キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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笑顔ニッコリ キュアアイドルデビュー!

うたが手にしたアイドルハートブローチとリボン……プリキュアリボンを構えるとピンク色の不思議な空間へと移行。それと同時に着ていた服が変身のためのピンク色に発光した変身前の専用の物に変わる。

 

「プリキュア!ライトアップ!」

 

うたはそう言いながらプリキュアリボンをアイドルハートブローチに装填。そのままブローチを三回タップ。

 

「キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」

 

うたは胸の前でブローチの両側を押すと中心にある透明なハートが回転。ピンクの光を帯びるとそれはさながらミラーボールであった。その瞬間、茶髪の髪が逆立つように広がると中心が黄色、外に行くにつれてピンクの光を纏う。それと同時にハイライトが水色がかかった青緑へと変化。更に髪の色も変化すると金髪にピンクのメッシュが入ったリボンヘアとポニーテールのような物に。また、前髪にはピンク色のハートの形をしたメッシュも目立つ。

 

「キミと〜!YEAH♪」

 

うたが再び両側を押すとまたミラーボールが回転。今度はコスチュームが装着されていく。順番としてはまずスカートが具現化し、そのままスカートから出ている布が生成。布にはハートがあしらわれている。更に上半身の服も出てきた。袖は完全に服と分離しているため、肩出しの格好となっている。

 

ちなみに上下のセパレートタイプなのか、両方に共通してチェック柄であるもののへそ辺りは露出していた。

 

「一緒に〜!YEAH♪」

 

うたが三度目の押し込みを行うと今度は両脚に白とピンクのロングブーツ、両腕には左右長さの大きく違うフィンガーレスグローブを装着。左側が手首程度で止まっているのに対して、右側は肘のあたりまでカバーしている。その後、髪にピンクのリボンが付いたピンクのハートの髪飾りやカチューシャ。両耳にピアスが装着され、うたが心臓の辺りにアイドルハートブローチを置くとそれが装飾となった。

 

うたは姿の変化を終えると周囲の背景が明るく変化し、ポーズと共に決め台詞を言う。

 

「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」

 

こうして、うたはまるでアイドルのようなコスプレへと変身。自らの名をキュアアイドルと名乗った。

 

「……嘘だろ?」

 

うたがキュアアイドルという存在に変わったのをみて影人は目を疑う。光によって詳しい経緯は影人からは見えなかったが、一瞬にして変身が完了していたのだ。しかも光が消えたかと思えばまるで別人のような姿なのである。

 

「お、おい……本当に咲良さんなのか?」

 

「うん?そうだけど……」

 

「あのさ、自分の姿を見てみろよ」

 

「へ?」

 

キュアアイドルは自分を見るとまるで先程までとはガラリと変わった印象にアイドルは叫ぶように驚いた。

 

「って、ええー!?何?何?どうしちゃったの?私!?」

 

「む?キュアアイドルですと?」

 

「うたがアイドルプリキュアプリ!」

 

カッティーはいきなり現れたキュアアイドルに僅かに動揺する中、プリルンは喜びの声を上げていた。

 

「マックランダー!」

 

するとマックランダーはアイドルを敵とみなしたのか、体を前屈みで倒すと背中の本を開いて中から漫画のコマが描かれたページを射出する。

 

「避けるんだ、咲良さん!」

 

「うわぁああっ!」

 

影人がアイドルへと声を上げるとアイドルは半ば慌てながらも後ろに跳んで回避する。ただ、加減を間違えたのかかなり高く跳んだアイドル。そんな彼女の顔は大慌ての状態だった。

 

「うわぁあああっ!?ああっ!」

 

「おいおい、アレがさっきまで同じ人間だった奴の跳べる距離かよ!」

 

影人もアイドルの身体能力の高さに困惑する中、アイドルは空中にいられる時間に限界が来たのか、落下を開始。トンデモ身体能力になっても流石に空中浮遊までは無理らしいのだ。

 

「あ!?ああっ!やぁあっ!」

 

アイドルは空中でどう体を動かせば良いのかわからず、着地先がマックランダーの真上だった。マックランダーも何故か自分の方に来たアイドルに困惑し、アイドルもマックランダーとの激突を嫌がって両腕を前に突き出すとマックランダーにそれが命中。

 

「マックランダー!?」

 

マックランダーはその威力を前に吹き飛ばされるとバランスを崩す。先程までの彼女ならきっと今の身体能力や威力は出せない。恐らく、これがアイドルプリキュアの力という事だろう。

 

そして、アイドルはその反動で地上に着地すると自分の体に力が漲るのを感じ取った。

 

「……ッ」

 

そして、彼女が前を向くと先程の攻撃で額にダメージが入ったマックランダーが怒ったかのように手に筆を構えている。

 

「マックランダー!」

 

「筆攻撃が来るぞ!」

 

影人はマックランダーの構えから次の動作を予測。アイドルに伝えるとその瞬間にマックランダーから筆が振り下ろされる。アイドルはそれを聞いて跳び上がると筆を回避。踵落としを命中させた。

 

「マックランダー……」

 

「咲良さん、あの筆を奪うんだ!アイツの攻撃は八割方、筆頼みだから……」

 

しかし、変身したてのアイドルにそこまでの余裕は無いのか一人で走っていく。影人はひとまずアイドルのやりたいようにやらせるのが一番だと考えると変に声を上げないようにするべきと考えた。

 

「やぁああっ!絵真さんを……返して!」

 

アイドルはマックランダーに接近すると跳び上がって両腕で相手の胸へと駄々っ子のようなパンチを繰り出す。それをマックランダーは筆で防ごうとするが、威力は思っていた以上に強かった。

 

「このこの!このっ!」

 

アイドルが最後の一撃をぶつけるとその勢いに押し負けたマックランダーが倒れると同時に手にしていた筆が弾かれてしまう。

 

「マックランダー!?」

 

するとプリルンが目をパチパチさせて中を見ると内部に囚われていた絵真の周囲に光が差すのが見えた。

 

「プリ!キラキラしてきたプリ!」

 

「そうなの!?」

 

「アイドル(物理)かよそれ……でも、それなら……」

 

「うん。きっと助けられる!」

 

マックランダーは起き上がるとまた背中から漫画のページを射出。それに対してアイドルは先程よりも慣れた動きで回避すると前に進みながら胸のアイドルハートブローチをタッチする。

 

「行くよ!アイドル……グータッチ!」

 

すると右腕にピンクのエネルギーが高まり、アイドルがそれを腕をグルグルと振って威力を増幅。そのまま物凄い勢いでマックランダーに繰り出す。マックランダーも負けじとパンチを繰り出すと二つの拳がぶつかるが、アイドルの拳の力にマックランダーは拳の威力が空気として貫通すると堪らず吹き飛ばされた。

 

「マックランダー!?」

 

「グータッチとは何だろうか……」

 

影人が呆れたように言うのも無理は無い。そもそもグータッチというのは挨拶の代わりとして小さくグーにした拳と拳を軽く触れ合わせる物。要するに今みたいな相手を吹っ飛ばすほどの力でぶつけるとなると最早ただの威力の高いパンチだ。

 

「細かい事は気にしないの!」

 

「お、おう……」

 

影人が若干呆れた顔になるとこれ以上ツッコむのは野暮だと諦めた。そんな中、プリルンは昨日買ってもらったペンライトをピンクに染めて振る。

 

「キュアアイドル!頑張れプリ〜!」

 

「クライマックスは私!」

 

するといきなりアイドルは自身が生み出し、展開した亜空間の中へとマックランダーを無理矢理転送。そこはライブ会場であり、ステージに立つのは勿論アイドルだ。

 

そして、それと同時に彼女の右耳に突如現れた白を基調として耳に当てる部分はハートの造形となったインカム……アイドルハートインカムが装着。またマックランダーは強制的に大きめな椅子に着席させられて拘束。これで妨害を受ける事は無い。

 

「盛り上がって行くよー!」

 

アイドルの言葉と同時に観客席からアイドルのカラーであるピンクのペンライトが一斉に輝き出す。

 

♪決め歌 笑顔のユニゾン♪

 

「キミのハートにとびっきり♪元気をあげるね♪ゼッタイ!(ゼッタイ!)アイドル!(アイドル!)ドキドキが止まらない!急接近♪笑顔のユニゾン、応えてほしいな〜サンキュー♪最高のステージで〜キミと歌を咲かそう♪」

 

アイドルの歌、“笑顔のユニゾン”によって会場はアイドルを応援するペンライトが煌めく。マックランダーも先程までアイドルへと攻撃していたのが嘘のように見惚れてしまっていた。そして、その光景に領域の外にいた影人も彼女のパフォーマンスを完全に見入っている。

 

そして、サビの部分を歌い切るとアイドルは両手を真上に掲げると巨大なピンクのハートが生成。それをマックランダーへと振り下ろすように射出する彼女の技を発動させた。

 

「プリキュア!アイドルスマイリング!」

 

それがステージに見入っていたマックランダーへと直撃。その体がアイドルのキラキラによって浄化されていく。また、アイドルはその間に着地すると締めのために両手でハートの形を作ると満開の笑顔を見せた。

 

「「キラッキラッタ〜」」

 

マックランダーと素体となった人が二人揃って浄化された事を示す言葉を言うと周囲に輝いたリボンが出てきてそれが正面で蝶々結びされ、マックランダーが消えると共に切られてしまった絵真のリボンが修復される。そして、そのリボンはそのままアイドルが変身に使ったようなプリキュアリボンへと変化。アイドルは落ちてきたそれを何とかキャッチする。

 

「うぉっと!」

 

「これが……キュアアイドルのキラキラの……力」

 

影人はその光景を痛む体を引き摺りながらも最後まで見届けた。そして、戦いが終わって浄化の光が街を包み込むと壊れた街並みや自分の体に付いてしまった傷が回復していく。恐らく、プリキュアが生み出したキラキラによってマックランダー由来の被害を回復させたのだろう。ただ、影人の体力はマックランダー由来のダメージで無いために回復せず。彼の疲労感は残りっぱなしだったようだが。

 

「アイドルプリキュア……チョッキリーヌ様に報告ですな」

 

そして、マックランダーがやられた事でカッティーは撤退。煙と共に姿を消した。

 

「キュアアイドル凄いプリ〜!」

 

「あっ!そういえば絵真さんは……」

 

プリルンが興奮気味にそう言って手にしたペンライトを振っているとアイドルは絵真の心配をするが、彼女は何事も無かったかのように無傷で近くのベンチの上に横たわっていた。

 

「見た感じ、大丈夫そうだ」

 

影人はいつの間にか絵真の体調を確認したのか、それをアイドルへと伝えるとアイドルはホッと胸を撫で下ろす。

 

「咲良さん。ひとまずこっち来てくれ」

 

「え……あ!そっか!」

 

アイドルは影人の言葉で今自身が起きた絵真に見られるのは不味いと悟ると二人揃って建物の柱に隠れた。するとその直後に絵真の意識が戻ると起き上がる。

 

「んんっ……あれ?私、何してたんだろ……」

 

そのまま絵真はどこかへと立ち去っていく。それを柱の影から見届けた影人達。アイドルは何とも無さそうに復活した絵真に改めて安心感を抱いた。

 

「絵真さん……良かった」

 

「やっぱりうたはアイドルプリキュアだったプリ!」

 

「うんうん!歌って、踊って、ファンサして!……って、え?私が……アイドルプリキュア!?」

 

そう言って思わず叫んでしまうアイドル。そんな中、影人は一人事件が解決したのを見届けて立ち去ろうとする。

 

「あっ、影人君!!もう行っちゃうの!?」

 

「もうっていうか、随分長く付き合ったけどな」

 

「でも、その感じだと結構疲れてるでしょ?影人君、少し休んで……」

 

「ごめん。その心遣いは嬉しいけど……、正直、色々と混乱しててな。家で休む事にするから……」

 

そう言って影人は一人アイドルとプリルンを置いて帰って行こうとする。すると影人の元にプリルンのポーチから何かの光が飛んでいくと影人のスマホの中に吸い込まれていく。だが、光は誰にも見えないように飛んでいったせいでその場の全員がそれに気が付かなかった。

 

「……クソッ……あれが、本物のアイドルの力……誰かの心をキラキラと照らせる力かよ」

 

影人はアイドルが見えなくなると彼女への嫉妬の気持ちを募らせた。結局、あの場面で自分はただ一人怪我をして何もできなかったに等しかったのだ。時間稼ぎをしたと言う点では良いかもしれないが、でもそれは最終的な解決にはなってない。ただ破滅する順番が前後しただけだろう。

 

「俺は、俺はいつも無力だな……」

 

影人の心はどんどん荒んでいく。それと同時にやはり自分には最初から彼女のような誰かの光には成り得ないのだと思い知った。

 

「どうしようもできない才能の差……。まさかここでも味わされるなんて……」

 

でも、影人はその才能の差をうたのせいにして彼女に八つ当たりするのは止めようと考える。それはあくまでうたが持って生まれた物。そして、これまでの人生で磨き上げた物だ。影人には嫉妬する権利はあってもそれが原因で彼女を嫌いにはなってはいけないとちゃんとわかっていた。

 

「どうすれば、俺はあんな風に輝けるんだろうな……」

 

影人が溜め息を吐いて俯きながら歩いているといきなり目の前に曲がり角を曲がってきた何かが出てくると影人はそれにぶつかってしまう。

 

「ッ!?」

 

「きゃっ!!」

 

慌てて影人がその影を支えるように手を掴むとその影は影人よりも小さく、そして動揺を顔に浮かべていた。

 

「ッ!?紫雨さん……」

 

「か、影人先輩……」

 

影人はこころに今の情けない自分を見られた事に動揺するが、こころの方は先程見てしまった光景が脳裏に浮かんでもっと心が動揺する。

 

「影人先輩……そ、その……」

 

こころは何かを言おうとして口籠もる。そんなこころに違和感を覚えた影人はこころへと問いかけた。

 

「紫雨さん……何か聞きたい事があるのか?」

 

「ッ!?どうしてそれを……」

 

「いや、何となくそんな気がして……あ、もし言いづらいのなら無理に言わなくても良いからな」

 

影人はこころの気持ちを尊重する方向で彼女へと言うか言わないかの選択肢を渡す。こころは少し躊躇すると影人へと問いかけた。

 

「じゃ、じゃあ聞きますね……。あの、影人先輩……さっき女の子と一緒にいませんでしたか……?」

 

そう言うこころの声色は震えている。まるで答えを知るのが怖いと言わんばかりであった。

 

「ああ、咲良さん……茶髪の子の事?」

 

「は、はい……。その、とても仲良さそうだなって……」

 

こころの目はどんどん不安に染まっているような感じである。まるで影人の答え方次第では今にも泣きそうに見えた。

 

「紫雨さんがどんな勘違いをしてるかはわからないけど、あの子とはつい昨日辺りに深く関わるようになったばかりのただの友達」

 

「それって……本当ですか?……女の子の方は結構距離近かったですよ」

 

「それはただの勘違い。向こうの距離感がちょっとおかしいだけ。だからそんなに不安になるなよ」

 

影人はこころへと優しめな雰囲気を出しながらにそう言うとこころはようやく不安が消えたのか、前に影人に見せた純粋な笑顔に戻った。

 

「良かった……影人先輩、こっちに来たばかりでもう彼女できたのかなって」

 

「……紫雨さんにはちゃんと話しただろ?俺なんかにそういう魅力は無いんだよ。だから、今度から勘違いでそんな不安そうにするのはやめてくれ」

 

「はい……すみません。私が早とちりをしてしまいました」

 

こころは自分の勘違いで影人に手間をかけさせたと顔が少し落ち込む。そんなこころを見て影人はあまり彼女の前で情けない姿を見せたく無いと歩き去ろうとする。しかし、影人の体に先程の疲れが響くとフラついたような足取りになってから脚がガクリとなると近くの壁に寄りかかってしまう。

 

「影人先輩!?どうしたんですか!?そんな体で……」

 

「平気だ。この程度、疲れた内に入らねぇよ……」

 

影人はそう強がるが、痩せ我慢なのはこころにもちゃんと伝わってしまっていた。そのため、こころは影人を何としてでも引き留めようとする。

 

「待ってください。影人先輩、少し休んだ方が良いですよ。ほら、近くのベンチまで案内しますから……」

 

「ごめん……紫雨さん。ちょっと今は一人にさせてほしいんだ。……その優しさだけありがたく受け取っておく」

 

「先輩……」

 

影人はこころをその場に置いていくとフラフラとした足取りで家へと戻っていく。そんな明らかに異常事態になった影人をこころは見送る事しかできなかった。

 

「先輩……どうしてそんなに自分の悩みを溜め込むんですか……カゲ君、今度は私がカゲ君の悩みを解決しなきゃ……」

 

こころはどうにかして影人の深い心の悩みを解決しようと誓う事になる。そんな彼女の心の中は影人を救いたいと想う心でいっぱいなのだった。




今回でやっとアニメ一話の分が終わりました。次回からはアニメ二話に移ります。また次回もお楽しみに。
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