キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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止まらないななの七不思議 影人の気苦労

プリルンがななのツインテールに弾かれてしまって気絶した後。少ししてプリルンの調子がある程度戻った所で影人達四人はうたの部屋で勉強会をする事になった。

 

「もうツインテやめちゃうんですか?」

 

「うん。私にはまだ早かったみたい……」

 

「早い……とは?」

 

「はたいちゃってごめんね、プリルン」

 

「もう大丈夫プリ!」

 

そんな風にやり取りをするななとこころ。影人はそんな二人の会話を見つつ、やはりななの心境としてはレイの予想した考えが割と近いという判断になりつつある。そんな中で……。

 

「咲良さん、大丈夫か?さっきからずっと教科書を見ながら唸ってるけど」

 

影人が先程から教科書と睨めっこしている状態が継続しているうたを見て彼女を心配する言葉をかける。流石にここまで問題に苦戦している所を見れば影人もななへの対応どころでは無くなってしまうのだ。

 

「ああもう!数学全然わかんない!教えて、なな先生!」

 

「あ、咲良さんそれは……」

 

影人は咄嗟にななへと助けを求めたうたを見て慌てて彼女を止めようとした。正直、今のななは何をするかわからない状態。……つまり、一番行動が読めないのだ。そんな彼女に何かを振ったら確実にまた奇行を始めてしまう。

 

影人は自分達からそれのトリガーを引くのは回避したかったが、うたが話を振ったためにななの脳裏にはキュピーンと電流が走ると何かを閃く。

 

「先生……あ!」

 

その瞬間、ななは立ち上がると影人はこうなったらもう止められないと成り行きに従う事を決め込んだ。それと同時にななは思いついた事を口にする。

 

「OK!Let's study!Let's try!Let's do it!」

 

「……はい?」

 

突如として英語を使い始めたななを見て流石の影人も想像の斜め上の話に唖然としてしまう。

 

「な、なんか始まった!?」

 

「来ましたね!」

 

そんな彼女を見てうたは身構え、こころは待ち侘びた物を見れる事に気持ちを引き締める。

 

「さあ、TeachしてほしいQuestionはどれ?」

 

「Question……?」

 

「質問っていう意味だ。てか、何で英語なんだよ」

 

うたはななが英語で話すものだから思考も中々纏まらずに困惑。影人が補足しつつななへと問いかけるが、なながそれに答える前にうたが納得すると質問をしてしまった。

 

「あ、そういう事?じゃあ、はい!ここです!」

 

「おお、これはVery easy!この公式を当てはめて……Understand?」

 

「ガソリンスタンド!」

 

「Yes OK!」

 

「何がOKなんですか!?」

 

影人はこのテンポの速いボケに最早ツッコミが追いつかずに脳内がクラッシュしてしまう。ただでさえななの奇行に頭が焼かれている事態なのにうたもうたで英語も壊滅的なのか、“理解した?”という意味の英語であるUnderstandに対して返した言葉はガソリンスタンド。

 

その後ななはノリと勢いでOKしたが、ハッキリ言ってこころのいう通りで何がOKなのかがわからない。

 

「……頼むからこれ以上俺の脳のキャパをオーバーさせるな……。レイえもん、助けてくれ……」

 

「カゲ先輩もどこかおかしくなってません!?」

 

影人も影人でこの場にいない同じく頭脳担当のレイへと未来の猫型ロボットにちなんだ呼び方をして助けを求めたい事態になっている。

 

それからななはスイッチが切れたのか、スッと元の状態となって座る。それを確認した上でこころが二人へと話しかけた。

 

「これはなな先輩の七不思議、四つ目ですね。題して……“数学なのに、謎のイングリッシュティーチャー!?”です!」

 

「おお、続編来た!」

 

「お前らもお前らで楽しそうで何よりだよ……」

 

影人はただでさえ普段の常識人枠でブレーキ役を担っているはずのななが完全にアクセルを踏みまくる役になったせいで一人でそのブレーキを担わざるを得ずに疲れ切った様子だった。しかも、ななのこの状態をうたやこころは楽しんでいる節があるために余計に一人で疲れる羽目に遭う現状に物申したい状態である。

 

「なな、何だか楽しそうプリ!」

 

「そう?」

 

「俺から見ても楽しそうな状態だよ。今の蒼風さんは……」

 

「うーん。でも、何でじゃあ影人君はそんなに疲れた顔してるの?」

 

ななという自分が疲れている元凶にそう返されて影人は思わず大声で言い返したかったが、今はななに好きなようにさせると決めていたので何とか踏み留まった。

 

「しかし、改めて疑問が。どうしてなな先輩は不思議な事を始めたのでしょうか?」

 

こころはそんな風にうたへと問いかける。うたも彼女からの問いに首を傾げて考える中、影人は二人にレイの考えを言うべきか悩む。しかし、今二人にそれを言ったらななにまで影響が及ぶと踏んで敢えてその選択肢を捨てた。

 

「うーん、あっ!もしかしてなな先輩に推しができたとか!?」

 

「えっ?推し?」

 

ななとプリルンが二人で手遊びをしながら楽しんでいる中でうたとこころの二人の議論はななにできた推しの話になる。

 

「推しができると心キュンキュンするあまり、いつもとは違うちょっと変な行動を取ってしまう。私にも心当たりがあります!」

 

「まぁ、こころの場合は現在進行形でそういう状態だからな。流石に説得力が違う。とはいえ、蒼風さんの推しって……」

 

影人は脳裏にドリーム・アイの事を浮かべた。ななは前に夢乃本人へと自分がファンであると遠回しに伝えている。これはつまり、彼女自身は周りにはドリーム・アイのファンだとは公言していないという事だろう。

 

更に言えば、なながドリーム・アイのファンになったのはもう随分前の話だ。そうなると今回の七不思議関連の事とは別の事案となってくる。

 

「でも、蒼風さんに新しい推し?昨日今日でそんなにビビっと来る何かに出会ったのか?」

 

「私がキュアアイドルやキュアウインクを推しになった時もかなり唐突だったので全然あり得る話です!ひとまず聞いてみましょう!」

 

「うん!ねぇ、ななちゃん!もしかして好きな人ができた?」

 

「……?できてないけど?」

 

ななはプリルンとの手遊びを止めると彼女も彼女でキョトンとした顔つきで二人の方を向くと否定の意を示す。そんな彼女をまるで恋バナのターゲットを見つけたかのような目で見るうたと真剣な目つきのこころが詰め寄る。

 

「本当に〜?」

 

「ですか〜?」

 

「……?どうしたの?二人共。変だよ?」

 

「(それは蒼風さんには今一番言われたくねぇ言葉だな……)」

 

影人が内心でツッコミを入れるとそんな彼と二人も同意見なのか、うたやこころは似たような顔つきで今にも声に出しそうな雰囲気を出しつつ頭を抱えていた。

 

「あっ!ななちゃん!こんにちは!」

 

「はもりちゃん、今は勉強会中だって!」

 

するとそのタイミングではもりと彼女と遊んでいたのか夢乃もやってくる事になる。

 

「コテンプリ」

 

プリルンは一般人の二人が来たので慌てて人形のフリをする形でコロンと落下。それと同時に二人が来た事への反応が飛ぶ。

 

「はもりちゃん!」

 

「夢乃……は、そういやはもりちゃんと遊ぶ約束してたな」

 

「うん。それでなな先輩達とも遊びたいってはもりちゃんが言い出したんだけど……」

 

「ああ、俺達が勉強会中って思い出して止めようとしてたのか」

 

影人の言葉に夢乃はコクリと頷く。夢乃がちゃんとその辺りの事情を配慮しようとしている辺り、やはり彼女と同年代の子供を比べると幾らかは大人びた印象でしっかりとしている所が浮かんでいる。

 

「……あれ?夢乃ちゃん。何だかそんな感じな雰囲気の子、どこかで見たような気が……」

 

うたは何か引っかかるのか夢乃を見ながら首を傾げる。そんな彼女を見て影人と夢乃は僅かにギクリとする。恐らくうたが思い出そうとしているのはドリーム・アイの事だ。そして、夢乃はまだうたやこころにその事実をカミングアウトしていない。今バレてしまえば勉強会が完全に台無しになってしまうだろう。

 

「ねぇねぇ、そんな事よりも遊ぼうよ!」

 

そんな風に言うはもり。はもりの発言によってうたは夢乃の事よりもはもりへの注意の意識が前に出るとその話題は中断された。

 

「今は勉強中なの!後で私と遊ぼ」

 

「えーっ……。折角ななちゃんが来てくれたのに……」

 

するとそんなはもりの様子を見たななは少し考えるとある事を思いつくとまた脳裏にキュピーンと電流が走る。

 

「ガオーッ!」

 

「え?」

 

ななが立ち上がるといきなり可愛く怪獣のような鳴き声を発し始める。勿論いきなりそんな風な声を出せばはもりも困惑するわけで。

 

「ガオー」

 

「……なな先輩?」

 

「これはもしかして……」

 

「新たなる不思議?」

 

「というか勉強はどうした」

 

そんな風に周りにいる面々が呟いている中でもまるでななは語彙力が消滅したかのように怪獣のような声を発し続ける。

 

「ガオー!ガオー!」

 

「じゃあピアノ弾いて!」

 

「ガオー!」

 

「え?」

 

「……お兄ちゃん、これどういう事?」

 

「……ちょっと今の蒼風さんは七不思議?とかいう奇行に走ってる状態なんだ。直接的な害があるわけじゃないから見守ってやってくれ」

 

「は、はぁ……」

 

影人にそう言われて夢乃は僅かに困惑した顔つきになる。そして、はもりの方も普段ならこのタイミングでピアノを弾いてくれるななが変な風になっているせいで混乱していた。

 

「ななちゃん?」

 

「なな先輩の七不思議、五つ目ですね。題して……覚醒!なな怪獣!」

 

「いや、ただの語彙力が無くなった蒼風さんだからな?」

 

「なな先輩ってあんな事もするんですね……。ちょっと意外です」

 

こころは新しい七不思議が見れて嬉しそうにする中で夢乃は少し意外そうな顔つきである。彼女の中ではななはこんな風な行動を取る人だというイメージが無いので仕方の無い所だろう。

 

「ガオー!」

 

「ほら、ななちゃんが怪獣ごっこで遊んでくれるって」

 

「ガオー!」

 

「でも、はもりピアノの方が……」

 

はもりとしてはななが相手の時はピアノをやりたいという気持ちなので未だに困ったような顔つきである。

 

「うーん。まぁ、私も目の前であれをされたら困っちゃいますね。怪獣ごっこはもうとっくに卒業しちゃいましたし」

 

夢乃の方は完全に怪獣ごっこ系列の遊びを卒業しており、恐らく彼女相手にそれをやっても困惑されるだけだろう。はもりとしても怪獣ごっこもダメでは無いが、ななと言えばピアノのイメージなのでどうしても気持ちの受け入れが追いつかないらしい。

 

「お願いします!なな先輩、もう役に入っちゃってるので!」

 

「えぇ……」

 

「はもりちゃんが珍しく引いちゃってるね」

 

「はぁ……頼むからそういう行為も時と場合を考えてくれ……」

 

影人が頭に手を置いて本日何度目かわからないぐらいに呆れ果てるとうたがはもりの後ろからそっと肩に手を置く。

 

「はい、はもりパーンチ!」

 

うたがはもりをフォローする形でパンチを出させるとそれを受けたななは苦しそうにする。

 

「うっ!?やられたー!」

 

なながベッドに倒れ込むと困惑していたはもりだが、嬉しそうな顔つきに変わると面白がって声を上げた。

 

「もう一回もう一回!」

 

「ガオー!」

 

ななはリクエストに答えて再度立ち上がるとまた怪獣のような声を上げる。

 

「はもりキーック!」

 

今度ははもり自身も面白さを感じたからか、ノリノリで脚を上げるとキックのポーズを取る。

 

「グァアっ!またやられたー!」

 

「あははっ!ななちゃん面白い!」

 

はもりの動きに“やられたー”と倒れるななを見て彼女は嬉しそうな声を上げた。この反応を見るにやはりまだはもりは怪獣ごっこ遊びは通用する年頃という事だろう。

 

「この事お絵描きするね!」

 

「……お絵描き?」

 

するとななの怪獣モードが終わったのか、キョトンした顔をしつつはもりへと聞き返す。聞かれたはもりの方は嬉しそうに返す。

 

「うん!楽しそうな事とか好きな事とかをいつも書いてるんだ!」

 

「へぇ〜。それは素敵だね!」

 

「はもりちゃん。そろそろ勉強の邪魔になるし、他の事しよ?」

 

「うん。あ、そうだ。夢乃ちゃんもお絵描きする?」

 

「良いよ!」

 

それから二人は部屋から出ていくと夢乃はコッソリ影人へとウインクを送る。それは夢乃からの“はもりちゃんは私に任せて”というメッセージであった。影人は頷いて返すとそのまま二人は別の部屋へと去っていく。

 

「それじゃあ、勉強再開するぞ」

 

「……そうだった!?私達、勉強会の最中だった……」

 

うたの顔つきがまたげんなりとした物になると今度は影人が主体となってうたへの勉強指導をしていく事になる。

 

……尚、その間も時折りななが数学なのに英語の先生のように英語を交えながら教えるタイミングがあったために影人は相当苦労したが。




また次回もお楽しみに。
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