キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ドリーム・アイの配信の翌日。影人がこの日も学校へと登校しているとそこにこころが声をかけてきた。
「カゲ先輩!おはようございます!」
「こころ、おはよう……って、俺の事は先輩付けにしなくても良いんだぞ?もう俺達恋人関係だし。上下を付けるのは」
「いいえ、恋人だからこそ線引きはしっかりしないとダメです。カゲ先輩は学校では先輩ですし、人前で先輩を君付けにするのは私の中で許せません」
「こころはそういう所真面目だよね」
「はい!……ですが、二人きりの時は遠慮なくカゲ君って言いますのでよろしくお願いします!」
するとこころはスキンシップなのか影人の腕に抱きつくようにして体を寄せてきた。
「ッ!?こころ、登校中なんだから流石にこれは……」
「少しぐらい良いじゃないですか。減るものじゃありませんし」
どうやら話し方に制限は設けても距離感に制限は無いらしい。影人も影人で気持ちは良いのだが、ひとまず学校が近くなってきたのでこれ以上はあまり良く無いと一旦離れて二人並んで登校する事に。
「あ、そういえばカゲ先輩。この動画知ってます?」
するとこころが見せたのはネットにいつの間にかアップされていたキュアキュンキュンとキュアソウルのライブ動画である。流石はアイドルプリキュアの研究会会長。こういう情報に対して伸びる手が早い。むしろ、早すぎるくらいだ。
「ああ、何か昨日の朝には上がってたらしいな」
「はい、でもあの場所に一般の人なんて誰もいませんよね?誰が撮ったのでしょうか」
「……それなんだが、心当たりはある」
「そうなんですか!?」
「むしろまたやったのかと言ってやりたいが……。その話はまた咲良さん達と昼休みにでもゆっくり共有しようか」
「は、はぁ……。わかりました」
影人はこのアップの犯人に目星が付いていた。いや、もうほぼ確定だろう。後は女王様からの罰が既に来てるかどうかの話になってくるが、それで断定も可能であった。
「もう学校に着いちゃいましたね」
「ま、また後でお話ししような。お互いに学校を頑張ろ」
「はい!」
二人が下駄箱に靴を入れ、上靴に履き替えて別れるとそれぞれの教室への道を歩いていく。それから数時間後。時間はあっという間に過ぎて昼休み。
「おーい、プリルン〜!タコさんウインナーあるよ〜!」
「プリルンいないね」
「まぁ、また興味が湧いた場所にでも行ってるんだろ。そもそもプリルンに一箇所にずっと止まってろって言ってても無理な話だろうし」
今現在、影人、うた、なな、レイの四人が校舎の外の植え込みにあるアーチ状のベンチに座って弁当を食べようとしたが、プリルンがまた例の如くいなくなってしまったのだ。
「アイツ、問い詰めたい事があるってのに……人目も考えてここまで言うのを我慢していた俺の気持ちになれよ」
影人の予想通りなら恐らくそれがバレた時点でプリルンが慌てて騒ぎ立てると判断し、彼はわざと質問をしていなかった。だからこそこの昼休みという絶好のチャンスを逃したく無いのである。
「もう、プリルンってば自由にプリプリルンルンし過ぎだよ……」
「あ、いました!カゲ先輩、うた先輩、なな先輩にレイ先輩!」
「こころ……とプリルン!?」
うたが声をかけられて振り向くとそこには弁当と共にプリルンを抱いた状態でこころが歩いてきていた。ここ最近はいつも弁当を食べる四人に加えてこころもここに来るようになったのである。
「プリルンは紫雨さんの所に行ってたか。……すっかり仲良しって事だな」
「そうプリ!プリルンはこころととっても仲良しプリ!」
するとこころはレイへとジト目を向けるとレイはその目線に気づく。そのタイミングでこころが彼へととある事を言い始めた。
「レイ先輩。苗字呼びになってますよ」
「いや、俺としてはあんまり紫雨さんを呼び捨てにするのはね」
レイが横目で影人の方を向くと影人は割と普通な顔つきをしている。どうやら、前にうたやななへと言っていた自分の名前の呼び捨てで呼んでほしいをレイにもお願いしていたのだ。
「レイ、俺への配慮を気にしてるのか?」
「むしろそれ以外に理由いる?」
そう。こころと同じく女子であるうたやななは兎も角、自分は男子であるのだ。しかもこころはつい最近できた彼氏持ち。となると易々と呼び捨てをこころに使うわけにはいかないと言った形だ。
「……正直、俺としてはこころがそうして欲しいと言うなら尊重すべきだと思ってる。だから、俺に遠慮せずにこころを呼び捨てにしなよ」
「……わかった。ならこれからはちゃんと呼ぶ。こころ」
「はい!カゲ先輩もありがとうございます!」
こうして、レイも彼氏公認の上でこころを呼び捨てにする事になった。そんな中、うたがこころへと声をかけようとする。
「じゃあ、こころ……あれ?」
するとこころがジト目を今度はうたへと向けると歩きつつ距離を縮め、その上で顔をうたへと近づけてきた。
「ジーッ」
「え?何?どうしたの?」
うたが動揺しながら対応する中、こころのジト目は留まるところを知らない。流石にここまで長時間見られているとうたも黙ってはいられなかった。
「そんなに見つめられたら……私も!」
「えっ!?」
うたがやり返しとばかりにこころを近くで見つめ返そうとするとこころとしては恥ずかしいのか抱えていたプリルンをうたの顔へと出す。
「チュッ、プリ!」
その瞬間、出されたプリルンはうたの鼻先へとキスをする。そんな様子を見たこころはアホ毛がハートの形になるくらいに尊い光景を見れたと興奮。影人達三人が唖然とする中、やられたうたは慌てて顔を離して手で鼻を抑えた。
「ひゃあっ!?やられたーっ!」
「うた先輩が近づくからですよ」
「こころ、その言葉はブーメラン発言だからな?」
「あはは……」
こころとしては自分から見るのは良いらしいが、逆にジロジロと見られると恥ずかしいらしい。
「あ、それと……カゲ先輩もなな先輩も人ごとではありませんよ!」
「……え?」
「俺もなのか」
「なるほどね。こころのやりたい事。何となくわかったわ」
レイがそんなやり取りを見てこころの意図に気がつく。そしてこころはキョトンとする三人へとある事をお願いする。
「先輩方三人を……アイドルプリキュアである三人の事を、研究させてください!」
「プリ!」
こころのその言葉を聞いて三人は顔を見合わせるとその事実を受け止めた。それと同時に三人はその言葉を復唱する。
「「「研究?」」」
「そうですよ!」
「てか待て待て。言っておくが俺はアイドルプリキュアって観点から見たらこころより後輩だぞ?」
「私にとってはカゲ先輩はアイドルプリキュアとしては後輩でも、それ以外から見たら私にとっての先輩なので何も問題はありません!」
こころがビシッとそう指摘するとひとまずはいつまでも喋りっぱなしというのは折角の昼休みが勿体無いという事でここからは弁当を食べながら話す事になる。
「あ……むっ!」
一応プリルンもこのタイミングでタコさんウインナーを美味しく頬張っていた。そして、なながこころへと問いかける事に。
「アイドルプリキュアの研究って、いつも研究会でやってるような?」
「いえ、アレはファンとしての探求に過ぎません!今は研究対象が目の前に居ますし、これは直接質問できるチャンスですよ!」
こころがドヤ顔をする中、影人はこころの底知れない探求心に感心していた。調べる内容は兎も角、こうやって一つの事に没頭するこころの気持ちの強さが彼は羨ましかったのだ。
「ふふっ、そういう事なら何でも聞いて!」
「ありがとうございます!」
「あれ?でも私達もアイドルプリキュアの事をそんなに知らないような……」
「あ、言われてみたらそうだよね……」
するとこころがスマホを取り出すとそこにはキュンキュンの変身完了の後の名乗りのシーンが映像として流れる。
「まずはこれを見てください」
『心キュンキュン、キュアキュンキュン!』
「……キュアキュンキュンはキュンキュンが足りません。私よりも後にアイドルプリキュアになったカゲ先輩のキュアソウルがこっちです」
『君の笑顔を〜♪守るためにな〜♪俺の歌を響かせるから〜♪心燃やせよ魂〜♪』
ちなみに今こころが見せているキュアソウルの映像はライブシーンのみ。キュアソウルの名乗りに関してはスラッシュー相手に名乗った際、変身バンクの一部としてでは無かった。そのため変身バンクの中での名乗りの素材が一つもないため、名乗る所はスラッシュー相手に決めポーズをしつつ普通にバンクの外で名乗っているだけである。
「キュアソウルの方もあるんだね……」
「でも、キュンキュンなら負けてないと思うけど」
「いいえ、明らかに足りてません!……私よりもアイドルプリキュアとしてだけは後輩のキュアソウルことカゲ先輩ですが、私なんかが比べるには烏滸がましいくらいにキュンキュンに溢れてます!」
そんな風に熱弁するこころに影人は照れくささを覚える。そんな彼は一旦置いておき、話に戻ろう。
「私、キュアキュンキュンはアイドルプリキュアとしてまだまだです。先輩達は皆あんなにもキラキラで心キュンキュンなのに!」
こころ個人としてはやっぱり今の自分ではアイドルプリキュアの他のメンバー相手に張り合うには足りない物が多すぎると自己評価をしていた。
「そこまで卑屈になる必要は無いと思うけどなぁ」
「レイ先輩はそう思っても私は現状に甘んじるつもりはありません!」
「えっへへ……。キラキラでキュンキュンかぁ、まぁよく言われるけど〜」
「お前は少しは謙遜しろ」
影人はこころとは対極的に褒められて増長したうたへとツッコミを入れる中、なながそんなうたへと補足する。
「うたちゃんってやっぱり正直ね」
「いやぁ、それ程でも〜。あ、でもさ。この映像ってどこで見つけたの?」
ふとうたが気になったために質問する。やはりいつの間にかキュアキュンキュンやキュアソウルの映像が上がっていれば気になるだろう。
「これについてはネットで見つけました」
「それなんだが、俺は上げた犯人に心当たりがあり過ぎてだな?」
影人が目線をプリルンに送ると彼女は冷や汗をかきながらコッソリと目を逸らそうとする。その瞬間、ポンという音と共にプリルンの髪がモッサモサになってしまった。
「………」
「プリ!?プ〜リ〜!?」
「さてはプリルン……またやったね?」
こころが初めて見るプリルンのモッサモサ姿に困惑する中、うたにも問い詰められた挙句影人からのジト目に耐えきれずにプリルンは正直に事情を話す事に。
「アップリしてごめんなさいプリ〜!皆にキュンキュンやソウルを見て欲しかったプリ〜!」
「何ですかこれ!?」
「女王様からのお仕置きだね……」
「おお、これが噂のモッサモサプリルンか」
「そういや、レイも生でこれを見るのは初めてだよな」
プリルンがモッサモサにされて涙目になる中、レイは珍しい物を見るように興味津々と言った所であった。
「……あの、女王様と言うのは?」
「ああ、女王様と言うのはキラキランドというここの世界とは別の世界の女王だ」
「そこは名前通りなんですね」
こころが苦笑いすると一度顔合わせをするべきと一同はご飯を食べ終わった上で周りから第三者が見えないような位置に移動。それからそこで女王を呼び出す事になる。
今回は割と中途半端ですが、こちらの話の構成のキリの問題でこの辺までって感じです。それではまた次回もお楽しみに。