キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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アイドル研究とお泊まり会

影人達が一目に付かない場所に移動すると早速プリルンが付けているリボンをアイドルハートブローチに装填。その瞬間、ミラーボールの部分から光が溢れるとピカリーネの姿が投影された。

 

「うええっ!?」

 

『あなたが三人目のプリキュアですね?』

 

「そ、その。紫雨こころです」

 

こころが緊張した声色で挨拶をするとピカリーネはプリルンへと声をかける。尚、当の本人は言い伝えに背くアップロードの件があるためにうたの後ろに隠れていた。

 

『プリルン』

 

「プ、プリ!」

 

プリルンがピカリーネに呼ばれると恐る恐るうたの後ろからそっと顔を出す。そこには冷や汗が流れている状態であった。

 

『よく彼女を見つけ出してくれました。ありがとう』

 

「プリ!キラルンリボンもいっぱい集めたプリ!」

 

プリルンは最初はピカリーネに咎めを受けると考えるが、そんな事は無く逆に褒められたためにプリルンは嬉しさのあまりうたの肩の辺りから飛び立つ。そのまま彼女はキラルンリボンを入れているケースを出すとその中を見せる。

 

「わぁ……」

 

「こころにはまだ話して無かったけど、マックランダーをキラッキランランにして、このキラルンリボンを沢山集めるんだ!」

 

「キラキランドを元に戻すために!アイドルプリキュアが光で闇を照らす言い伝えがあるんだって」

 

こころは詳しいアイドルプリキュアの話を説明されてまだ実感が湧かない様子になっていた。

 

「……アイドルプリキュアが……」

 

『キュアアイドル、キュアウインク、キュアキュンキュン、そして……四人目のプリキュアのキュアソウル。ダークイーネのその手下のチョッキリ団は世界を真っ暗闇にしようとしています。四人で力を合わせて、頑張ってくださいね!』

 

ピカリーネはアイドルプリキュアとしてこれからもチョッキリ団との戦いが続く四人へとエールを送る。

 

『それとレイ、あなたもタナカーンと一緒にサポートをよろしくお願いします』

 

「任せてください。女王様」

 

『……プリルンも』

 

「プリ!任せるプリ!」

 

プリルンがそう言って張り切る中、ピカリーネが続けた言葉を聞いて彼女は凍りつく事になる。

 

『次にアップリしたらモッサモサどころではありませんよ?』

 

「……プリ?」

 

その言葉は完全にピカリーネも今回の無断アップロードを知っていたという事を裏付ける物であった。プリルンがモッサモサ刑に処されたという観点から知っている可能性が高かったのだが、これで確定した形となる。その言葉を最後にピカリーネがフッと消えるとプリルンの顔に冷や汗が流れ始めた。

 

「プ、プリ……やっぱりバレちゃってるプリ〜!?」

 

「どうする?プリルン?トゲトゲとかになってたら?」

 

「プリィ!?そんなのヤンキーみたいで嫌プリ!」

 

「いや、何でプリルンがヤンキーって単語知ってるんだよ」

 

うたがそう揶揄うとプリルンはトゲトゲヘアになった自分を想像して顔を青くする中、影人がツッコミを入れる。

 

「逆にツルツルとかもあるかもよ?」

 

「プリィ……どっちも嫌プリー!!」

 

「だったらNO MORE 違法アップロードだな」

 

続けてなながツルツル頭を連想させるような事を言ってプリルンは更に悲鳴に近い声を上げた。それはさておき、アイドルプリキュアをやる事に現実味を感じたこころは張り切っている顔つきである。

 

「私、頑張りたいです。三人目のプリキュアとして。なので、研究良いですか?おはようからおやすみまで。色んな事を聞きたいです!」

 

「おはようからおやすみかぁ……」

 

こころはこんな事実を知ったからには尚更アイドルプリキュアを知りたいと言わんばかりに声を上げ、うたはそれを聞いて腕組みをして考えるとある提案をする事にした。

 

「じゃあウチでお泊まり会とかする?」

 

「うえっ!?そんな、良いんですか!」

 

こころはその魅力的な提案に目をキラキラさせると嬉しそうな反応を見せる。そんな中、影人は無言になると嫌な予感を感じ取っていた。

 

「うん!私も四人の事をもっと知りたいなーって!」

 

「ん?私も良いの?」

 

「決まってるじゃーん!いつにする?今日?」

 

うたがそんな風に思い立ったが吉日と言わんばかりにすぐにお泊まり会を実行しようとするが、ななはそんな彼女へとひとまず冷静に自分の親への相談の話を持ち出す。

 

「で、でも急に行ったらお家の人の迷惑にならない?それに私、パパに聞かないと……」

 

「あ、すみません……私もです」

 

「俺もだな」

 

うた、なな、レイがそう次々と返す中、影人の頭の中は混乱していく。幾らアイドルプリキュアの研究をするためとは言っても女の子の家、しかも恋人では無いうたの家となると申し訳なさで抵抗感が凄いのだ。

 

「じゃあ皆オッケーだったら、ウチに集合って事で!楽しみー!」

 

「「「うんうん!」」」

 

「プリ!」

 

「……あの、まさかと思うけど四人って俺も入ってる?」

 

「何言ってるの、当たり前じゃん」

 

「………あのな?幾ら研究のためって言っても俺とレイは男だぞ?前の部屋への案内の時もそうだが、そんな簡単にプライバシーとかある家や自分の部屋にホイホイ入れて良いのかよ」

 

影人は遠慮するような形で話をするものの、そんな彼の手をこころが取ると彼女がつぶらな瞳を見せてきた。

 

「先輩……私、先輩の事をもっと研究したいです」

 

「……どこかで見たことあるなこの泣き落としパターン!てか、こころ。お前の場合は今の言い回しだと意味間違えたら色々アウトだからな?」

 

「良いじゃねぇか。本人が許可出してるんだからよ」

 

「お前は俺と同じ年頃の男なんだからもう少し自重しろ」

 

影人は年頃の女の子の部屋へと入るという行為に抵抗感の無いレイへと指摘をぶつけると手を頭に置く。

 

「先輩、お願いします……。先輩を研究できなかったら私……」

 

こころが更にそうやっておねだりするような形で影人へと頼み込む。影人はそんなこころからの押し攻撃には弱かったのか、溜め息を吐くと承諾する事にした。

 

「……わかった。そんなに俺が研究したいなら好きなだけしてくれ」

 

「先輩……ありがとうございます!!」

 

こころがとても嬉しそうにそう言うと影人はひとまずうたの家に行くという事実を受け止める事になる。

 

「取り敢えず、俺も家族には一度相談してみる。……まぁ、俺が洗脳されている時に一度お泊まりしたみたいな話になってるから理解はされると思うけど」

 

「「「「……あ」」」」

 

ここに来て影人を除く四人はその事実に思い至る。そう、影人がプリキュアに目覚める直前。スラッシューに連れ去られたその日にうた達は夢乃へと自分達の家に泊まるという話をしていた。そのため、二週間連続で友達の家に泊まりをするという流れになるという事に思い至る。

 

「ま、まぁ夢乃ちゃんなら受け入れてくれるよね?」

 

「影人、ドンマイだな」

 

「カゲ先輩……説得大変だと思いますが頑張ってください」

 

「……お前ら、色々と俺へと丸投げし過ぎだろ……」

 

影人がこんな調子の自分の友達の様子に呆れた顔つきをする。ただ、それでもお泊まりできるという事自体は悪い気持ちにはなっていないのかこれ以上大きな反発をするつもりは無かった。

 

それから時間が経って放課後。影人が一度家に帰ると既に夢乃が家にいた。

 

「ただいま」

 

「あ、お帰りお兄ちゃん!今日は帰り早かったね!もしかして私のメンタルケアのために早く帰ってきてくれたの?」

 

「いや、メンタルケアしたかったんだが……ちょっと用事ができた」

 

「ん?何々?あ、もしかしてこころ先輩と放課後デート?そういう事なら全然気にしなくて良いよ!先輩とお兄ちゃんが仲良くなってくれるなら私大歓げ……」

 

「あの……そうじゃなくてだな。咲良さんの家に今度はガチで泊まる事になった」

 

「……えっ?」

 

その瞬間、夢乃の顔からサッと血の気が引くと影人をドン引きしたような顔つきで見る。

 

「嘘、まさかと思うけどお付き合いしたてのこころ先輩がいるのにうた先輩に浮気……?お兄ちゃん、そんな最低野郎じゃないよね?」

 

「待て待て、誤解だ。メンバーは俺とうた、あとななとこころにレイの五人。ただの友達でお泊まりするだけだし。てか俺がそんな軽い男に見えるのかよ」

 

「ホッ……。良かったぁ……。って事はこころ先輩もちゃんと知ってて了承してるんだよね」

 

「ああ」

 

夢乃は影人からちゃんとした説明をされると納得した顔つきになる。影人としてはこんな程度の誤解で夢乃の信頼を失うなどという初歩的なやらかしだけは勘弁だった。

 

「それで、今日が金曜日で土日を挟むからそのまま泊まる感じ?」

 

「まぁそうなるな」

 

「オッケー。お父さんお母さんには後で私から言っておくね。……今度は安心して送り出せるよ」

 

「ありがと夢乃。それとメンタルケア……必要なのにごめん」

 

「ううん。昨日の配信とかではそんなに深く傷つくようなコメントには晒されてないから大丈夫。あ、でもやっぱりガチ恋勢からの結婚発言にはちょっと動揺しちゃったけど……」

 

結婚発言というのは昨日夢乃がドリーム・アイとしてゲームでボコボコにした対戦相手が試合前に持ちかけてきたあの発言である。

 

「まぁ、アレはもし仮に夢乃が負けていたとしたら俺がそいつの家を特定してしばきに行くから安心しろ」

 

「あはは……お兄ちゃんなら本当にやりかねないからね」

 

ちなみにこれは割とマジだったりする。夢乃に近寄ろうとする危険な人間を排除するのは兄としてやるべき事だと彼は考えているためだ。下手したら今は職権濫用としてアイドルプリキュアの力を使う可能性さえもあるぐらいだ。ただ、そんな事をすれば恐らくピカリーネに力を取り上げられるだろうが……。

 

「じゃあ、準備ができ次第行ってくる」

 

「うん、行ってらっしゃい。……あ、でも幾らパジャマ姿のこころ先輩が魅力的だったとしてもあっちの方をしたらダメだからね?まだこころ先輩の覚悟が決まってないだろうし」

 

「俺は飢えた野獣じゃねーんだから。そんな人前で襲うようなアホな真似はしないからな?」

 

影人はそんな注意をしてきた夢乃に呆れ果てる。これに関してはドリーム・アイをやる上での副作用というべき事だろう。夢乃が配信をする際に偶にコメントの中で過激な発言をしてくるファンがいる。

 

それに対して夢乃はその場では緩〜くはぐらかし、後から影人が配信後の反省会でその発言に対しての詳しい意味を夢乃にわかるように教えるのだ。

 

それが積み重なった結果、夢乃はまだ小学生であるために学校の保健の授業で習っていないあっちの知識を色々と知ってしまっているのである。そんな余談はさておき、影人は荷物を準備するとグリッターへと向かうことに。

 

「あ、カゲ先輩!」

 

「悪い、待たせたな」

 

「じゃあ全員揃ったし入ろっか」

 

「ああ、そうだな」

 

影人が行った頃には他の三人は既にグリッターの前に来ていた。影人がちょっと遅かった理由は夢乃と話していたからだろう。

 

「「「「お邪魔します」」」」

 

「改めまして、うちにようこそ!」

 

「プリ!」

 

「ふぁああ……。前にも一度来ましたが、お家が喫茶店なんて改めて心キュンキュンです」

 

こころは影人がスラッシューに囚われた日に一度話し合いのためにここに来たのだが、その時は余裕が無くてそこまで気にする事ができなかった。ただ、今度こそはちゃんとゆっくりと入れた形である。

 

「えへへ、そうかな〜!……あれ?でもレイ君以外荷物多くない?」

 

するとこころは修学旅行とかで使うような大きめなリュックを持っており、ななに関しては旅行用のスーツケースを持ってきていた。

 

「あはは、お泊まりって初めてで……何を持って来れば良いのか分からなくてね」

 

「なな先輩もですか!?」

 

「こころちゃんも!?」

 

「はい!」

 

そんな風に二人が手を合わせて気持ちを分かち合う中、影人がそんな二人を見て済ましたように話す。

 

「たくっ、お前ら興奮し過ぎだろ。そこまで気持ちを入れ過ぎなくても大丈夫だからな」

 

「……それ、背中に山登りとかで使うリュックサック背負った上で手荷物があるお前に言われたく無いからな?」

 

レイに冷静にそう言われると影人はぐうの音も出なかった。何しろレイの説明通り、背中には山登りに使うような巨大なリュックを背負いつつプラスで手に下げるバッグを持っているのである。四人の中で一番の大荷物だろう。

 

「べ、別に良いだろ」

 

「むしろ何でそんなに荷物があるのやら」

 

「うっせ」

 

ちなみにレイは最低限の荷物だけで済ませているために四人の中で一番軽量だ。これは偶に仕事の一環で親と共に他の街に泊まりに行く機会が何度かあってその経験を元に感覚を覚えたのである。

 

「おぉ〜。記念すべき初めてのお泊まり!超キラッキランラン〜!」

 

「プリ!」

 

「それとですが。なな先輩。こころにちゃんは要らないです」

 

「う、うん。こころ……ちゃん。呼び捨てって難しい……」

 

「なな先輩はもう少し時間がかかりそうですねぇ」

 

そんな風に話をしてるとそこにエプロン姿のタナカーンこと田中が現れる。

 

「あなたがキュアキュンキュンですね。私、喫茶グリッターのアルバイト兼、アイドルプリキュアのマネージャーである田中です」

 

「タナカーンプリ!」

 

「よろしくお願いします」

 

そう言って丁寧に名刺をこころへと差し出す田中。それをこころはちゃんと受け取った。

 

「これはこれは……。マネージャーさんもいるんですね」

 

「それからこれも」

 

田中が出したのはとある包装された小さな箱であった。こころはそれも受け取ると田中へと聞き返す。

 

「私に……ですか?」

 

それから箱を開けるとそこにあったのはキュアキュンキュンのパーソナルカラーである紫のリップであった。

 

「これは……お二人がCMをやっていたPretty_Holicの春の新作リップ!これも研究対象に!……って見た事の無い色ですね」

 

「これはキュアキュンキュンをイメージした新色だそうです」

 

「……新色って、出回るの異常なまでに早いなぁ。キュンキュンの存在が世間に出回ってからまだ二日ぐらいしか経ってないだろ」

 

ここまで来るとPretty_Holic側も元々紫を基調にした新作リップを製作中で、その量産態勢に入る直前にキュンキュンが登場。急遽、デザインだけを変更してアイドルプリキュア風に統一したという可能性が高そうであった。

 

「キラッキランラン〜!」

 

「私達とお揃いだね!」

 

「お揃い……あ!そういえばカゲ先輩のキュアソウルのは!?先輩の分もちゃんと……」

 

「それについてですが、キュアソウルのコスメに関してはまだ時間が欲しいとの事です。流石にリップでキュアソウルを使うのは難しいそうなので」

 

「そうですか……」

 

流石に女性向けのお店であるPretty_Holicで尚且つ最初にリップにアイドルプリキュア要素を取り入れた商品を開発した都合上仕方のない所だろう。それからひとまず一同は荷物を部屋に置くと全員で買い物に行く事になるのであった。




また次回もお楽しみに。
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