キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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すみません。前回の後書きで今回から本編に戻るとしましたが、その前にもう一話オリジナル回を挟みますね。それではどうぞ。


家族の団欒 ドリーム・アイの配信

影人がアイドルプリキュアとしての力を手にして戻ってきた。そして、彼はこころと恋人にとしてお付き合いする事になる。

 

そんな日から数日が経過した。この日はその週の木曜日の夜での事。黒霧家は家族四人揃って夜ご飯を食べていた。

 

「「「「いただきます」」」」

 

この日、影人の両親はタイミング良く早く仕事が終わって帰ってきているためにこの状況が成立している。

 

「はむっ!美味しい!やっぱりお母さんの料理は最高だよ!」

 

「そう言って貰えると私も作り甲斐があるわ。ありがとう」

 

「お兄ちゃんもそう思うでしょ?」

 

「ああ。そうだな」

 

影人は素っ気なくそう言うものの、何だか声色が前よりも更に明るい。すると影人の父親、魁斗が影人へと問いかける。

 

「そういや、影人。前と比べて声が明るくなってるけど、何か良い事があったのか?」

 

「別に……。何もねぇよ」

 

「あー!お兄ちゃん、あの事隠したの?」

 

「ッ!?夢乃、お前何言って……」

 

影人が夢乃にそんな風に言われて一発で動揺してしまう。そんな彼が焦る中、魁斗はニッと笑みを浮かべる。

 

「その感じだと、お付き合いまで持って行けたらしいな」

 

「……は?」

 

魁斗にそう言われて影人は凍りつく。“お付き合い”という単語を聞いて影人の頭の中が真っ白になるとバグるのを感じているのである。

 

「父さん……お付き合いって……?」

 

「お前が一番良く知ってるだろ」

 

「こころちゃんとお付き合い、してるんでしょ?」

 

「か、母さんも!?何で……」

 

影人は両親に共に知られている事実に完全に動揺してしまう。すかさず彼は夢乃の方を向く。夢乃にはこころとお付き合いを始めた日に帰った後速攻でバレたために諦めていたが、まさか夢乃が両親にバラしたのかと考えたのである。

 

「お兄ちゃんが私を疑ってる顔してるから先に言っておくけど、私からは何も話して無いよ」

 

「……え?」

 

それなら何故両親にこの事実がバレてるのか。まるで理由がわからなかった。

 

「……実はね、この街に引っ越してから少しして、買い物に行った時に偶然こころちゃんのお母さんと会ってね」

 

実は影人達の母親である理沙がこの街に来て少ししたタイミングで、食料品の買い物に行った際に偶然こころの母親こと紫雨愛と出会ったのだ。その際に愛がした落とし物を理沙は拾って渡したのである。そのまま二人は意気投合して仲良くなると偶に連絡を取る関係に発展。

 

更に家族内での情報を元にお互いの子供が仲良く、今にも恋人関係になりそうというの共有していた。加えて、ここ数日の影人とこころの動向を見た感じから二人は付き合ったのだと察したのである。

 

「いやー、あんなに暗かったうちの息子がいつの間にか彼女持ちとはなぁ」

 

「ッ、父さんも母さんも興奮すんな。確かにこころと俺は恋人になったけど、その……まだ始まったばかりだし……」

 

「またまたぁ……。こっちに来て二ヶ月と経たない間に友達どころかもう可愛い年下彼女まで作っちゃって。憎いねぇこの!」

 

魁斗からグイグイと膝で軽く押される影人。最早両親相手にもこころとの関係は隠せなくなってしまっていた。……というよりは完全に双方の親の間では前々から話題になっていらしい。

 

「それで、うちにはいつ紹介してくれるのかしら?」

 

「まだだって。気が早いんだよ」

 

「えー?こころ先輩だったら私達は皆歓迎するよ?」

 

「夢乃まで便乗すんな!!……そのうちするからまだ大人しく待ってて」

 

影人は仕方なくそう言って家族からの追及を免れた。尚、紫雨家の方でもこころが母親の愛や祖父母に同じように影人との関係について言われたのは余談である。

 

それからご飯を食べ終わった影人と夢乃はとある事をするために準備を始めた。そして、セッティングが終わると影人が夢乃へと声をかける。

 

「……夢乃、準備は良い?」

 

「うん。……大丈夫よ」

 

夢乃の声色は先程までと打って変わって余裕のある掴み所の無い女性のような声色となっていた。

 

「スイッチは入ったな。じゃあ、やるよ」

 

それから影人がとあるボタンをクリックしてスタートすると夢乃が向き合うパソコンの画面が待機状態へと変化。すぐに影人は音を立てないように部屋から退避。そして、それから数分後。夢乃の前にあるパソコンの画面が配信画面へと切り替わった。

 

「あ、あ、皆聞こえてるー?」

 

そんな風に話す夢乃。近くには○天堂の家庭用ゲーム器である○witchが接続状態であり、そのゲーム画面がパソコンに共有されていた。そして夢乃が手にしているのはそのコントローラである。

 

「お、皆返してくれてるねー。じゃあ、今日の配信始めるね〜。初見さんもいると思うからまずは挨拶から。……初見さんは初めまして、前回の配信から知ってる皆はこんばんは。……ドリーム・アイの夢にようこそ。今日も良い夢見ていってね〜」

 

夢乃が始めたのは彼女の裏の顔であるドリーム・アイの配信であった。今回の配信は数日前に影人が行方不明になったせいで流れた分の振り替え配信である。

 

「この前は急に中止にしちゃってごめんね〜。代わりに今日はいつもより良い夢を見せてあげるからね」

 

夢乃の話し方はいつもの幼い声色とはまるでかけ離れていた。まるで人が変わったかのようである。するとコメント欄には配信を楽しみにしてくれたリスナーからのコメントが流れていった。

 

「今日やるのは告知通り、○プラトゥーン3だよ〜……ん〜?また被害者が増える〜?私は至って真剣にプレイしてるだけなんだけどなぁ」

 

夢乃がドリーム・アイとしてやっているのは巷で有名な○プラトゥーン3である。

 

夢乃が苦笑するとコメント欄では普段は緩い言葉遣いなのにゲームをやる時だけいつも魔王化するというコメントが幾つも出てきた。

 

「魔王だなんてそんな〜。あ、でも皆がそう言うってことは私から溢れるオーラが隠せて無いって事だよね?ふふっ、困った困った」

 

それから早速夢乃がプレイのための部屋に入ると準備を済ませて対戦を開始。今回は夢乃が部屋を作ってそこにリスナーが参加する視聴者参加タイプだ。

 

夢乃のVtuberとしての名前であるドリーム・アイ。そのチャンネルは既にここ一年半ぐらいの夢乃の根気強い配信によって登録者を41万人にまで増やしていた。

 

「え〜?“この勝負に勝ったら嫁に来て?”ん〜。どうしよっかなぁ……」

 

夢乃の元に来た対戦相手からのコメントにコメント欄は騒然とする。対戦相手を非難する声や逆に対戦相手に無謀だと煽る言葉もあった。

 

「……わかった、その勝負乗るね」

 

夢乃の言葉にコメント欄のコメントは更に加速。それは対戦相手に同情する声や夢乃の言葉に驚く初見の人の声、加えてドリーム・アイの保護者のようなコメント主達からの心配のメッセージもあった。

 

「“逃げたらダメだからな”って。うん、逃げるつもりは無いから安心してね〜。……その代わり、後悔は無しだから」

 

それから夢乃はゲームを開始するとその三分後、夢乃のチームは圧勝していた。塗られた面積比は大体7対3で圧倒的な夢乃のチームの勝ちである。

 

「“何でそんなに強いの?”うーん。私を本気にさせた……から?でも安心してね〜。私はまだ全力出してないから」

 

ちなみに夢乃が使っている武器はリッターと呼ばれる簡単に言えば狙った場所に確実に当てられるエイム力がとてもいる武器である。彼女のこの武器での戦闘スタイルはとにかく射程に入った敵を一方的にキルしまくる事だ。

 

「でもここまで圧倒的になったのは皆が塗りをやってくれたお陰でもあるし、仲間として一緒に戦ってくれた皆もありがと〜」

 

夢乃の使う武器はナワバリを取り合うルールでは不利になりやすい。何しろ弾であるインクの消費が激しいのに加えて機動力も低く、近距離まで接近されたらまず勝てない。……そのはずなのだが、そもそも敵が夢乃に近寄る事すらほぼ無いのだ。

 

偶に不意打ちされてやられることもあったが、殆どの時間を夢乃は生存して敵をキルし続けた。この容赦のない敵をキルする行為こそが夢乃がドリーム・アイとして活動する際の彼女の異名である魔王にも繋がっているのである。

 

「じゃあ二戦目行くね〜」

 

それから夢乃は試合を重ねていくとその度に出てくる対戦相手をゆる〜い声色で話しながら蹂躙していく。

 

「そういえばさ、ここ最近巷で有名なアイドルプリキュアが増えたっていうのは知ってる?」

 

夢乃からの問いかけにリスナー達が反応するとそこには知っているという趣旨の内容が殆どだった。

 

「うんうん、なんかまた今日の朝起きたらまた新しいライブの動画が増えていたんだよね〜。しかも二つも!……流石の私も妬いちゃうなぁ」

 

夢乃がそう言いながらまた一人敵を葬る。彼女が話しているのはまたいつの間にか増えていたキュアキュンキュン、キュアソウルの動画であった。

 

「皆の推しは誰?」

 

夢乃が話を振るとその意見は様々だった。とは言ってもその殆どは四人の中で特定の一人を推す者、四人全員を推すという所謂箱推しをする者だが。

 

「私?私はね、キュアウインクかな。……どこが好きかって?私は五線譜を描くポーズかな。あと個人的にウインクって名前も好きかな。……ウインクって勇気を出してくれるおまじないみたいだしね〜」

 

そして、そんな風に雑談もこなしながら三時間程やった所で配信終了の時間となった。

 

「最後の試合も終わったし、そろそろ終わりの時間かな。……今日の夢も楽しんでもらえたかな?それじゃあ、また次の夢の中でも会おうね〜」

 

こうして、夢乃のこの日の配信は終了。それから配信の画面が切れた事を確認。影人からのサイレントでメールが出ると彼の方からもちゃんと配信が終わった事が確認できたと通達される。こうする事で切り忘れによる事故を防いでいるのだ。

 

それから影人が片付けのために夢乃の部屋にノックして入ると夢乃へと問いかけた。

 

「……夢乃、話の中であった新しいプリキュアの話……ガチ?」

 

「え?お兄ちゃん知らなかったの?キュアキュンキュンとキュアソウル。この二人のライブ動画がいつの間にか増えてたんだ。二人共紫でメンバーカラーが若干被ってるけど、そんな事なんてどうでも良いぐらいに二人共魅力的なんだよね!」

 

そんな風に配信モードから普通の声色になっている夢乃。この声の切り替えもすっかり板についている。

 

「……そっか」

 

「お兄ちゃんはこの二人も入れたら誰推し?」

 

「俺?俺は……一人には決めきれないかな。優柔不断かもだけど、そのくらい皆魅力的だと思う」

 

「そうなんだね。あ、そうだ。もしさ、アイドルプリキュアと縁があったら……一緒に配信してみたいな〜……なんて」

 

夢乃としてはアイドルプリキュアと配信できるならしたいという願望があった。それは夢乃がアイドルプリキュアをそれだけ凄い人達だと感じたからである。

 

「……そうだな。確かにアイドルプリキュアが入ってくれれば良い配信にはなるだろ」

 

ただ、影人はそれがあまり期待できない事を知っていたために夢乃の夢を壊さないように彼女へと相槌を打つことに。

 

「さて、そろそろ反省会兼メンタルケアするぞ」

 

「お願いしまーす」

 

それからこの日の配信の反省及びメンタルケアをする。ただし、配信が少し長めだった事もあって夢乃の寝る時間の確保を重視して今日は軽めに済ませると翌日また改めてやるという話になるのだった。




また次回もお楽しみに。
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