キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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高鳴る魂 キュアソウルデビュー

影人が救出される少し前。アイドルは歌いながら戦闘をするスラッシューと交戦していた。

 

〜挿入歌 DARK FLARE THR WORLD〜

 

「さぁ漆黒の世界で♪心燃やしていく♪」

 

スラッシューは歌う事により出力を向上させるとアイドルへと拳を振るう。アイドルは何とかそれに対応するために守りを固めた。

 

「希望、照らす光さえ♪消えていくのだから♪」

 

「ッ、強い……でも!」

 

アイドルはスラッシューからの攻撃の隙を見てわざと後ろに思いっきり跳ぶとスラッシューの拳の射程から外れる。更に跳んだ先にある電柱に脚を付けるとすかさず飛び掛かるとアイドルはキックを放つ。

 

「はあっ!」

 

スラッシューはそれをガードするが、アイドルのパワーに押されて後ろに下がる。

 

「(ッ……。やるわね、流石は最初に覚醒したプリキュア。他の二人とは経験値が違うってね。ただ……)」

 

スラッシューが更に歌を歌うと激しく燃え滾る炎を手に集約。それを射出する。

 

「私の心が叫んでく♪この、鼓動見失わずに〜♪(Blaze up in my soul)」

 

火炎弾がアイドルへと跳んでいく中、そこに追加する形で熱線による斬撃波を連発する。

 

火炎連刃斬(かえんれんじんざん)

 

技のカットインが入るとアイドルは火炎弾との合わせ技で逃げ道を失っていく。

 

「くっ!?」

 

「絶望の果てにある♪深淵の炎掴んでくの♪ 今、握りしめた力……♪天を闇に染めて♪熱く燃え立つ♪」

 

アイドルが回避に専念する間にスラッシューの歌はサビへと向けた盛り上がりに入り、更に昂った炎を手にすると脚に力を込めて一気にアイドルの懐へと踏み込む。

 

「はあっ!」

 

アイドルはそれに合わせてスラッシューへと突っ込みながらブローチをタッチ。技で対抗する。

 

「アイドルグータッチ……はぁああっ!」

 

二人の拳がぶつかると衝撃波が発生。ただ、やっぱり出力は圧倒的にスラッシューが上。アイドルは押し負けると吹き飛ばされてしまう。

 

「ああっ!?」

 

「絶対染めてみせる♪絶望の闇♪届かないHope♪胸踊る我が焔♪誰にも邪魔させない♪」

 

その炎は歌詞にある通り誰にも止められないと言わんばかりに熱く、そして黒い炎として燃え上がる。アイドルは何とか着地はできるものの、もう既にスラッシューは次の技の体勢に入っていた。

 

「生み出される♪地獄への獄炎だから♪あなたの希望、燃やす♪歌うの誰かのため?違う、私自身のために♪」

 

スラッシューが手を掲げると彼女の真上に地面から湧き上がった炎が集約していく。それは巨大な黒い火球となるとそこから漆黒の龍が生まれる。

 

「ッ……」

 

アイドルは龍に睨まれると恐怖で体に震えが出てしまう。その直後、黒い龍がアイドル目掛けて飛んできた。

 

深炎黒龍波(しんえんこくりゅうは)

 

龍の炎がアイドルへと命中すると凄まじい量のエネルギーが限界を突破して爆発。それがアイドルの姿を覆ってしまった。アイドルから悲鳴は聞こえず、恐らく彼女は悲鳴をあげる間もなくエネルギーに飲まれて気絶したという事だろう。

 

「ふふっ。他愛も無いですね。……アイドルプリキュア、私の買い被りだったみたいでガッカリですよ」

 

スラッシューとしては正直物足りなかった。いや、物足りなさ過ぎたのだ。もっと自分の歌や熱を引き出してくれる。そう思って彼女達が本気で戦える状況を作り出したのに彼女達はまだまだ自分が自ら手を下すようなステージにはいないのだと。

 

「……さっさとキュンキュンを片付けて彼女達と絶縁したブレイクを連れて撤収しましょう。黒霧影人は彼女達が私と並ぶに相応しい力を手にするまでこっちで預かっておくとして……」

 

その瞬間、マックランダーが飛ばされてくるとそこにキュアウインクが満身創痍ながらも声を上げる。

 

「はぁ……はぁ……これ以上、あなたの好きには……させ、ううっ」

 

ただ、マックランダーを地に伏せさせるだけで限界なのかウインクはその場に崩れ落ちると両手をついて肩で息をしている状態だった。

 

「ふーん。少しは根性があるみたいね。でも、その程度ならもう私が相手をするまでも無いわ。それにキュアアイドルは私が始末しました。……あなた達に勝ち目なんて無いわよ」

 

ウインクは悔しそうに俯くものの、荒い息と動かない体のせいでまともに戦う事もできない。

 

「……それはどうかな」

 

すると突如として聞こえてきた男の声。そしてその声を聞いてスラッシューは勿論、ウインクや近くにいたレイ、プリルンも驚きを隠せなかった。声のした方を見ると先程黒龍のエネルギーがアイドルを攻撃し、爆発した場所から聞こえてきたのだ。黒龍のエネルギーは爆発が収まっていくと共に何かに吸われていくように吸収されていく。

 

そこにいたのはキュアキュンキュンよりも濃い紫の髪で先端が薄めの黒、クリムゾンと言えるカラーリングの瞳。更に服装は男性アイドルが着ているような両肩に金のエポーレットが装着された王子様のようなバイオレットメインの服で差し色として黒のラインが入っている。左胸にはアイドルキラキラブローチが変化した装飾もあった。

 

また両腕の袖は半袖で右腕には手の付近が白に指から伸びる五本の薄紫のラインが入りそれは手の甲で一つに纏って手首からはバイオレットのカラーをしたロンググローブを装着。逆の手は同様のデザインであるものの、手首より先は存在せずに左右非対称であった。ただし、それを補うかのように左肩からバイオレットのマントが出現。更にそのマントの内側は黒で表裏で色合いが違うのと、先端には金の装飾もある。

 

下半身は黒を基調とした半ズボンでこちらはバイオレットは差し色のライン程度に収まっている。ただ、腰から伸びているローブがバイオレットのためにそこまで下半身でバイオレットが少ないとは思えない。両脚のブーツは膝下まで来るロングブーツで濃い紫がメインで薄紫が靴の先端に差し色として入っていた。

 

「新たなアイドルプリキュア……ッ!?いや、その胸のアイテム……まさか!?」

 

スラッシューはその男が左胸に装着しているアイドルキラキラブローチを見て目を見開く。それと同時に彼の後ろにおり、攻撃の直撃を免れたアイドルやその様子を見ていたウインク、レイ、プリルンも先程の声でこの男の正体に察しが付いていた。

 

「悪いな、……やっぱりお前について行くのは無理そうだ。スラッシュー」

 

「ふふっ……あははははっ!!」

 

すると男の言葉を聞いて何故か笑い始めるスラッシュー。それと同時に彼女の手に何か丸く黒い球体が生成されると彼女は球体の生成に一安心したのか、それを見てから男へと問いかけた。

 

「確かにそのようね。……私の作戦は失敗。そう来ないと面白く無いわ」

 

スラッシューは自分の作戦が失敗した事を察すると笑みを浮かべる。それはまるで彼女がこうなる事を期待していたと言わんばかりであった。

 

「随分と余裕だな。これで形勢逆転だろ?」

 

「ええ、そうね。……私も久々に歌って歌い疲れたわ。今日の所はこの辺にしておきましょう。……っと、最後に。あなたの名前だけ聞かせてくれます?」

 

スラッシューがそう問いかけると男は他の三人がやるように戦士として……アイドルプリキュアとしての名乗りを言い放つ。

 

「キミと昂る、ハートの情熱。高鳴る魂、キュアソウル!」

 

彼の名はキュアソウル。新たなるアイドルプリキュアの誕生であった。そして、その名乗りを聞いたスラッシューはニッと笑みを浮かべる。

 

「そう。……その名前、大切にしなさいよ。黒霧影人君」

 

そう言ってスラッシューは自身の足元に熱線による斬撃をぶつけると爆発と共にその姿を消失。その場には彼女が残したマックランダーのみがいた。

 

「マックランダー!?」

 

完全に放置されたマックランダーが困惑する中、影人と呼ばれたその男はマックランダーと対面する。そのタイミングで後から歩いてきたキュンキュンも到着。ただ、彼女も酷く消耗しているためにアイドルがそれを見て心配する。

 

「キュンキュン、大丈夫!?」

 

「はい、私は大丈夫です」

 

「良かった……。スラッシューが言ってたアレ、本当にそうなの?」

 

アイドルの問いにキュンキュンは力強く頷く。先程まで一緒にいたと思われるキュンキュンが頷くなら間違い無い。

 

「あの野郎……やっと一皮剥けたのか」

 

「キュアソウル、頑張るプリー!」

 

レイが笑みを浮かべるとプリルンもペンライトを振る。カラーリング的にはキュンキュンと同じ紫ではあるものの、そこはキュンキュンを明るめの紫、ソウルを濃い紫として表す事で被りを避けている。

 

「ああ。任せろ」

 

「マックランダー!」

 

するとマックランダーはホログラムによるアバター召喚で六体に増加。そんなマックランダーを見てソウルはブローチをタッチする。その瞬間、ブローチから何かが飛び出すとそれがソウルの手に具現化する。

 

「ソウルメガホン!」

 

それはバイオレットの筒状に黒の取っ手が装着された早い話が拡声器……メガホンである。そして筒の途中にはダイヤルのようなパーツがあり、それによってピンク、青、紫、白、黒の五つの区分けがされていた。

 

「響け、ソウルソニック!」

 

ソウルがそう言いながら声をメガホンにぶつけるとそのエネルギーがメガホン内部で増幅。エネルギーの音として周囲に響き渡るといきなり分身体も含めたマックランダーの力が弱まっていく。

 

「マックランダー……」

 

これにより、五体は分身の力を維持できずに次々に消滅。そして、残された一体がソウルへと突撃してくるとソウルはメガホンを消してその拳を受け流しながら勢いを殺さずに掴んでぶん回す。

 

「はぁああっ!」

 

「マックランダー!?」

 

マックランダーが近くの壁に激突するとダメージを受けて崩れ落ちる。ソウルの戦い方は自ら大きく動かずに敵からの攻撃を上手くいなして攻撃の起点にするカウンタースタイルに見えた。

 

「ソウル強っ!?」

 

「相手の力を利用して攻撃とかアイツらしい……あっ!?」

 

「どうしたの?レイ君」

 

「女王様が言ってたベクトルの違う輝きって……そういう事かよ!」

 

ウインクとプリルンが訳がわからずに首を傾げる中、マックランダーは苛立ったのかエネルギービームを画面から射出する。するとソウルはソウルメガホンを取り出すとそのダイヤルを青に合わせた。

 

「ウインクの力、ソウルアブゾーブ!」

 

するとメガホンから展開された青の円形型エネルギーバリアが正面に現れると攻撃が直撃した瞬間にその力をブラックホールのように吸収。そしてそれが自身の中に取り込まれた。

 

「マックラン!?」

 

「攻撃を吸っちゃった……」

 

「もう何でもありですね」

 

アイドルもキュンキュンもソウルの出鱈目じみた強さに唖然とする。そして、ソウルは再度ダイヤルを回転させると紫に合わせる。

 

「キュンキュンの力、ソウルバレット!」

 

そして、またメガホンを通して発声すると紫のエネルギーがそこそこ大きめな弾丸として射出。それがマックランダーに命中すると爆発して倒れ込む。

 

「……これで終わらせる」

 

ソウルはメガホンを手にするとメガホンの取っ手を起点に砲身部分を回転させて上方向を向かせる。これはソウルメガホン・ライブモードだ。それと同時に浄化用のフィールドを展開し、ソウルが左耳にピッタリはめ込む形で黒いインカムを装着する。

 

「クライマックスはこの俺!」

 

そして、地面が上へと押し上げられる形で下から飛び出すタイプの登場をするとステージに登場、それと同時に観客達はバイオレットのペンライトを振る。

 

「フィナーレ、決めるぜ!」

 

マックランダーは例の如く強制着席させられており、ソウルが自らの持ち歌を歌い始める。

 

♪決め歌 魂の鎖を解き放て♪

 

「己の力〜♪(my soul!)そんな物はな〜♪(my soul!)鎖を壊し、強くなるためにある♪!君の笑顔を〜♪守るためにな〜♪俺の歌を響かせるから〜♪心燃やせよ魂〜♪」

 

ソウルの歌は一般的な男性アイドルが歌うようなそれとは掛け離れたアップテンポで疾走感のある曲であった。ただ、この個性はソウルの持っている普通の男性アイドルとは違う意味での輝きだった。

 

彼を普通の男性アイドルという考え方で縛る事はできない。そんな意味も込められた彼の歌にその場の全員が思わず見惚れてしまう。

 

そしてソウルが歌い終わると同時にソウルが両手を広げる。すると胸から飛び出した紫の星のエネルギーがソウルを上に乗せ、そのままソウルが空中からその星のエネルギーを後ろから蹴り込むようにして繰り出す彼の浄化技。

 

「プリキュア!ソウルシャウト!」

 

その一撃がマックランダーに降り注ぐとマックランダーは浄化され、ソウルも降り立つと決めポーズを決めるそれと同時にマックランダーが素体の夢乃と共に浄化された後の言葉を言った。

 

「「キラッキラッタ〜」」

 

これにより、マックランダーが消えるとまた新たなキラルンリボンが生成。それをプリルンが付けるとポーズを取った。

 

「プリルンのソウルがシャウトするプリ!……プリ?」

 

プリルンがその場でクルクルと回ってから跳び上がりカッコ良く着地しようとしたが、着地が上手く行かずに後ろにステンと転ぶとキョトンとした顔つきで首を傾げた。

 

ソウルは戦いが終わると一人風に吹かれ、そして光に包まれると変身前の姿を露わにした。それはスラッシューの予想通りかつキュンキュンの言った通り、他の誰でも無い影人その人だったのである。そして、そんな彼を見てプリキュアの三人も変身解除。影人はそれからうた達プリキュアとしての仲間を見るのだった。




今回でようやく影人が味方側として完全復帰かつプリキュアとしての力を手に入れ、変身した後の姿でしたが出てきました。ちなみに変身バンクはまた後程の話で描く予定なのでその時までお待ちください。

また、彼の持ち歌である〜魂の鎖を解き放て〜のイメージですが、これはデリシャスパーティ♡プリキュアのキャラクターである品田拓海のキャラソン、“俺に出来ること”のテンポをイメージしてもらえたらと思います。

作中でも描きましたが、リアルの男性アイドルってあまりアップテンポで疾走感のある激しい曲は歌わない傾向にあるんですよね。ただ、他人と輝き方が違う影人にはそういう常識は通用しないっていう事で割と疾走感のある持ち歌にする事になりました。違和感を感じてしまったのでしたらすみません……。

こんな私の作品でもこれからも読んでいただけるという方はまたこれからもよろしくお願いします。それではまた次回も楽しみにしてください。
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