キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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寂しい二人 影人達の後悔とサプライズ準備

写真撮影会はあれから暫く続くとお開きとなり、プリキュア達は変身解除すると一同はうた部屋の二階……家の中だと三階部分に当たる部屋にいた。

 

「今日はありがとうございました。皆さんについて色々と知る事ができて、研究が進みました!」

 

「良かった」

 

「私達も仲良くなれて嬉しいな」

 

「……ま、だからってプリキュアじゃない俺の事も聞いてくるとは思わなかったけど」

 

どうやらこころは影人達自分以外のプリキュア組だけでは無く、レイにも色々と質問したらしい。

 

「レイ先輩はアイドルプリキュアのサポート役としてどういう事をやってるか知りたくて……。ほら、サポーターとの連携もアイドルプリキュアの中で重要だと思いますし!」

 

こころのいう事も間違ってない。幾らプリキュア達が絆を深めて連携できても、サポーターとの連携力も必要になる場面がこれからあるかもしれない。そんな時に咄嗟に連携できませんでしたでは済まない場面が出てくるだろう。

 

「……それにしても、不思議です」

 

するとこころはふと布団の枕元にあるアイドル、ウインク、キュンキュン、ソウルの四人のマスコット人形が並んでいる。これは少し前に四人で協力して完成させた物だ。

 

「ただのファンだった私が、お揃いのリップやお揃いのブローチを手にして……皆さんと一緒にアイドルプリキュアをやってるなんて」

 

こころはそう呟きつつ、感慨深い気持ちでいっぱいになる。彼女からは元々、影人、うた、ななの三人は遠い遠い存在に見えていた。だが、アイドルプリキュアになった事でそんな三人がすぐ近くの身近な存在になっている事が未だに少し信じられていない様子なのである。

 

「あっ!!勿論今もファンなんですけど……」

 

こころが慌てる中、うたやななは笑顔でそんなこころを歓迎する気持ちであり、影人も影人でこころがこうして隣にいる現状が心地良いものを感じていた。

 

「そんなの、当たり前だろ?……こころはアイドルプリキュアで、その熱烈なファン。そんなに慌てて訂正しなくても咲良さんも蒼風さんもそれをちゃんと受け入れてる」

 

「うっ……」

 

こころが恥ずかしさからか、顔を赤らめる中でうたとななはそんなこころへと答えを返した。

 

「これからもよろしくね!こころ!」

 

「私達と一緒に頑張ろ!」

 

「はい!」

 

そんな中、一人うた達に背を向けながら自分の持っている小型カメラの写真を見ているプリルンは落ち込んだような顔つきをしていた。レイはそれに気がつくとまたプリルンへと声をかける。

 

「プリルン、そんなに我慢しなくても……寂しいなら寂しいって言った方が良いぞ」

 

「えっ!?」

 

レイがプリルンを諭すように話しかけるとプリルンはビクッと体を震わせると同時にこころも慌てたように声を上げた。

 

「プリルン……寂しいってどういう事?」

 

「……プリ、お揃いじゃないプリ。四人はいっぱいお揃いプリ。プリルンとレイは……お揃いじゃないプリ」

 

プリルンはアイドルプリキュア組の四人とお揃いの物が何一つ無いとそう呟いた。思えば、プリキュアのリップも、プリキュアのブローチ、リボンも……そして今日撮った写真の中にプリルンとプリキュア達が同時に映る写真は殆ど無かった。

 

更に言えば、レイもお泊まりのメンバーの中だと一人だけプリキュアで無い影響か、彼の入った写真は一枚も写真を撮られておらず。一人だけ浮いているような状況になっていた。

 

「レイ君……その……」

 

「俺は別に大丈夫。……正直ビックリしたのは、プリルンは俺の心配もしてくれてた事かな」

 

うた達はレイを一人だけ写真撮影会の除け者にしてしまった事への罪悪感である。折角の友達で仲を深める会なのに一人だけ省くという状況は良くないことを知らないうた達では無い。

 

「プリ……プリルンはもう寝るプリ」

 

どうやらプリルンは落ち込んだ気持ちのまま眠くなってくるとそのまま布団の中へと入り、枕の上に頭を出して寝てしまう。

 

「レイ、本当にすまない」

 

影人がレイへと頭を下げる中、彼は一度無言になるとどう返すべきか迷っていた。……その反応はレイとしても寂しさが無かったと言えば嘘になるという事の現れだろう。

 

「……言っただろ?俺は大丈夫だって。ほら、明日は土曜日とは言ってもあまり遅くまで起きてるのは良くないし。お前らはアイドルプリキュアなんだから美容とかにも悪くなるだろ。……もう寝るぞ」

 

レイも部屋の電気を消すとさっさと布団に入って目を閉じてしまった。部屋が暗くなると月明かりだけが部屋を照らす。そして一人寝てしまったそんなレイを見て影人は小さく呟く。

 

「……お前も大概自分の気持ちを隠す所、俺達と一緒なんだな」

 

影人は初めて知った。レイもあんな風に寂しさを紛らわせるような態度を取るのだと。それと同時に、影人はある決心を固めた。

 

「……皆は先に寝ていてくれ」

 

「えっ!?」

 

「影人君?」

 

「……咲良さん。下にある咲良さんの机、借りるよ。あとこころ、さっき使ってた手芸道具もな」

 

それから影人が一人で何かをしようとするとそんな影人の肩をこころがそっと添えるようにして止めた。

 

「……レイも言ってただろ。お前らはアイドルプリキュアなんだから早く寝ないと……」

 

「カゲ先輩。私も、私達も手伝います」

 

「別にこころ達が気に病む必要は無い。これは俺が勝手にやってる事だ」

 

「……じゃあ、私達も勝手にカゲ先輩を手伝います。これで問題はありませんね」

 

影人がこころやうた、ななの方を向くと三人共が真っ直ぐな目で影人を見ていた。

 

「私も自分の事ばかり気にして、プリルンやレイ君の所にまで気持ちが回ってなかった」

 

「そりゃ、レイ君も寂しいって思っちゃうよ。折角遊びに来たのに……一人だけ写真の輪に入れなかったら」

 

うたもななも。そしてこころも、影人と同じ気持ちだった。そんな目を見た影人は一度溜め息を吐くと三人へと頭を下げる。

 

「……こころ、咲良さん、蒼風さん。……もう少しだけ夜更かししてほしい。……プリルンとレイの笑顔のためだ」

 

「勿論。私達もそういうつもりだったよ」

 

「プリルンとレイ君を喜ばせるために……皆で一緒にやろう」

 

「お二人にも心キュンキュンしてほしいです」

 

それから四人はプリルンとレイに内緒である作業を進める事になるのであった。

 

少し経って日付が変わったぐらいの時刻。影人達はプリルン及び、レイを喜ばせるための仕込みを終えるとうた、ななは先に寝てしまった。尚、うたは鼻提灯を浮かばせながら寝ている形である。

 

「……咲良さん、寝る時いつもこうなのか?」

 

「あはは……」

 

「なぁ、こころ」

 

「はい?どうしましたか?カゲ君」

 

こころは影人に話しかけられると自分達以外が起きていないこの現状のため、影人へと恋人としての呼び方をする。

 

「……俺さ、正直ダメな奴だった」

 

「えっ?」

 

「レイの気持ちをちゃんと俺は理解できてると思ってた。アイツって俺と似て周りの事ちゃんと見てるし、カバーすべき場面はカバーしてくれる。でも、俺はアイドルプリキュアになったせいか……それが疎かになってた」

 

影人はそう言いつつ、最近の自分は他人への気配りが散漫になってきているのを薄らと思い浮かべる。

 

「……むしろ、私は安心しました。カゲ君にもそうやってちゃんと弱点があるの」

 

「そうなのか?」

 

「はい。私も私でカゲ君の事を理解できてなかったと思います。ですから、足りない所は私達で支え合いましょう」

 

その言葉を聞いて影人は目を見開きつつこころへと向くと彼女は影人へと優しく微笑んでいた。

 

「弱点なんてあって当たり前です。それをカバーし合うためのチームなんですから」

 

「……それもそうだったな」

 

それから影人が布団に寝転ぶと寝ようとする中、自分の布団が自分以外の物に影響して動くのを感じた。

 

「……?」

 

すると布団の中にある影人の手が自分より一回り小さな手に握られるのを感じ取る。

 

「……こころ?」

 

「偶には良いじゃないですか。……私と手を繋ぎながら寝るの、そうそうできませんよ?」

 

こころの頬は僅かに赤くなっており、彼女も若干の恥ずかしさがあるようだった。そんな彼女を見て影人は優しくその手を握り返す。こうして、二人は手を繋いだまま寝る事になるのであった。

 

影人達が完全に就寝して数時間後。チョッキリ団のアジトでは夜も更けて深夜帯に入る頃。バーで酒を飲みながら寝てしまっていたカッティーとザックリーの二人がカウンターに突っ伏していた。

 

「なんだよもー、あの女……ホントに人使い荒いぜ……」

 

「やってられんのですぞ……」

 

そんな二人はすっかり寝ぼけてしまっており、夢見心地で寝言を口ずさみながら上司であるチョッキリーヌへの愚痴を溢している。……ただ、そんな中タイミング悪く二人の間に立つ形でチョッキリーヌが冷静に二人へと怒りをぶつける形で声をかけた。

 

「ごちゃごちゃ言ってないで、とっとと起きな!」

 

そんな声にザックリーもカッティーも無理矢理叩き起こされる形で意識が覚醒。手にしていたウイスキーと思われる氷入りのコップを空中に飛ばすが、ギャグ補正で溢さずにキャッチする。

 

「「のわわっ!?チョッ、チョッキリーヌ様!?」」

 

「……ザックリー。プリキュア三人目の覚醒を止められなかった落とし前。朝が来るまでに着けるんだよ!」

 

「……そ、そんな事言ったら、スラッシュー様も……」

 

ザックリーがスラッシューの事を引き合いに出すとチョッキリーヌは言い訳をしたと見なしてザックリーを睨みつけた。

 

「ヒッ!!い、イェス……ボス」

 

「……確かに今回の件は私にも責任がありますわね」

 

すると暗がりの奥からスラッシューが姿を現す。その姿は変身前の姿なのか、ローブとフードを着込んでいる状態だった。どうやら、スラッシューの仕事での活動着が前に変身した後の姿らしい。そのため、普段はローブを着込んで素顔を隠した姿のままになっている。

 

「スラッシュー……アンタが珍しく自分の責任を負うとは、どういう風の吹き回し?」

 

チョッキリーヌの言葉にスラッシューは薄らとローブの下にある素顔から笑みを浮かべる。

 

「別に。……ただの気まぐれよ。それにさっきのザックリーの様子を見るに、ここは誰かお目付役が必要そうじゃない。……だからですわ」

 

スラッシューが先程の仕返しとばかりにザックリーがチョッキリーヌへの悪口を口にしていた事を出すと自分からザックリーに着いていくと伝えた。

 

「……わざわざスラッシュー様が出なくても……」

 

「ふーん。なら、これでどうかしら?もしあなたがプリキュアの討伐に成功したらその手柄は全てあなたが持っていけば良い。それでも私が着いていくと言うのを拒むのかしら?」

 

スラッシューの声色はまるで目が笑ってない方の言い回しだった。実際口元は笑っていたものの、ザックリーへと突き刺さるような冷たい視線が彼に向けられている。

 

「ッ……じょ、冗談ですって。ザックリとよろしくお願いしやっす」

 

「決まりね」

 

するとスラッシューはザックリーの襟を掴む形でそのまま引き摺って連れて行く。ザックリーはそのまま体が引きずられるために慌てたような声を上げるとカッティーは自分がああならなかった事にホッとしたような顔つきになるのであった。

 

「スラッシュー様、なんでこんな……」

 

「酔いと眠気覚ましに丁度良いですわ。それと、私の事を悪く言った罰よ」

 

そんな風にザックリーに言い聞かせるスラッシュー。そんな彼女の顔には再び笑みが浮かぶ。それは、アイドルプリキュアとまた相見える事への喜びでもあった。

 

「さて……今日はどう楽しませてくれるのかしら」

 

「スラッシュー様、痛いですって!」

 

「あらそう?なら……こっちの連れて行き方なら満足かしら?」

 

スラッシューは襟から手を離すとザックリーはそのまま顔からダイブ。慌てて起きあがろうとするとそのタイミングでスラッシューはザックリーにデコピンをして後ろに転ばせると今度はザックリーの脚を掴んで引き摺る事になる。

 

「あばばばっ!スラッシュー様、もう起きてます!歩けますからザックリやめてください!?」

 

当然ながらザックリーは先程以上の悲鳴をあげながら連れて行かれるのだった。




また次回もお楽しみに。
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