キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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アイドルプリキュア研究のための撮影会

影人のやらかしについてこころが許す形で決着が付くと時間が惜しいという事ですぐにレイ、影人の順でお風呂に入浴。これはやらかした影人自身が、こころの後に入るのを遠慮したためである。そして、全員が風呂から上がり、パジャマを着て準備を終えるとゆっくりできる時間となった。

 

「ご飯食べたし、お風呂も入り終えたし……」

 

「まだまだですよ。お泊まり会の夜はこれから!まだまだ研究しますよ!」

 

こころが鼻息が出るくらいに張り切るとプリルンも便乗するように声を上げる。そして、そんな中でうたとななはプリキュアへと変身する事になった。

 

「準備オッケープリ!」

 

プリルンがカメラを構えるとアイドル、ウインクの二人が隣り合わせで肩を寄せ合う。アイドルが慣れたように笑顔を浮かべる中、ウインクは少し照れている形だった。

 

「プリ!プリ!プリ!」

 

最初は二人を同時に収めた写真を撮っていたプリルンだったが、今度は一人ずつクローズアップして撮るように。アイドルは一人だけになると更に可愛らしく笑顔を向けて主張する。ウインクはもっと恥ずかしさが増したのか、先程よりも照れが増している形であった。

 

「おお!心キュンキュンしてます!プリルンもっと撮って!」

 

こころは興奮したようにアホ毛がちょこちょこ動く中、カメラマンのプリルンへと指示すると先程に増してプリルンは細かく写真を撮り始める。

 

「こころ……何枚写真撮るんだよ」

 

その枚数は撮り過ぎと言える程に沢山撮っており、どんどんカメラのフォルダが写真で埋まっていく。

 

「あはは、プリルン撮り過ぎだよ〜!」

 

「プリルン先輩!その調子です!」

 

そんな風に女子組が写真会を開いている中、影人とレイは二人でその様子を遠目に見ていた。

 

「流石に咲良さん……アイドルは普段から笑顔いっぱいで人前に立つから慣れてるね」

 

「ああ、そうだな。……ただ一個気になるのが、こころは何で研究って言いながら写真なんだ?写真よりももっと普段から気になってる質問とかを重視した方が良いだろ」

 

「……うっ。そ、それは……」

 

するとこころの顔がギクリと固まると影人へとその疑問への返答を動揺しながら返す。

 

「ステージでお二人がキラキラしている訳を探ろうと……」

 

「目が泳いでる……」

 

「てか、それならキラキラの秘訣を聞いた方がマシだろ……。その感じだと二人には話してなかったみたいだな」

 

「え?影人君は何か知ってるの?」

 

「まぁ、ここから先は本人から直接な」

 

影人はこころが前々から話していた事を二人へと話すように彼女へと促し、こころは話す事になる。

 

「……実は」

 

それからこころがバッグから出したのが手のひらサイズのキュアアイドル、キュアウインクの二人のマスコット人形を出す。しかも、こころの手作りだ。

 

「「可愛い〜!」」

 

「アイドルプリキュアプリ!」

 

「マジか。こころってこういうのも作れるんだな……」

 

アイドル、ウインクの二人が人形の可愛さに声が漏れるとレイもその精巧さに驚いていた。

 

「マスコットの衣装を作るのに細かい部分を見たくてつい……」

 

「こころが作ったの?」

 

「あ、キュアキュンキュンとキュアソウルの二人は無いの?」

 

するとこころは申し訳なさそうな顔つきで首を横に振る。流石に先週出たばかりでネットの方にも拡散されたのはほんの数日前。そのためにまだその二人の分は作れてないようだ。

 

「それは……まだですね。一応キュアソウルは素体となる体と顔の部分を少しだけやったんですけど……」

 

登場タイミングとしてほぼ同時だったのにソウルの方を重視しているのはひとえにこころの影人への気持ちが強いからこそ、自分よりも影人の方を先に作るべきと判断したからである。

 

「じゃあ今作ろうよ!」

 

「……え?」

 

「ワクワク!」

 

「うん!」

 

「キュアキュンキュンも撮るプリ!」

 

それから促される形でこころもキュアキュンキュンへと変身。そのタイミングでうたの母親こと音が二階へと上がってくる。するとふとうたの部屋から紫の光が薄らと光ったのが視界の端に入って首を傾げた。

 

そんな事も梅雨知らずのアイドル、ウインク、キュンキュンの三人は三人隣り合わせでのスリーショット写真を撮っていた。先輩のアイドル、ウインクがキュンキュンを挟む形である。

 

「撮るよ撮るよ〜!」

 

「ち、近いです」

 

「キュンキュン、笑って笑って〜!」

 

それから何枚か写真を撮る中、影人は緊張しながらも幸せそうに写真を撮られているキュンキュンを見て心が落ち着く気分になっていた。

 

「(こころ、幸せそうだな。ま、それもそうか。推しの二人に挟まれて、自分もやっとアイドルプリキュアとして二人と対等な場所に行けるようになったんだからな)」

 

影人がそんな風に考えているとレイがそんな影人へと話しかける。それは影人にも参加を促す声だった。

 

「影人、お前もアイドルプリキュアなんだから入ってこいよ」

 

「……別に、俺はあそこには入れない」

 

「何でだよ。お前だってアイドルプリキュアだろ?」

 

「そうだけど……その、あそこまでくっ付くのは流石に……」

 

影人は同年代の女子三人に囲まれる光景などここまで生きてきて初めての事だ。それに対しての心の準備ができないのだろう。そんな中、仲良く近い距離で写真を撮り続けるアイドル達を見てプリルンが何かを感じている様子だった。

 

「プリ〜」

 

「キュンキュン、緊張し過ぎだよ〜?」

 

「そ、そんな事言われましても……」

 

「笑わないキュンキュンには……こうだ!」

 

それからアイドルにくすぐられたキュンキュンはアイドルへと笑いながらくすぐりを止めるように言う中で、いつまでもアイドルプリキュアにならない影人へとジト目を向けた。

 

「……カゲ先輩もアイドルプリキュアになってくださいよ」

 

「いや、別にそこ三人で十分だろ。俺が混ざったら完成している三人の絵が崩れる。……俺は別に」

 

するとキュンキュンは影人へと近寄るとジト目を更に影人の顔へと近づけ、影人はキュンキュンからの視線にたじろいだ。

 

「……カゲ先輩、私は影人先輩とも写真を撮りたいんです。それに、キュアソウルのマスコット人形のためにも」

 

「だ、だが……」

 

影人はこの期に及んでまだ躊躇していた。自分はさっきやらかしたばかりなのにアイドルプリキュア三人の中に混ざるという行為をして良いのか。下手をしたら嫌われるのかと思ってしまっているのだ。

 

「……はぁ、カゲ先輩。約束を守ってください。さっきの事は気にしないで普通に接してください。そういうルールじゃないですか」

 

キュンキュンが影人の肩を持つと彼の体を揺さぶり始める。キュンキュンは影人ことキュアソウルも研究対象として見ているのにこのままでは変身せずに終わってしまうと危機感を感じているのだ。

 

「……もし変身しないなら約束破りとみなしますよ」

 

キュンキュンの声が僅かに冷たくなるのを感じると影人はこれ以上キュンキュンの気持ちを蔑ろにできないと心の中で覚悟を決めた。

 

「……わかった。変身して、写真を撮るだけだよな?」

 

「はい。私達と一緒に撮りましょう。あ、でも単体写真も欲しいですね。私もカゲ先輩には感謝してるんです。ですので、マスコットという形ですが少しだけでもその感謝を返させてください」

 

キュンキュンからの言葉に影人はアイドルキラキラブローチを出すとそのまま変身しようとする。するとウインクはそんな影人を見て首を傾げると何か大切な事を忘れている気がしていた。

 

「……あれ?確かキュアソウルの変身って……あっ!」

 

その瞬間、影人はアイドルプリキュアに変身するためのシークエンスを始めてしまう。

 

影人が手にしたアイドルキラキラブローチとプリキュアリボンを構えると黒を紫寄りにした他のプリキュア達と比べると暗い雰囲気の空間へと移行。それと同時に着ていた服が変身のためのバイオレットに発光した変身前の専用の物に変わる。

 

「プリキュア!ライトアップ!」

 

影人はそう言いながらプリキュアリボンをアイドルキラキラブローチに装填。そのままブローチを三回タップ。それと同時に暗くなっていた空間がブローチから発せられた光によってだんだんと明るくなっていく。明るくなった空間のカラーリングはキュンキュンの変身の時よりも若干濃い紫の雰囲気だった。

 

「キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」

 

影人が胸の前でブローチの両側を押すと星のエフェクトが出てくると同時に中心にある透明なミラーボールが濃い紫の輝きを纏って回転。この際にエフェクトが四芒星では無いのはウインクとの被りを避けるためだろう。

 

そして、その瞬間ブローチから飛び出した四芒星が影人の周囲をかけていくと下へと落下。影人もそれを追いかける形でそこを通過すると同時に髪の色が濃い紫の髪で先端が薄めの黒へと変化。同時に目を開けるとオッドアイはクリムゾンと言えるカラーリングの瞳へといつの間にか変わっていた。

 

「キミと〜!YEAH♪」

 

影人が再び両側を押すとまたミラーボールが回転。すると一瞬だけ影人の後ろに眩い光が発光すると影人の姿がシルエットへと変化。それが消えると同時にもう既に変身後の服は上下共に装着されていた。その後、両肩に金のエポーレットが装着。更にバイオレット一色だった上の服装に黒のラインが入っていく。そのまま左肩からマントが出てくるとそれが幕が上がるように移動すると影人がブローチを手にしている。

 

「一緒に〜!YEAH♪」

 

影人が三度目の押し込みを行うと光が集約されて光の殻を破るようにして両脚に膝下まで来るロングブーツが装着。それと同時に黒の半ズボンに紫のラインが入り、腰からのローブが出現。そのまま両腕にも左右非対称のグローブが展開する。そして、耳に小さめな星の形のイヤリングが出てくると最後に影人の心臓の辺りにアイドルキラキラブローチを置く。それは他の三人の時と同様に装飾となった。

 

そして、背景が再び変化すると同時に影人はプリキュアとしての名乗りを上げて変身を完了する。

 

「キミと昂る、ハートの情熱。高鳴る魂、キュアソウル!」

 

それから変身を完了してポーズを決めつつ降り立つとその瞬間、影人ことキュアソウルも何かに気がついて思わず声が漏れてしまう。

 

「……あっ!」

 

影人は、ソウルは失念していた。今回がフルバンクで変身する初めての変身という事に。厳密には前に覚醒した直後に変身したために初変身では無いが、その時はアイドルを助けるために一瞬での簡易変身していたのだ。その上で名乗りはスラッシューへの質問の返答に対して行ったのでバンクの中での名乗りでは無い。

 

「嘘だろ!?何で今フルバンクの説明が入るんだよ……」

 

この小説を読んでいる方に補足すると、このフルバンク変身の細かい説明書きはそのフルバンクでの初変身時のみに描かれる。つまり、この後は変身前の口上を言ってすぐに変身後の名乗りに入るのだ。そして、今現在はアイドルプリキュアとしてチョッキリ団を相手にしているわけじゃない。

 

ただの私用での変身。……つまり、ピンチに颯爽と現れる救世主や敵に立ち向かうための覚悟の変身とは程遠い場面での説明込みのフルバンクとなる。

 

「??影人君は何を言ってるの?」

 

ただ、アイドルがその意味がわからずに困惑するとそのとなりでレイは腹を抱えて今にも吹き出して笑いそうな状態になっていた。

 

「本来ならこういう説明込みフルバンクって敵に対してカッコよく決めるための物だろ!何でこんな敵とかいないどうでも良いタイミングでフルバンク説明が入るんだ!せめて今回も簡略バンクで良いだろ!」

 

ソウルが八つ当たりと言わんばかりに声を上げるとそのタイミングでうたの母親である音がこの部屋から聞こえる声が気になってコンコンと部屋の扉をノックする。

 

「うた〜?」

 

「はっ、は、はい!」

 

その瞬間、その場の全員に緊張が走るとアイドルが慌てて返事をした。今現在、四人はアイドルプリキュアの姿に変身している。こんな所を一般人の音に見られてしまうのは不味い。かと言って今ここで即変身解除してもその光で更に怪しまれてしまう。

 

「この姿を見られたら……」

 

「ど、ど、ど、どうしますか!?」

 

「そんな事言っても俺にもどうしようもできないぞ?」

 

「咲良さん、ひとまず返事だ。自然に返せば多分大丈夫」

 

取り敢えずはレイの助言で部屋の主であるアイドルがバレないようにそっと扉を抑える形でもたれると返事を返す。

 

「コテン……プリ」

 

「ど、どうしたの?お母さん」

 

「夜なんだから騒がないようにね」

 

「は、はーい」

 

「「「「すみません」」」」

 

それから音は部屋の前から去って行ったのか、足音が遠ざかっていく。そのため、一同は胸を撫で下ろしていた。

 

「あ、危なかったぁ……」

 

「カゲ先輩が色々と騒ぐからですよ」

 

「俺のせい!?」

 

「いや、キュンキュンも結構……」

 

「私もですか!?」

 

キュンキュンが慌てる中、ソウルがキュンキュンへと手を伸ばすと照れくさいのか顔を僅かに赤くして話しかけた。

 

「ほら、写真撮るぞ。今度は騒がないようにな」

 

「……ふふっ、わかりました」

 

それからソウルとキュンキュンが二人でツーショットを撮ろうとするとそんな二人を尊く感じたのか、アイドルがカメラを近づけて興奮気味に声をかける。

 

「キュンキュン、ソウル!」

 

「だから近いですって!」

 

「良いじゃん、仲良しカップルなんだからさ〜」

 

「今そこで出す話題じゃねーだろ」

 

「もう、皆……シーッだよ」

 

「あはは……」

 

ウインクが興奮してまた声が大きくなりそうな三人を見て慌てる中、レイは四人で楽しそうにしているのを見たプリルンが何かを思っている所を見つけた。

 

「プリルン」

 

「プリ?」

 

「……言いたい事があるならちゃんと言ってあげなよ。プリルンも色々と思うところがあるんだろ?」

 

「プリ……」

 

プリルンがレイに言われて少し寂しそうな顔つきになるとそれを今は言うべきでは無いと思ってるのか、レイの元に飛ぶと肩に乗った。

 

「お、珍しくどうした?」

 

「プリ。プリルンは大丈夫プリ。……寂しくなんか……無いプリよ」

 

「……我慢できなかったら言って良いからな」

 

それから四人での写真撮影会が進む中、レイとプリルンはそんなアイドルプリキュアの四人が楽しく笑い合うのを見る事になる。




また次回もお楽しみに。
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