、影人の言う事にも一理あるため仕方なく了承。

 

それから影人と白石は元いた部屋に戻る。……ただ、その瞬間に白石の方はその場にいた他の体験者達から鋭い目線を向けられていた。

 

「おお、怖い怖い」

 

「(マジでお前が言うなよ……)」

 

それから影人は中西の元に向かうと勝負の件だけは伏せてレッスン後に話を伺いに行く事を話した。

 

「……お願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「ええ、わかったわ」

 

「ッ!すみません、お願いします」

 

影人は頭を下げると中西へと感謝の気持ちを伝える事に。これで影人と白石の対決に関しては確定する事になった。

 

それからは再度チームの元に戻って練習する事になる。ただ、この時点で残り1時間を少し切っており……そんなに沢山練習できる状態では無かった。

 

「(白石と話したせいでまた時間を取られた……いや、文句を言う暇があったら練習あるのみか)」

 

影人は気合いを入れ直すともう一度5人での練習を進めることになる。同時刻、その部屋に繋がる廊下に1人の女性がいた。

 

「ふふっ、やっぱり他の5人がいない分……ここにはキュアソウルビートだけね」

 

それは、出撃してきたスラッシューである。彼女は他のアイドルプリキュアが足止めを喰らっているのを知っているがためにほくそ笑む。

 

「ダークイーネ様に足止めとなるダークランダーをお願いした甲斐があったわ。これで彼を個別で叩ける。丁度凄まじい闇の持ち主もいる事だし」

 

そして、スラッシューは既にダークランダー用の大きな闇も見つけたらしく……。彼女は思い通りに事が運んでいる事を嬉しそうにしていた。

 

「待ってなさい?キュアソウルビート。あなたから叩き潰してあげるわ」

 

こうして、ソウルビートは彼の預かり知らぬ所でスラッシューにも狙われてしまう事になる。果たして、彼はこの窮地を乗り切れるのだろうか。




また次回もお楽しみに。
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