キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
影人と白石が演技で対決する流れが確定した頃。丁度そのタイミングでアイドルプリキュアの方でも変身を完了。ダークランダーとの戦闘が開始される。
「ダークラン……ダー!ダー!」
今回の先制攻撃はダークランダー。手にした筆を振るうと筆に付着した絵の具が飛び散る際に発生する水滴がエネルギー弾としてプリキュア達に向けて放たれる。
「来るよ!」
プリキュア達はその攻撃を回避すると着地した瞬間にアイドルが飛び出す。それに合わせてキュンキュンがブローチをタッチしつつ援護した。
「キュンキュンレーザー!」
「ンダッ!?」
ダークランダーは珍しくその攻撃をまともに受けると少しだけ後ろに下がり、大きな隙を晒してしまう。そして、そこに突撃していたアイドルが到達しつつ跳び上がった。
「はぁあああっ!」
アイドルは落下の勢いを利用しながらブローチをタッチ。右腕にピンク色の光を集約して拳を振り抜く。
「アイドルグータッチ!」
「ダーク!」
しかし、その瞬間にダークランダーは何かを企んでいるのか……目が怪しく光る。それを見てキッスが声をかける。
「アイドル、気をつけて!何か企んでるわ!」
「えっ?」
アイドルはダークランダーが何かを狙っていると聞いて驚いたような顔をする。そのタイミングでダークランダーは右手に構えた筆を左腕の籠手として武装していた絵の具パレットの上に乗っている絵の具に付けてすかさずそれを振り抜いた。
その瞬間、ダークランダーの前にエネルギーのバリアのような物が生成されるとアイドルからの拳を真っ向から受け止めてしまう。
「えっ?」
「う、嘘!?あれって……」
「空中にペイントする事でバリアを作り出した……」
この辺りは流石は画家が素体となったダークランダーと言うべきなのだろう。
どちらにせよ、無からいきなり物を生成する能力を持つ敵は厄介だ。しかも、普通の敵はモチーフとかで何が来るかをある程度予想する事はできる。しかし、今回のダークランダーはそうも行かない。
「これは厄介な敵ですね」
「ダークランダー!」
更にダークランダーはアイドルが一旦後退した瞬間、すかさず飛沫によるエネルギー弾を発射。それに対してプリキュア側は回避では無くウインクがバリアで防御する。
「ウインクバリア!」
すると飛沫その物はそこまで大きな威力にはなり得ないのか。ウインクバリアで受け切る事に成功。
「「はぁああっ!」」
そして、いつの間にかダークランダーを両サイドから挟むように移動していたズキューンとキッスが跳び上がると2人が同時にキックを繰り出す。
「クラ!」
するとそれに対してダークランダーはパレットの絵の具を筆を付けると更にもう一つの色を筆に付け、パレットの空きスペースで色をミックスさせた。
「ッ!?」
「何をするの!?」
ズキューンとキッスが驚いた顔つきを見せる中、ダークランダーはミックスさせた色をそのまま体の中へと取り込んだ。
「ええーっ!?」
「自分に色を入れた?」
その瞬間、ダークランダーは先程までとは比べ物にならない程のスピードを発揮。ズキューンとキッスからのダブルキックを超高速のスピードであっさりと回避してしまう。
「速っ!?」
「くっ!?」
「ランダー!」
「「きゃあああっ!?」」
ズキューンとキッスはダークランダーが高速化したのに対して対応すら出来ずにダークランダーから筆による攻撃を受けて吹き飛ばされてしまう。
「こんなに速くなったら攻撃なんて当てられないよ!?」
「どうしたら……って、あれ?」
すると次の瞬間、ダークランダーが身に纏っていたオーラが消え去ると先程まで発揮していた超スピードも無くなることに。
「スピードが戻った……?」
「あ、もしかして制限時間があるって事でしょうか?」
どうやらダークランダーが使っていたバフ能力もそこまで長時間長続きする物では無いらしい。そのため、ある程度時間を稼いで粘れば効果時間切れは十分狙えそうな感じである。
「スピードが落ちたのなら今がチャンスのはず……」
その瞬間、ダークランダーに吹き飛ばされていたズキューンが体勢を立て直すとダークランダーに接近しつつ手に化粧コンパクトを取り出してアイカラーを塗る。
「ズキューンバズーカー!」
ズキューンが放ったエネルギー砲はダークランダーにむかっていく。しかし、ダークランダーはすかさずそれに対応してきた。
「ダークランダー!」
「えっ?さっきと同じバリア?」
ダークランダーが展開したのは先程アイドルグータッチを防いだときのバリアである。ただ、バリアの色合いが多少異なっており……そこにウインクは嫌な予感がした。
「ズキューン、気をつけて!」
「えっ?それってどういう……」
「ランダ!」
ウインクが慌てて注意した瞬間、ダークランダーの掛け声と共に先程ズキューンが放ったズキューンバズーカーがいきなりダークランダーの作り出した障壁にぶつかって跳ね返されてしまう。
「えっ、危なっ!?」
ズキューンはどうにか自分の放った技にやられるという事態は避けたものの、先程とは違って反射する系の防御を行った事にズキューンは困惑。他のプリキュア達もダークランダーの多彩な能力に翻弄されつつあった。
「ダーク!」
「ッ、今度は何?」
5人がダークランダーの方に視線を向けるとまたダークランダーは自らの体にペイントする形で色を塗る。その瞬間、今度はダークランダーの体が風景に溶け込む形で一体化。プリキュア達の前から姿を消してしまう。
「姿が消えた!?」
「でも、そこにいる事は変わらないでしょ?」
アイドルがダークランダーのいた場所に突っ込むと蹴りを放つ。しかし、アイドルの攻撃は空を切るのみで不発に終わってしまった。
「ッ!?」
「皆、気をつけて!何処にいるかわから……きゃあああ!?」
ウインクはアイドルの攻撃が透かされた時点でダークランダーが不意打ち狙いだという事に気がつく。だが、ダークランダーはウインクが注意喚起を言い終わるよりも早く彼女へと不意打ちで手にした筆を叩き込む。
姿を消された上に不意打ちでは幾らバリア持ちであるウインクさえもどうする事もできず。彼女は吹き飛ばされて近くのキノコに叩きつけられてしまう。
「一体どこに……」
「こうなったら動き回って探すしかありません!その場に留まっても狙い撃ちされるだけですよ!」
「えっ!?待ってキュンキュン!」
キュンキュンはダークランダーの能力を厄介だと感じたのか。ただ立っているだけではダークランダーからみたら絶好の的でしか無いと考えて動き回る事を考える。
それを見たキッスはキュンキュンに別の案を提示しようとするが、こうなったキュンキュンは止まらない。1人で先程までダークランダーのいた場所へと向かって行く。
「ダークランダー!」
すると、ペイントの効果時間が終わったのか。キュンキュンの前にダークランダーが姿を現した。
「ッ!?そっちから来てくれるのなら!」
キュンキュンは拳を繰り出そうとして振り上げる。そして、それがダークランダーに当たった……その瞬間。
「ッ!ええっ!?」
「こ、今度はそこにいるのに攻撃が透り抜けたぁっ!?」
直後にダークランダーの姿が薄く溶けて消えるとカウンターとばかりに手にした筆による一撃がキュンキュンの無防備な腹に命中。
「がはあっ……ああああっ!?」
キュンキュンが地面に叩きつけられると痛みに悶えてしまう。キッスはこの様子に嫌な流れを感じていた。
「(不味いわ、このダークランダー。1発1発はそんなに強く無いけど……兎に角時間を稼ぎながら私達を消耗させてるって感じ)」
恐らく、キッスはダークランダーのこの様子からダークランダー側も無理に自分達を倒そうとしているわけでは無いと察する。
そして、今回のダークランダーはチョッキリ団の幹部では無くダークイーネが直接召喚したと思われる点。更にアイドルプリキュアをわざわざ分散させた事。それらからキッスの脳裏にある予感が感じ取れた。
「まさか、今回の襲撃の狙いって……」
「キッス、危ない!」
その瞬間、ダークランダーは考え事をしていたせいで注意力が散漫になっていたキッスを狙うと手にした筆を振るう事による飛沫弾を彼女へと発射。
「ッ!?しまっ……」
「はあっ!」
キッスが慌てて防御しようとすると彼女と飛沫弾との間に割って入る形でアイドルが助けに来ると逆に飛沫弾を弾き返す事になる。
「大丈夫?」
「ええ、助かったわ」
「クゥラ!」
しかし、ダークランダーの猛攻はまだ止まらない。今度はペイントによって腕がいきなり伸びると手にした筆を横薙ぎにする形で散らばっているプリキュア5人へと同時攻撃を仕掛けた。
「うわっ!?」
「「ッ!!」」
「そんなのには……」
「当たりません!」
プリキュア達はそれを回避すると一箇所に集結。そこでキッスはこのダークランダーが囮である可能性が高い事を話す。
「えっ!?つまりこのダークランダーを出した目的は……」
「他の場所を襲うための陽動……」
「えっと……陽動って何?」
するとズキューンはやっぱり難しい事はわからないようで。陽動の意味を聞き返してしまっていた。
「陽動というのは自分達が行きたい場所に向かうために敢えて別の場所を襲って敵をそちらに向かわせる事です」
「なるほど……って事はチョッキリ団はどこに行きたいんだろ?」
ズキューンはキッスから改めて説明を受けて考える。するとダークランダーはプリキュアが作戦会議をするという無防備な姿を晒しているにも関わらず、律儀にそれが終わるのを待っていた。
「……ダークランダーが無理に私達を攻撃して来ないのを見るとやっぱり本命は別であるみたいだね」
「まさか……カゲ先輩の所を狙ってるとかじゃありませんよね?」
「……可能性としてはそれが一番高いと思うわ」
ダークランダーが攻撃して来ない所からウインクはダークランダーの狙いが自分達をこの場所に釘付けにしておく事が目的だと察すると同時にキュンキュンはこの場にいない影人の所を狙っていると予想。
キッスもキュンキュンと考えは同じなのか、彼女の考えに同意する。そして、ダークランダーの狙いがわかったのであればプリキュア達はそれに対応しないといけない。
「それだったら影人の所に行く?」
「でも、このダークランダーを放置するわけには行かない」
ここでプリキュア側に取れる手は大きく分けると三つに区切る事ができる。1つ目はこのダークランダーを放置して影人を助けに行く。
しかし、ダークランダーを放置するという事は危険な野獣を野に放つのと同じ。アイドルプリキュアのポリシーの観点で考えてもこの案は選べない。
「それなら先にダークランダーを浄化します?」
「確かにこのダークランダーを浄化するのも一つの手。……だけど」
2つ目は敢えて影人の元に行くのを後回しにしてこのダークランダーを浄化する事。5人で戦った方がダークランダーに対応しやすいのもあるだろうし、影人ことソウルビートの強さならある程度なら粘ってくれるだろう。だが、これにもリスクは存在する。
「このダークランダーを素早く倒せるかな……?私は影人君を助けに行った方が良いと思う」
「うん、私もアイドルに賛成だよ」
それは、もしこのダークランダーに苦戦して助けに行くのが遅れれば影人を見殺しにする危険が跳ね上がる事だ。
本命が影人の方である以上、影人の方を長時間放置するわけにも行かない。それにこのダークランダーを相手にする際に5人でも対応し切れない部分がある。なのでここで無駄に時間を稼がれるくらいなら助けに行くべきだろう。
「そうね、影人を助けに……」
「ダーク……ランダーッ!」
その瞬間、話し合いをしていたプリキュア達へとダークランダーが不意打ちを仕掛ける。プリキュア達はそれを回避しつつダークランダーがいきなり攻撃を仕掛けてきた事にその行動原理を考えた。
「ッ、やっぱり攻撃してくるよね?」
「うん、私達が影人君を助けに行こうとしたから妨害したって感じ」
この様子だとダークランダーにとっての地雷行動は影人を助けに行く動きらしい。
「……ウインク、キュンキュン。2人が行って」
「アイドル……良いんですか?」
「うん。影人君がいる方にはレイ君もいる。だから2人が行った方が良いかなって」
すると、チームのセンターでありリーダーのアイドルがウインクとキュンキュンを向かわせる事を決定。キッスもそれには頷いた。
「そうね、私はハートガーデンの維持もあるしここを離れられない。それに、ダークランダーを浄化するにはアイドルの力は必須よ」
「キッスが残るなら私も一緒に残りたい。だから2人共、お願い!」
ズキューンもアイドル達の意見に賛成し、これでウインクとキュンキュン以外のメンバーが納得した事になる。
「ッ……皆さん、ありがとうございます!」
「絶対に影人君達のピンチに間に合うから。アイドル達も負けたらダメだからね!」
ウインクとキュンキュンはアイドル達3人にここを任せて移動を開始。ダークランダーは勿論その動きを妨害しようとする。
「ダーク……」
「チュッ、キッスショック!」
「ンダァアアッ!?」
それに対してキッスはダークランダーの意識が2人の方を向いたタイミングを狙ってキッスショックを命中させるとダークランダーはその体を痺れさせた。
「あなたも聞いていたはずよ。……ここは絶対に通さない!」
「私達の力でキミもキラッキランランにするよ!」
「ここからは私達のキラキラショータイムだから!」
ダークランダーはプリキュア達と睨み合う中、ウインクとキュンキュンはハートガーデンを離脱。恐らくその後は影人の元に向かうだろう。アイドル達はそんな彼女達のためにも目の前にいるダークランダーをキラッキランランにするために戦う事を誓う。
「ダークランダー!」
「2人共、行くよ!」
「任せて!」
「ええ!」
そのまま3人はアイドルの掛け声と共にダークランダーと戦うべく走り出す。ダークランダーはこれに対して飛沫弾を飛ばしつつ対応するのだった。
また次回もお楽しみに。