キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
黒霧影人……CV:松岡禎丞さん
黒霧夢乃……CV:石見無菜香さん
黒霧魁斗……CV:古川慎さん
黒霧理沙……CV:長谷川育美さん
以上です。まだこれからオリキャラは出てくるかもですが、現時点でわかっている範囲のオリキャラだと以上となります。それでは本編をどうぞ!
影人とうた、プリルンが三人でいる所をこころか目撃し、三人がある場所に向かったその頃。この世界のどこかにあるプールバー。そこではビリヤードをする一人の女性がいた。
「この世界にも溢れているねぇ。目障りなキラッキラが」
女性は灰色の髪に黄緑の差し色をしており、紫のアイシャドウに口紅。更に服や髪に付いているリボンはワインレッドのような暗めの赤である。そんな彼女はボールを打ってからビリヤードをするためのキューを教師が使うような指示棒のように手にしていた。彼女の名はチョッキリーヌである。
「カッティー、ザックリー。アタシ達チョッキリ団が、世界中をクラクラの真っ暗闇にするんだよ!」
「「イェス!ボス!」」
そう言うのは部下と思われる二人の男だ。一人は黄緑の髪をオールバックにしつつ強面の顔つきで尚且つ、顔の見た目通り体も屈強な姿をしている。また服の色は紺色とも言える暗めの青であった。もう一人は深緑の髪を小さめなリーゼントヘアにしつつオレンジの差し色が入った髪が緑の髪の内側に並んでいる。体つきはもう一人と比べると割とスリム体型であった。ちなみに三人の共通点として服にある鋏のマークが印象的である。
彼等の名はチョッキリ団と言うらしい。話している内容からして恐らく、この三人がプリルンがキラキランドからこちらの世界にやってきた要因なのだろう。
「では今日は自分……カッティーが!」
そう言って一人行こうとする巨漢の方……カッティー。そしてそれを見たもう一人の男、ザックリーが文句を言う。
「うぉい!ふん!ったく。自分カッティーな奴だぜ」
「……チョッキンしてくるが良い。人間達のキラキラを。……ダークイーネ様のために」
そう言ってカッティーを送り出すチョッキリーヌ。それに応えるようにカッティーは街へと出撃するのであった。
場面は戻って影人達。彼等はうたの案内の元、花が咲いた状態がピンクのハートの形をした桜の木が近くにある展望台へと来ていた。
「着いた!ここ、私の好きな場所なんだ!」
「……そういえば、ここからは街が見渡せるんだっけな」
一応影人は事前調査のおかげでこの場所は初見では無い。そんな中、プリルンは街を見渡しながら嘆くように話し始めた。
「……プリ……。キラキランドもとっても綺麗な所だったプリ」
プリルンが元々いた場所、キラキランドはその名の通りキラキラと輝いているような場所であったらしい。プリルンが言うにはある日、先程チョッキリーヌが言っていたダークイーネと呼ばれる存在に襲われて真っ暗闇になってしまったようなのだ。
「ダークイーネのせいで、キラキランドから光は消えてしまったプリ……」
「そうなんだ……」
「……その話し方でプリルンが俺達を茶化してるわけじゃないってやっと信じられた。それと、プリルンにも色々大変な事情がある事もな。……悪かった。今まで疑ってて」
プリルンのシュンと落ち込んだような顔つきを見た影人はプリルンの言っていた事を胡散臭いとか言う理由で疑っていた昨日までの自分が恥ずかしくなった。そのために影人はプリルンの頭を優しく撫でる。
「プリ……キラキランドを救えるのはアイドルプリキュアだけプリ!……なのに、プリルンは見つけられないプリ……」
そのまま泣き始めてしまうプリルン。影人は片手でプリルンの頭を慰めるように撫でつつも、もう片方の手で強く拳を握りしめていた。
「ッ……」
影人にはプリルンの言っているアイドルプリキュアのようなキラキランドを助けられる力も無い。だからって今のプリルンを自分が慰められるかと言えばそうでも無いという事実に彼はとても悔しかった。
「プリルン〜私と手繋ごう♪一緒にいようね〜♪きっと〜ずっと〜きっと〜もっと♪笑顔でいられるから〜♪」
そう言ってプリルンを慰めるための歌を歌ううた。そんな彼女はプリルンへと手を差し出しながら歌うとプリルンは涙を目に溢れさせながらも、心は軽くなっていく。
「プリ〜……うたー!!嬉しいプリ!プリルン、キラッキランランプリ!」
そう言ってプリルンはうたの胸に飛び込むと嬉しそうに頬擦り。影人はやっぱりうたの歌声には誰かの心を照らせるだけの力があると思い知らされた。
「……うたさんは、凄い……。俺にはできなかった事をあんな平然と……」
すると影人の脳裏にある光景が映る。それはステージの上にポツンと一人影人がいて、必死に自分の持てる全部を込めたダンスや歌をしても目の前にいる観客達からの反響は殆どない。それどころかつまらないとか興味無いとか言わんばかりに寝てしまった人さえもいた。
「……ッ」
影人はその情景に胸が苦しくなると手で胸の辺りをギュッと掴む。更に呼吸も僅かに荒くなってしまっていた。
「影人君?」
うたは影人が若干苦しそうにしているのを見て影人を心配するが、影人はその手をもう片方の手で抑えると退けるようにして戻す。そのまま作り笑いを浮かべた。
「大丈夫……。心配しなくても……平気……だから」
影人のその声は弱々しい。とてもでは無いが、彼は平気そうには見えなかったのである。うたはそんな影人へと声をかけようとする中、プリルンがうたへと彼女の行動を遮るように声を上げた。
「うた!うたの歌声はそれを聞いた人もキラッキランランにする事ができるプリ!うたが歌うと聞いている人は皆、キラッキランランプリ〜!」
「そっか……。それが本当なら、すっごく嬉しいな。私の歌を聞いてくれた人が笑顔に……キラッキランランになってくれるなんて!」
うたは嬉しそうにすると影人はやはりうたと自分では根本的な才能の差があるのだと。とても辛い現実を目の当たりにしてしまった。影人はうたに悟られないように苦しみを抑えるが、どんなに頑張っても苦しさは止まらない。
「やっぱりうたプリ!うたがアイドルプリキュアが良いプリ〜!」
そう言ってプリルンはうたに抱きつくとそう言って駄々をこねるように声を上げる。そんなプリルンをうたは優しく抱きしめていた。
その頃、街中にある本屋さんの前には先日の朝、モーニングを食べに来ていた小宮絵真が本屋の自動扉の隣に貼られていた漫画の表紙を模ったポスターに直筆のサインを入れていた。彼女はつい昨日新しく描きあげた漫画が認められて本屋に出される所謂漫画家としてデビューを果たしたのだ。
「絵真先生!デビューおめでとうございます!」
「ありがとうございます!」
絵真が本屋の店員達と話をしているとそれを上から見下ろすような形でカッティーが出現。彼がキラキラを奪う対象を探す中、絵真の方に目が止まった。
「ふむふむ……。手始めはアイツですな」
絵真は他の人間と比べるとキラキラがより一層輝いていた。そのためにカッティーはキラキラを奪うための行動を始める。
「お主のキラキラ!オーエス!」
カッティーは綱引きをするような形でキラキラを引っ張ると絵真からキラキラが引き抜かれたのか、その衝撃が彼女自身に伝わったのか。彼女は悲鳴を上げてしまう。
「きゃああっ!?」
「カッティーン!」
それと同時に彼女の胸にリボンが現れた。どうやら、それが彼女のキラキラを表す象徴となるらしい。そして、綺麗に輝いているリボンをカッティーは容赦なく真っ二つにする。これにより、リボンからキラキラが失われると断面から闇のような煙が出てきてしまう。
そして、その闇は元のリボンの持ち主である絵真を闇の球体として包んでしまうとカッティーの手にはキラキラが消えた絵真と紫の透き通った水晶が出てくる。
「出でよ!マックランダー!世界中をクラクラの真っ暗闇にするんですぞ!」
カッティーが手を合わせると同時に水晶と絵真が融合。そのまま地面に叩きつけるとその闇を元に怪物が出現。その姿は鋏のような紫のサングラスにリーゼントヘアが特徴的であった。
「マックランダー!」
この怪物の名はマックランダー。マックランダーは本の胴体に片手には巨大な筆を持っている。また、その登場と同時に空が紫の暗い空へと変わってしまう。
「え!?何々!?急に暗くなったんだけど!?」
「これはまた訳のわからない急展開だなぁ」
「ううっ!?ブルっと来たプリ!」
先程の場所から街中へと戻ってきた影人、うた、プリルン。三人の中で、空の異常な変化に影人やうたが動揺する中、プリルンは嫌な気配を感じたのか身震いをした。
「え?」
その瞬間、地響きが聞こえると人々がある方向から逃げるのが見えた。その方向に三人は行くとそこではマックランダーが絶賛大暴れ中である。
「マック……ランダー!」
マックランダーはデタラメなパワーで近くにあったバスの停留所の屋根を軽々と粉砕してしまう。こんな怪物を前にしては人々が逃げるのは当然だ。
「ええー!?何なの!?あれ?」
「ッ……こりゃあ、ヤバいどころの話じゃ無くなってきたな……」
「おやぁ。こんな所にキラキランドの生き残りが……」
「プリ!ダークイーネの手下プリ!」
影人とうたが着いた際にプリルンを見たからか、カッティーはプリルンへと声をかけた。
「手下?名前は自分、カッティー。チョッキリ団所属ですぞ!」
「チョッキリ団……なんかそのまんま物を切りそうな名前だな」
「ええ。そうですとも。我々は人々の目障りなキラキラをチョッキンする事が仕事ですな」
「そのまんまの仕事内容かよ」
影人があまりにもそのまんまなネーミング過ぎて半ば呆れる中、未だにマックランダーの暴走は続く。
「マックランダー!」
マックランダーが手にした筆を振り回すと近くに止まっていたバスを軽々と吹き飛ばしては破壊していく。
「プリ!?中に漫画のお姉さんがいるプリ!」
するとプリルンがマックランダーの中に囚われた彼女を発見。どうやらプリルンには誰が素体として使われたかがわかるらしい。
「え……。それって絵真さん!?」
「閉じ込められてるプリ……キラキラじゃなくなったプリ」
「そんな……あの中に絵真さんがいるなんて……」
そんな風に不安そうに言うプリルンにうたの心に絶望感が出てくる。そんな中、影人は手に握り拳を強く握り締めると一度深呼吸をした。
「……咲良さんは一人で逃げて」
「……え?」
そう小さくうたに伝えた直後、影人は一人でマックランダーの方に向けて一気に走り始める。
「影人君!?」
「危ないプリよ!」
二人の声も虚しく、影人はマックランダーの前に立つと目立つように近くのコンクリートの小さな破片をぶつけながら声を張り上げた。
「おい!お前!さっきから好き放題街を壊してくれて……狙うなら俺一人を狙え!」
「マックランダー?」
コンクリートの破片を当てられたマックランダー。勿論ノーダメージではあるものの、自分の前に現れた影人に疑問符を浮かていた。
「どうやらさっきの光景を見ても身の程がわからないようですな。マックランダー、まずは鬱陶しいそいつからやるのですぞ」
カッティーもそんな影人を面倒だと感じたのか、マックランダーに攻撃を指示。
「マックランダー!」
容赦なくマックランダーは手にしていた筆を振り下ろすとその衝撃波でコンクリートが抉れながら斬撃波が飛んでいく。
「ッ!!」
影人はその攻撃を横に跳ぶ事で何とか回避。そのまま受け身を取りながら構える。
「やっぱり純粋に力勝負したら勝てないな……」
影人はそんな風に小声で言いつつ声を上げて挑発。マックランダーもカッティーの指示なので影人をターゲットにしたままだ。
「おい、マックランダーとか言ったか?お前、そんなデカい図体のくせに大した事無いじゃねーか!」
「マックランダー!?」
するとマックランダーが筆を逆に構えると砲撃のようにエネルギー弾を飛ばしてきた。
「よっ!ほっ!」
影人は受け身を取るように前に飛び込みながら躱す事でギリギリ攻撃からの回避を間に合わせるとマックランダーはチョロチョロと動き回る影人に苛立ちを募らせていく。
「マックランダー!マックランダー!」
勿論影人からの有効打はゼロなのでマックランダーに直接的なダメージは与えられない。しかもヤケになって弾丸を連射し始めたので影人は激しい動きを強いられてしまう。
「はぁ……はぁ……どんどん攻撃が、早く……」
影人も流石にそう何度も回避できるような攻撃の発射速度では無くなってきた影響か、疲れて脚が止まりかけた瞬間に彼の足元の地面に着弾。爆発すると影人は吹き飛ばされて地面に体を激しく打ち付けてしまう。
「が……はあっ!?」
「影人君!!」
「うた、ダメプリ!」
たった一発被弾しかけただけで影人の体には転がった影響でかすり傷が大量に付いていた。なのでうたが影人を助けようとするも、プリルンに止められてしまう。
「やはり大口の割に大した事は……」
「く……うっ……」
すると影人が痛みを我慢しながらも立ち上がると余裕そうな顔つきで挑発する仕草を取る。
「おいおい、もう終わりとか思ってないよな?来いよ。俺は健在だぜ?」
「む……。少しはやるようですな。ならば、マックランダー!」
影人はマックランダーを挑発するものの、体は既に痛みで先程までのパフォーマンスは出せない。それでも容赦なくマックランダーは向かってくる。幸いな事に今度は物理で直接殴りに来たのか走って向かってきた。
「……良し、それを待ってた」
影人はマックランダーを引きつけるように走り出すとマックランダーから何度も振り下ろされる筆を回避しながら逃げていく。途中で衝撃波で吹き飛ばされそうになるものの、影人は何とか走って行った。
「マックランダー!」
「良い加減大人しくするのですぞ!」
影人はある程度マックランダーと追いかけっこをした後に近くに植えられていた木が何本も生えた場所を通る。その後をマックランダーが通ろうとすると木が体に引っかかって足止めされた。
「マック……ランダー!?」
「良し、狙い通り封じ込めた!」
しかし、もう既に影人の脚は限界に達しており、ガクガクとしている。無理も無い。一撃当たればほぼ終わりの攻撃を回避するために全速力を出し続けたのだ。むしろ、よく維持できていたという感じである。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
影人がこの後どうするかと考えているとマックランダーは目を光らせると体に力を入れ始める。その瞬間、マックランダーを挟んでいた両側の木にミシミシと音を立てて折れていく。
「ッ……嘘だろ!?」
「マックランダー!」
その瞬間、マックランダーが気合いと共に木をへし折ってしまうと拘束から抜け出してしまう。
「こんなの、どうすれば……あとはもうシャッターとかで挟む?いや、あのスピードじゃ、降りてくるまでに抜けられる……何か、何か……」
影人はどうにか思考しようとするが、疲れ切った体で酸素が足りていないのだ。頭はクラクラするし、脚もおぼつかない。そんな状態でロクな考えは出てこないだろう。
「マックランダー、そんな男一人、さっさと倒すのですぞ」
「マック……ランダー!」
マックランダーは跳び上がると影人の目の前に降り立つ。そして、今度は回避できないゼロ距離で横薙ぎに筆を振るった。勿論影人もこの距離と今のコンディションで回避できるはずも無く。
「がっはぁっ!?」
無惨にも吹き飛ばされるとそのままマックランダーが生み出された本屋さんのガラスの壁に打ち付けられると同時にガラスに衝撃で大きなヒビが幾つも入る。
「あ……うぐっ……」
影人は何とか気絶こそしなかったものの、体中の痛みにまでは耐えられない。体はいう事を完全に聞かなくなってしまう。また、ガラスによる体への怪我についてだが、奇跡的に飛ばされた先が絵真の漫画の表紙が描かれたポスターの真正面だったので最小限で済んでいた。
しかし、一人立ち向かってボロボロになった影人を見たうたはその光景に絶句してしまった。
「あ……あぁ……」
「他愛も無いですな。マックランダー、アイツが復活したら面倒ですぞ。さっさと倒すのです」
マックランダーが影人へとゆっくりと歩く中、影人はめり込んだガラスの場所から倒れるように崩れ落ちると地面にうつ伏せになる。
「う……ぐうっ……」
逃げないといけない。でないと今度こそ死ぬ。そんな風に考える影人。しかし、彼の目に光は無い。仮に動けたとしてももうマックランダーの次の攻撃を回避するだけの余力なんて無いと、影人はわかっていたからだ。
「影人、逃げるプリ!このままじゃ、本当にやられちゃうプリよ!」
「プリ……ルン。ごめんな……。もう、体動かせないんだわ……」
自分の死を自覚した影人の脳裏に走馬灯が流れる。それは、過去に起きた自分の心を粉々に打ち砕いた出来事の数々だった。どんなに練習しても失敗しては講師に指摘され、その失敗のせいで他の生徒の動きに合わせられず。そして、一人上がった舞台では醜態を晒し……。
「俺の生きてる意味って……あったのかな。生きる価値が無いなら……いっそ」
影人が死を受け入れるかのような絶望した目に変わる中、マックランダーが筆を振り上げる。その瞬間、マックランダーの動きが躊躇するように止まった。
「マ……マック……ラン……」
「え!?」
「どうしたプリ!?」
「マックランダー、何をしている、さっさとやるのですぞ!」
しかし、マックランダーは攻撃ができない。その目線は影人の後ろのポスターに釘付けだったのだ。影人が釣られて何とか後ろを向くとそこには先程影人が奇跡的に助かった要因となった絵真が描いた漫画の表紙のポスター。
「……まさか……」
影人の脳裏にある理由が浮かび上がる。マックランダーが攻撃を躊躇した理由。それは、自分が真心を込めて描いてきた大切な自分の漫画を壊したく無いという気持ち……。だが、マックランダーの思考回路にそんな事への躊躇があるとは思えない。つまりこれは……。
「絵真さんは……まだ完全に飲み込まれてない?」
「馬鹿な……おかしいのですぞ!」
絵真の心がマックランダーの思考を僅かだが狂わせたのだ。彼女が大切にしてきた自分の漫画。それを壊したく無い気持ちによってマックランダーに僅かだが迷いと躊躇を生み出させているのだ。
「絵真さん!」
更にそこにうたが走ってくるとマックランダーの近くに到着。そんな彼女を影人は見ると止めようとする。
「やめろ、咲良さん……逃げろって……」
「嫌だ!影人君がここまで頑張ったのに……私だけ逃げたく無い!……ラララ〜ララララララ♪ラララ〜ラララ♪」
うたが歌う中、マックランダーはそんなうたを鬱陶しいと思ったのか筆を振り下ろすと衝撃波を飛ばす。
「ッ!きゃっ!!」
うたは何とか回避するものの、その行為の無謀さに影人が止めるように言い出す。
「俺達にはどうしようもできないんだよ……だから、咲良さんだけでも……」
「プリルンが言ってたでしょ。私の歌が……絵真さんをキラッキランランにしたって!それなら、もう一度絵真さんを……キラッキランランにしたいの!」
その言葉を言ったうたの目は真剣で、影人には眩しく見えた。すると影人は一度仰向けになってから右手を顔に当てて先程絶望していた自分を恥ずかしく感じる。
「……何だよ。俺も、俺もこのまま死ぬわけにはいかなくなったじゃねーか」
影人はまたうつ伏せになると立ち上がるために体に力を入れようと必死に踏ん張る。勿論先程までの戦いで影人は満身創痍。体中に傷だってある。それでも、囚われている絵真や助けようとしている自分のよりも純粋な体の力が無いうたが必死になっているのに自分が諦めるわけにはいかないと考えたのである。
「ラララ〜ララララララ♪ラララ〜ラララ♪」
影人が立とうとしているのを見て、うたは今影人へと攻撃させるわけにはいかないと歌で抵抗を試みる。
「マックランダー!?」
「マックランダー、今はそちらの男よりもあちらの目障りな女を狙うのですぞ」
マックランダーはターゲットがわからずに混乱する中、カッティーからの指示によりうたへとターゲットを変更。手にした筆を逆に構えた。
「ッ!?」
するとまたエネルギー弾が放たれてうたの足元に着弾。爆発するとうたを軽く吹き飛ばしてしまう。
「ああっ!?」
そのままうたはまた叩きつけられるとその華奢な体が悲鳴を上げる。それでも彼女は諦めない。筆を振り回して迫っていくマックランダーと向かい合うように立つと彼女の目は真っ直ぐマックランダーを見た。
「私はこの歌で……誰かを助ける!」
「マックランダー!」
「うたぁああっ!」
マックランダーが無抵抗なうたへとトドメの筆を振り下ろそうとする。そんな彼女にプリルンが涙目で叫んだ瞬間だった。
突如としてうたから溢れた光によってピンクのバリアが正面に出てくるとマックランダーが振り下ろした筆を受け止めてしまう。そのままマックランダーはバリアを突破できずに後ろに弾かれてしまった。
「マックランダー!?」
そして、うたの胸からその光がリボンとして具現化。また、それが蝶々結びとして結ばれるとピンクのリボンに中心に金色の四芒星……キラキラマークの付いたリボン型の小さなアイテムとなる。
「……ッ」
「プリ!?」
うたがそのアイテムを掴む中、プリルンのポーチが勝手に動き出すとピンクの光と共に何かが飛び出す。そして、うたがそれをキャッチした。その光はピンクのハート型のブローチのような物だった。それには先程のリボンをはめる場所の他に中央部に透明化なハートが周りのピンクのハートとは別で存在し、その透明なハートだけ回転ができるような機構だった。また、その周りに水色のリボンが装飾としてあしらわれている。
そのアイテムの名はアイドルハートブローチ。咲良うたはそのブローチを手にする資格を得たのであった。
今回マックランダーに自我があるみたいな設定がありましたが、この辺は原作でもまだ明らかでは無いので現段階ではこの作品での独自設定だと思ってもらえたらと思います。恐らく次回でようやくアニメ一話の範囲が終わると思います。また次回もお楽しみに。